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新生児の主な感染症

執筆者:

Robert L. Stavis

, PhD, MD,

最終査読/改訂年月 2017年 11月
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本ページのリソース

あらゆる年齢の人がかかる可能性のある感染症のなかには、胎児や新生児に発生すると特に問題になるものがあります。(ジカウイルス感染症も参照のこと。)

カンジダ症

カンジダ症は酵母または真菌の一種であるカンジダ菌 Candidaによる感染です。

感染経路

カンジダ Candidaという真菌による感染症は、分娩中または出生後に発生する可能性があります。

症状

カンジダ Candida菌が原因で口の中に白い点や斑点ができます(鵞口瘡[がこうそう])。鵞口瘡はときに痛みを引き起こし、新生児の授乳が難しくなることがあります。

ときに新生児にカンジダ Candida菌が原因のおむつ皮膚炎がみられ、痛みを伴うことがあります。

まれに、新生児の血液、髄液、または臓器にカンジダ(Candida)感染が起こることがあります。こういった感染は特に未熟児または入院中の非常に具合の悪い新生児に発生します。

治療と予防

口またはおむつ部位:これらの部位に直接塗布する薬剤(外用薬)を必要に応じて使用します。

血液感染:乳児を入院させ、集中的な治療を行います。

結膜炎

結膜炎はまぶたの裏側と白眼部分を覆う膜である、結膜の炎症です。新生児の結膜炎は、感染または点眼した薬剤への反応によって起こる可能性があります。

感染経路

クラミジア淋菌が腟内に存在していると、分娩の際に胎児に感染することがあります。

症状

クラミジア Chlamydia: 結膜炎は通常、生後5~14日目に発症しますが、6週目に発症することもあります。

新生児のまぶたは腫れ、多量の膿を含む目やにが出ます。

淋菌 Neisseria gonorrhoeae:結膜炎は通常、生後2~5日目に発症します。

新生児のまぶたには重い炎症がみられ、化膿性の目やにがみられます。

治療しないと、失明することもあります。

治療と予防

クラミジア Chlamydia:予防にはエリスロマイシン軟膏を使用し、治療にはエリスロマイシンを経口投与します。

淋菌 Neisseria gonorrhoeae:予防にはエリスロマイシン軟膏を使用し、治療には抗菌薬のセフトリアキソンを静脈から投与します。

サイトメガロウイルス(CMV)

サイトメガロウイルスはよくみられるウイルスで、通常、問題になることはほとんどありませんが、出生前に感染している乳児では重篤な状態になることがあります。

感染経路

サイトメガロウイルスは妊娠中または出産の際に母親から胎盤を通して移行すると考えられています。

出生後は、母乳にサイトメガロウイルスが含まれている場合やサイトメガロウイルスが混入している血の輸血を受けた場合に、新生児にこのウイルスが感染することがあります。

症状

CMVに感染したほとんどの新生児では症状がみられませんが、約10%において出生時に問題がみられ、これには未熟性、低出生体重、小さな頭、発育の遅れ、黄疸、皮下出血、肺または眼の炎症、肝臓と脾臓の腫大、貧血、血小板数の低下、白血球数の増加または減少などがあります。

CMVは死亡の原因になることがあり、生存児の予後は実に様々です。小児の成長に伴い約10%に難聴が発生しますが、6歳まで発生の可能性があります。神経発達の遅れおよび知的障害は、よくみられる長期的な問題です。

治療

サイトメガロウイルス感染症の治療には、ガンシクロビルやバルガンシクロビルなどの抗ウイルス薬の使用が含まれます。しかしこれらの薬剤は、白血球数を減少させることがあり、肝臓と腎臓に損傷を与える可能性もあるため、新生児に毒性を及ぼしうるものです。こういった合併症のため、CMVが原因である問題の徴候がみられない乳児、および新生児の聴覚検査で異常がなかった乳児に対しては、これらの薬剤は推奨されていません。

症状はないものの新生児聴覚検査で異常があった乳児において、薬物療法によりさらなる難聴のリスクが低下するかどうかは不明です。

症状がある乳児では、治療により難聴および神経発達の面で経過が良くなることが研究で示されています。

CMVに感染した小児では、乳児期および幼児期の定期的な聴覚検査が推奨されます。

B型肝炎ウイルス(HBV)

肝炎ウイルスの5つの型の中で、B型肝炎ウイルスが新生児において懸念されるものです。この感染症は、新生児に重度の病気をもたらすことはまれであるものの、慢性感染症に進行する可能性が非常に高いものです。HBVに感染した成人の5%に慢性感染症が発生するのに対し、新生児では約90%に慢性感染症が発生します。B型慢性肝炎の新生児の約25%が肝硬変および/または肝臓がんに進行するため、新生児のB型肝炎ウイルス感染を予防することは非常に重要です。

