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画像検査の概要

執筆者:

Hakan Ilaslan

, MD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University

最終査読/改訂年月 2015年 8月
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画像検査は、体の全体または一部の「内側」を画像化する検査です。画像検査は、病気の診断、重症度の判定、診断後のモニタリングを行う上で役に立ちます。大半の画像検査は痛みを伴わず、比較的安全で、体に負担をかけません(すなわち、皮膚を切開したり、器具を体内に挿入したりする必要がありません)。

画像検査では以下の要素が用いられます。

  • 放射線(X線検査、CT検査、核医学検査で用いられます)

  • 音波(超音波検査で用いられます)

  • 磁場(MRI検査で用いられます)

  • 調べたい組織や臓器(器官)を強調したり輪郭を描き出したりするため、経口投与、静脈内投与、または体内に挿入することにより使用する物質(造影剤と呼ばれます)

医療画像検査における放射線のリスク

画像検査で使用される放射線(通常はX線)は、診断に有用なツールですが、放射線への曝露にはある程度のリスクが伴います。

使用する放射線量は検査毎に異なりますが、ほとんどの場合、使用される線量は低く、一般的に安全とみなされています。例えば、胸部X線検査1回に使用する放射線量は自然環境で浴びる放射線の年間平均線量の100分の1にも届きません。しかし、低い線量の検査でも何度も受けたり、高い線量の検査を数回受けたりすると比較的大量の放射線を浴びることになります。検査と検査の間隔が空いているとしても、放射線の被曝量は蓄積します。その結果、がんが発生するリスクが高まり、ときには組織が損傷されます。

知っていますか?

  • 検査と検査の間隔が空いているとしても、放射線の被曝量は蓄積します。

画像検査は、放射線被曝の原因の1つにすぎません。自然環境における放射線への曝露(宇宙放射線と天然のアイソトープによるもの— 放射線障害)は比較的高くなることがあり、高地では特に高くなります。飛行機に乗って旅行すると、環境内の放射線への曝露量が増えます。

医師が診断のために画像検査を計画する際には、患者が浴びる放射線の総量(総被曝線量または生涯被曝線量といいます)を検討します。しかし、診断検査を行うことで、被曝による潜在的なリスクに勝る便益が得られることがほとんどです。

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様々な画像検査で使用する放射線量*

画像検査

同じ線量を浴びるのに必要な胸部X線検査の回数

自然環境から同じ線量を浴びるのに必要な時間

胸部X線検査(前後像)

1

2.4日

多方向からの腰椎X線検査

75

84日

頭部CT検査

100

243日

心臓カテーテル検査における冠動脈造影

350~750

1.15~2.3年

腹部CT検査

300~400

3.3年

マンモグラフィー

20

30~60日

*これらの放射線量は、使用される放射線量と照射部位の感受性の高さにより決まります。

CT = コンピュータ断層撮影。

米国で行われる画像検査の約15%がCT検査ですが、画像検査による被曝量は最大70%がCT検査に由来します。CT検査で照射される放射線の量(線量)は、一般的な単純X線検査の数百倍になることがあります。しかし、新しい技術を用いれば、CT検査による被曝線量を著しく抑えることができます。

従来の技術でCT検査を行った場合でも、成人におけるリスクは低く、健康への影響が現れる可能性はほとんどありません。

しかし、次のような特定の状況下では、リスクが高くなります。

  • 乳児期

  • 幼児期

  • 妊娠中(特に初期)

  • 特定の組織、例えば、リンパ組織(免疫系の一部)、骨髄、血液、精巣、卵巣、腸などに使用する場合

医師はリスクを最低限に抑えるため、次のことを行います。

  • 可能であれば、放射線を必要としない検査(超音波検査、MRI検査など)を用いる

  • 放射線を使用する診断検査、特に高い線量を使用する検査(CT検査など)や幼児に対する検査は、必要な場合にのみ勧める

  • 可能であれば、検査中の放射線被曝を制限するための対策(例えば、甲状腺や妊婦の腹部などの放射線に弱い部位を遮蔽するなど)をとる

新しい技術と装置が利用できるようになったことで、画像検査で使用される放射線量は著しく減少しました。

乳幼児における放射線のリスク

乳幼児で放射線のリスクが高いのは、成人より長く生きる分、がんが発生しうる期間が長くなるからです。また小児の細胞は成人より速く分裂しますが、分裂速度の速い細胞ほど放射線によるダメージをよく受けます。

