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緊急時の救命・応急手当の優先順位

執筆者:

Amy H. Kaji

, MD, PhD, Harbor-UCLA Medical Center, David Geffen School of Medicine

医学的にレビューされた 2020年 6月
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緊急時の最優先事項は命を救うことです。意識がなく反応のない人は死が近い可能性があるため、救助者は状況を評価し、必要に応じて治療を開始し、次のABC:気道(Airway)、呼吸(Breathing)、循環(Circulation)を維持する必要があります。これらのどれか1つにでも問題がある場合、すぐに対処しなければ患者は死に至ります。気道とは、肺に空気を送る通路のことで、食べものの欠片が詰まったり吸い込まれたりすることでふさがることがあります。 肺気腫 慢性閉塞性肺疾患(COPD) 慢性閉塞性肺疾患は、気道が狭くなる状態(閉塞)が持続する病気で、肺気腫や慢性閉塞性気管支炎、またはその両方に伴って発生します。 この病気の原因として最も重要なのは、紙巻タバコの喫煙です。 この病気になると、せきが出て、やがて息切れが現れます。 診断は、胸部X線検査と肺機能検査によって下されます。... さらに読む 慢性閉塞性肺疾患(COPD) 喘息 喘息 喘息は、気道が何らかの刺激に反応して狭くなる(通常は可逆性)病態です。 症状としては、特定の誘因に反応して生じる、せき、喘鳴(ぜんめい)、息切れなどが最もよくみられます。 医師は、呼吸の検査(肺機能検査)を行って喘息の診断を確定します。 喘息発作を防ぐためには、誘因となる物質を吸い込まないようにするとともに、気道の開口を保つ薬を服用する必... さらに読む 喘息 などの病気が原因で、呼吸が困難になることがあります。血液の循環は心臓の拍動と心臓の筋肉による血液の拍出によって維持されているため、 心停止 心停止 心停止とは人が死ぬときに生じる状態です。心停止になると、心臓から、内臓、脳、組織に血液と酸素が送り出されなくなります。心停止が起こって数分以内であれば、ときに蘇生する可能性があります。しかし、時間が経過するほど蘇生する可能性は低くなり、助かったとしても脳に障害が残る可能性が高くなります。 心停止が5分を超えて続くと脳に障害が残る可能性が高くなり、8分を超えると死亡する可能性が高まります。そのため、心停止の場合、一刻も早く救命処置を始める... さらに読む 心停止 になると循環も止まります。必要に応じて、救助者は直ちに以下の処置を開始する必要があります。

次に優先すべきことは、救急サービス(日本の場合は119番)に電話をして救急車を呼ぶことです。米国で救急車を呼ぶには、911に電話します(日本では119番に電話します)。電話がつながれば、患者の状態と、けがまたは病気がどのようにして起こったのかをできるだけ詳しく説明する必要があります。電話を切ってくださいと言われるまで、電話を切ってはなりません。その場に複数の人(救助者)がいる場合は、1人が救急車を呼び、その間にもう1人が評価と救命処置を始めます。

電話で救急隊の出動を要請した後、救助者は必要に応じて以下の薬を投与することができます。

けが人が大勢いる場合は、最も重傷の人から手当てを行います。優先順位の判定は、けが人1人当たり1分以内で行います。救助者は一人ひとりについて、以下のうちどの状況に該当するかを判断していきます。

  • 生命を脅かす状態

  • 急を要するが生命を脅かすものではない状態

  • 急を要さない状態

誰が最も急を要するかの判定は難しいこともあります。というのも、痛みのために叫んでいる人よりも、呼吸ができなかったり昏睡状態にあったりして静かな人の方が重傷の場合があるからです。呼吸困難や大量出血は生命を脅かしますが、手または足の骨折の場合は、どれほど痛くても治療を先に延ばすことがほとんどの場合可能です。

重傷者が多数いるにもかかわらず、救助者の人数や必要な物資が限られている場合は、救助者は助かる見込みがあると判断した人のみに治療を施さざるを得ない場合もあります。

錯乱もしくは意識がないため、または状態が悪いために自らの医療情報を伝えられない人については、別の方法で情報を得る必要があります。例えば、意識を失った人のそばに空になった薬の容器があった場合は、それを救急隊員に渡します。近くにいた人、家族、救助にあたった人が、本人が倒れたときの詳細な情報を救急隊員に伝えることも治療に欠かせません。

これらの段階が済んだ後で、治療を待つ間、けが人を励ましたり、毛布をかけて安静と体温を保ったりするなどの簡単な処置を施します。

血液感染症の拡大を防ぐために、救助者は、すべての人の血液や体液は感染性があるとみなす感染予防の考え方に従って、以下の普遍的な予防策を講じて自分自身を守る必要があります。 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症とは、ある種の白血球を次第に破壊し、後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすことのあるウイルス感染症です。 HIVは、ウイルスやウイルスに感染した細胞を含む体液(血液、精液、腟分泌液)と濃厚に接触することで感染します。 HIVはある種の白血球を破壊し、感染症やがんに対する体の防御機能を低下させます。... さらに読む ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 やB型およびC型肝炎(肝炎の概要 肝炎の概要 肝炎は肝臓の炎症です。 ( 急性ウイルス性肝炎の概要と 慢性肝炎の概要も参照のこと。) 肝炎は世界中でみられる病気です。 肝炎には以下の種類があります。 急性(経過が短い) さらに読む )などの重篤な感染症は、血液や特定の体液を介して感染するおそれがあります。可能であれば、救助者は感染予防に最適なゴム製またはニトリル製の手袋を装着するようにします。手袋がない場合は、ビニール袋でも役立ちます。例えば、食品用のビニール袋など、水を通さない袋に手を入れます。体液や血液が飛び散る可能性がある場合は、フェイスマスクと安全眼鏡(またはフェイスシールド)、保護ガウン、キャップも着用する必要があります。

血液や体液などに触れてしまった場合は、できるだけ早く、石けん水か漂白剤を薄めたもの(水約1リットルに対して漂白剤大さじ1杯[約15ミリリットル]を溶かしたもの)で、爪の間までしっかり手を洗います。いずれもすぐに用意できない場合は、アルコール系の消毒液を使う方法もあります。

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