ナチュロパシーは様々な文化圏の医療行為を参考に、1900年代初頭に米国で正統な医療システムとして始まりました。ナチュロパシーでは、自然の治癒力という考えに基づいて、以下のものが重視されます。
健康的な生活習慣を通じた疾患の予防と治療
その人すべての治療
身体に生来備わっている治癒力の利用
ナチュロパシーでは、単に症状を治療するというよりはむしろ、病気の原因を見つけることにも焦点をあてています。ナチュロパシーの原理の中には、 アーユルベーダ アーユルベーダ アーユルベーダは、4000年以上前に発祥したインドの伝統的な医療体系です。アーユルベーダは、体にある生命の力である「プラナ」のバランスが崩れて病気になるという理論に基づいています。この生命の力のバランスは、ドーシャと呼ばれる体の3つの要素(ヴァータ、ピッタ、カパ)の均衡により決まります。ほとんどの人は支配的ドーシャをもっており、具体的なバランスは人によって異なります。( 統合、補完、代替医療の概要も参照のこと。)... さらに読む や 中国伝統医学 中国伝統医学(TCM) 数千年前に中国で発祥したこの中国伝統医学は、病気は体に備わった生命の力(気)のバランスが崩れた結果として生じるという理論を基盤にしています。「気」は相対する力である「陰(暗さ、女性性、負の力に関連)」と「陽(明るさ、男性性、正の力に関連)」のバランスを保つことで回復します。陰と陽は、体内では冷と温、内因と外因、欠乏と過剰として現れます。「気」をよい状態に保ち、健康を回復するために様々な方法が行われます。... さらに読む などの伝統的な癒しのシステムの原理とそれほど変わらないものもあります。
ナチュロパシーは次のような療法を組み合わせて行われます。
食事療法
栄養補給(しばしば点滴による)
薬用ハーブ
鍼(はり)治療
理学療法(温熱療法、寒冷療法、超音波療法、マッサージなど)
運動療法
水治療(撹拌された湯や冷水を使います)
ナチュロパシーの施術者の中には、科学的根拠によって裏付けられていない手技を擁護している人もいます。水治療法が1つの例です。また、 予防接種 小児期の予防接種 ワクチンを接種することで、小児を多くの感染症から守ることができます。ワクチンには、細菌やウイルスの感染力のない成分が入っているか、感染症を引き起こさないように弱毒化された細菌やウイルスがそのまま入っています。ワクチンを接種(通常は注射)すると、体の免疫系が刺激されて、病気に抵抗するようになります。ワクチン接種は、免疫をつけて病気を予防する... さらに読む によって病気や死亡を防ぐことができ、予防接種の便益がリスクを大きく上回ることが研究で示されているにもかかわらず、施術者の中には小児の予防接種を推奨しない人もいます。
ナチュロパシー療法に関しては、適切な試験デザインを有する研究はほとんど行われていません。
(統合、補完、代替医療の概要 統合、補完、代替医療の概要 統合健康・医療(IMH)および補完・代替医療(CAM)には、従来の西洋医学に歴史的に含まれていなかった様々な癒しのアプローチや治療法が含まれます。CAMの多くは、中国、インド、チベット、アフリカ、南北アメリカにみられるもののように、昔からその地域に伝わる治療システムに根ざしています。... さらに読む も参照のこと。)
さらなる情報
米国国立補完統合衛生センター(National Center for Complementary and Integrative Health:NCCIH):ナチュロパシー(Naturopathy)