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高齢者虐待の概要

執筆者:

Daniel B. Kaplan

, PhD, LICSW, Adelphi University School of Social Work;


Barbara J. Berkman

, DSW, PhD, Columbia University School of Social Work

最終査読/改訂年月 2016年 11月
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高齢者虐待とは、他者が高齢者に危害を加えること、または危害を加えるような扱いのことをいいます。

高齢者虐待は、高齢者に危害を加えたり、または害になることを言ったりするという形と、必要なものを与えないという形があります。虐待は通常、時間の経過とともに頻度と深刻度が高まります。

米国では毎年、数千人の高齢者が虐待またはネグレクトを受けています。通常、加害者は家族で、最も多いのは介護をしている成人した子どもです。 ときに、ホームヘルパーまたは介護施設などの従業員のようなプロの介護者が、高齢者を虐待します。

介護者はしばしばケアの負担に精神的に参ったり、十分な準備や情報が得られない状況に陥ったり、何を期待されているのかが分からなくなったりします。 また、次第に社会的に孤立した状態になり、ときに怒りが増幅して、さらに虐待が起きやすくなります。多くの介護者は虐待するつもりはなく、ときには虐待していることに気づかないことさえあります。

高齢者虐待で一般的にみられる種類として、身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、ネグレクト、経済的虐待などがあります。

身体的虐待とは、暴力を用いて危害を加えること、または危害を与えかねない扱いをすることです。例として、殴る、押し付ける、ゆさぶる、打つ、拘束する、無理やり食べさせるなどの行為が挙げられます。身体的虐待の可能性を示すものには、理由を説明できないけがや十分に処置されていないけが、ロープの摩擦による熱傷や跡、眼鏡の破損、引っかき傷、切り傷、あざなどがあります。高齢者と訪問者または医療従事者だけの面会を行うことを介護者が拒否した場合、身体的虐待の心配があります。

性的虐待とは、同意なしでの、または力づく(もしくは暴力を示唆する脅迫)による性的接触です。例として、みだらな接触行為やレイプがあります。胸や陰部のあざや、または腟もしくは肛門からの原因不明の出血は性的虐待を示唆しています。ただし、性的虐待により常に身体的な外傷がみられるわけではありません。

心理的虐待とは、精神的ストレスもしくは苦悩を引き起こす言葉の使用または行動をいいます。これには、以下のようなものが含まれます。

  • 脅し、侮辱、厳しい命令

  • 無視(例えば、長期間話さない、または話しかけられても答えないなど)

  • ときに加害者への依存を促すなどの目的で、高齢者を子どものように扱う(幼児化)

心理的虐待を受けた人は、無抵抗で引きこもりがちになったり、不安、または抑うつ状態になる場合があります。

ネグレクトは、高齢者に食事や薬を与えなかったり、不衛生な状態で放置したり、またはその他の必要な世話を怠ることです。 高齢者の中には、自分自身に気を配らなくなる(セルフネグレクト)人もいます。介護者にネグレクトされる人もいます。必需品が故意に取り上げられたり、無責任もしくは怠慢な介護者によって単に忘れられたり、または見落とされたりします。ネグレクトの徴候には以下のものがあります。

  • 体重減少(低栄養による)

  • 皮膚および口の乾燥(脱水による)

  • 不快な臭い(衛生状態が悪い)

  • 殿部やかかとの床ずれ(長い間、同じ姿勢で座ったまま、または寝たままであることによる)

  • 必要な補助具(眼鏡、補聴器、義歯など)をしていない

  • 医師の予約を忘れたり、または病気が明らかに悪化しても医療機関に連れて行ってもらえない

介護者の中には、彼らの高齢者に対する扱いが、理想を下回っている程度の一線を越えて、ネグレクトの扱いになってしまっていることに気づかない人もいます。こうした介護者は、十分かつ適切なケアには何が必要なのかについての感覚が欠如している可能性もあれば、許容される行為と許容されない行為について通常とは異なる考え方をもっている可能性もあります。介護者が最善を尽くしていても、経済的困難など絶望的な状況の結果としてネグレクトが生じることがあります。介護者自身の身体的な制約または精神的な障害により、意思に反して十分なケアを提供できないこともあります。例えば、介護者が高齢者を入浴させることができない場合、または薬を与えるのを覚えていられない場合などです。

経済的虐待とは、高齢者の所有物または資産を搾取することです。これには以下のものがあります。

  • 詐欺

  • 高齢者に資産配分を強要する

  • 高齢者の金銭の無責任な管理

介護者が高齢者の収入の大半を自分で使ってしまい、高齢者にごくわずかしか与えないことがあります。

誰と付き合うか、どのようにお金を使うかなど、生活上の重要事項を決定する自由を制限することも、ときに高齢者の虐待の巧妙な形と考えられます。

危険因子

健康状態にかかわらず、高齢者は虐待を受ける可能性があります。次のような状態に高齢者があるときは、虐待が起こる可能性が高くなります。

  • 身体的にフレイルである(多くの場合、身体障害を伴う慢性疾患により、体力や筋力などが弱っている)

  • 社会的に孤立している

  • 認知症または錯乱がある

加害者が以下のような状態のときにも、虐待が生じやすくなります。

  • 経済的に高齢者に依存しているか、または高齢者とともに生活している

  • アルコールまたは薬物の乱用

  • 統合失調症などの精神障害

  • 過去に暴力をふるった経験がある

  • 経済的問題または家族の死などのストレスがある

  • 介護技術や情報の不足による介護のフラストレーション

  • 病気(認知症など)により(以前は軽度であったとしても)興奮しやすいまたは暴力的になっている

虐待の徴候

医師、看護師、ソーシャルワーカー、友人、家族が虐待の徴候に気づかないことが多々あります。虐待の徴候を他の問題と区別するのが困難な場合があります。例えば、高齢者に股関節骨折がみられる場合、医療従事者はそれが身体的な虐待によるものか、または骨粗しょう症、転倒、もしくはその両方(極めて多い原因)によるものかを区別できません。また、高齢者が錯乱状態にあれば、虐待を訴えても真剣に受け止めてもらえないため、虐待が認識されない場合もあります。

虐待が疑われるとき

高齢者に何らかの問題がある、または何らかの変化があった場合、医療従事者や家族、友人は、虐待が原因になっている可能性を意識すべきです。これらの問題には以下のものがあります。

  • 衛生状態が悪い、または不快な臭いがある

  • 床ずれ

  • 体重減少と口腔乾燥がみられる

  • 眼鏡、補聴器、または義歯がなくなる

  • 複数のあざ、通常、事故でけがをしにくい部分(殿部など)のあざ、または物(調理器具、棒、またはベルトなど)の形をしたあざ

  • ロープの跡

  • 骨折

  • 引っかき傷や切り傷

  • 不安、うつ病、または引きこもりや無抵抗な態度

  • 金銭面での突然の変更(遺言状の変更、金銭もしくはその他の資産の喪失、または高齢者の銀行カードへの名義の追加など)

介護者の以下のような行動も虐待を示唆している場合があります。

  • 高齢者に話をさせない

  • 高齢者を子どものように扱う

  • けがについて信じがたい説明をする

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