心理的および社会的問題、特に行動および学校での問題が関与するものは、小児期のいずれの時期よりも青年期に多くみられます。青年は自立心が強く、また自由に動けるため、成人の直接的なコントロール下にはないことがよくあります。不適切な行動の程度がひどくなり、頻度も多くなった場合には、精神医療専門家により、青年に心理社会的な病気がないか評価してもらうべきです。特に、うつ病、不安症、摂食障害が青年期によくみられます。不安症または気分障害がある青年では、 疲労 疲労 疲労とは、休む必要性を強く感じ、活動を開始したり維持したりするのが困難になるほどエネルギーが不足した状態です。運動や長期のストレス、睡眠不足などの後にみられる疲労は正常です。しかし、疲労が増大したり、以前は疲労の原因にならなかった活動の後に生じたりする場合には、その疲労は何らかの病気の症状(ときに最初の症状)である可能性があります。... さらに読む や 慢性疲労 慢性疲労症候群 慢性疲労症候群とは、身体診察や臨床検査で客観的な異常が認められない状況で、日常生活を送れないほどの重度の疲労感が長期間続く状態をいい、その原因は、身体的なもの、精神的なものを含め分かっていません。 患者には説明がつかない疲労が6カ月以上継続します。 疲労の症状は、ウイルス感染症様の症状が出ているときかその後で現れることがあります。... さらに読む 、めまい、頭痛、腹痛、胸痛といった身体症状がみられることもあります。
( 青年期の問題に関する序 青年期の問題に関する序 ほとんどの小児にとって、青年期は身体的な健康状態が良好な期間です。青年で最もよくみられる問題は、以下のものと関連しています。 成長と発達 学校 青年期まで持続した小児期の病気 精神障害 さらに読む も参照のこと。)
うつ病 小児と青年におけるうつ病および気分調節症 うつ病では、悲しみ(あるいは小児と青年ではいらだち)の感情や、活動への興味の喪失などがみられます。うつ病では、これらの症状が2週間以上続き、日常生活に支障をきたすようになるか、かなりの苦痛が生じます。 喪失体験などの悲しい出来事の直後に生じることがありますが、悲しみの程度がその出来事とは不釣り合いに強く、妥当と考えられる期間より長く持続します。気分調節症では、いらだちが続き、制御できない行動が頻繁にみられます。... さらに読む は青年によくみられ、医師は診察中に積極的にうつ病のスクリーニングを行います。
自殺 小児と青年における自殺行動 自殺行動とは、自分に害をなすことを意図した行動で、自殺演技、自殺企図、および自殺既遂が含まれます。希死念慮とは、自殺について考え計画することを指します。自殺企図とは、首つりや入水など、死亡につながる可能性がある自傷行為を指します。 うつ病などの精神障害がある小児では、ストレスになる出来事が引き金となって自殺することがあります。 自殺の危険性のある小児は、抑うつや不安があったり、何もやりたがらず引きこもっていたり、死に関する話をしたり、急... さらに読む はまれですが、自殺を考えること(希死念慮と呼ばれます)はそれより多くみられます。希死念慮がある場合は、直ちに精神的健康状態の評価が必要です。問題の深刻さは親だけで決めるべきではありません。
不安症 小児と青年における不安症の概要 不安症(不安障害とも呼ばれます)は、実際の状況と釣り合わない強い恐怖、心配、脅威によって日常生活に大きな支障をきたすことを特徴とする病気です。 不安症には多くのタイプがありますが、恐怖や心配が向けられる主な対象によって区別されます。 不安症の小児の多くは、腹痛などの身体症状を理由に学校へ行くことをしばしば拒みます。 通常は症状に基づいて診断を下しますが、ときに検査を行って、しばしば不安によって引き起こされる身体症状が生じる病気がほかにな... さらに読む は、 気分障害 小児と青年におけるうつ病および気分調節症 うつ病では、悲しみ(あるいは小児と青年ではいらだち)の感情や、活動への興味の喪失などがみられます。