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疲労

執筆者:

Michael R. Wasserman

, MD, Los Angeles Jewish Home

最終査読/改訂年月 2017年 11月
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疲労とは、休む必要性を強く感じ、活動を開始したり維持したりするのが困難になるほどエネルギーが不足した状態です。運動や長期のストレス、睡眠不足などの後にみられる疲労は正常です。しかし、疲労が増大したり、以前は疲労の原因にならなかった活動の後に生じたりする場合には、その疲労は何らかの病気の症状(ときに最初の症状)である可能性があります。

原因

ほとんどの重篤な病気、また多くの軽い病気によって、疲労が生じます。しかし、これらの病気のほとんどには、ほかにもっと目立つ症状(例えば、痛み、せき、発熱、黄疸など)があり、その症状のために医師に診てもらうことになります。このトピックでは、疲労が最初の症状、または最も重い症状となる病気に焦点を当てて考察します。

一般的な原因

疲労の期間に基づいて判断される原因には、はっきりした境界線がありません。しかし、医療機関を受診するまでにどれほどの期間疲労があったかによって、特定の原因がみられる傾向にあります。

最近の疲労(1カ月以内の持続)には多くの原因がありますが、最も一般的なのは以下のものです。

長期の疲労(1~6カ月の持続)の最も一般的な原因は以下のものです。

慢性の疲労(6カ月以上持続)の最も一般的な原因は以下のものです。

慢性疲労症候群は原因不明の病気で、疲労や他の特定の症状を引き起こします。原因不明の疲労がある人がみな、慢性疲労症候群であるとは限りません。

あまり一般的でない原因

最近の疲労のあまり一般的でない原因として、コカインの使用中止による重度の疲労があります。長期または慢性の疲労のあまり一般的でない原因として、副腎の活動低下や下垂体の活動低下などがあります。

評価

疲労は極めて主観的なものとなりえます。疲労をどのようなものと考えているか、またどのようにそれを表現するかについては人によって異なります。また、疲労を客観的に確認したり、その重症度を示したりする方法はほとんどありません。医師は通常、本当の疲労と、患者が疲労と呼ぶ他の症状との区別を試みることから評価を始めます。

  • 筋力低下:筋力低下 とは、筋力の不足のことで、影響を受けた筋肉を動かすのが難しくなります。筋力低下は、典型的には神経系または筋肉の病気の症状です。重症筋無力症イートン-ランバート症候群などの病気は、活動に伴って悪化する筋力低下を引き起こす可能性があり、疲労と間違えられることがあります。

  • 息切れ:特定の心臓または肺の病気のある人などでは、活動すると息切れが起こりますが、安静にしていると疲労を感じません。

  • 眠気:過度の眠気は睡眠不足の症状です(例えば、生活習慣または病気[アレルギー性鼻炎、胃食道逆流症、痛みを伴う筋骨格系疾患、睡眠時無呼吸症候群、長期間持続する重度の病気など]が原因となります)。日中の時間帯にあくびをしたり、睡眠に陥ったりすることは一般的です。しかしながら、疲労がある人の多くは睡眠障害を抱えているため、睡眠不足と疲労の症状が重複することがあります。

警戒すべき徴候

疲労がみられる場合は、特定の症状や特徴に注意が必要です。具体的には以下のものがあります。

  • 慢性の発熱または寝汗

  • 全身のリンパ節の腫れ

  • 筋力低下や筋肉の痛み

  • 重篤な随伴症状(例えば、喀血または吐血、血便または黒色便、息切れ、腹部の腫れ、錯乱、自殺念慮)

  • 2つ以上の器官系に問題がある(例えば、発疹に加えて、関節の痛みと硬直)

  • 高齢者では、頭痛または視力障害、特に筋肉痛を伴う場合

受診のタイミング

人は誰でもときおり疲労を感じますし、疲労があるからといって必ずしも医師に診てもらう必要があるとは限りません。特に、急性疾患(急性の感染症など)に伴う疲労、または1週間程度で治まる疲労の場合はそうです。しかし、疲労が長引いているように思える場合や、明らかな原因がない場合には、診察を受けるべきです。

