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断端の皮膚の手入れ

執筆者:

James Baird

, CPO, Hanger Clinic

最終査読/改訂年月 2015年 10月
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刺激、皮膚の破れ、感染などの皮膚の損傷を予防するため、義肢に接触する皮膚は注意深く手入れしなければなりません。皮膚の破れとは皮膚がすり切れる状態で、びらんになることもあります。

通常、切断のリスクを増加させる病気(腕や脚の血液循環を低下させる血管の病気や糖尿病など)は、切断後の皮膚の破れや感染のリスクも増加させます。そのような病気の一部(糖尿病など)や他の病気(神経障害など)により、痛みの感覚や他の知覚が障害を受けることがあります。そうした病気があると、皮膚の破れや感染が起きても、不快感や痛みを感じず、問題に気づかないことがあります。このような場合は、1日に何回か義肢を取り外し、皮膚の赤みや、破れや感染の他の徴候がないかチェックします。それ以外の人は、1日に1回はこうした徴候がないか確認するべきです。

皮膚の問題は重篤な場合があるため、義肢装具士(義肢の設計、装着、組み立て、調整の専門家で、義肢の使用方法に関する助言を行う)と相談しながら必要に応じて医療従事者による診察と治療を受けるべきです。繰り返し起こる問題に慣れてくるにつれ、小さな問題を見分けて自分で対処できるようになります。ただし、いつもと違う症状が現れた場合、症状が長引く場合、痛みを伴う場合、あるいは心配になった場合は、医療従事者の診察を受ける必要があります。

皮膚の破れの予防

義肢に接する皮膚は、義肢による圧迫や摩擦、さらには断端と義肢ソケットの間にたまる湿気によって破れやすくなります。皮膚の破れの最初の徴候は赤みで、続いて切り傷、水疱、びらんが発生することがあります。皮膚が破れると、多くの場合は義肢の使用に痛みが伴い、長時間の着用ができなくなります。また、感染症が起こることもあります。2回目の手術(修正手術)が必要になるなど、感染症は重篤な問題につながるおそれがあります。

以下のように、いくつかの方法により、皮膚の破れを予防し、進行を遅らせることが可能です。

  • きっちりとフィットしたインターフェイスの使用が重要です。しかし、装着がよくても問題は起こります。断端の形状とサイズは、1日のうちでも活動レベル、食事、天候によって変化します。したがって、インターフェイスの装着状態がよい時間帯とそうでない時間帯ができます。この対応策として、より厚みのある(あるいはより薄い)ライナーや靴下に取り替える、ライナーと靴下を併用する、薄手の靴下を余分に履いたり脱いだりするなどで、装着感を改善することができます。しかしそれでも、断端のサイズが頻繁に激しく変化するために、皮膚の破れが避けられないことがあります。そのような場合は、すぐに義肢装具士のところに行ってインターフェイスを調整してもらいます。皮膚の破れは多くの場合、義肢の調整が必要であることを示す最初の徴候です。

  • 義肢の装着感を維持するには、体重を一定に保つことが最良の方法です。わずかな体重の変化であっても装着感は変化します。

  • 健康的な食事をとり、水をたくさん飲むことは、体重管理や皮膚の健康状態を維持するのに役立ちます。

  • 糖尿病の人の場合、主治医の指導に従って血糖値のモニタリングとコントロールを行うことで、皮膚の血流を維持し、健康な状態を保つことができます。

  • 義足を使用する人の場合、体の支え方を変えないようにすることが助けになります。体の支え方を変えてしまうと別の場所に圧力がかかるため、皮膚が破れる原因になります。体の支え方は、違う靴を履くことでも変わります。例えば、ヒールには様々な高さや材質(柔らかめというよりはむしろ硬め)があります。義肢がフィットしているときは、いつも使っているものと同じような靴を履くことで体の支え方の変化を最小限にすることができます。

皮膚の破れの徴候がみられた場合は、速やかに医療従事者の診察を受け、義肢装具士に義肢の調整を依頼します。調整が済むまでは、できれば義肢を使用しないようにします。

感染症の予防

義肢のソケットは使用者の皮脂や汗がたまる場所であり、温かく湿った気密性の高い空間となります。このような環境は細菌の増殖や感染症の発生を促します。湿った皮膚は破れやすく、細菌を容易に体内に侵入させてしまいます。結果として、感染が広がるおそれがあります。

