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薬用ハーブと機能性食品の概要

執筆者:

Melissa G. Marko

, PhD, Nestle Nutrition;


Ara DerMarderosian

, PhD, University of the Sciences

最終査読/改訂年月 2017年 11月
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薬用ハーブとは、植物の一部または全体を粉末にするか、抽出するか、あるいはその他の加工を施し、健康上の目的に使用するものを指します。機能性食品とは比較的新しく登場した一般的な言葉で、特定のハーブなどの天然物質の一群や、コレステロールを下げるマーガリンやオオバコを配合したサプリメント(栄養補助食品)など、法的に食品として扱われる製品が該当します。

伝統的な医療システムは世界中のどの地域にもあり、何世紀も続いています。中国伝統医学 中国伝統医学(TCM) 2000年以上前に中国で発祥したこの中国伝統医学は、病気は体に備わった生命の力(気)の流れが乱れた結果として生じるという理論を基盤にしています。「気」は相対する力である「陰(暗さ、女性性、負の力に関連)」と「陽(明るさ、男性性、正の力に関連)」のバランスを保つことで回復します。陰と陽は、体内では冷と温、内因と外因、欠乏と過剰として現れます... さらに読む アーユルベーダ アーユルベーダ アーユルベーダは、4000年以上前に発祥したインドの伝統的な医療体系です。アーユルベーダは、体にある生命の力である「プラナ」のバランスが崩れて病気になるという理論に基づいています。この生命の力のバランスは、ドーシャと呼ばれる体の3つの要素(ヴァータ、ピッタ、カパ)の均衡により決まります。ほとんどの人は支配的ドーシャをもっており、具体的なバ... さらに読む (インドの全体論的医学)、チベット医学など、古くからある固有の医療システムは現在も広く普及していて、とりわけ発祥地域でよく利用されています。米国では、こうした医療システムによる治療、特に慢性疾患の治療への関心が高まっています。このような治療法は通常、補完医療や代替医療 補完代替医療の概要(CAM) 補完代替医療(CAM)には世界中を起源とする様々な治療法や治療的アプローチが含まれますが、通例として従来の西洋医学は含まれません。CAMの多くは、中国、インド、チベット、アフリカ、南北アメリカにみられるもののように、昔からその地域に伝わる治療システムに根ざしています。 こうした治療法や施術の多くは広く普及しており、現在では、病院で行われて... さらに読む と呼ばれ、薬用ハーブを用いるものから鍼治療 鍼治療 中国伝統医学の1つである鍼(はり)治療は、欧米で最も広く受け入れられている代替医療の1つです。痛みの専門医などの医師が鍼治療の技術を習得し、免許を取得することはありますが、認可を受けている鍼灸師が必ずしも医学部を卒業しているとは限りません。毎日、何百万人もの人が鍼治療を受けています。... さらに読む マッサージ マッサージ療法 マッサージ療法は体の組織に対する手技で、健康状態を向上させ、痛みやストレスを和らげます。マッサージ療法には、なでたり按摩したりするものから(スウェーデンマッサージなど)、特定の部位に圧力をかけたりするものまで(指圧、鍼治療、神経筋マッサージなど)、軽く触れるものから体の深部に触れるものまで様々です。... さらに読む にまで及んでいます。

代替医療で最も多く使用されているのが、薬用ハーブや機能性食品などのサプリメント(栄養補助食品)です。サプリメントの利用が広がったことから、米国政府は1994年に栄養補助食品健康教育法(DSHEA)を承認しました。この法律では栄養補助食品(ダイエタリー・サプリメント)を、ビタミン、ミネラル、ハーブもしくは他の植物の産物、アミノ酸のいずれかを含み、通常の食事を補うことを目的とするあらゆる製品(タバコを除く)と定義しています。デヒドロエピアンドロステロン(DHEA) デヒドロエピアンドロステロン (DHEA) デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)は、副腎から分泌されるステロイドで、性ホルモン(エストロゲンとアンドロゲン)に転換されます。DHEAの体に及ぼす作用は、テストステロンとよく似ています。DHEAはメキシコヤムイモから抽出することができます。 (薬用ハーブと機能性食品の概要も参照のこと。)... さらに読む メラトニン メラトニン メラトニンは脳の中央部にある松果体から分泌されるホルモンで、睡眠・覚醒サイクルを調整します。サプリメント(栄養補助食品)に使用されるメラトニンは、動物由来もしくは人工的に合成されたものです。メラトニンを薬とみなし、医薬品として規制している国もあります。 (薬用ハーブと機能性食品の概要も参照のこと。)... さらに読む などの特定のホルモンはサプリメントとみなされています。

この法律ではサプリメントに、それと分かるようなラベルを表示することを義務づけています。ラベルには、そのサプリメントの効能が米国食品医薬品局(FDA)の評価を受けていないことを記載しなければなりません。また、含まれている各成分の名称、分量、総重量を記載し、各成分がどの植物のどの部分に由来するかを明記しなければなりません。

