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検査に関する決定

執筆者:

Oren Traub

, MD, PhD, Pacific Medical Centers

最終査読/改訂年月 2018年 9月
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多くの様々な病気で同じような症状が現れることがあるため、原因を特定するのは医師にとって困難な場合があります。医師はまず、問診と診察によって基本的な情報を集めます。たいていの場合、診断を下すにはこれだけで十分です。少なくとも、基本的な情報によって、可能性のある診断のリストを絞り込み、行う必要のある検査の数を減らすことができます。可能性のある診断のリストをまず絞り込む前に検査を行った場合、費用がかかったり、誤った診断のリスクを高めたり、患者を不要なリスクにさらしたりすることになりかねません(すべての人に検査が必要ですかを参照)。

医療に関する意思決定の概要も参照のこと。)

基本的な医療情報の収集

医師は以下のことを行います。

  • 病歴聴取

  • 身体診察

この過程は、患者の症状の原因である可能性が最も高いのはどの病気か、そして考慮対象から除外できるのはどの病気かを判断するのに役立ちます。

病歴聴取

病歴聴取では、医師は、症状の詳細や知られているその他の健康問題、過去の健康に関連した出来事について患者に質問を行います。

症状の詳細(例えば、症状がどれほどの期間続いているか、症状はいつもあるか、それとも現れたり消えたりするか、何によって症状が緩和されるか)は非常に大切です。医師はまた、患者の念頭にない可能性がある他の症状についても尋ねます。例えば、一般に医師は、せきのある人に鼻水やのどの痛みもあるかどうかを尋ねます(せきの原因としてウイルス性上気道感染症を示唆している場合があります)。

その人の生活や背景の様々な側面によって、特定の病気のリスクが高くなることがあります。例えば、喫煙者は非喫煙者より肺がんになるリスクが高くなりますし、糖尿病の人はそうでない人に比べて心疾患にかかるリスクが高くなります。また、民族によって一部の病気になるリスクが異なります。したがって、病歴聴取にはしばしば以下に関する質問が含まれます。

  • 現在かかっている病気や過去にかかった病気

  • 定期的に使用している薬

  • 家族内でみられる病気

  • 外国への旅行歴

  • 性行為

  • タバコ、アルコール、レクリエーショナルドラッグの使用

  • 職業や趣味

症状の潜在的な原因を考える際に、医師は以下のことも考慮に入れます。

  • 年齢

  • 性別

  • 民族

身体診察

問診の後、医師は身体診察を行います。身体徴候の有無によって、症状を引き起こしている可能性のある病気のリストをさらに絞り込むことができます。

医師は、患者の心拍数、呼吸数と血圧(バイタルサインといいます)をチェックし、病気の全身徴候がないか患者の全体的な外観を調べます。病気の全身徴候には、弱々しく見えること、疲れ、青白さ、汗、呼吸困難などがあります。その後、体の各部分を診察しますが、通常は頭から順に足まで見ていきます。症状がみられる部位を最も注意深く調べますが、その他の部位も異常がないかどうかチェックします。

医学検査の種類

検査を行う理由は様々で、その理由には以下のものがあります。

  • 診断

  • スクリーニング

  • 病気の分類とモニタリング

一部の人には、検査が有益ではない場合があります(すべての人に検査が必要ですかを参照)。

診断検査

診断検査は症状の原因を突き止める目的で行われます。検査を選ぶ際、医師は以下のことを考慮に入れます。

  • どの病気の可能性が最も高いか

  • 検査のリスク

  • 検査の費用

  • 患者が検査にアクセスできるか、また検査を受けられるか

  • 検査の正確さ

  • 患者の症状や全身状態の重篤さ

  • 患者の希望

最も可能性の高い病気の特定は、各患者に特有の所見や医学的背景を考慮に入れ、病歴聴取と身体診察の結果に基づいて下されます。

一般に、医師は以下のような検査を選択します。

  • 侵襲性が低く、リスクも低い(例えば、生検よりも血液検査)

