カンナビス(大麻)とは、マリファナを指す語です。テトラヒドロカンナビノール(THC)はマリファナの主な活性成分です。合成カンナビノイドは、THCと似た人工の薬物です。通常、乾燥した植物素材にスプレーして喫煙したり、電子タバコで気化させて吸ったりします。合成カンナビノイドには多くの化学物質ファミリーがあり、新たな化合物が絶えず報告されています。
( 薬物使用と薬物乱用 物質関連障害の概要 薬物は、それが合法的な医療用の薬剤であるか、娯楽目的で使用される薬物(レクリエーショナルドラッグ)であるかにかかわらず、現在では多くの人々にとって、日々の生活になくてはならないものになっています( 医療用途と娯楽用途がある薬物)。 物質関連障害は、脳の報酬系を直接活性化する物質(薬物など)を、それがもたらす快感を求めて使用することで発生し... さらに読む も参照のこと。)
症状
作用はカンナビノイドの種類によって異なり、多くの短期的および長期的な作用は不明なままです。しかし、作用は主に3つに分類されます。
精神的:錯乱、興奮、幻覚、および回復不能となることもある精神病(現実との接触の喪失)
心血管系:高血圧、心拍数の上昇( 頻脈 不整脈の概要 不整脈とは、一連の心拍が不規則、速すぎる(頻脈)、遅すぎる(徐脈)、あるいは心臓内で電気刺激が異常な経路で伝わるなど、心拍リズムの異常のことをいいます。 不整脈の最も一般的な原因は心臓の病気(心疾患)です。 自分で心拍リズムの異常に気づくこともありますが、ほとんどの人は、脱力感や失神などの症状が起きるまで不整脈を自覚しません。... さらに読む
)および 心臓発作 急性冠症候群(心臓発作、心筋梗塞、不安定狭心症) 急性冠症候群は、冠動脈が突然ふさがる(閉塞)ことによって起こります。閉塞の位置と量に応じて、不安定狭心症か心臓発作(心筋梗塞)が起こります。 急性冠症候群を発症すると、通常は胸部の圧迫感や痛み、息切れ、疲労などが起こります。 急性冠症候群が起きたと思ったら、まず救急車を呼んでから、アスピリンの錠剤を噛み砕いて服用します。 病院では心電図検査と血液中の物質を測定する検査により、急性冠症候群かどうかを診断します。... さらに読む
神経系:かすみ目、大量発汗およびけいれん発作
診断
医師による評価
医師は通常、使用した薬について本人や友人が話したことに基づいて診断を下します。通常の尿検査では、合成カンナビノイドは検出されません。
重度の急性中毒の徴候がみられる人には、合併症がないか調べるためにしばしば検査を行う必要があります。医師は一般的に、血算、電解質、腎機能を調べるために血液検査を行い、心拍リズムを調べるために 心電図検査 心電図検査 心電図検査は心臓の電気刺激を増幅して記録する検査法で、手早く簡単に行える痛みのない方法です。心電図による記録では、毎回拍動を誘発する心臓の生体ペースメーカー部(洞房結節、洞結節)、心臓の神経伝導経路、心拍数や心拍リズムについての情報が得られます。心電図では、心臓が拡大していること(通常の原因は高血圧)や、心臓に血液を供給する冠動脈の1つが閉塞しているために心臓に十分な酸素が行き届いていないことが示されることがあります。... さらに読む を行います。筋肉の崩壊を示すミオグロビンを確認する尿検査を行うこともあります。
治療
静注鎮静薬
輸液
通常、静注鎮静薬(ベンゾジアゼピン系薬剤)、輸液、支持療法などの一般的な治療で十分です。危険なほどの体温上昇( 高体温 セロトニン症候群 セロトニン症候群とは、高体温、筋肉のけいれん、不安またはせん妄を引き起こす傾向のある、生命を脅かす可能性のある薬物反応です。 (熱中症の概要を参照のこと。) セロトニンとは、神経細胞から神経細胞へとインパルスを伝える化学物質です。セロトニン症候群は、通常は薬によって脳のセロトニン受容体への刺激が増加することで起こります。セロトニン症候群は、治療目的での薬物使用、一部の薬の過剰摂取、または最も一般的にはセロトニン受容体を刺激する薬を2つ同... さらに読む )、持続的な心拍数の上昇または興奮、血清クレアチニン高値(腎疾患を示唆します)がみられる人は入院させ、筋肉の崩壊および心臓と腎臓の損傷についてモニタリングする必要があります。