新たな、もしくはこれまでとは異なる頭痛または視力障害がある高齢者、および重篤な随伴症状がある人は、直ちに医師の診察を受ける必要があります。疲労のある高齢者は、そのほかに症状がみられないとしても、できるだけ早く医師の診察を受けてください。その他の警戒すべき徴候がみられる人は、数日以内に医師の診察を受ける必要があります。警戒すべき徴候がない場合は、主治医に電話で相談してください。どれほど早く診察を受ける必要があるか、医師が判断します。一般的に、1週間程度の遅れは問題になりません。

医師が行うこと

医師はまず、症状と病歴について質問します。次に身体診察を行います。病歴聴取と身体診察で得られた情報から、多くの場合、疲労の原因と必要になる検査を推測することができます( 長期または慢性の疲労の主な一般的原因および特徴)。

医師は以下のことを質問します。

  • 疲労という言葉で何を言わんとしているのか(できるだけ正確に説明するよう求められます)

  • 疲労がどれほどの期間続いているか

  • 休息と活動との関連で疲労がいつ生じるか

  • ほかにどんな症状があるか(発熱、寝汗、息切れなど)

  • 何を行うと疲労が軽減したり悪化したりするか

  • 疲労は仕事や社会活動にどんな影響を及ぼしているか

女性であれば、月経歴についても質問されます。すべての人が、食事、不安、抑うつ、飲酒、薬の使用(市販薬レクリエーショナルドラッグの使用を含む)について質問されます。

次に身体診察を行います。多くの病気が疲労を引き起こしうるため、身体診察はかなり詳しく行い、特に慢性疲労のある人には念入りに行います。特に、神経学的診察も行い、筋力、筋緊張、反射、歩行、気分、精神状態を評価します。病歴聴取と身体診察では、比較的最近発症した疲労の方が原因を特定しやすくなります。また、疲労が唯一の症状である場合より、疲労が多くの症状のうちの1つである場合の方が原因が特定される可能性が高くなります。活動により悪化し、休息により軽減する疲労は身体疾患を示唆します。

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長期または慢性の疲労の主な一般的原因および特徴

原因

一般的な特徴*

検査

血液疾患またはがん

活動中の息切れを伴う運動耐容能(耐えられる運動の量)の低下(活動から予想される以上に大きい)

ときに蒼白

血算

広範囲のリンパ節の腫れ、体重減少、寝汗

多発性骨髄腫では、腰痛またはその他の骨痛(しばしば夜間に重度となる)

血算

感染症

ときに黄疸、食欲減退、腹水

肝機能を調べたり、肝炎ウイルスを特定したりするための血液検査

ときに肝生検

脾臓やリンパ節の腫れ、発熱、寝汗

ときに、サイトメガロウイルスに対する抗体を調べる血液検査

心臓弁の感染症(心内膜炎

発熱や寝汗

ときに関節痛

通常、心雑音が聞かれる人または薬物を静脈に注射する人にみられる

血液サンプルの培養検査、心エコー検査

発熱、寝汗、頻繁な感染症

ときに呼吸困難、せき、下痢、発疹

HIV血液検査

最近ののどの痛み、リンパ節の腫れ

単核球症の血液検査

その他の感染症(例えば、ヒストプラズマ症などの真菌性肺炎、寄生虫感染症結核

発熱、寝汗、体重減少

ときに、せき、呼吸困難、喀血

可能性の高い感染症の種類に応じた検査

その他の病気および原因

息切れ、起座呼吸(横になると呼吸困難になり、起き上がると楽になること)、むくみ

腎機能を調べるための血液検査

結合組織疾患(例えば、関節リウマチ全身性エリテマトーデス

発熱、寝汗、体重減少、関節痛、発疹、他の臓器病変(例えば、心臓や肺への影響)

異常な抗体の有無を確認するための血液検査

デコンディショニング

運動不足、寝たきり、または入院の経歴

医師の診察のみ

糖尿病(しばしば他の症状の方がより顕著)

