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薬用ハーブと機能性食品の概要

執筆者:

Melissa G. Marko

, PhD, Nestle Nutrition;


Ara DerMarderosian

, PhD, University of the Sciences

最終査読/改訂年月 2017年 11月
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薬用ハーブとは、植物の一部または全体を粉末にするか、抽出するか、あるいはその他の加工を施し、健康上の目的に使用するものを指します。機能性食品とは比較的新しく登場した一般的な言葉で、特定のハーブなどの天然物質の一群や、コレステロールを下げるマーガリンやオオバコを配合したサプリメント(栄養補助食品)など、法的に食品として扱われる製品が該当します。

伝統的な医療システムは世界中のどの地域にもあり、何世紀も続いています。中国伝統医学アーユルベーダ(インドの全体論的医学)、チベット医学など、古くからある固有の医療システムは現在も広く普及していて、とりわけ発祥地域でよく利用されています。米国では、こうした医療システムによる治療、特に慢性疾患の治療への関心が高まっています。このような治療法は通常、補完医療や代替医療と呼ばれ、薬用ハーブを用いるものから鍼治療マッサージにまで及んでいます。

代替医療で最も多く使用されているのが、薬用ハーブや機能性食品などのサプリメント(栄養補助食品)です。サプリメントの利用が広がったことから、米国政府は1994年に栄養補助食品健康教育法(DSHEA)を承認しました。この法律では栄養補助食品(ダイエタリー・サプリメント)を、ビタミン、ミネラル、ハーブもしくは他の植物の産物、アミノ酸のいずれかを含み、通常の食事を補うことを目的とするあらゆる製品(タバコを除く)と定義しています。デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)メラトニンなどの特定のホルモンはサプリメントとみなされています。

この法律ではサプリメントに、それと分かるようなラベルを表示することを義務づけています。ラベルには、そのサプリメントの効能が米国食品医薬品局(FDA)の評価を受けていないことを記載しなければなりません。また、含まれている各成分の名称、分量、総重量を記載し、各成分がどの植物のどの部分に由来するかを明記しなければなりません。

代替医療で使用されるサプリメントのほとんどは植物由来ですが、動物由来のものもあります。こうしたサプリメントには天然の成分が含まれているから使っても安全だ、と考える人もいます。しかし天然成分だからといって、必ずしも安全とは限りません。例えば毒ニンジンなど、強力な毒の多くは植物由来であり、ヘビ毒などは動物由来です。加えて、サプリメントでもFDA承認薬でも( 処方薬と非処方薬)、体に影響を及ぼすほぼすべての物質には、望ましくない副作用がありえます。

安全性と有効性

サプリメントは薬としてFDAの規制を受けないため、メーカーにはその安全性と有効性を証明する義務がありません(ただし、これまで安全に用いられてきたものでなければなりません)。そのため、安全性と有効性について厳密な研究が行われてきたサプリメントはほとんどありません(なかには、今後、安全性と有効性が立証されるものがあるかもしれません)。また、サプリメントが人体に及ぼす影響の評価が必要であると認識され始めたのがほんの最近であることから、現在入手可能な情報の多くが系統的あるいは科学的に収集されたものではないため、評価が困難になっています。

知っていますか?

  • 製造業者にはサプリメント(栄養補助食品)の安全性や有効性を証明する義務がありません。

対照的に、処方薬と非処方薬(市販薬)はどちらも広範囲かつ系統的に研究者が試験を行い、FDAが安全性と有効性を審査しています。こうした試験には、動物を対象として発がん性や臓器障害を発見するためのものと、人間を対象として何らかの毒性が現れないか確かめるものがあります。

サプリメントの有効性を裏付ける証拠には、量にも質にも著しいばらつきがあります。一部のサプリメントについては、有効性を裏付ける説得力のある証拠が示されています。しかし大半は、信頼性の高い明確な情報が得られるようにデザインされた科学的研究ではありません。なかには、有効性を示す証拠が個人の使用例の報告や動物実験しかない製品もあります。

