ふらつきや息切れ、胸痛を感じたり、皮膚が汗ばみ、青く冷たくなったりします。
血胸は、胸部X線検査に基づいて診断されます。
(胸部損傷に関する序 胸部損傷に関する序 多くの胸部損傷では、肋骨、上腹部、肺、血管、心臓、筋肉、軟部組織、胸骨などに損傷が起こります。ときに食道、鎖骨、または肩甲骨に損傷が及ぶこともあります。 米国では、重度損傷による死亡の約25%を胸部損傷が占めます。受傷後数分から数時間で死に至りうる損傷でも、多くは大手術を行わずに救急外来で治療または安定させることができます。... さらに読む も参照のこと。)
血胸は、肺を断裂させたり胸部の血管を切断したりするあらゆるけが(鈍的か穿通性かを問わない)が原因で起こる可能性があります。血液は、肺と胸壁の間の空間(胸腔)にたまることがあります。血液が大量にたまると、肺が圧迫され、呼吸が困難になることがあります。血液だけでなく空気もこの空間に入ると、血気胸と呼ばれるようになります。血胸は、手術やその他の病気(結核 結核 結核は、空気感染する細菌である結核菌 Mycobacterium tuberculosisによって引き起こされる、感染力の強い慢性感染症です。通常は肺が侵されます。 結核に感染するのは、主に活動性結核の患者によって汚染された空気を吸い込んだ場合です。 最もよくみられる症状はせきですが、発熱や寝汗、体重減少、体調不良を感じるこ... さらに読む や 肺がん 肺がん 男女ともに、がんによる死亡の中で最も多い原因が肺がんです。症例の約85%は喫煙に関連しています。 よくみられる症状は、持続性のせき、または、性状が変化する慢性的なせきです。 肺がんの大部分は胸部X線検査で発見できますが、診断を確定するためには他の画像検査や生検をさらに行う必要があります。 肺がんの治療には、手術、化学療法、分子標的療法、免疫療法、放射線療法のいずれも用いられます。... さらに読む
など)によって引き起こされることもあります。
症状
血胸自体は痛みを伴いません。しかし、通常は原因となったけがが痛みます。その他の症状の重症度は、胸腔の血液の量などによって決まります。血液が少量であれば、通常、ほかに症状はありません。大量の血液がたまっている場合、息切れを感じたり、呼吸が浅く速くなったりします。胸腔の血液の量がさらに増えると、血圧が危険なレベルにまでに低下する(ショック ショック ショックとは、臓器への酸素の供給量が低下し、生命を脅かす状態で、臓器不全やときには死亡につながります。通常、血圧は低下しています。 ( 低血圧も参照のこと。) ショックの原因には血液量の減少、心臓のポンプ機能の障害、血管の過度の拡張などがあります。 血液量の減少または心臓のポンプ機能の障害によってショックが起きると、脱力感、眠気、錯乱が生じ、皮膚が冷たく湿っぽくなり、皮膚の色が青白くなります。... さらに読む に陥る)ことがあります。皮膚は汗ばみ、青く冷たくなります。
診断
治療
血圧を維持するために輸液、ときに血液製剤の投与
胸腔ドレーン挿入
医師は静脈から輸液を行い、血流中の水分を増やし、血圧を上昇させます。大量の血液が失われた場合は、 輸血 輸血の概要 輸血とは、血液や血液成分を健康な供血者(ドナー)から病気の受血者(レシピエント)に移すことです。輸血を行うことで、血液が酸素を運ぶ能力を高め、体内の血液量を回復させるとともに、血液凝固の障害を正常にします。 米国では毎年約2100万件の輸血が行われています。典型的な輸血の受血者は以下のような人達です。... さらに読む が必要です。
医師は通常、 胸部にチューブを挿入 胸腔ドレナージ 胸腔ドレナージ(胸腔ドレーンの留置)は、肺と胸壁の間の空間(胸腔)に胸腔ドレーンと呼ばれるチューブを挿入する処置です。 この処置は、肺が虚脱しているとき( 気胸という病態)に、胸腔から空気を抜くために行われます。ときに、胸腔から液体( 胸水)を抜くためにこの処置が行われることもあります。胸腔に液体がたまり続けているために、1回で抜ききれないときには、この処置が特に有効です。特定の状況下では、胸腔ドレーンの挿入が緊急かつ救命処置として行わ... さらに読む し(胸腔ドレーン)、胸腔から血液を抜き取って肺が再び膨らむようにします。ドレーンは数日間留置しておく必要があります。