このような感染症は、細菌、ウイルス、真菌が原因で起こります。
症状は様々ですが、嘔吐、発熱、発疹などがみられます。
診断は通常、身体診察の結果に基づいて下されます。
感染の拡大を防ぐには、手洗いなどの様々な対策が有用です。
感染症の治療は、原因によって異なります。
(新生児の感染症の概要 新生児の感染症の概要 感染症はどの年齢の人にも発生しますが、新生児、特に 早産児は免疫系が未発達で感染症にかかりやすいため、特に大きな懸念事項となります。特定の防御 抗体が胎盤(胎児に栄養を供給する器官)を介して母親から胎児に移行するとはいえ、胎児の血液中の抗体のレベルは感染症を阻止できるほど高くないためです。... さらに読む も参照のこと。)
子宮内で母親から感染したり分娩中に感染したりするのではなく、新生児が新生児室に入った後にかかる感染症もあります。ときに、感染症の発生源が母親なのか病院の環境なのかはっきりしない場合があります。病院でかかる感染症は、主に長期入院が必要な新生児、例えば、 早産児 早産児 早産児とは、在胎37週未満で生まれた新生児です。生まれた時期により、早産児の臓器は発達が不十分であるため、子宮外で機能する準備がまだできていないことがあります。 早産の既往、多胎妊娠、妊娠中の栄養不良、出生前ケアの遅れ、感染症、生殖補助医療(体外受精など)、および高血圧などがある場合に、早産児を出産するリスクが高くなります。 多くの臓器の発達が不十分であるため、早産児では呼吸したり哺乳したりすることが難しく、脳内出血、感染症や他の異常が... さらに読む や重篤な疾患を有する満期産児で問題となります。
最も一般的な院内感染症は、 肺炎 肺炎の概要 肺炎は、肺にある小さな空気の袋(肺胞)やその周辺組織に発生する感染症です。 肺炎は、世界で最も一般的な死因の1つです。 重篤な慢性の病気が他にある患者において、肺炎はしばしば最終的な死因となります。 肺炎の種類によっては、ワクチンの接種によって予防できます。 米国では、毎年約200~300万人が肺炎を発症し、そのうち約6万人が死亡していま... さらに読む (肺の感染症)と、新生児に水分または薬を投与するために静脈内に挿入されたカテーテルに起因する血液感染症(菌血症 菌血症 菌血症とは血流に細菌が存在する状態をいいます。 菌血症は、日常的な行為(激しい歯磨きなど)、歯科的または医学的処置、あるいは感染症( 肺炎や 尿路感染症)が原因となります。 人工関節や人工心臓弁を使用している人や心臓弁に異常がある人では、菌血症が長引くリスクや菌血症で症状が生じるリスクが高まります。 菌血症では通常、症状はみられませんが、ときに特定の組織や臓器に細菌が増殖して、重篤な感染症を引き起こすことがあります。... さらに読む )です。
満期産児で最もよくみられる院内感染症は、 黄色ブドウ球菌 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)感染症 黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureusは多くの一般的なブドウ球菌の中で最も危険とされています。この グラム陽性の球状細菌(球菌)(図「 主な細菌の形」を参照)は、しばしば皮膚感染症を引き起こしますが、肺炎、心臓弁の感染症、骨の感染症を引き起こすこともあります。 これらの細菌は、感染者と直接接触したり、汚染された物を使用したり、くしゃみやせきによって飛び散った飛沫を吸引することで感染します。... さらに読む による皮膚感染症です。多くの場合、感染症は新生児が帰宅するまで気づかれません。
極低出生体重児に発生する院内感染症の大半も、ブドウ球菌によるものです。しかし、他の特定の細菌や真菌が原因となることもあります。出生体重が低ければ低いほど、感染のリスクが高くなり、特に人工呼吸器または静脈カテーテルを長期間必要とする新生児でこの傾向が強くみられます。新生児治療室や 新生児集中治療室 新生児集中治療室(NICU) 新生児の問題は、以下の時期に生じることがあります。 胎児として成長している出生前 陣痛および分娩時 出生後 新生児の約10%は、 早産児であること、胎児期から新生児期への移行に際する問題、低血糖、呼吸困難、感染症、およびその他の異常のために出生後に特別なケアを必要とします。専門的なケアはしばしば、... さらに読む (NICU)への滞在が長ければ長いほど、また行われる処置の数が多ければ多いほど、感染の可能性が高くなります。
症状
新生児の感染症の症状は非特異的な傾向があります。例えば、新生児には嘔吐または哺乳不良、強い眠気または嗜眠、発熱または低体温、速い呼吸、発疹、下痢、腹部の膨隆などがみられます。出生前にかかった多くの感染症は、様々な症状や異常を伴ったりその原因になったりします。
診断
その他の様々な検査
院内感染症は、診察の結果に基づいて疑われます。
その後、医師は血液、尿、髄液のサンプルを検査して、感染がどこにあり、どの微生物が原因となっているのかを判断します。
予防
院内感染に対して病院スタッフは通常以下のような予防策を行います。
黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureusの拡散を予防する対策
入念な手洗い
病院内での感染症のモニタリング
ときに抗菌薬
ワクチン接種
感染症流行時には病院内での感染の拡大を抑えるため、医師は抗菌薬の軟膏を新生児の臍帯、鼻孔、包皮切除部に塗布することがあります。
NICUなどの新生児治療室での感染の拡大を抑えるために、病院スタッフは、保育器や保温器の中にいる新生児同士の間に十分なスペースを確保します。また、器具の清掃に細心の注意を払い、静脈カテーテルや人工呼吸器は消毒または滅菌し、使用期間をできるだけ短くするようにします。
病院スタッフ、親、介護者は、石けん、水道水、または抗菌活性のある消毒液を用いて手洗いを十分行うことで院内感染の拡散を予防できます。
病院にいる間、新生児は感染の徴候がないか注意深くモニタリングを受けます。
感染が新生児室全体に広がっていると医師が判断した場合、まだ感染していない新生児に特定の抗菌薬を投与することがあります。これは 予防投与 感染症を予防するための抗菌薬の使用 抗菌薬は 細菌感染症の治療で使用される薬です。ウイルス感染症や他のほとんどの感染症には効果がありません。抗菌薬は微生物を殺すか、その増殖を止めることによって、体に 自然に備わっている防御機構 が微生物を排除するのを助けます。 抗菌薬は特定の細菌感染症に対して使用します。しかし、... さらに読む と呼ばれます。
病院スタッフは、その時点で入院しているすべての乳児に対し、 定期スケジュール 小児期の予防接種スケジュール 米国では、ほとんどの医師は米国疾病予防管理センター(CDC—乳児・小児用スケジュール[schedule for infants and children]および年長児・青年用スケジュール[schedule for older children and adolescents]を参照)が推奨している予防接種スケジュールに基づいて予防接種を行っており、このスケジュールは病院の新生児室で行われる... さらに読む に従ってワクチンを接種します。一部のワクチンは退院時まで接種されません。
治療
原因微生物によって異なる
院内感染症の治療は、感染症の原因になっている微生物によって異なります。