放射線が原因でがんが発生するリスクを判定することは困難です。一部の専門家によると、腹部CT検査を受けた1歳児のうち、放射線被曝が原因で最終的にがんを発症する割合は10,000人当たり約18人と推定されています。腹部CT検査は、医療画像検査の中でも最も高い線量を使用する検査の1つです。また、ある研究によると、10歳未満の小児10,000人に頭部CT検査を行う毎に、検査後10年の間に1例の白血病と1例の脳腫瘍が発生することが示唆されています。

小児に診断検査を行う必要がある場合、両親は検査のリスクについて医師と相談し、放射線を必要としない別の検査で代用できないかどうか尋ねてみるとよいでしょう。それでも実施せざるを得ない場合は、両親が以下のことを求めることで、リスクを最小限に抑えることができます。

  • 診断上必要な最低限の線量の使用(例えば、分解能の低い検査を利用できるのであればより少ない線量で済むことがあります)

  • 被曝する体の部位をできるだけ狭い範囲に限定する

  • 検査の回数を制限する

妊娠中の放射線のリスク

妊婦は、画像検査に使用される放射線が胎児に与えるリスクについて認識しておくべきです。女性が画像検査を受ける必要がある場合は、妊娠している、または妊娠の可能性があることを主治医に伝えておく必要があります。医師は、たとえ妊娠していても本人が気づいていない可能性も考慮します。しかし、妊婦であっても、必要であればX線検査が行われることがあります。その場合、検査に際して撮影者が女性の腹部を鉛エプロンで覆うことで胎児を放射線被曝から保護します。

胎児へのリスクの高さは以下によって決まります。

  • 検査を行う際の妊娠週数

  • 母体のどの部位に放射線を照射するか

リスクが最も高くなるのは妊娠5~10週目の器官形成期で、この時期に放射線を浴びると、先天異常が起こることがあります。妊娠早期に起こる問題で最も多いのは流産ですが、妊娠10週を過ぎれば流産や明らかな先天異常は起こりにくくなります。

胎児から遠く離れた手首や足首関節への照射であれば、もっと胎児に近い腰部などへの照射と比べて胎児が浴びる放射線量は少なくて済みます。また、手足の指などの小さな部位への照射なら、背部や骨盤などのもっと広い部位への照射と比べて必要なX線エネルギーは少量です。このような事実から、腹部以外の部位に対する単純X線検査で、特に子宮を保護する鉛の遮蔽体を用いた場合は妊婦の妊娠週数にかかわらずリスクはほとんどありません。したがって、X線検査が必要な状況(例えば、骨折の状態を調べるなど)では、たいていその便益がリスクを上回ります。

造影剤

画像検査では、特定の組織または構造を周辺領域から区別したり、詳細な画像を撮影したりするために造影剤を使用することがあります。

造影剤には以下のものがあります。

  • 放射線不透過性造影剤:X線画像に写る物質

  • 常磁性造影剤:MRI検査で用いられる物質

放射線不透過性造影剤

放射線不透過性造影剤はX線を吸収するため、X線画像上で白く見えます。典型的には以下のものを見るために用いられます。

  • 血管

  • 消化管、胆道、または尿路の内側

  • 臓器の血流

造影剤は通常、静脈に注射されるか、口から飲み込むか、肛門から注入され、それぞれ静注造影剤、経口造影剤、注腸造影剤と呼ばれます。検査によってはカテーテルを介して造影剤を動脈に注入したり、針で関節内に注入したりすることもあります。

