頭蓋縫合早期癒合症

執筆者:Simeon A. Boyadjiev Boyd, MD, University of California, Davis
レビュー/改訂 2022年 9月
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頭蓋縫合早期癒合症は、1カ所以上の頭蓋骨の縫合が早期に閉鎖する先天異常です。

先天異常あるいは先天奇形とは、出生前の段階で生じた身体的な異常のことです。「先天」とは、「生まれたときから存在する」という意味です。(顔面、骨、関節、および筋肉の先天異常に関する序も参照のこと。)

頭蓋縫合

縫合とは、頭蓋骨同士をつないでいる帯状の組織です。縫合によって、中の脳の成長に伴い頭蓋骨が成長することができます。

縫合とは、頭蓋骨を構成している別々の骨同士をつないでいる帯状の組織です。頭蓋骨は一つの骨ではありません。縫合によって、中の脳の成長に伴い頭蓋骨が成長することができます。生後数年間は柔らかいままであり、乳児が成長するに従って閉じて固くなっていきます。縫合が閉じた後は、頭蓋骨はそれ以上大きくなることはできません。

頭蓋縫合早期癒合症は、これらの縫合が早期に閉じることで発生し、それにより、脳と頭蓋骨が正常な形や大きさに成長するのが難しくなります。頭蓋縫合早期癒合症は、自然に発生することもあれば、乳児の遺伝子の変異が原因であることもあります。

この異常は乳児2500人に1人の割合でみられます。頭蓋縫合早期癒合症には、どの縫合が閉じたかに応じていくつかの型があります。

頭の上部にあって新生児の泉門すなわち柔らかい部分から頭の後方までを走っている矢状縫合の早期癒合症が最もよくみられます。この型の頭蓋縫合早期癒合症では、頭蓋骨が長細くなります(長頭症)。この型の頭蓋縫合早期癒合症患者の約半数に学習障害が生じます。

矢状縫合早期癒合症
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この写真には、矢状縫合早期癒合症の生後6週間の乳児が写っています。矢状縫合早期癒合症は、狭く長い頭蓋変形(長頭症)につながります。
© Springer Science+Business Media

泉門の左右に横方向に走っている縫合の冠状縫合早期癒合症が次に多くみられます。この型の頭蓋縫合早期癒合症では、泉門の両側の縫合が閉じた場合は頭蓋骨が短く幅広になり(短頭症)、泉門の片側の縫合だけが閉じた場合は頭蓋骨の形が斜めになります(斜頭症)。この型の頭蓋縫合早期癒合症患児では、顔面や頭蓋骨に他の異常がよくみられます。

冠状縫合早期癒合症(左側)
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この写真には左側に冠状縫合早期癒合がみられる生後10週間の乳児が写っています。この異常によって、額の右側がより突出して見え、眼の位置が同じ高さではなくなっています。
© Springer Science+Business Media

頭蓋縫合早期癒合症の診断

  • 医師による評価

  • 場合により、CT検査などの画像検査

  • ときに遺伝子検査

頭蓋縫合早期癒合症は身体診察の際に特定することができます。

頭蓋骨や脳の画像検査を行うこともあります。

頭蓋縫合早期癒合症のある乳児に対しては、遺伝専門医が診察を行うことがあります。遺伝専門医とは、遺伝学(遺伝子と、特定の性質や形質が親から子にどのように受け継がれるかについての科学)を専門とする医師です。乳児の血液サンプルの遺伝子検査を行い、染色体や遺伝子の異常がないか調べることがあります。この検査は、特定の遺伝性疾患が原因なのかどうかを判断し、他の原因を否定するために役立ちます。

頭蓋縫合早期癒合症の治療

  • 手術

  • ときに特殊なヘルメットの使用

通常、頭蓋縫合早期癒合症は手術で修復します。ただし、ごく軽度の頭蓋縫合早期癒合症の乳児では、手術の必要がない場合があります。ときには、特殊なヘルメットを着用することで、乳児の頭蓋骨がより整った形になるよう助けることもできます。

頭蓋縫合早期癒合症の形成に遺伝子の異常が関与している可能性があるため、患者がいる家族には遺伝カウンセリングが有益なことがあります。

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