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MRI(磁気共鳴画像)検査

執筆者:

Hakan Ilaslan

, MD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University

最終査読/改訂年月 2015年 8月
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MRI(磁気共鳴画像)検査は、強力な磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いて極めて詳細な画像を描き出す検査です。X線を使用しないため、通常はとても安全です。

MRI検査の手順

患者が横になった可動式の台が装置の中を移動し、筒状の撮影装置の中に収まります。装置の内部は狭くなっていて、強力な磁場が発生します。通常、体内の組織に含まれる陽子(原子の一部で正の電荷をもちます)は特定の配列をとっていませんが、MRI装置内で生じるような強力な磁場の中に置かれると、磁場に合わせて整列する性質があります。次いで、装置から電磁波のパルスが放出され、それにより陽子の配列が瞬間的に乱れます。陽子は磁場の作用で再び整列しますが、このときにエネルギーを放出します。このエネルギーを信号と呼び、信号の強さは組織毎に異なります。MRI装置がそれらの信号を記録し、コンピュータがその信号を解析し、画像を作成します。

撮影者は電磁波のパルスや磁場の強さと方向などを変化させて、様々な組織をどのように撮影するか調節します。例えば、撮影方法を変えることで、脂肪組織を暗くしたり明るくしたりできます。このように複数の撮影方法を併用することで、互いに補完的な情報が得られるため、撮影を複数回行うことがよくあります。

この検査では、ガドリニウムを含有する造影剤(常磁性造影剤)を静脈や関節に注射することがあります。そうすると、ガドリニウムの作用で磁場が変化することで、画像がより鮮明になります。

ボタン、スナップボタン、ジッパー、その他の金属製品の付いていないガウンが用意されているため、患者は検査の前にこのガウンに着替えます。鍵、アクセサリー、携帯電話などの金属製品、クレジットカードや腕時計など磁場の影響を受ける持ち物はすべてMRI検査室の外で保管する必要があります。撮影中は動かずじっとしていなければならず、ときおり息を止めるよう指示されるかもしれません。装置からゴンゴンと大きな騒音が出るため、ヘッドホンや耳栓を渡されることもあります。撮影には20~60分間かかります。検査が終わったら、すぐに普段の生活に戻ることができます。

MRI検査の用途

軟部組織の詳細な情報が必要な場合、例えば、脳、脊髄、筋肉、肝臓の異常を検出する場合には、CT検査よりMRI検査が優先されます。MRI検査が特に役立つのは、これら軟部組織にできた腫瘍を特定する場合です。

MRI検査は以下の場合にも行われます。

  • 脳内の特定の分子を測定することで脳腫瘍と脳膿瘍を区別する

  • 女性の生殖器の異常、股関節や骨盤の骨折を特定する

  • 関節の異常(膝の靱帯の断裂または軟骨の傷など)やねんざの評価の参考にする

  • 出血や感染の評価の参考にする

MRI検査は、CT検査のリスクが高いときの代わりに行われることもあります。例えば、CT検査に使用されるヨード造影剤にアレルギーを起こしたことのある人や妊娠中の女性には、MRI検査の方が好ましい場合があります(放射線は胎児に異常をもたらす可能性があるためです)。

ガドリニウム造影剤を静脈に注射してからMRI検査を行うと、炎症、腫瘍、血管を評価しやすくなります。また、これを関節内に注射することで、関節の異常をより鮮明に描き出した画像を撮影でき、特に検査対象が複雑な異常(膝の靱帯と軟骨の損傷または変性や、椎間板破裂または椎間板ヘルニアなど)である場合に役立ちます。

様々なMRI検査

機能的MRI

この検査は脳が活動しているときに生じる代謝の変化を検出するものです。そのため、読む、書く、記憶する、計算する、手足を動かすなど、特定の課題をしているときに活性化する脳の領域が分かります。

灌流MRI

この検査では、特定の領域の血流を推定することができ、脳卒中の際に血流の減少した部分を特定するのに役立ちます。血流が増加している領域(例えば、腫瘍)を特定する際にも利用できます。

拡散強調MRI検査

この検査では、正常に機能していない細胞内で起こる、水の動きの変化を検出できます。主に早期の脳卒中を特定する目的で用いられます。また、特定の脳の病気を検出したり、腫瘍が脳に転移していないかを判定したりする目的でも用いられます。脳以外の部位での利用は限られています。拡散強調MRI検査は、多くの場合、腫瘍(特に脳腫瘍)を評価する他の検査法と組み合わせて利用されます。

磁気共鳴スペクトロスコピー

従来のMRI検査では電磁波のパルス状に発生させますが、磁気共鳴スペクトロスコピーでは、磁波をほぼ連続して発生させることにより、けいれん性疾患、アルツハイマー病、脳腫瘍、脳膿瘍などの脳の病気を検出します。また、膿瘍内部の壊死組織片と腫瘍内部の増殖細胞を区別することもできます。

この方法は、筋肉と神経系の代謝性疾患を評価する目的でも用いられます。

MRアンギオグラフィー検査

MRアンギオグラフィー検査では、従来の血管造影CT血管造影のように血管の詳細な画像を撮影できます。これらの検査と比べて費用はかかりますが、より安全で、操作もより簡単です。MRアンギオグラフィー検査は、しばしば造影剤を注射せずに行われます。