  • 広く利用可能である

  • 比較的安価である

  • 正確性が高い

  • 信頼性が高い

しかしながら、すべての検査がこのような好ましい特性を全部備えているわけではありません。医師は、自分の経験や専門知識を生かして、各患者に勧める最善の検査を選択しなければなりません。

ある病気に対する医師の第1選択の検査を、多くの理由のために、患者が受けられないことがあります。以下はほんの一例です。

  • 閉所恐怖症の人はMRI検査を受けたくないかもしれません。

  • 腎疾患またはアレルギーのある人は、一部のコンピュータ断層(CT)検査やMRI検査に使用される造影剤の注射を受けられないことがあります。

  • へき地に住む人は、特定の検査が利用可能な施設まで行くことができないかもしれません。

  • 検査にかかる費用を負担できない場合があります。

このような場合、医師は次善の検査を勧めます。

症状と患者の全身状態の重篤さは、診断検査の選択に影響を与えることがあります。

  • 軽度の症状で、重篤な病気が原因である可能性が低い場合、医師はあまり多くの検査を行わないかもしれません。必要であれば、後に追加の検査を行うことができます。

  • 直接的な害をもたらしうる病気を示唆するような深刻な状態や症状の場合には、より早く診断を下すために、医師は一度に多くの検査を行うかもしれません。急を要する場合、医師は入院を勧めることさえあります。

侵襲性の低い検査(例えば、血液検査やCT検査)で病気の原因を明らかにできなかった場合、次のステップとして侵襲性がより高い検査(通常は生検や外科的処置)を勧めます。このような場合、患者は、提案された検査に同意する前に、そのリスクと便益について理解する必要があります。つまり、インフォームド・コンセントが必要です。

また、一部の特殊なケースでは、特定の病気をもっていることを知ることが重要かどうか、そしてもっている場合にはその病気に対する治療を受けたいかどうかを、医師が尋ねる場合もあります(目標の設定を参照)。

すべての人に検査が必要ですか

手短に言えば「否」です。検査で安心する人は多いですが、検査結果が必ずしも正しいとは限りません。

  • 病気にかかっていても正常という結果が出ることがあります(偽陰性)。

  • 病気にかかっていなくても異常という結果が出ることもあります(偽陽性)。

検査を行うか行わないか:偽陽性の結果が出る可能性があるなら、検査を行うのはよくないかもしれません。ある人が病気にかかっている確率が、その病気の検査で結果が偽陽性になる確率よりも低い場合、検査によって誤解が生じる可能性が高くなります。

例:4歳の娘が太ももをくっつけて歩いているため、尿路感染症(UTI)なのではないかと両親が心配しているとします。しかし、診察室で医師は、UTIを示唆するその他の徴候がないことを確認します。すなわち、排尿回数がさほど増えておらず、排尿時に痛みや灼熱感がなく、膀胱と腎臓に圧痛がみられません。この所見に基づいて、医師はUTIの可能性は非常に低い(5%以下)と結論し、他の症状が現れない限り、何もする必要はないといって両親を安心させます。両親は、医師が尿検査をして、娘がUTIにかかっていないことを証明してくれたらもっと安心できるのにと言います。検査は助けになるでしょうか。ならないでしょうか。

検査結果の潜在的な有用性を評価する:例えば、10%の確率で偽陽性の結果が出ることが知られているUTIの検査を医師が行ったとします(10%の偽陽性は多くの医学検査では標準的です)。

実際にUTIにかかっている人で検査結果が必ず陽性になると仮定した場合でも、このような女の子が100人いるとすると、結果は以下のようになります。

  • 実際にUTIにかかっている5人では、真に陽性の結果が出ます。

しかし

  • 10人では偽陽性の結果が出ます。

つまり、この女の子の場合、陽性の検査結果が誤りである確率は、それが真実である確率の2倍であるということです。

検査結果が意思決定に与える影響:したがって、この場合は、陽性の検査結果が出たとしても、その結果が間違いである可能性が高いため、治療しないという医師の判断は変わらないでしょう。医師は他のことをしないため、そもそも検査をしても意味はないのです。

