栽培されている植物にも有毒なものがいくつかあります。一般に、大量に摂取した場合(例えば、葉などがペースト状に濃縮された場合や茶として煎じられた場合)か、植物の毒性が非常に強い場合でなければ中毒を起こす可能性は高くありません。毒性が強く、死に至らしめる可能性のある植物には、トウゴマの実、トウアズキの実、ドクニンジン、ドクゼリのほか、ジギタリス配糖体を含むキョウチクトウやキツネノテブクロなどがあります。植物による中毒で、特定の解毒剤で治せるものはほとんどありません。( 中毒の概要 中毒の概要 中毒とは、有害物質を飲み込んだり、吸い込んだり、皮膚や眼、または口や鼻などの粘膜に接触したときに生じる有害作用です。 中毒を起こす可能性のある物質としては、処方薬や市販薬、違法薬物、ガス、化学物質、ビタミン類、食べもの、キノコ類、植物、動物の毒などがあります。 ダメージを与えない毒物もありますが、重度の損傷を引き起こし、死をもたらす毒物も... さらに読む も参照のこと。)
ほかにもそれほど重篤ではない毒性作用をもつ植物が多数あります( 中程度の毒性がある植物 中程度の毒性がある植物 )。
トウゴマとトウアズキの実
トウゴマの実には、猛毒であるリシンが含まれています。リシンは暗殺目的や 集団殺傷兵器 化学兵器 化学兵器は、戦時のために政府が開発し、以下のものが含まれます。 有害物質(重篤な損傷または死亡を引き起こすことを意図する) 無能力化剤(一時的で生命を脅かさない作用のみを引き起こすことを意図する) 焼夷剤(光と炎を放つことを意図する) 工業用などに製造される有害工業化学物質にも、多数の被害者を発生させる能力があります。一部の化学物質(塩素、ホスゲン、シアン化物など)は工業用にも化学兵器にも使用されます。 さらに読む として使用されたことがあります。トウゴマの種子は非常に堅い殻に覆われているため、噛まないと毒は出てきません。
トウアズキの実には、リシンに関連があり、さらに強い毒であるアブリンが含まれています。トウアズキの実を飲み込むと死に至ることがあります。小児の場合、実を1粒噛むだけで死亡することがあります。
トウゴマの実やトウアズキの実による中毒では、後になって重度の嘔吐や下痢(しばしば血性下痢)が生じることがあります。その後、せん妄やけいれん発作が起こります。昏睡に陥り、死に至ることもあります。医師は、毒が吸収される前に実を胃腸から流し出すよう努めることがあります。
ドクニンジン
ドクニンジン中毒では、15分以内に症状が出ることがあります。口腔乾燥、後に心拍数の増加、振戦(ふるえ)、発汗、けいれん発作、筋力低下が起こります。ドクゼリは、嘔吐、下痢、せん妄、けいれん発作、昏睡を引き起こすことがあります。
キョウチクトウ、キツネノテブクロ、スズラン
キョウチクトウ、キツネノテブクロ、また似ているものの毒性の弱いスズランは、嘔吐や下痢、錯乱、不整脈、血液中のカリウム濃度の上昇を引き起こすことがあります。これらの植物には、心臓病の薬であるジゴキシンに非常に似た物質が含まれています。これらの植物による中毒の患者を、ジゴキシンの過剰摂取の治療に使用する薬で治療することもあります。
さらなる情報
米国中毒情報センター協会(American Association of Poison Control Centers);1-800-222-1222(訳注:日本では、大阪中毒110番072-727-2499、または、つくば中毒110番029-852-9999)