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補完代替医療の概要(CAM)

執筆者:

Steven Novella

, MD, Yale University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 11月
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補完代替医療(CAM)には世界中を起源とする様々な治療法や治療的アプローチが含まれますが、通例として従来の西洋医学は含まれません。CAMの多くは、中国、インド、チベット、アフリカ、南北アメリカにみられるもののように、昔からその地域に伝わる治療システムに根ざしています。

こうした治療法や施術の多くは広く普及しており、現在では、病院で行われていたり保険の対象となっているものもあります。鍼治療 鍼治療 中国伝統医学の1つである鍼(はり)治療は、欧米で最も広く受け入れられている代替医療の1つです。痛みの専門医などの医師が鍼治療の技術を習得し、免許を取得することはありますが、認可を受けている鍼灸師が必ずしも医学部を卒業しているとは限りません。毎日、何百万人もの人が鍼治療を受けています。... さらに読む や一部のカイロプラクティック療法 カイロプラクティック カイロプラクティックでは、脊椎の構造と神経システムの機能の関係が健康の維持や回復の鍵であると考えられています。この関係を矯正するための主な方法が脊椎マニピュレーションです。カイロプラクティックの施術者が理学療法(温熱療法、寒冷療法、電気刺激療法、リハビリテーションなど)、マッサージ、鍼治療を行ったり、運動や生活習慣の改善を勧めたりすること... さらに読む がその例です。CAMへの関心と利用が高まっているため、鍼治療、薬用ハーブ 薬用ハーブ 最古の医療形態として知られるハーブ療法または本草学では、植物や植物の抽出物を病気の治療や健康増進に利用します。薬用植物を1種類、もしくは多種類混ぜて使います。漢方薬には、ミネラルや動物の体の一部を混ぜることもあります。単一の有効成分だけを抽出して単離した通常の薬とは異なり、ハーブ療法では植物をそのまま使うのが普通です。(薬用ハーブと機能性... さらに読む 、カイロプラクティック療法、ホメオパシーなどのCAMに関する情報を講義で扱う医学部が増えています。

どのように利用されるかによって、いくつかの異なる用語が用いられています。

  • 補完医療:CAMが通常医療とともに用いられます。

  • 代替医療:CAMが単独で用いられます。

  • 統合医療とは、患者の全体像に焦点をあてて、医療従事者と患者との関係を再確認するという考え方に基づいて、適切な治療方法(通常医療と代替医療)をすべて用いることをいいます。

通常医療と代替医療を明確に区別することは必ずしも容易ではありませんが、両者には根本的な哲学的相違が存在します。通常医療は、利用可能な最良の科学的根拠に基づいて行われる傾向があります。対照的に、CAMは哲学に基づいて行われる傾向があり、その治療法を用いることを正当化する科学的根拠を必要としていません。通常医療では一般に、病気や機能障害のない状態を健康と定義しています。この医療では、病気や機能障害の主な原因は、細菌やウイルス、生化学的な均衡の崩れ、加齢といった個別の要因とされ、多くは薬や手術で治療します。これに対して代替医療では、健康を全人的に定義することが多くなります。すなわち、その人全体にかかわるシステム(身体、情緒、スピリチュアルな面)のバランスがとれた状態を健康と定義します。こうしたシステム間の調和が乱れると病気になると考えられています。治療には体に備わっている防御機能を強化して、これらのバランスを回復することも含まれます。

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受容と利用

欧米諸国では、多くの人が医療の一環として代替医療に目を向けています。2007年の米国では、成人およそ3810万人における代替医療の施術回数が3億5420万回であり、1997年から50%減少しました。この数字は同年の通常医療の受診回数をはるかに下回っています。

2007年には18歳以上の米国人の約38%が、次のようなものを含む、何らかの代替医療を利用しました。

その他のCAM療法の利用は、より低い状況です。

人々が代替医療を利用したいと思うに至る主な状態には次のようなものがあります。

  • 筋肉や骨格の問題(慢性腰痛、頸部痛、関節痛など)

  • 不安

  • 血中コレステロール値の上昇

  • 鼻かぜやせき

  • 頭痛

  • 睡眠障害

また、がんなどの命にかかわる病気に直面している多くの人が、通常治療による望みがほとんどなくなったとき、特に終末期に代替医療を求めます。

有効性と安全性

米国では1992年に、代替医療の各種療法の効果と安全性についての調査を行うための代替医療局が国立衛生研究所(NIH)内に設立されました。代替医療局は1999年に国立補完代替医療センター(NCCAM―ウェブサイト:www.nccam.nih.gov)となり、2014年に国立補完統合衛生センター( NCCIH)となりました。

有効性

代替医療の有効性は極めて重要な問題です。

多くのCAM療法について研究が行われましたが、その結果として、効果がない、または良く言っても一貫性がないことが判明しています。一部の代替医療は、いくつかの特定の病気や状態への有効性が示されています。しかし、それ以外の状態や症状に対する使用を裏付ける科学的根拠がない場合であっても、これらの療法は頻繁に用いられることがあります。CAM療法の中には、適切な試験デザインに基づく研究が行われていないものもあります。しかし、適切な試験デザインに基づく研究からの証拠が不足しているからといって、療法に効果がないという証明にはなません。