使用する造影剤は検査の種類と、調べたい体の部位によって変わります。

  • 血管:通常、ヨウ素を含有する造影剤(ヨード造影剤)を使用します

  • 消化管:バリウムまたはガストログラフィンを含有する造影剤を使用します

造影剤を使用する検査を行う際には数時間前から絶食し、1時間前からは飲みものも控えるよう指示されることがあります。検査が終わったらその日1日は水分をたっぷりとることが勧められます。

造影剤の種類によっては、注射されたときに体全体が温かく感じたり、逆に注射部位に冷たい感じがしたりします。口から飲む造影剤は嫌な味がするかもしれません。

一般に、放射線不透過性造影剤は非常に安全です。

少数の人では、ヨード造影剤の副作用がみられることがあります。副作用には以下のものがあります。

  • アレルギー反応

  • 腎障害、特に以前から腎臓に問題がある人または大量の造影剤を使用した人など

造影剤に対するアレルギー反応の重症度は様々です。

  • 軽度の反応:吐き気、紅潮、かゆみなどがみられます

  • 中等度の反応:発疹、嘔吐、悪寒などがみられます

  • 生命を脅かす重度の反応(アナフィラキシー様反応— アナフィラキシー様反応とアナフィラキシー反応):呼吸に支障をきたすのどの腫れ、喘鳴、極度の低血圧、心拍数の異常などがみられます

アレルギー反応の徴候がわずかでもみられたらすぐに造影剤の使用を中止します。軽度または中等度の症状に対しては、抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミンを静脈から投与します。重度の症状が出現した場合は、アレルギー反応の型に応じて、酸素投与、輸液、アドレナリンなどの薬剤投与により治療します。

造影剤に対するアレルギー反応は以下のような人によく起こります。

  • ほかに多くのアレルギーがある人

  • 喘息がある人

  • 以前に造影剤を使用したときにアレルギー反応がみられた人

ヨード造影剤に対して重度の反応を何度か起こしたことのある人には、代わりに造影剤を使用しない画像検査を行うべきです。しかし、どうしてもヨード造影剤を使用する必要がある場合は、アレルギー反応を予防するために検査前に薬剤(ジフェンヒドラミンとコルチコステロイド)を投与することがあります。造影剤に対するアレルギー反応を起こしたことがある人は、画像検査の前にそのことを主治医に伝えておく必要があります。

ヨード造影剤の使用に起因する腎障害(造影剤腎症)は、以下の条件に当てはまる人に発生します。

  • 腎機能障害

  • 脱水

  • 70歳以上

  • 糖尿病

  • 心不全

  • 高血圧

  • 多発性骨髄腫

  • 腎障害を引き起こす薬剤の使用

腎障害を起こした人の99%超は、何の症状も出ないまま約1週間以内に回復します。1%未満の人で長期的な障害が残ることがあり、そのうちのごく一部では透析が必要になります。

腎障害のリスクが高い人で放射線不透過性造影剤を使用する検査がどうしても必要な場合には、造影剤を投与する前と後に静脈から水分を投与します。可能であれば使用する造影剤の量を減らします。長期にわたって腎機能障害が続いている人には、造影剤を投与する前日と当日にアセチルシステインを投与することがあります。

常磁性造影剤

常磁性造影剤は、粒子の磁気特性を変化させて組織間のコントラストを強くすることで、より鮮明な画像を得られるようにします。常磁性造影剤には通常ガドリニウムが含まれており、MRI検査に用いられます。

通常、副作用が起こることはありません。しかし、重度の腎疾患患者または透析患者にこれを使用すると、生命を脅かす以下の病気を引き起こすことがあります。

この病気になると、皮膚や結合組織、さらには様々な臓器の組織が厚くなります。皮膚には赤色または暗い色の斑点が現れます。皮膚が突っ張る感じがしたりするほか、体を動かすのが難しくなって動きが制限され、さらに臓器が機能不全に陥ることもあります。腎臓に問題がある患者には、ガドリニウムを含む常磁性造影剤は必要な場合に限って使用され、その場合も最も安全性の高い造影剤を最低限の量しか使用しないことになっているため、現在ではこの病気が起こることは非常にまれになっています。腎臓に重大な問題がある場合は、他の画像検査が考慮されることもあります。

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