感染症の徴候としては、皮膚の赤み、びらん、膿が出る、圧痛を感じる部分がある、水疱といった皮膚の異常や発疹などがあります。悪臭は、感染症や衛生状態が悪いことを示唆します。細菌感染症は、吹き出物や痛くて赤みのある部位から始まる場合があります。しかし、内部に膿がたまった空洞(膿瘍[のうよう]、おできに似ています)ができたり、感染が広がったり(蜂窩織炎[ほうかしきえん]など)、膿痂疹(のうかしん、かゆみを伴うかさぶたに覆われた発疹)へと至ることもあります。細菌感染症により、発熱や全身のだるさ(けん怠感)が生じることもあります。

感染の徴候があれば、速やかに医療従事者の診察を受けるべきです。生命を脅かす感染症を防ぐため、次の症状が現れたら速やかに診察を受ける必要があります。

  • 断端が冷たく感じる(血流の減少を示しています)。

  • 患部が赤くなり、圧痛を感じる。

  • 患部から悪臭が発生する。

  • 鼠径部(そけいぶ)またはわきの下のリンパ節が腫れる。

  • 膿や濃い分泌液がみられる。

  • 皮膚が灰色になり柔らかくなる、または黒くなる(いずれも壊疽を示唆します)。

義肢の使用者が細菌感染症を疑う場合は、速やかに医療従事者の診察を受けるべきです。治療にはしばしば薬が必要で、塗布するか、服用します。

感染症を予防するために、義肢を装着している人は断端を1日に1回は抗菌石けんで洗う必要があります。石けんは無香料、無着色のものにします。汗をかきやすい人や、発疹や感染を起こしやすい人はさらに頻繁に洗う必要があります。制汗スプレーの使用も可能ですが、無香料で無添加のものにすべきです。塩化アルミニウムが15%未満のスプレーは市販品として購入できます。処方せんがあれば、より強力な制汗スプレーを入手できます。アルコール含有のローションは、皮膚を乾燥させて皮膚が破れるリスクを高めるため、使用すべきではありません。義肢装具士は、ソケットのインターフェイスに使用できる潤滑剤やローションを勧めます。ソケットのインターフェイスの設計で使用される現代の素材には、皮膚用ローションを長期間塗っていることで傷つくものがあるため、義肢装具士か素材の製造者の推奨に従うのが最良です。

皮膚に接触するインターフェイスのパーツ(ソケット、義肢の靴下、ライナー)も、抗菌石けんと温水で毎日十分に洗浄します。

また、ライナーと義肢の靴下は装着前に十分に乾燥させます。ソケットやライナーに石けんが残ると発疹の原因になるため、洗浄後にソケットとライナーに石けんが残らないようにします。かゆみを伴う発疹は、通常は皮膚の刺激かアレルギー反応を示しており、感染はしていません。医師は発疹を治療するためのクリームや軟膏を処方します。

ライナーの洗浄

ライナーを十分に洗浄することが、皮膚の刺激、発疹、感染の予防に役立ちます。使用者は、以下の手順に従うか、義肢装具士に指導された通りに洗浄するべきです。

  • ライナーの外側部分を外側にしたまま洗浄します。裏返してはいけません。

  • ライナーの中を温水と抗菌石けんで満たし、30秒間振り混ぜてから排水します。

  • 石けん分がなくなるまで繰り返し温水でライナーをすすいだ後、温水を排水します。

  • 装着する前にライナーが完全に乾いていることを確認します。

  • さらに1週間に一度、石けんでライナーを洗った後にイソプロピルアルコールをライナーの内側に塗り、温水ですすぎます。

真菌感染症に対しては、市販の抗真菌薬クリームで処置します。真菌感染症の診断がはっきりしない場合や真菌感染症が長引く場合は、医師に相談する必要があります。

その他の皮膚の問題の予防

毛髪が皮膚の内部で伸びたり、毛包の感染症(毛包炎)が起こった場合、危険ではありませんが、強い痛みや不快感の原因になります。医師や義肢装具士に勧められた場合には、市販薬の軟膏が局所的な腫れや赤みを抑えるのに役立つことがあります。断端の剃毛をしないことでも、これらの問題を予防できます。

粗い、いぼ状の隆起が、通常は断端の末端にできることがありますが、これはインターフェイスの装着不良が原因です。(装具と装着技術が以前よりも大きく進歩したため、この病気が起こることは現代ではまれです。)疣贅(ゆうぜい)状過形成というこの病気は、治療しないと、重篤な感染症につながることがあります。いぼに似た隆起が現れたら、速やかに義肢装具士に相談し、必要に応じてインターフェイスの装着を確認して調整を行います。続いて医師の診察も受け、疣贅状過形成を治療します。

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