臨床研究が増えるに従って、サプリメント(栄養補助食品)の安全性と有効性に関する証拠が急速に増加しています。こうした研究に関する情報はNational Institutes of Health(米国国立衛生研究所)のウェブサイト米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health (NCCIH))で得ることができます。

純度と標準化

このほかに懸念されている点は、サプリメントの純度と標準化についてです。薬と異なり、サプリメントには製品の純度を保証する義務がなく、表示している有効成分と含有量を実際に含んでいるかどうかについても規制されていません。それゆえに、サプリメントに活性のない物質や有害な物質が含まれていることがあります。なかには、処方薬や非処方薬、天然毒素、細菌、殺虫剤、未承認の染料が含まれている場合や、鉛や水銀を含む重金属などの危険な物質が含まれている場合もあります。

1回分のサプリメントに含まれる有効成分の量は様々です。特に、薬用ハーブ全体を粉にするか抽出して、錠剤やカプセル、溶液にしている場合は、大きなばらつきがあるでしょう。購入者は、サプリメント中の有効成分が表示より少ないまたは多い製品を購入してしまうかもしれず、なかにはまったく有効成分が入っていない製品もあります。製品の標準化には、1回に使用する製品パッケージに有効成分が決まった量だけ含まれていなければなりません。しかし、複数の物質を成分として含むハーブ製品がほとんどなので、どの有効成分の効果が最も高いか分からない場合もあります。このため、どの成分(単一または複数成分)を有効成分とみなして標準化すべきかを決定するのが難しいところです。サプリメントの中でも特に欧州で生産された製品は標準化されており、ラベルにも標準化されていると明示されていることがあります。

純度が高く標準化された製品の選び方に関するアドバイスは、専門家によってまちまちです。ほとんどの専門家は、よく知られたメーカーの製品を購入するよう勧めています。また、サプリメントの管理監督が米国よりも厳しいドイツで製造された製品の購入を勧める専門家も多くいます。

サプリメントの含有量は規格化されていませんが、製造法は規格化されています。2007年にFDAは現行のGood Manufacturing Practices(GMP、医薬品の製造管理および品質管理に関する基準)を制定して、サプリメントの製造、包装、ラベル表示、保管を規格化しました。GMP規則によりサプリメントの品質が保証され、国民の健康が守られるようになっています。

薬との相互作用

サプリメントが処方薬や非処方薬と相互作用を起こすことがあります。こうした相互作用には、薬の効果を増強するもの、低下させるもの、さらには重篤な副作用を引き起こすものもあります。サプリメントを使用する前に医師に相談すれば、このような相互作用を避けることができます。適切な試験デザインでサプリメントと薬の相互作用を調査した研究はほとんどなく、相互作用に関するほとんどの情報は、個人に起きた相互作用の散発的な報告例です。

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可能性のある主な薬用ハーブと薬の相互作用

薬用ハーブ

相互作用を起こす薬

相互作用

カモミール(カミツレ)

抗凝固薬(ワルファリンなどの血栓予防薬)

カモミールを抗凝固薬と併用すると、出血のリスクが高まることがある。

鎮静薬(バルビツール酸系やベンゾジアゼピン系)

カモミールは鎮静薬の効果を高めたり延長させることがある。

カモミールは鉄の吸収を低下させることがある。

肝障害を起こしやすい薬(アミオダロン、タンパク同化ステロイド、ケトコナゾール、メトトレキサートなど)

エキナセアを8週間以上摂取すると、肝障害が生じることがある。肝傷害を起こしやすい薬とエキナセアを併用すると、肝傷害のリスクが高まることがある。

免疫抑制薬(コルチコステロイドやシクロスポリンなど意図的に免疫機能を抑制させる薬)

エキナセアは免疫系を刺激することで、免疫抑制薬の効果を打ち消すことがある。

マオウ*

中枢刺激薬(カフェイン、アドレナリン、フェニルプロパノールアミン[phenylpropanolamine]、プソイドエフェドリンなど)

