( 顔面、骨、関節、および筋肉の先天異常に関する序 顔面、骨、関節、および筋肉の先天異常に関する序 顔面および四肢の先天異常はかなり多くみられます。体の特定の部分、例えば口( 口唇裂または 口蓋裂[こうがいれつ])や足( 内反足)だけが侵されることがあります。多くの異常を伴う遺伝性症候群の一部である場合もあり、その例としては先天異常が顔面だけでなく他の多くの部位にも現れるトリーチャー・コリンズ症候群などがあります。... さらに読む も参照のこと。)
頭蓋縫合
縫合とは、頭蓋骨同士をつないでいる帯状の組織です。縫合によって、中の脳の成長に伴い頭蓋骨が成長することができます。 ![]() |
縫合とは、頭蓋骨同士をつないでいる帯状の組織です。縫合によって、中の脳の成長に伴い頭蓋骨が成長することができます。生後数年間は柔らかいままであり、乳児が成長するに従って閉じて固くなっていきます。縫合が閉じた後は、頭蓋骨はそれ以上大きくなることはできません。
頭蓋縫合早期癒合症は、これらの縫合が早期に閉じることで発生し、それにより、脳と頭蓋骨が正常な形や大きさに成長するのが難しくなります。頭蓋縫合早期癒合症は、自然に発生することもあれば、乳児の遺伝子の変異が原因であることもあります。
この異常は乳児2500人に1人の割合でみられます。頭蓋縫合早期癒合症には、どの縫合が閉じたかに応じていくつかの型があります。
新生児の泉門すなわち柔らかい部分の後方にある縫合の矢状縫合早期癒合症が最もよくみられます。この型の頭蓋縫合早期癒合症では、頭蓋骨が長細くなります(長頭症)。この型の頭蓋縫合早期癒合症患者の約半数に 学習障害 学習障害 学習障害がある小児は、注意力、記憶力、論理的思考力が欠けているため、特定の技能や情報を習得したり、記憶したり、幅広く使ったりすることができず、学業成績にも影響が出ます。 学習障害の小児は、色の名前や文字を覚えたり、数を数えたり、読み書きを習得したりすることが遅れる場合があります。 学習障害の小児は、学習の専門家のもとで一連の学力検査や知能検査を受け、医師が確立された基準を適用して診断を下します。... さらに読む が生じます。
泉門の左右にある縫合の冠状縫合早期癒合症が次に多くみられます。この型の頭蓋縫合早期癒合症では、泉門の両側の縫合が閉じた場合は頭蓋骨が短く幅広になり(短頭症)、泉門の片側の縫合だけが閉じた場合は頭蓋骨の形が斜めになります(斜頭症)。この型の頭蓋縫合早期癒合症患児では、顔面や頭蓋骨に他の異常がよくみられます。
頭蓋縫合早期癒合症は身体診察の際に特定することができます。乳児の血液サンプルを分析して遺伝子検査を行い、染色体や遺伝子の異常がないか調べます。この検査は、特定の病気が原因なのかどうかを判断し、他の原因を否定するために役立ちます。頭蓋骨や脳の画像検査を行うこともあります。
通常、頭蓋縫合早期癒合症は手術で修復します。ただし、ごく軽度の頭蓋縫合早期癒合症の乳児では、手術の必要がない場合があります。ときには、特殊なヘルメットを着用することで、乳児の頭蓋骨がより整った形になるよう助けることもできます。