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青年期の物質使用および物質乱用

執筆者:

Sharon Levy

, MD, MPH, Harvard Medical School

最終査読/改訂年月 2017年 3月
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青年の物質使用は、試してみただけのものから重度の物質使用障害まで様々です。物質使用は、試してみただけの使用も含め、いずれも青年を事故、けんか、軽率なまたは望んでいない性行為、過剰摂取などの短期的な問題のリスクにさらします。青年は物質使用の効果に対して影響を受けやすく、精神障害、学業の不振、物質使用障害など、長期的な影響が生じる高いリスクがあります。

リスクを侵しスリルを求めることは、青年が正常に発達する上で必要ですが、現代の欧米社会では物質使用がこれらを満たす簡単な方法となっています。そのため、物質使用は青年が年齢を重ねるとともによくみられるようになり、青年の約70%は高校卒業までに飲酒を試します。しかしながら、物質使用を繰り返したり持続的に行ったりすることは、それよりもはるかにまれです。物質使用は、ときおり行う場合でさえリスクが高く、大人がそれを軽視したり、無視したり、許したりしてはいけません。アルコール、タバコ、処方薬、その他の物質の使用に関して、親自身の姿勢や模範的行動のもつ影響力は甚大です。

青年期の問題に関する序も参照のこと。)

青年の飲酒

アルコールは、青年の間で最もよく使用される物質です。高校3年生の約70%が飲酒を試みたことがあると回答していますが、酔っ払ったことがあると答えたのは55%だけでした。高校3年生の約50%が過去1カ月間に飲酒をし、現在、飲酒者であるとされています。大量の飲酒もよくみられ、青年のアルコール摂取のほぼ90%は暴飲で起きています。一般的に、暴飲は2時間以内に4杯以上飲むこととされています。しかしながら、体型の小さい人、例えば若年の女児などでは、2杯のアルコールでも十分に酔い、暴飲とみなされます。暴飲により、青年は事故、けが、軽率なまたは望まない性行為、その他の不幸な状況に置かれるリスクにさらされます。これらの理由から、青年が飲酒しないようにすべきです。

社会やメディアで、飲酒は容認されているものとみなされるだけでなく、あたかも「かっこいい」ものであるかのように描かれています。たとえこのような影響があっても、親が青年に対して、飲酒に関してどのような行動を望んでいるかを明確に伝え、これ以上のことはしてはいけないという行動制限を一貫して示して青年を見守っていれば、状況を変えられます。一方、家族が過度に飲酒をする場合には、このような行為が容認されるものと青年は考えることがあります。飲酒を試みる青年の中には、そのままアルコール使用障害を発症する人もいます。アルコール使用障害の危険因子は、低年齢で飲酒を開始することや遺伝的要因などです。家族内にアルコール使用障害の患者がいる青年は、アルコール使用障害の発生リスクが高いことを認識すべきです。

青年のタバコの使用

タバコを吸う成人の大多数は、青年期に喫煙を始めています。年齢の低い小児でもタバコを試すことがあります。2015年には高校生の約11%が現在タバコを使用している(過去30日以内に喫煙した)と答えており、1991年の27.5%から減少しています。毎日喫煙すると答えた高校生は2%程度にすぎません。米国では、中学3年生の7~8%が定期的に喫煙していると答えています。米国では、毎日2000人以上が新たに喫煙を開始しています。この新しい喫煙者のうち、31%が16歳未満であり、50%以上が18歳未満です。19歳までにタバコを試さなければ、成人になって喫煙者になる可能性は非常に低くなります。

青年の喫煙で、最も強力な単独の危険因子は以下のものです。

  • 両親が喫煙をする

小児期の喫煙開始と関連することの多い危険因子には、以下のものがあります。

  • 友人およびロールモデル(有名人など)の喫煙

  • 学業成績の不振

  • 他のリスクの高い行動(過度のダイエット[特に女子]、暴力によるけんかおよび飲酒運転[特に男子]、飲酒やその他の薬物使用など)

  • 問題解決能力が低いこと

  • タバコが入手できること

  • 自尊心が低いこと

青年が他の形態のタバコを使用することもあります。18歳以上の約3.3%および高校生の約7.9%は、無煙タバコを使用しています。無煙タバコは噛んだり(噛みタバコ)、下唇と歯ぐきの間に入れたり(ディッピングタバコ)、鼻から吸ったり(嗅ぎタバコ)して使用します。パイプによる喫煙は、米国では比較的まれですが、1999年以降、中学生および高校生の間で使用者が増加しています。12歳以上で葉巻を吸う人の割合は減少しています。

親は、好ましいロールモデルとなったり(すなわち、喫煙したり、噛みタバコを使用したりしない)、タバコの害について小児と率直に話し合ったりすることで、小児を喫煙や無煙タバコの使用から守ることができます。すでに喫煙したり無煙タバコを使用したりしている青年には、必要なら医療機関の受診を支援するなど、禁煙を奨励して手助けすることもできます({blank} 小児と青年における禁煙)。