マオウには中枢刺激薬の一種であるエフェドリンが含まれているため、その他の薬の刺激効果を増強させ、不整脈や心拍数の増加、高血圧のリスクを高める。

モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI、抗うつ薬の一種)

エフェドリンはこうした薬の効果を増強し、頭痛、振戦(体の一部が律動的にふるえること)、不整脈や心拍数の増加、高血圧などの副作用のリスクを高めることがある。

抗凝固薬(ワルファリンなど)

ナツシロギクを抗凝固薬とともに摂取すると、出血のリスクが高まることがある。

ナツシロギクは鉄の吸収を低下させることがある。

片頭痛治療薬(エルゴタミンなど)

ナツシロギクを片頭痛治療薬とともに摂取すると、心拍数や血圧が上昇することがある。

NSAIDはナツシロギクの片頭痛に対する予防と抑制の効果を低下させる。

抗凝固薬(ワルファリンなど)

ニンニクを抗凝固薬とともに摂取すると、出血のリスクが高まることがある。

抗血小板薬(アスピリンやクロピドグレル)

ニンニクは出血のリスクを高めることがある。

血糖値を下げる薬(メトホルミンなどの血糖降下薬)

ニンニクは血糖降下薬の効果を増強させることがあるため、血糖値の大幅な低下(低血糖)が起こることがある。

イソニアジド

ニンニクはイソニアジドの吸収を低下させる可能性がある。

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の治療に用いられるプロテアーゼ阻害薬(インジナビルやサキナビルなど)

ニンニクによりプロテアーゼ阻害薬の血中濃度が低下し、薬の効果が下がる。

抗凝固薬(ワルファリンなど)

ショウガを抗凝固薬とともに摂取すると、出血のリスクが高まることがある。

抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレルなど)

ショウガは出血のリスクを高めることがある。

抗凝固薬(ワルファリンなど)、抗血小板薬(アスピリン、その他のNSAID(非ステロイド系抗炎症薬)など)

イチョウを抗凝固薬、アスピリンなどのNSAIDとともに摂取すると、出血のリスクが高まることがある。

抗てんかん薬(フェニトインなど)

イチョウは抗てんかん薬の発作予防効果を低下させることがある。

モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI、抗うつ薬の一種)

イチョウはこうした薬の効果を増強し、頭痛、振戦、躁病エピソードなどの副作用のリスクを高める場合がある。

抗凝固薬(ワルファリンなど)、抗血小板薬(アスピリン、その他のNSAID(非ステロイド系抗炎症薬)など)

薬用ニンジンを抗凝固薬、アスピリンなどのNSAIDとともに摂取すると、出血のリスクが高まることがある。

血糖値を下げる薬(血糖降下薬)

薬用ニンジンはこうした薬の効果を増強させることがあり、血糖値の大幅な低下(低血糖)が起こる場合がある。

薬用ニンジンはコルチコステロイドの副作用を増強させることがある。

ジゴキシン

薬用ニンジンはジゴキシンの濃度を高めることがある。

エストロゲン療法

薬用ニンジンはエストロゲンの副作用を増強させることがある。

薬用ニンジンをMAOIとともに摂取すると頭痛、振戦、躁病エピソードが起こりやすくなる。

オピオイド(麻薬)

薬用ニンジンはオピオイドの効果を低下させることがある。

抗凝固薬(ワルファリンなど)

ゴールデンシールは抗凝固薬の効果に拮抗したり、血栓のリスクを高めることがある。

ワルファリン

緑茶はワルファリンの効果を低下させることがある。

鎮静薬(バルビツール酸系やベンゾジアゼピン系)