強いのどの渇き、排尿の増加、食欲亢進、説明のつかない体重の増加または減少

一晩絶食した後の血糖値の測定、ときにブドウ糖負荷試験

薬:抗うつ薬、従来の抗ヒスタミン薬、降圧薬、血液中のカリウム濃度を低下させる利尿薬、筋弛緩薬、レクリエーショナルドラッグ、鎮静薬

疲労を引き起こすことが分かっている薬の服用歴

医師の診察のみ

50歳以上の人における頭痛、ものを噛むときのあごの痛み、髪をとかすときの痛み、視力障害、筋肉痛

赤沈、側頭動脈生検

精神障害:不安うつ病薬物嗜癖(しへき)、パニック症身体化障害(主に不安によって引き起こされる身体症状)

不安、悲しみ、食欲減退、原因不明の睡眠障害

身体化障害では、身体症状への過剰なとらわれ

医師の診察のみ

暑さにさらされることによって悪化する疲労

神経系の機能不全症状(しびれ、協調運動障害、筋力低下など)の既往(特に複数回にわたってみられた場合)

脳や脊髄のMRI検査

妊娠

月経周期の停止、乳房の圧痛、つわり、腹部の腫れ

妊娠検査

日中の過度の眠気、頻繁な覚醒、睡眠中の呼吸の中断、寝つきが悪い、休息感の得られない睡眠

睡眠検査室での検査(睡眠ポリグラフ検査)

甲状腺機能低下症(甲状腺の活動が不十分になった状態)

寒さに弱くなる、体重増加、便秘、皮膚の荒れ

甲状腺機能の血液検査

体重減少

ときに食欲減退、悪臭のする便、腹痛、またはこれらの組合せ

医師の診察

ときにその他の検査

原因不明の病気

のどの痛み、休息感の得られない睡眠、集中または短期記憶の困難、筋肉痛、関節痛、頭痛、首やわきの下のリンパ節の圧痛

医師の診察のみ

長期で広範囲にわたる関節以外の場所の筋肉と骨の痛み、トリガーポイント、下腹部痛、ガス、腹部膨満、便秘または下痢、片頭痛、不安

医師の診察のみ

*この欄には症状や診察の結果などが示されています。ここに示されている特徴は典型的なものですが、常に当てはまるわけではありません。

HIV = ヒト免疫不全ウイルス;MRI = 磁気共鳴画像。

検査

検査が必要かどうかは、病歴聴取と身体診察の結果によって決まります。例えば、危険因子がある人の場合、ヒト免疫不全ウイルス感染結核の検査を行います。その他の感染症またはがんの検査は、通常、所見からこれらの原因が示唆される場合にのみ行います。一般的に、長期間疲労が続いている人や警戒すべき徴候がみられる人では、検査が必要になる可能性が高くなります。

疲労以外の所見が認められない場合、多くの医師はいくつかの一般的な血液検査を行います。例えば、血算や、肝臓、甲状腺、腎臓の機能を測定する血液検査、赤血球沈降速度と呼ばれる血液検査(炎症が起きていることを示唆する)を行うことがあります。しかし、このような血液検査で原因が特定できることはあまりありません。

治療

治療は原因に対して行います。慢性疲労症候群や明らかな原因のない疲労をもつ人には、運動の程度を増やしていくことを含む理学療法や、心理的支援(例えば、認知行動療法)が効果的な場合があります。睡眠の改善や痛みの緩和に焦点を置くことが有用である場合があります。

高齢者での重要事項

年齢を重ねるにつれて活力が低下するのは正常なことですが、症状としての疲労は正常ではありません。高齢者では、疲労が病気の最初の症状になることがより多くなります。例えば、高齢女性における肺炎の最初の症状は、肺の症状(せきや呼吸困難など)や発熱ではなく、疲労である場合があります。巨細胞性動脈炎など他の病気の最初の症状も、高齢者では疲労の場合があります。高齢者では、突然の疲労の直後に重篤な病気が明らかになることがあるため、原因をできるだけ早く特定することが重要です。

要点

  • 疲労は一般的な症状です。

  • 主に身体疾患による疲労は活動によって悪化し、休息によって軽減します。

  • 疲労の原因を示唆する所見が明らかにならない場合、原因を特定する上で検査はあまり役に立ちません。

  • 慢性疲労の治療を成功させるには、努力と辛抱強さが求められます。

  • 高齢者における疲労は、加齢による正常な現象ではありません。

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