うつ病では、これらの症状が2週間以上続き、日常生活に支障をきたすようになるか、かなりの苦痛が生じます。 喪失体験などの悲しい出来事の直後に生じることがありますが、悲しみの程度がその出来事とは不釣り合いに強く、妥当と考えられる期間より長く持続します。気分調節症では、いらだちが続き、制御できない行動が頻繁にみられます。... さらに読む 、また 反抗挑発症 反抗挑発症 反抗挑発症(反抗挑戦性障害とも呼ばれます)は、否定的、反抗的、不服従の行動を繰り返し起こす病気で、多くの場合、権威のある人物が対象になります。 反抗挑発症のある小児は、頑固で気難しく、人の言うことを聞かず、怒りっぽくなりますが、身体的攻撃性や実際に他者の権利を侵すことはありません 。反抗挑発症は軽度の素行症とみなされる場合もありますが、これら2つの病気には明確な相違点があります。反抗挑発症とは異なり、素行症の小児は良心に欠けているように... さらに読む や 素行症 素行症 素行症(行為障害とも呼ばれます)は、他者の基本的な権利を侵害する行動を繰り返し起こす病気です。 素行症の小児は、わがままで他者への思いやりがなく、罪悪感にさいなまされることなく、いじめたり、他者の持ち物に損害を与えたり、嘘をついたり、盗んだりします。 診断は現在と過去の小児の行動に基づいて下されます。 精神療法が助けになることもありますが、最も効果的な治療法は、問題の多い環境から小児を引き離し、代わりに精神衛生施設などの厳格に統制された... さらに読む などの破壊的行動障害と同様、しばしば青年に現れます。
思考障害は空想と現実の区別が困難になる障害(精神病性障害とも呼ばれる)で、最も一般的には青年期から成人期初期にかけて発生します。精神病が初めて現れた際は、精神病的変化と呼ばれます。思考障害の例として 統合失調症 小児と青年における統合失調症 統合失調症は、思考、知覚、対人関係における行動の異常を伴い、対人関係や生活機能にかなりの問題を引き起こす慢性的な病気です。 6カ月以上持続します。 統合失調症は、脳の化学的な異常や、脳の発達中に生じた問題から発症するのだろうと考えられています。 青年は引きこもり、異常な感情を抱くようになり、通常は幻覚や妄想が生じます。 医師は検査を行って、考えられる他の原因の可能性を否定します。... さらに読む 、 統合失調感情障害 があります。精神病症状がみられる期間は薬物使用と関連している可能性があります。このようなケースでは、精神病症状はしばらくすると消失することがあります。精神病症状の発現は、特に食用の マリファナ マリファナ マリファナにより、夢幻状態、幸福感、知覚のゆがみが生じます。 マリファナを長期にわたって使用した場合、精神依存が起こることがあります。 使用をやめても軽い症状が現れるだけです。 マリファナは使用後数日から数週間尿中に検出されます。 治療はカウンセリングですが、やめる意志がある人でのみ有効です。 さらに読む 製品で起こることがあります。
摂食障害 摂食障害の概要 摂食障害とは、摂食または摂食に関連する行動に異常がみられる精神障害であり、典型的なものとして以下のものが挙げられます。 食べる物または食べる量の変化 食物が吸収されないようにするために取る手段(例えば、意図的に嘔吐する、下剤を使用する) 異常な摂食行動を精神障害とみなすには、その行動が一定期間持続していることに加えて、本人の身体的な健康や... さらに読む は特に女子においてよくみられ、生命を脅かすことがあります。青年の中には、摂食障害の症状を隠すため、食事を大幅に減らす、食後の排出行動、下剤の使用あるいは過度に激しい運動などの思いもつかないようなことをする者もいます。
医師はたいていの場合、これらの問題を特定することができます。医師は青年に実践的なアドバイスを与え、適切な場合には、専門家による治療を青年が受け入れるよう促します。