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肘の脱臼

執筆者:

Danielle Campagne

, MD, University of California, San Francisco

最終査読/改訂年月 2017年 11月
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肘の脱臼は、上腕の骨(上腕骨)の下端が、前腕の骨(橈骨[とうこつ]と尺骨)の上端(頭部)に接しなくなったときに起こります。肘の脱臼は、完全な形で発生する(これらの骨の端部同士がまったく接触しない)場合もあれば、部分的に生じる(骨の一部が接している)場合もあります。部分的な脱臼は亜脱臼と呼ばれます。

肘の脱臼のほとんどは、転倒した際に腕を伸ばしたままつくことで発生します。骨折、神経の損傷のほか、ときには動脈の損傷が伴うことがあります。

肘の脱臼はよくみられます。しかし、肘が完全に脱臼するには、通常は相当な力が必要です。部分的な肘の脱臼(亜脱臼)は幼児に多くみられ、通常は、はるかに小さい力が原因で発生します。亜脱臼は乳児や年長の小児、成人にも起こりますが、幼児に比べるとはるかに少ないけがです。

X線検査によって肘の脱臼の診断を確定することができます。

治療

  • 通常は、関節を元に戻す処置(整復)

肘の脱臼の治療では通常、以下のことが行われます。

  • 患者に鎮静薬と痛み止めを投与する

  • 患者をあお向けに寝かせる

  • 肘を曲げ、手のひらが上を向くように前腕をやさしく回転させる

  • 上腕を下げた状態に保つ

  • 関節が元の位置に戻るまで手首を引き上げる

橈骨頭の亜脱臼

橈骨頭の亜脱臼は、肘の骨が部分的に離れた状態です。前腕の骨(橈骨)の端が滑って肘関節から位置がずれます。

  • 橈骨頭の亜脱臼は、幼児によくみられ、養育者が幼児を前方に引っぱったり幼児の手首をつかんだりした場合に起こります。

  • 幼児が患部の腕を動かすことを嫌がる以外に徴候がみられない場合もあります。

  • 医師は、けがの発生状況、症状、身体診察の結果に基づいて、橈骨頭の亜脱臼を疑います。

  • 医師は通常、骨を正しい位置に戻す整復を行い、切開は行わず、鎮静薬や痛み止めの使用も必要ありません。

このけがは通常、よちよち歩きの幼児(およそ2~3歳)に起こります。幼児の場合は、橈骨(前腕の骨の1本)の頭部が小さいため、肘関節の構造を正しく保持している靱帯をすり抜けてしまいます。親などの養育者が、渋る幼児の手を前に引っ張ったり、転倒時に幼児の手首をつかんで支えたりしたときに、橈骨頭が靱帯をすり抜けることがあります。多くの養育者はこうした行動を覚えていません。小児の成長に伴って橈骨の頭部も大きくなり、やがて正しい位置から外れない大きさになります。

症状

肘に軽い圧痛が生じるだけのことがあります。幼児は通常は自分の症状を説明できないため、このけがを負っていても、腕を動かすのを嫌がることしか徴候が認められない場合があります。腕が体の横にぶら下がり、ときにわずかに内側に回転していることがあります。または、幼児が腕を自分の体の方向に曲げたままにしていることもあります。親や養育者は、幼児の脱臼した腕を動かそうとしないでください。

幼児がけがをしたときに泣き、その後泣き止んで、けがをした腕を使わない以外は普段通りに振る舞うことがあります。

診断

  • 医師による評価

幼児に肘関節の亜脱臼が疑われる症状がみられる場合は、肘が自然に本来の位置に戻っていても、親などの養育者が幼児を連れて医師の診察を受ける必要があります。

医師は、発生状況、症状、身体診察の結果に基づいて、このけがを疑います。

このけがはX線画像に写らないため、X線検査が行われない場合があります。

予防

幼児の肘関節亜脱臼を予防するために、親や養育者は次の点に注意してください。

  • 幼児の手、手首、前腕を突然引っ張らない。

  • 片方の腕、手首、または手だけをつかんで、幼児を持ち上げない。

  • 手や前腕を持ち、幼児をぶら下げて揺らさない。

  • 幼児を持ち上げるときは、両脇の下か両腕を持つ。

治療

  • 通常は、関節を元に戻す処置

医師は通常、関節を元の位置に戻す処置を行います(整復)。通常は、鎮静薬や鎮痛薬は不要です。骨が元に戻ると、軟らかいはじけるような音やカチッというようなクリック音が聞こえることがあります。幼児は10~20分後から肘を動かし始めます。そうならない場合は、医師が肘のX線検査を行うことがあります。幼児が肘を動かしていれば、その関節を固定する必要はありません。

24時間が経過しても幼児が痛みを訴えている場合や、依然として腕を動かすことができない場合は、肘関節が完全には整復されていないか、骨折している可能性があります。こうした場合は、再び医師の診察を受ける必要があります。

治療により、大半の幼児は完全に回復します。ただし、このけがを負った幼児の20~40%は、再び肘を脱臼します。

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