代替医療の多くは数百あるいは数千年にもわたって実践されてきたといわれています。鍼治療、瞑想、ヨガ、治療食、マッサージ、薬用ハーブなどがこれにあたります。長く使用されてきた歴史が存在することが、ときに代替療法の有効性の根拠として挙げられます。ただし、この主張にはいくつかの問題点があります。

  • 長年にわたる使用は、その療法が有効であることの証拠とはなりません。今では無効または有害であることが判明しているいくつかの療法は、数百あるいは数千年にわたって使用されていました。

  • いくつかの療法では、そのような長い歴史があったという根拠が存在していません。

  • 療法に関する過去の使用法と、現在の使用法では、異なっている可能性があります。

つまり、ある療法が有効であるかどうかを明らかにするためには、適切な試験デザインを有する研究がやはり必要となります。

しかしながら、CAM療法においては、適切な試験デザインの研究は困難になりがちです。CAM療法に関する調査研究には、次のような障壁があります。

  • 医療研究者のCAMへの関心の欠如

  • CAMの支持者にみられる科学的調査研究への関心の欠如

  • 通常医療を規定する法律と同じような、CAM製品やCAM療法が有効であることの証拠を義務づける法律がない

以下をはじめとする様々な理由から、CAMの研究に通常の研究手法を適用することが困難な場合があります。

そのような困難にもかかわらず、CAM療法(鍼治療やホメオパシーなど)についての適切なデザインの研究が多数行われています。例えば、ある鍼治療の研究では適切なデザインのプラセボを設定することで、二重盲検化を可能としました。不透明の覆いを患者の皮膚のツボに押し付ける方法がとられました。いくつかの覆いには皮膚に刺さる鍼(実薬治療)が入れられ、その他には入れられませんでした(プラセボ)。CAM療法に効果があるとみなすためには、プラセボよりも効果があることを示す科学的根拠が必要です。

CAM療法の優れたデザインの研究を支援するための資金の不足が、このような研究が行われないことの理由としてしばしば挙げられます。例えば、製薬企業では製薬のための研究が数多く行われていますが、CAMの薬に関する研究は利益が見込めないことから行われていません。しかし、CAMの製品は数十億ドル規模のビジネスであることから、製薬企業がCAM製品の研究を行わないのは利益が見込めないことが理由ではないと考えられます。一方で、CAMが利益を生み出すことから、研究の結果、CAM製品やCAM療法に効果がないと分かった場合にはCAMの企業に損が出るリスクがあります。

安全性

安全性はもう1つの重要な課題です。

CAM最も大きなリスクは以下のものが考えられます。

  • 生命を脅かす病気に対して、効果が証明されている通常の医療の替わりに、効果が証明されていないCAM療法を使用すること

CAM療法自体のリスクについては、明らかに安全なものもあります。例えば、痛みの管理に対する瞑想や、吐き気に対する鍼治療、平衡感覚の改善に対するヨガや、消化を助けるショウガ入りのお茶などです。他の治療法では、有害性が考えられる場合もあります。米国では、薬用ハーブやその他のサプリメント(多くの代替医療で用いられます)は食品医薬品局(FDA)の管理下にないため、製造業者は安全性を立証する義務を負いません( 安全性と有効性 安全性と有効性 薬用ハーブとは、植物の一部または全体を粉末にするか、抽出するか、あるいはその他の加工を施し、健康上の目的に使用するものを指します。機能性食品とは比較的新しく登場した一般的な言葉で、特定のハーブなどの天然物質の一群や、コレステロールを下げるマーガリンやオオバコを配合したサプリメント(栄養補助食品)など、法的に食品として扱われる製品が該当しま... さらに読む )。

一般的に以下のようなリスクがあります。

  • CAMで使用される製剤に含まれるいくつかの物質は、それらの間で、もしくは処方薬との間で危険な相互作用を起こす場合があります。

  • 米国や欧州の多くの国では高度に精製されたサプリメントが簡単に手に入りますが、その他の国々で製造された製品には危険な汚染物質や毒性成分、その他の薬物が混入している場合があります。

  • 体に対する手技など、薬以外の方法で治療を行う代替医療によって、悪影響が生じる場合があります(手技によって体の脆弱な部位を損傷するなど)。

代替医療の多くのケースでは、有害性が確立されたことも退けられたこともありませんが、一部のケースでは潜在的な有害性が示されています。ときには、代替的な製品や療法を喧伝しようとする人々によって、潜在的な危険性が大幅に割り引かれることもあります。

知っていますか?

  • CAMの最大のリスクが生じるのは、生命を脅かす病気をもつ人が、効果が証明されている通常の医療を受けず、その代わりに効果が証明されていないCAM療法で治療する場合であるといえるかもしれません。

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