代替医療で使用されるサプリメントのほとんどは植物由来ですが、動物由来のものもあります。こうしたサプリメントには天然の成分が含まれているから使っても安全だ、と考える人もいます。しかし天然成分だからといって、必ずしも安全とは限りません。例えば毒ニンジンなど、強力な毒の多くは植物由来であり、ヘビ毒などは動物由来です。加えて、サプリメントでもFDA承認薬でも( 米国の法律では、薬は「病気の診断、治癒、緩和、治療、予防を目的として使用する物質(食品や装置を除く)」または「体の構造や機能に作用することを目的とする物質」と定義されています。(例えば、経口避妊薬は病気ではなく、体の機能に作用する薬の一例です)。こうした薬のあらゆる側面を網羅した定義は、法律を運用する上では重要ですが、日常的に使用するには... さらに読む )、体に影響を及ぼすほぼすべての物質には、望ましくない副作用がありえます。

安全性と有効性

サプリメントは薬としてFDAの規制を受けないため、メーカーにはその安全性と有効性を証明する義務がありません(ただし、これまで安全に用いられてきたものでなければなりません)。そのため、安全性と有効性について厳密な研究が行われてきたサプリメントはほとんどありません(なかには、今後、安全性と有効性が立証されるものがあるかもしれません)。また、サプリメントが人体に及ぼす影響の評価が必要であると認識され始めたのがほんの最近であることから、現在入手可能な情報の多くが系統的あるいは科学的に収集されたものではないため、評価が困難になっています。

知っていますか?

  • 製造業者にはサプリメント(栄養補助食品)の安全性や有効性を証明する義務がありません。

サプリメントの有効性を裏付ける証拠には、量にも質にも著しいばらつきがあります。一部のサプリメントについては、有効性を裏付ける説得力のある証拠が示されています。しかし大半は、信頼性の高い明確な情報が得られるようにデザインされた科学的研究ではありません。なかには、有効性を示す証拠が個人の使用例の報告や動物実験しかない製品もあります。

臨床研究が増えるに従って、サプリメント(栄養補助食品)の安全性と有効性に関する証拠が急速に増加しています。こうした研究に関する情報はNational Institutes of Health(米国国立衛生研究所)のウェブサイト 米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health (NCCIH))で得ることができます。

純度と標準化

このほかに懸念されている点は、サプリメントの純度と標準化についてです。薬と異なり、サプリメントには製品の純度を保証する義務がなく、表示している有効成分と含有量を実際に含んでいるかどうかについても規制されていません。それゆえに、サプリメントに活性のない物質や有害な物質が含まれていることがあります。なかには、処方薬や非処方薬、天然毒素、細菌、殺虫剤、未承認の染料が含まれている場合や、鉛や水銀を含む重金属などの危険な物質が含まれている場合もあります。

1回分のサプリメントに含まれる有効成分の量は様々です。特に、薬用ハーブ全体を粉にするか抽出して、錠剤やカプセル、溶液にしている場合は、大きなばらつきがあるでしょう。購入者は、サプリメント中の有効成分が表示より少ないまたは多い製品を購入してしまうかもしれず、なかにはまったく有効成分が入っていない製品もあります。製品の標準化には、1回に使用する製品パッケージに有効成分が決まった量だけ含まれていなければなりません。しかし、複数の物質を成分として含むハーブ製品がほとんどなので、どの有効成分の効果が最も高いか分からない場合もあります。このため、どの成分(単一または複数成分)を有効成分とみなして標準化すべきかを決定するのが難しいところです。サプリメントの中でも特に欧州で生産された製品は標準化されており、ラベルにも標準化されていると明示されていることがあります。

純度が高く標準化された製品の選び方に関するアドバイスは、専門家によってまちまちです。ほとんどの専門家は、よく知られたメーカーの製品を購入するよう勧めています。また、サプリメントの管理監督が米国よりも厳しいドイツで製造された製品の購入を勧める専門家も多くいます。

サプリメントの含有量は規格化されていませんが、製造法は規格化されています。2007年にFDAは現行のGood Manufacturing Practices(GMP、医薬品の製造管理および品質管理に関する基準)を制定して、サプリメントの製造、包装、ラベル表示、保管を規格化しました。GMP規則によりサプリメントの品質が保証され、国民の健康が守られるようになっています。

薬との相互作用

サプリメントが処方薬や非処方薬と相互作用を起こすことがあります。こうした相互作用には、薬の効果を増強するもの、低下させるもの、さらには重篤な副作用を引き起こすものもあります。サプリメントを使用する前に医師に相談すれば、このような相互作用を避けることができます。適切な試験デザインでサプリメントと薬の相互作用を調査した研究はほとんどなく、相互作用に関するほとんどの情報は、個人に起きた相互作用の散発的な報告例です。

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そのほかに懸念される事項

サプリメント(栄養補助食品)の使用には、薬との相互作用に加えて、そのほかにも起こりうる問題があります。

  • 製造された後のサプリメント(特にハーブ製品)は安定していない可能性があり、一貫性のない効果をもたらすか、まったく効果がない結果となることがあります。

  • サプリメントは毒性を示し、害を及ぼすことがあります。

  • サプリメントは間違った診断の一因になる可能性があります。

このような起こりうる問題を避け、または問題が起こったときに対応するためには、主治医にすべてのサプリメント(栄養補助食品)の使用を告げることが重要です。

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