電子タバコ

電子タバコ(eタバコ、ベイプ)も人気を博しつつあり、タバコの安全な代用品と誤解される可能性があります。電子タバコは、強い習慣性をもたらす成分である液体ニコチンを含んでいます。液体ニコチンを加熱すると蒸気となり、これを吸入します。タバコの燃焼生成物がないため、このような生成物が健康に対して同じ悪影響をもたらすわけではありません。しかし、ニコチンには強い習慣性があり、ニコチン中毒になる可能性があります。液体ニコチンにはその他の成分もいくつか含まれており、そのうちのいくつかは有毒である可能性がありますが、その長期的な影響は分かっていません。電子タバコからの蒸気には、ニコチンとその他の成分の両方が含まれています。

電子タバコは青年におけるニコチン曝露の最初の形態として広まりつつありますが、成人の喫煙率に対する電子タバコの影響はよく分かっていません。米国疾病予防管理センター(CDC)によると、中学生、高校生における現在の電子タバコの使用率は2013年の4.5%から2014年の13.4%、2015年の24.1%へと著しく増加しています。米国の高校生の約45%が、電子タバコを試みたことがあると答えています。

その他の物質

青年におけるその他の物質の使用も依然として深刻な問題です。CDCが年に一度行う、全米の高校生を対象としたThe Youth Risk Behavior Surveillance nationwide surveyによると、2015年には21.7%の高校生がマリファナを現在使用していると答えています(ピーク時であった1995年の25.3%を下回る)。約39%が今までに1回以上マリファナを使用したことがあると答えています。2010年には、マリファナの現在使用率がタバコの現在使用率を初めて上回りました。

同じ調査によると、今までに1回以上違法物質を使用したことがあると答えた高校生の割合は以下の通りです。

マリファナや合成カンナビノイドの使用が増加しており、最近ではタバコの使用を上回っています。吸入物の使用(シンナー遊び)も問題であり、年齢の低い青年で特に大きな問題になります。

処方薬のうち特に乱用されるものとして、オピオイド(麻薬系)鎮痛薬、抗不安薬、刺激薬(注意欠陥障害に対して使用されるメチルフェニデートや類似の薬)などがあります。

非処方薬(市販薬)のうち特に乱用されるものとして、デキストロメトルファンを含有するせき止め薬やかぜ薬があります。青年では現状、アルコールとマリファナを除く他のどの物質よりもこれらの薬の乱用がよくみられます。市販のせき止め薬やかぜ薬は、広く入手可能であり、多くの青年によって安全であると考えられており、現在では麻薬への入り口になっています。青年期の初期でも薬物を試そうとすることがあり、12歳という若さでの薬物使用が報告されています。市販薬、処方薬、その他の物質を試す青年の多くは、そのまま物質使用障害を発症します。

高校生の約3.5%は、タンパク同化ステロイドの使用経験があります。ステロイドの使用は運動選手でより多くみられるものの、運動選手以外も使用しないわけではありません。タンパク同化ステロイドの使用にはいくつかの副作用がありますが、このなかに骨の先端にある成長板が早期に閉じてしまうために、低身長となる副作用があります。その他の副作用は、青年も成人も同じです。

次のような行動などがみられる場合、親はすぐに子どもや主治医と心配事について話し合うべきです。

  • 常軌を逸した行動

  • うつ病や気分変動

  • 友達の変化

  • 学業成績の低下

  • 趣味への興味の喪失

薬物やそれを使用するための道具(パイプ、注射器、秤など)を見つけた親は、心配していることを子どもに話すべきです。

小児の主治医の定期的な健診時には、秘密を守ると約束した上で、医師が物質使用に関する質問を小児に聞いてくれるはずです。医師は、青年が物質使用障害を有しているかを評価する手助けをし、適切な介入を行うか、専門医を紹介することができます。評価の中で薬物検査が有用なこともあるでしょうが、大きな限界もあります。検査を行う前に薬物が体内から完全に排泄されている場合や、使用された薬物が標準的な検査に含まれていない場合、また、サンプルの尿が汚染されている場合には、青年が実際に薬物を使用していても尿検査の結果は陰性となることがあります。また、ときに、薬物を使用していない青年の検査結果が陽性となることもあります(偽陽性)。真陽性の結果であっても、使用頻度や依存度が示されるわけではなく、一時的な使用であるか、より深刻な問題であるかの区別はできません。このような限界があることから、この分野に精通した医師は個々の状況に応じて薬物検査が必要であるかどうかを判断する必要があり、親は主治医のアドバイスを尊重しなければなりません。親が薬物検査の実施を求めたり、医師と子どもの秘密を破るような情報の提供を迫ったりすると、敵対した雰囲気が生じかねず、その結果、意図せず、医師が物質の正確な使用歴を得ることができなくなったり、子どもとの信頼関係を築けなくなったりすることがあります。

医師が青年に物質使用障害があると考える場合、さらに詳しい検査と治療を行うため、専門医への紹介が必要になる場合もあります。 一般に、成人の物質使用障害に対する同様の治療を、青年に対しても行うことが可能です。しかしながら、治療は各青年のニーズに応じて調整する必要があります。青年には、青年の物質使用障害の治療に精通した療法士によって、青年向けのプログラムに準拠した治療が行われるべきです。一般的には、青年には成人と同じプログラムで治療を行うべきではありません。

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