もし、UTIの可能性がより高いと医師が考えたとしたら、話は異なります。UTIの可能性が五分五分だとすると、陽性の検査結果が出た人の多くは、実際にUTIにかかっていることになり、検査は役に立ちます。

この計算から、検査対象の病気にかかっている確率が高い場合にしか医師が検査を行わない理由が分かります。

スクリーニング検査

スクリーニング検査とは、症状の現れていない人に対して、病気を見つける目的で行う検査です。例えば、50歳以上の人はすべて、症状がなかったり健康状態が良かったとしても、結腸がん発見のため大腸内視鏡検査を受けるよう多くの医師が勧めます。スクリーニングは、病気に気がついて早い段階で治療すれば、治療成績が良くなるだろうという自然な考えに基づいています。この考えは十分論理的ですが、必ずしも正しいとは限りません。精巣腫瘍や卵巣がんなど一部の病気では、スクリーニングで病気が見つかったとしても、最初の症状が現れた後に診断されたとしても、治療成績に違いはないようです。

またスクリーニング検査は、通常、別の確定的な検査で結果を確かめなければならないという潜在的な問題があります。例えば、マンモグラフィー検査の結果が異常であれば、多くの場合、乳房生検を行う必要があります。こうした確定的な検査は侵襲性が高く、不快であることが多く、また多少の危険を伴うこともあります。例えば、肺生検が気胸の原因となることがあります。病気がなくてもスクリーニング検査の結果が異常と出ることがあるため(100%正確な検査はないため、これは普通です)、体に悪影響を及ぼす可能性のある不必要な検査を受ける人も出てきます。

したがって、医師は、スクリーニング検査を行うことで治療成績が良くなることが証明されている病気に対してのみ、スクリーニング検査を受けるよう勧めます。

有効なスクリーニング検査や、スクリーニング検査を受けるべき人々を見分けるのに、臨床試験が必要です。上記のような不安はありますが、高血圧や子宮頸がんなど一部の病気では、スクリーニングにより命が救われることは明らかです。スクリーニング検査を有益なものにするには、以下の条件を満たしている必要があります。

  • 正確である

  • 比較的安価である

  • リスクが少ない

  • 不快感がほとんどまたはまったくない

  • 治療成績が良くなる

知っていますか?

  • 早期に治療しても病気の治療成績に違いがない場合や非常にまれな病気である場合は、スクリーニング検査が適切でないこともあります。

分類とモニタリングのための検査

すでに診断が確定している病気に対し、その重症度を判定する際にも検査が行われます。この結果により、その人の病気の状態に合った効果的な治療法を選択できるようになります。例えば、乳がんの確定診断後には、乳がんのタイプやがんがどこまで広がっているかを確認するための検査が行われます。

また、病気の経過をモニタリングし、治療効果を判定することも検査の役割の1つです。例えば、甲状腺機能低下症の治療で甲状腺ホルモン剤を摂取している場合は、定期的に血液検査を行い、ホルモン量が適切であるかを調べます。こうした検査がどの程度の頻度で必要か、患者の状態に基づいて決定しなければなりません。

検査結果の解釈

完璧な検査はありません(すべての人に検査が必要ですかを参照)。ときには、検査したときに病気にかかっていても正常という結果が出ることがあります。これは偽陰性です。またときには、検査したときに病気にかかっていなくても異常という結果が出ることもあります。これは偽陽性です。

診断検査には、感度と特異度という、2つの非常に重要な特性があります。

  • 感度:病気にかかっている場合に検査結果が異常となる確率

  • 特異度:病気にかかっていない場合に結果が正常となる確率

これらの重要な特性はどちらも、優れたデザインの臨床試験でしか判断できません。

したがって医師は、その検査の正確さについて知られていることや、自身の医療に関する知識、患者の状況などを頼りにして、陽性または陰性の検査結果の意味を解釈しなければなりません。医師がある病気を強く疑う場合、初回の検査が陰性だったとしても、その病気を見つけるために追加の検査を行うことがあります。

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