カヴァは鎮静薬の効果を増強あるいは延長することがある。

甘草Glycyrrhiza glabra

甘草は塩分や体液の貯留を増やしたり、血圧を上昇させたりすることがあるため、降圧薬の作用が低下する場合がある。

甘草は不整脈のリスクを高めることがあるため、抗不整脈薬の効果が低下する場合がある。

ジゴキシン

甘草は尿量を増加させるため、尿中にカリウムが排泄されてカリウム値が低下しやすくなる。甘草をジゴキシンと併用するとカリウム値が低くなり、ジゴキシンの毒性が生じるリスクが高まる。

甘草はほとんどの利尿薬の効果を増強するため、カリウムの喪失量が急速に増加することがある。甘草はスピロノラクトンなどのカリウム保持性利尿薬と相互作用を起こし、こうした薬の効果を低減させることがある。

甘草はモノアミン酸化酵素阻害薬の効果を増強し、頭痛、振戦、躁病エピソードなどの副作用のリスクを高めることがある。

マリアアザミ(ミルクシスル)

血糖値を下げる薬(血糖降下薬)

マリアアザミはこうした薬の効果を増強させ、血糖値を過度に低下させることがある。

HIV感染の治療に用いられるプロテアーゼ阻害薬(インジナビルやサキナビルなど)

マリアアザミはプロテアーゼ阻害薬の血中濃度を低下させて薬の効果を下げる。

エストロゲン療法や経口避妊薬

ノコギリヤシはこうした薬の効果を増強させることがある。

セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)

セントジョーンズワートはこれら薬の不安軽減効果を低下させ、眠気などの副作用のリスクを高めることがある。

シクロスポリン

セントジョーンズワートはシクロスポリンの血中濃度を下げて薬の効果を低減させるため、危険な結果(臓器移植での拒絶反応など)を招くことがある。

ジゴキシン

セントジョーンズワートはジゴキシンの血中濃度を下げて薬の効果を低減させるため、危険な結果を招くことがある。

セントジョーンズワートは鉄の吸収を低下させることがある。

セントジョーンズワートはMAOIの効果を増強し、可能性として緊急の治療を要するほどの高血圧を生じさせることがある。

セントジョーンズワートはこれらの薬の代謝を促すため、薬の効果が低下する。

セントジョーンズワートはこれらの薬の代謝を促すため、薬の効果が低下する。

光感作性薬剤(ランソプラゾール、オメプラゾール、ピロキシカム、スルホンアミド系抗菌薬など)

セントジョーンズワートを光感作性薬剤とともに摂取すると、日光過敏症のリスクが高まることがある。

HIV感染の治療に用いられるプロテアーゼ阻害薬(インジナビルやサキナビルなど)

セントジョーンズワートはプロテアーゼ阻害薬の血中濃度を低下させて薬の効果を下げる。

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs, フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリンなど)

セントジョーンズワートはこれらの薬の効果を増強させることがある。

三環系抗うつ薬

セントジョーンズワートはこれらの薬の効果を低減させることがある。

ワルファリン

セントジョーンズワートはワルファリンの血中濃度を下げて薬の効果を低減させるため、血栓が生じやすくなることがある。

セイヨウカノコソウは鎮静時間を延長させることがある。

鎮静薬(バルビツール酸系やベンゾジアゼピン系)

セイヨウカノコソウは鎮静薬の効果を増強したり延長させたりするため、過度の鎮静が生じることがある。

*マオウを含有するサプリメントの販売は、米国では禁止されています。

リコリスキャンディ(甘草飴)の人工風味料として普及しているものではない、天然の純粋種の甘草。

そのほかに懸念される事項

サプリメント(栄養補助食品)の使用には、薬との相互作用に加えて、そのほかにも起こりうる問題があります。

  • 製造された後のサプリメント(特にハーブ製品)は安定していない可能性があり、一貫性のない効果をもたらすか、まったく効果がない結果となることがあります。

  • サプリメントは毒性を示し、害を及ぼすことがあります。

  • サプリメントは間違った診断の一因になる可能性があります。

このような起こりうる問題を避け、または問題が起こったときに対応するためには、主治医にすべてのサプリメント(栄養補助食品)の使用を告げることが重要です。

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