感染経路

最も多くの場合、新生児は分娩時に、感染した母親からHBVに感染します。しかし、他の感染源から新生児に感染することもあります。感染源が特定されない場合もあります。

症状

HBVが新生児に症状を起こすことはまれです。慢性の肝疾患(慢性肝炎や肝硬変など)がやがて発生する可能性がありますが、通常、成人期の若い頃までは無症状です。

治療と予防

出生時にすべての新生児にB型肝炎ワクチンを接種します。このワクチンはB型肝炎ウイルス感染の可能性を低減するのに非常に効果的です。母親の血液検査で分娩時に子どもに感染する可能性が示されれば、新生児にもB型肝炎に対する抗体製剤であるB型肝炎免疫グロブリンを投与します。ワクチンと免疫グロブリンは出生から12時間以内に投与します。

単純ヘルペスウイルス

単純ヘルペスウイルスは、健康な成人では煩わしい潰瘍が繰り返し発生するだけですが、新生児では生命を脅かす感染症を引き起こす可能性があります。

感染経路

通常、ヘルペスウイルス(単純ヘルペス)は、このウイルスに感染した母親の産道・外陰部から分娩時に感染しますが、少数の例では分娩前または出生後に感染が生じます。母親がヘルペスであることに気づいていないことが頻繁にあります。

症状

通常は生後1~3週間の間に小さな水疱状の発疹が現れます。

発疹はみられないものの、感染が広範囲にわたり、眼、肺、肝臓、脳、皮膚など多くの臓器が侵されて重症になる新生児もいます。

他の症状として、活動性の低下、筋肉の緊張の低下、呼吸窮迫、呼吸の停止(無呼吸)、けいれん発作などが挙げられます。

治療と予防

ヘルペスがある母親が新生児を感染させるリスクは低いです。このリスクは、妊娠36週からアシクロビルまたはバラシクロビルなどの抗ウイルス薬を母親に投与し始めていれば、さらに下がります。母親が分娩時に活動性のヘルペス感染症にかかっている場合は、新生児の感染リスクを低下させるために帝王切開が行われる場合があります。ヘルペス感染症のリスクが高い新生児は、生後24~48時間にヘルペスの検査を行い、検査結果により抗ウイルス薬で治療することもあります。新生児に発疹がみられる場合やヘルペス感染症を示唆する症状がみられる場合、典型的にアシクロビルで治療します。

眼の感染はトリフルリジン、イドクスウリジン、ビダラビンなどの点眼薬でも治療します。

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)

HIV感染症とは、ある種の白血球を次第に破壊し、後天性免疫不全症候群(エイズ)を引き起こすウイルス感染症です。

感染経路

母親がHIVウイルスに感染していると、HIVウイルスが、妊娠中の母親から胎児に、分娩の際に母親から新生児に、そして出生後は母乳を介して乳児に感染します。分娩の管理と新生児の治療を適切に行えば、感染リスクを1%以下に抑えることができます。

症状

症状は、生後数カ月の間は無症状である場合から、治療しなければ非常に重度になる場合(エイズ)まで幅があります。

治療しなければリンパ節が腫れることもあります。

肝臓、脾臓、心臓、腎臓、脳、脊髄などの多くの臓器に感染します。

また、発達の遅れ、肺炎、繰り返す下痢、体重増加不良、侵襲性の細菌感染症やウイルスおよび真菌感染症も症状としてみられます。

治療と予防

分娩後数時間から、抗レトロウイルス薬の使用が開始されます。HIV感染症のリスクがある新生児は、小児専門病院で小児HIV専門医が管理すべきです。

ヒトパピローマウイルス(HPV)

HPVには100種類以上の型があり、これらの中には皮膚によくみられる「いぼ」ができるものや、尖圭コンジローマができるものがあります。尖圭コンジローマを引き起こす型の一部は、がんも引き起こす可能性があります。

感染経路

たいていの場合、新生児には分娩の際に感染が起こります。

症状

のど・気管に、HPVが原因のいぼができて新生児の泣き声が変わることがあります。ときには呼吸困難を引き起こし気道をふさぐこともあります。

肺に感染することがあります。

治療と予防

いぼは手術で取り除きます。

インターフェロンという薬には感染の再発リスクを低下させる働きがあります。しかし、最も効果的な方法はHPVワクチンの接種により感染を予防することです。ワクチンは11~12歳の男児および女児に接種されます。接種を受けたことがないか、すべての接種を完了していない青年および若い成人は、26歳まで接種を受けることができます。

風疹

風疹は小児期にかかる一般的な軽いウイルス感染症ですが、生まれる前に感染した乳児の場合、深刻な結果に至ることがあります。

感染経路

風疹ウイルスは妊娠中に胎盤を通じて移行します。予防接種が必ず行われることになっているため、現在では妊婦が感染することはめったにありません。

妊娠早期に胎児に感染した場合の方が、重度の異常のリスクが高くなります。

症状

出生前死亡、先天異常、他の症状のない難聴まで、新生児への影響は広範囲にわたります。

新生児には、低出生体重、脳の炎症、白内障、網膜の損傷、心疾患、肝臓と脾臓の腫大、皮下出血、青みがかった赤色の斑点、リンパ節の腫れ、肺炎などがみられます。

治療と予防

特別な治療法はありません。

乳児期のすべての女児および妊娠可能年齢のすべての女性に妊娠前にワクチンを接種することで、胎児の感染を防ぐことができます。

風疹に対する免疫のない妊娠女性が妊娠早期に風疹感染者と濃厚な接触をもった場合は、免疫グロブリンを注射します。

梅毒

梅毒は、梅毒トレポネーマ Treponema pallidumという細菌によって引き起こされる性感染症です。梅毒は成人において様々な問題を引き起こし、出生前に感染した乳児には深刻な結果をもたらします。