また、動脈と静脈を通過する双方の血流を描出できるほか、一方通行の血流のみ、すなわち動脈と静脈のどちらかの血流だけを撮影することもできます。またCT血管造影と同じく、コンピュータで血管以外の組織を画像から消すこともできます。

血管を描出するためにガドリニウム造影剤を静脈に注射することもよくあります。撮影者は慎重にタイミングを計って、調べたい血管にガドリニウムが十分入った状態で画像を撮影します。

MRアンギオグラフィー検査は、脳、心臓、腹部臓器、および四肢の血管を評価し、以下の病変を検出する目的で用いられます。

  • 大動脈瘤

  • 大動脈解離

  • 四肢の動脈の狭窄

  • 四肢と骨盤部の静脈内血栓

  • 腫瘍への血流

  • 血管に及ぶ腫瘍

磁気共鳴静脈造影

磁気共鳴静脈造影は、静脈を撮影するMRアンギオグラフィー検査のことで、たいていは脳から流れ出る静脈にできた血栓(脳静脈血栓症)を検出したり、この血栓症に対する治療の効果をモニタリングしたりするために行われます。

エコープラナー法

これは数秒で連続画像を撮影できる超高速撮影技術で、脳、心臓、腹部を撮影する目的で用いられます。高速撮影なので患者が動いてもそれほど画像がぶれません。また、組織がどの程度機能しているかに関する情報も得られます。

しかし、撮影には特殊な設備が必要で、この技術の性質上、従来のMRI検査と比べて特定の組織の画像が不正確になる傾向があります。

MRI検査の短所

MRI検査は、CT検査よりも時間がかかります。またCT検査と比べて、直ちに実施できないことが多くなります。そのため、重篤な外傷や脳卒中などの緊急時にはCT検査の方が望ましい場合があります。また、MRI装置はCT装置より高価です。

その他の短所として以下の点が挙げられます。

  • MRI装置の内部は狭く閉ざされた空間であるため、閉所恐怖症が問題となるほか、患者の体が内部に収まりにくいことがある

  • 体に埋め込まれた金属に対する磁場の影響

  • 造影剤に対するアレルギー反応

狭く閉ざされた空間にまつわる問題

MRI装置の内部は狭く閉ざされているため、普段は閉鎖空間で不安にならない患者ですら恐怖を感じることがあります。肥満の人では、装置内に体を収めるのが難しくなる場合があります。

しかし、MRI装置にもオープン型MRIといって、一方が開いていて内部が広い機種があり、これであれば、閉所恐怖症を起こしにくく、肥満の人もより楽に検査を受けられます。このオープン型MRIで撮影した画像は磁場の強さによっては閉鎖型装置の画像より劣る場合がありますが、それでも診断に利用できます。

MRI検査で不安になる患者には、検査の15~30分前にアルプラゾラムやロラゼパムなどの抗不安薬を投与します。

磁場の影響

通常、以下に該当する患者にはMRI検査は用いられません。

  • 体の特定の部位(特に眼)に特定の種類の物体(散弾片など)が存在する

  • 強力な磁場の影響を受ける機器を体内に埋め込んでいる

そのような機器としては、一部の心臓ペースメーカー、除細動器、人工内耳、動脈瘤の治療に用いる磁性体の金属クリップなどがあり、MRI検査で用いる磁場によって、これらの機器が移動したり、過熱したり、故障したりする可能性があります。特に影響を受けやすいのは、機器を埋め込んでから検査までの期間が6週間未満の場合です(機器の固定を助ける瘢痕組織がまだ形成されていないため)。また、これらの機器があるとMRI検査の画像にゆがみが生じます。

通常の歯科インプラント、人工股関節、脊椎矯正用の支柱などは埋め込んであってもMRIの影響を受けません。

埋め込み型の機器がある場合は何であれ、MRI検査を受ける前に主治医に伝えて、検査が安全かどうか判断してもらう必要があります(体内に機器やインプラントを埋め込んでいる人のMRI検査の実施に関する詳細な情報は、MRIsafety.comを参照のこと)。

MRIの磁場は非常に強く、常に発生しているため、酸素ボンベや点滴棒などの金属製の物体が検査室の入口近くにあると猛スピードで装置に引き寄せられる場合があります。これにより患者が負傷したり、飛んできた物体を磁石からなかなか離せなくなったりすることもあります。

MRIの造影剤への反応

ガドリニウム造影剤は、頭痛、吐き気、注射部位の痛みや冷感、味覚異常、めまいを引き起こすことがあります。

MRI検査用の造影剤は、従来の血管造影やCT血管造影で用いられるヨード造影剤と比べて重度の反応を招くリスクは低くなっています。

しかし、すでに重度の腎障害のある患者や透析を受けている患者に使用すると、腎性全身性線維症という、生命を脅かす重い合併症が発生することがあります。腎性全身性線維症を発症すると、皮膚、結合組織、臓器が厚くなります。皮膚に赤色または暗い色の斑点が現れ、皮膚が突っ張る感じがしたり、動きにくくなって動きが制限されたり、臓器が機能不全に陥ったりします。医師はこの病気を予防するために次のことを行います。

  • 病歴を確認したり、血液検査や尿検査を行ったりして、患者の腎臓がどの程度機能しているかを判定する

  • ガドリニウムは必要な場合に限って使用し、またその場合でも最も安全性の高い造影剤を最低限の用量で使用する

  • 重度の腎疾患がある人には、別の画像検査を考慮する

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