乳児期から腸閉塞が起きる場合もあります。
診断は身体診察とX線検査の結果に基づいて下されます。
異常を治すための手術が必要です。
肛門は消化管の最後に位置する開口部で、体から便を排泄する場所です。 直腸 直腸と肛門 直腸は大腸の終わりのS状結腸に続く部分から始まり、最後は肛門へと続く管腔です( 肛門と直腸の概要)。普通、便は下行結腸にとどまっているため、直腸は空になっています。やがて、下行結腸がいっぱいになり、便が直腸に下りてくると便意が起こります(排便)。成人や年長児はトイレに行くまで便意を我慢することができます。乳児や幼児では、排便を遅らせるのに必要な筋肉の制御が足りません。 肛門は消化管の最後に位置する開口部で、体から便を排泄する場所です。肛... さらに読む は、排便時まで便を一時的に貯めておくための袋状の形をした大腸の一部です。肛門直腸奇形があると、肛門があるはずの部分が皮膚で覆われていることがあり、その皮膚は厚さが数センチメートルに及ぶ場合もあれば、ただの薄い膜である場合もあります。肛門の開口部が狭くなっている場合や、開口部がまったくない場合もあります。
鎖肛は、胎児が成長していく過程で腸が正常に発育しない場合に発生します。腸が正常に発育しない理由は不明です。
鎖肛がある乳児の大半では、肛門と尿道、会陰部(尿道と肛門の間の部分)、腟、まれに膀胱との間に何らかの異常な接続(瘻孔[ろうこう])が形成されます。鎖肛は他の先天異常(脊椎、 心臓 心臓の異常の概要 約100人に1人は心臓に異常をもって生まれます。重症の場合もありますが、多くはそうではありません。心臓の異常には心臓壁、弁、心臓に出入りする血管の異常形成などがあります。 哺乳不良、呼吸困難、青みがかった皮膚、正常に発育しない、あるいは正常に運動できない、速い心拍、失神のほか、乳児が成長するに従って運動中の胸痛といった症状がみられます。... さらに読む 、 腎臓 腎臓の異常 腎臓(左右に2つあって血液から老廃物をろ過して尿を作っている臓器)に生じる先天異常がいくつかあります。そのような異常は、通常は医師による診察では明らかにならず、 尿路を評価する検査を行う必要があります。 ( 尿路の先天異常の概要も参照のこと。) 腎臓の先天異常には多くの種類があります。そのような異常の多くは以下の変化をもたらします。 尿が腎臓から出る流れを妨げたり遅くしたりする... さらに読む 、 四肢 四肢の欠損または形成不全 出生時に、四肢の欠損や変形、発育不全がみられることがあります。 四肢の形成に異常がみられることがあります。例えば、遺伝的異常のため、手や前腕の骨が欠損していたり( 染色体異常を参照)、ときには手や足の一部または全部が欠損している場合があります。四肢の正常な発達が子宮内で中断することもあります。羊膜索症候群では、羊膜腔(子宮内で発育中の胎児の周囲を満たす羊水が入っている袋)から出た細い組織の束によって腕や脚が締めつけられ、その発育に異常が... さらに読む の異常など)と一緒に発生するのが一般的です。また、 気管食道瘻 食道閉鎖と気管食道瘻 食道閉鎖とは、食道が狭くなっていたり行き止まりになっていたりする状態です。食道閉鎖症がある新生児の大半では、食道と気管の間に気管食道瘻(ろう)と呼ばれる異常な連絡路があります。 正常な場合、長いチューブ状をした器官である 食道は口と胃をつないでいます。食道閉鎖症では、食物は、食道から胃へ送られるのが遅くなるか、送られなくなります。 食道閉鎖症と気管食道瘻がみられる小児の多くでは、脊椎、... さらに読む や 食道閉鎖 食道閉鎖と気管食道瘻 食道閉鎖とは、食道が狭くなっていたり行き止まりになっていたりする状態です。食道閉鎖症がある新生児の大半では、食道と気管の間に気管食道瘻(ろう)と呼ばれる異常な連絡路があります。 正常な場合、長いチューブ状をした器官である 食道は口と胃をつないでいます。食道閉鎖症では、食物は、食道から胃へ送られるのが遅くなるか、送られなくなります。 食道閉鎖症と気管食道瘻がみられる小児の多くでは、脊椎、... さらに読む を合併していることもあります。
鎖肛のある乳児は生後も正常な排便ができません。異常を治療しない場合、最終的には 腸閉塞 腸閉塞 腸閉塞とは、腸管内で食べもの、水分、消化分泌液、ガスの通過が完全に止められているか、深刻な通過障害が起きている状態のことです。 成人で最も一般的な原因は、以前に受けた腹部の手術による瘢痕(はんこん)組織、ヘルニア、腫瘍です。 痛み、腹部膨満、食欲不振がよくみられます。 診断は、身体診察とX線検査の結果に基づいて下されます。 閉塞を取り除くための手術がしばしば必要になります。 さらに読む を起こします。腸閉塞とは、腸内での内容物の通過が完全にせき止められているか、深刻な通過障害が起きている状態のことです。乳児の腸閉塞の症状としては、痛み、易刺激性、嘔吐、腹部の膨隆などがあります。
(消化管先天異常の概要 消化管先天異常の概要 消化管の発達が不完全である、または位置が異常であるために通過障害を起こすことがあり、また消化管の筋肉や神経に異常があることもあります。 症状は異常のある部位によって変わってきますが、けいれん性の腹痛、腹部の膨満、嘔吐などがみられます。 診断は通常、画像検査とその他の検査の結果に基づいて下されます。... さらに読む も参照のこと。)
診断
身体診察
X線検査
症状が現れる前に、医師が新生児を生後初めて診察した際に肛門を見て異常に気づくこともよくあります。
治療
手術
鎖肛では通常、便を出すための経路を作り、瘻孔を閉じる手術をすぐに行う必要があります。ただし、ときに一時的人工肛門造設術という手術を最初に行う場合もあります。この手術では、外科医が腹壁に穴をあけて大腸とつないで、腹壁に取り付けた合成樹脂製のバッグの中に便を出せるようにします。人工肛門は、乳児が成長して、修復が必要な構造が大きくなるまで残しておきます。異常を修復する手術が完了したら、人工肛門は閉鎖します。