感染経路

母親が妊娠中に梅毒にかかった、あるいは過去の梅毒の治療が不十分であった場合、妊娠中に梅毒トレポネーマ Treponema pallidumが胎盤を通じて移行します。

症状

死産早産が起こります。

新生児は無症状のことがあります。

生後3カ月の間に、大きい水疱や平らな赤銅色の発疹が手のひらと足の裏に現れます。鼻や口の周りとおむつを当てる場所に盛り上がったこぶができます。新生児が十分に発育しないこともあります。口の周りがひび割れ、粘液、膿や血液が鼻から流れてくることもあります。

たいていの場合、リンパ節、肝臓、脾臓が腫大します。

まれに眼や脳の炎症、けいれん発作、髄膜炎、知的障害が起こりますが、これらの症状は小児が2歳以上になるまで現れません。

治療と予防

出生前には、ペニシリンで母親を治療します。

出生後には、母親(なお感染がみられる場合)および新生児をペニシリンで治療します。

眼の炎症にはコルチコステロイドおよびアトロピンの点眼薬を使用します。

トキソプラズマ症

トキソプラズマ症は、寄生虫のトキソプラズマ原虫 Toxoplasma gondiiによる感染症です。健康な成人では問題になりませんが、新生児や免疫機能が低下している人では重篤な状態になることがあります。妊娠中に妊婦がこの寄生虫に感染した場合、胎盤を通過して胎児に感染する可能性があります。

感染経路

ネコがトキソプラズマ原虫 Toxoplasma gondiiの主な病原体保有生物で、ネコの糞便が土壌や水を汚染します。人間や動物がネコの糞便に汚染されたものを食べたり、感染した動物の肉を加熱調理が不十分な状態で食べたりして感染します。汚染された物質(特にネコの糞便やネコの糞便に汚染された土壌)に触れることで、寄生虫が食品に移動してしまいます。このように、頻度の高い感染源は、生野菜や加熱調理が不十分な肉(特に牛肉、羊肉、豚肉、猟獣肉など)または肉加工品(生のソーセージ、サラミ、保存肉など)です。

妊娠早期に胎児に感染した場合の方が重症となります。

症状

トキソプラズマ原虫 Toxoplasma gondiiに感染した妊婦には発熱、頭痛、疲労、リンパ節の腫れといったインフルエンザに似た症状がみられることがありますが、ほとんどの場合、目立った症状はありません。

感染した多くの胎児では出生時に症状がありませんが、約10%で低出生体重、未熟性、発疹、小さな頭(小頭症)または水分貯留による非常に大きな頭(水頭症)、脳の炎症、貧血黄疸、肝臓と脾臓の腫大、心臓、肺、および眼の炎症といった感染の徴候がみられます。

残念ながら、出生時に感染の徴候がみられない新生児でも、眼の問題(失明に進行することがある)、難聴、ホルモン異常に関連する全般的な発育不良、頭の発育速度の低下、知的障害、およびけいれん発作などの長期的な合併症が生じる可能性があります。

診断

妊娠早期の血液中のトキソプラズマ原虫 Toxoplasma gondiiの抗体値によって、妊婦がトキソプラズマ症にかかる可能性を判断できます。過去に感染したことがある女性は、再び感染するリスクはありません。妊娠週数が進んでから血液検査を繰り返すことで、母親に感染が生じたかどうかが判断でき、さらに羊水中(羊水穿刺により採取する)のトキソプラズマ原虫 Toxoplasma gondiiDNAを調べることで、胎児が感染しているかどうかを判断することができます。

母親の病歴と、新生児の診察に基づいて、新生児のトキソプラズマ症が疑われます。新生児の血液中の抗体検査および新生児の血液または体液中からのトキソプラズマ原虫 Toxoplasma gondiiDNAの検出により感染が確定します。

治療と予防

妊婦はネコのトイレを触らないようにし、生野菜や加熱調理が不十分な肉および肉加工品を食べないようにすべきです。保存肉を製造する過程では、トキソプラズマ原虫 Toxoplasma gondiiの寄生虫は死滅しません。

母親が妊娠早期に感染し、胎児は感染していない場合、胎児への感染リスクを抑えるために母親にスピラマイシンが投与されることがあります。感染した胎児または新生児(症状の有無は問わない)は、ピリメタミンおよびスルファジアジンで治療します。

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