メラトニンは脳の中央部にある松果体から分泌されるホルモンで、睡眠・覚醒サイクルを調整します。サプリメント(栄養補助食品)に使用されるメラトニンは、動物由来もしくは人工的に合成されたものです。メラトニンを薬とみなし、医薬品として規制している国もあります。
( 薬用ハーブと機能性食品の概要 薬用ハーブと機能性食品の概要 薬用ハーブとは、植物の一部または全体を粉末にするか、抽出するか、あるいはその他の加工を施し、健康上の目的に使用するものを指します。機能性食品とは比較的新しく登場した一般的な言葉で、特定のハーブなどの天然物質の一群や、コレステロールを下げるマーガリンやオオバコを配合したサプリメント(栄養補助食品)など、法的に食品として扱われる製品が該当しま... さらに読む も参照のこと。)
効能
メラトニンは多くの場合、 不眠症 不眠症と日中の過度の眠気 睡眠関連の問題で最も多い訴えは、不眠症と日中の過度の眠気(EDS)です。 不眠症とは、寝つきが悪い、途中ですぐに目が覚める、朝早く目が覚める、あるいは、睡眠の質が悪く、寝足りない感じがしたり、すっきりした感じが得られなかったりする状態です。 日中の過度の眠気は、日中に異常なほど眠くなったり、眠り込んでしまったりする状態を指します。 寝つきが悪い、途中ですぐに目が覚める、朝早く目が覚めるという症状は、年齢を問わずみられます。成人の約10%... さらに読む の治療、 時差ぼけ 概日リズム睡眠障害 概日リズム睡眠障害は、体内の睡眠-覚醒リズム(体内時計)が地球の明暗(昼夜)サイクルと一致していないときに起こります。 時差ぼけや交代勤務は、通常の睡眠-覚醒リズムを乱すことがよくあります。 概日リズム睡眠障害があると、必要なときや望むときに目を覚ましたり眠ったりすることができません。 診断は症状に基づいて下されますが、睡眠日誌の記録や睡眠検査室での検査結果が用いられることもあります。... さらに読む や交替勤務の影響を最小限にするために用いられます。時差の大きい地域間を移動する場合には、出発の日あるいは出発の夜、さらに到着してから2、3晩の間、メラトニンを服用するとよいかもしれません。勤務時間が変わる場合は、就寝前にメラトニンを服用してもよいでしょう。アルツハイマー病初期の患者の睡眠/覚醒サイクルの再同期にメラトニンを用いることについて、研究が行われています。
メラトニンのサプリメントが睡眠・覚醒サイクルに作用することを示す証拠があります。しかし、適切な試験デザインによる1件の試験では、メラトニンのサプリメントは時差ぼけの症状を軽減しませんでした。メラトニンのサプリメントが不眠症を治療できることを示す研究は2、3件の小規模の研究にとどまっています。
起こりうる副作用
メラトニンは、摂取してから30分後に眠気が生じて1時間ほど続くことがあります。このほかに頭痛や一時的な抑うつ症状が報告されていますが、短期的な副作用はほとんどないようです。メラトニンを長期間使用しても安全かどうかは不明です。抑うつ状態の人がメラトニンを摂取すると、症状が悪化することがあります。メラトニンは医師の指示の下で使用するのが最善です。
薬との相互作用の可能性
メラトニンがワルファリンの効果を高め、出血のリスクを増大させる場合があります。