性行為を行う青年が多い一方で、避妊や妊娠、ヒト免疫不全ウイルス(HIV) ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症とは、ある種の白血球を次第に破壊し、後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすことのあるウイルス感染症です。 HIVは、ウイルスやウイルスに感染した細胞を含む体液(血液、精液、腟分泌液)と濃厚に接触することで感染します。 HIVはある種の白血球を破壊し、感染症やがんに対する体の防御機能を低下させます。... さらに読む を含む性感染症 性感染症(STD)の概要 性感染症(性病)とは、例外はあるものの、一般的には性的接触によって人から人に感染する病気のことです。 性感染症を引き起こす病原体の種類としては、細菌、ウイルス、原虫などがあります。 キスや濃厚な体の接触を介して広がる感染症もあります。 感染が体の他の部分に広がり、ときには深刻な結果に至る場合もあります。... さらに読む
について、十分な情報を与えられていないことがあります。青年が衝動的に、計画性なく、薬物やアルコールを摂取しながら性行為を行うと、避妊法や性感染症予防(コンドームなど)を行う可能性が低下します。
(青年期の問題に関する序 青年期の問題に関する序 ほとんどの小児にとって、青年期は身体的な健康状態が良好な期間です。青年で最もよくみられる問題は、以下のものと関連しています。 成長と発達 学校 青年期まで持続した小児期の病気 精神障害 さらに読む も参照のこと。)
避妊
成人が行う避妊法 避妊の概要 避妊とは、妊娠を防止することを目的として、精子と卵子の受精や受精卵の子宮内膜(子宮の内側を覆っている組織)への着床を阻止することをいいます。 避妊は、妊娠の回数や時期をコントロールする方法(家族計画)の1つです。ほかの方法には、不妊手術(永久的に妊娠を避けるために行う)や、中絶(避妊に失敗した場合や避妊を行わなかった場合の意図しない妊娠を... さらに読む はいずれも青年が使用できますが、最大の問題は実際に用いるかどうかです。例えば、青年期の女子の多くが、経口避妊薬の定期的な服用を忘れたり、服用をやめたりしますが、多くの場合、それに代わる避妊法を実践しません。避妊法の中で、男性によるコンドームの使用は頻度が最も高いものの、いまだに性行為の際に必ず使用することを是としない考え方があります(例えば、コンドームの使用は快感を減少させるとか、「ロマンチックな雰囲気を壊す」といった見方)。性交の際に、男性パートナーにコンドームを使うように頼めない女子もいます。最近、月1回の注射などによる長期的な避妊法が青年期の女子の間で人気を高めつつあります。
妊娠
青年にとって、妊娠は大きな精神的ストレスとなります。
この時期に妊娠した女子とそのパートナーは、学校や職業訓練を中退しがちです。その結果、経済状態が悪化し、自尊心が低くなり、人間関係にひずみが出ます。青年期に妊娠した場合(米国の妊娠総数の13%)、成人と比べて出生前ケアを受けない傾向があるため、高い早産率などの望ましくない妊娠結果が生じます。 青年期に妊娠した場合、特に、非常に若くして妊娠し出生前ケアも受けていない場合には、20代の女性に比べて、貧血 妊娠中の貧血 貧血は第3トリメスター(訳注:日本の妊娠後期にほぼ相当)に最大3分の1の妊婦に起こります。貧血の最も一般的な原因は以下のものです。 鉄欠乏症 葉酸欠乏症 (貧血も参照のこと。) 遺伝性貧血(鎌状赤血球症、ヘモグロビンSC病、一部のサラセミア)がある場合は、妊娠中に問題が生じるリスクが高くなります。人種、民族的背景、または家族歴からこのような疾患のいずれかの発生リスクが高い場合には、分娩前に定期的にこれらの疾患の有無を確認する血液検査を行... さらに読む (十分な量の健康な赤血球が体にない状態)や妊娠高血圧腎症 妊娠高血圧腎症および子癇 妊娠高血圧腎症は過剰な尿タンパクを伴う高血圧で、妊娠20週以降に発症するものです。子癇(しかん)は妊娠高血圧腎症の女性に起こるけいれん発作で、ほかに原因がないものをいいます。 妊娠高血圧腎症によって胎盤剥離や早産が起こりやすくなり、出生直後の新生児に問題が生じるリスクが高まります。 妊婦の手足がむくむことがあり、重度の妊娠高血圧腎症で治療しないと、けいれん発作(子癇)や臓器損傷が起こることがあります。... さらに読む (高血圧とタンパク尿により胎児にストレスがかかる可能性がある)などの病気がみられる可能性が高まります。
若い母親(特に15歳未満)から生まれた乳児は、未熟児であったり、低出生体重である可能性がより高くなります。しかし、適切な出生前ケアを受けた場合、青年期後半の女子の妊娠に関わるリスクは、同様のケアを受けた成人の女性と比べて高いわけではありません。
青年が妊娠中絶を決定する場合もあります。 中絶 中絶 人工妊娠中絶は、手術や薬剤などの医学的手段によって妊娠を人為的に終わらせることです。 手術で子宮の内容物を取り除くか、あるいは特定の薬剤を服用することで妊娠を終わらせます。 訓練を受けた医療従事者が医療機関内で中絶を行った場合、合併症の発生はまれです。 人工妊娠中絶を受けることで以後の妊娠中の胎児、妊婦のリスクが上昇することはありません。 世界各地での人工妊娠中絶の扱いは、法的に禁止されていたり、希望に応じて可能であったりと様々です。現... さらに読む を行っても、望まない妊娠による心理的な問題が、妊娠した女子やそのパートナーのいずれにとっても解消するわけではありません。以下の時点で、情緒面の危機が起こる可能性があります。
妊娠を診断された時点
中絶すると決定した時点
中絶を行った直後
子どもが生まれてきたであろう日
これらのことが起こった毎年の日付
妊娠した女子は、子どもを自分の意思で諦めたり(養子制度 養子制度 養子制度とは、ある家庭に第三者をその家族の子どもとして迎える法律上の手続きです。すべての養子は法廷によって有効と認められなければなりません。養子制度は、フォスターケアとは異なり、永久に続くものとされています。養子制度の目的は、子どもと養父母の家族に、生涯にわたる保証を提供することです。現在、米国には18歳未満の養子が200万人以上います。 孤児になった小児は、言うまでもなく養子の候補です。米国では、親が自ら進んで子どもを手放した場合や、... さらに読む )、自分自身やパートナーと一緒に、しばしば家族の支援のもとで、子どもを育てようと決めることがあります。
これらの選択肢のいずれも精神的ストレスの原因になります。避妊法に関する家族カウンセリングと教育は、女子とパートナーの双方にとって非常に役立ちます。
自分の娘の妊娠が分かったときや、息子が誰かを妊娠させたと分かったとき、親が示す反応は様々です。 無関心や失望、怒りまで、多様な感情が起こりえます。息子や娘がどのような選択をするにしても、親は彼らを支え助ける意思があると伝えることが大切です。中絶、養子縁組、育児のいずれの選択肢も、青年が1人で取り組むには困難なため、親子で率直に話し合う必要があります。