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新生児の胆汁うっ滞

執筆者:

William J. Cochran

, MD, Geisinger Clinic

医学的にレビューされた 2020年 5月
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本ページのリソース
  • 胆汁うっ滞には数多くの原因があり、具体的には感染、代謝異常、遺伝子異常、閉塞などがあります。

  • 最もよくみられる症状は黄疸と濃い色の尿です。

  • 診断は血液検査によって下され、さらに他の血液検査と画像検査、ときに肝生検を行って具体的な原因を特定します。

  • 治療法は原因によって異なります。

ビリルビンは、古くなった赤血球や損傷した赤血球を再利用する正常なプロセスの中で、ヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球の一部)が分解されるときに生成される、黄色い物質です。ビリルビンは血流によって肝臓に運ばれ、胆汁(肝臓で作られる消化液)の一部として肝臓から排泄されるように処理されます。肝臓でのビリルビンの処理において、ビリルビンは抱合と呼ばれる過程で別の化学物質に結合します。

  • このことから、胆汁中の処理されたビリルビンは抱合型ビリルビンと呼ばれます。

  • 処理されていないビリルビンは非抱合型ビリルビンと呼ばれます。

胆汁うっ滞では、肝細胞がビリルビンを適切に処理できていますが、肝細胞と十二指腸の間のどこかで胆汁の排泄が遮られています。その結果、抱合型ビリルビンの血中濃度が上昇するとともに、小腸に送られる胆汁の量が減少します。

胆汁が小腸に正常に排出されないことによる別の影響として、消化の障害があります。胆汁は脂肪と 脂溶性ビタミン ビタミンの概要 ビタミンは健康的な食事に不可欠です。ほとんどのビタミンについて、健康な人の大半が健康を維持するのに必要な1日当たりの量を表した推奨量(RDA)が設定されています。一部のビタミンには、安全な上限量(耐容上限量)が決められています。この上限を超えて摂取すると、有害な影響(毒性)が出るリスクが高まります。... さらに読む (A、D、E、K)の吸収を助けるため、消化にとって重要です。小腸内に胆汁が十分にないと、脂肪の吸収が妨げられ、ビタミン欠乏症、栄養不足、発育不全、体重増加不良などにつながる可能性があります。

肝臓の概観

肝臓の概観

原因

新生児の胆汁うっ滞は以下によって発生します。

  • 胆道閉鎖症(胆管が閉塞する病気)

  • 胆管嚢胞

  • 感染症

  • 免疫疾患

  • 代謝性疾患

  • 遺伝子異常

  • 中毒性の原因

感染症が新生児の胆汁うっ滞につながる可能性があります。感染する微生物としては以下のものがあります。

母子同種免疫性肝疾患(gestational alloimmune liver disease)は、出生前に発症する病気です。この病気では、母体の抗体が胎盤を通過して胎児の肝臓を攻撃します。

胆汁うっ滞を引き起こす 代謝性疾患 遺伝性代謝疾患の概要 遺伝性代謝疾患とは、代謝の問題を引き起こす遺伝性の病気です。 遺伝とは、ある世代から次の世代へ遺伝子が受け継がれることを意味します。子どもは親の遺伝子を受け継ぎます。子どもが、代謝制御に関わる欠陥のある 遺伝子を受け継ぐと、遺伝性代謝疾患を発症します。 遺伝性疾患には様々な種類があります。ほとんどの遺伝性代謝疾患では、患児の両親がともに異... さらに読む は数多くあり、具体的には アルファ1-アンチトリプシン欠乏症 アルファ1-アンチトリプシン欠乏症 アルファ1-アンチトリプシン欠乏症は遺伝性の病気で、アルファ1-アンチトリプシンという酵素の欠乏または不足により、肺や肝臓が損傷を受けます。 アルファ1-アンチトリプシン欠乏症は、遺伝子変異を受け継ぐことで発生します。 乳児では、黄疸や肝傷害がみられることがあります。 小児期に肝硬変が生じる可能性があります。... さらに読む アルファ1-アンチトリプシン欠乏症 ガラクトース血症 ガラクトース血症 ガラクトース血症は 糖代謝異常症の一種であり、血液中のガラクトース値が上昇します。この病気は、乳糖(ラクトース)と呼ばれる大きめの糖を構成する糖であるガラクトースの代謝に必要な酵素の1つが欠損しているために起こります。肝臓と腎臓に有害な代謝物が蓄積します。この代謝物は眼の水晶体も損傷するため白内障が起こります。ガラクトース血症は、この病気... さらに読む チロシン血症 チロシン血症 チロシン血症は、チロシンを代謝するのに必要な酵素の欠損によって引き起こされる アミノ酸代謝異常症です。この病気で最もよく異常がみられるのは、肝臓と腎臓です。チロシン血症は、この病気を引き起こす欠陥のある 遺伝子が親から子どもに受け継がれることで発生します。 チロシン血症は、チロシンというアミノ酸の代謝に必要な酵素が欠損しているために起こり... さらに読む 、胆汁酸の異常、 脂肪酸酸化異常症 脂肪酸酸化異常症 脂肪酸酸化異常症は、脂肪の分解に必要な酵素の欠損や欠乏によって引き起こされる脂質の代謝障害で、精神的な発達と身体的な発達の遅延をもたらします。脂肪酸酸化異常症は、これらの病気を引き起こす欠陥のある 遺伝子が親から子どもに受け継がれることで発生します。 遺伝性疾患には様々な種類があります。脂肪酸酸化異常症では、患児の両親がともに異常な遺伝子... さらに読む などがあります。これらの病気は、新生児においてある物質を分解する酵素が欠損している場合に発生し、有害物質が蓄積し、肝傷害が起こります。

中毒性の原因には、超早産児および 短腸症候群 短腸症候群 短腸症候群とは、下痢や栄養素の 吸収不良を起こす病気で、小腸の大部分を手術で切除した後によく生じます。 この病気は小腸の大部分(通常は全長の3分の2以上)を切除した後によく生じます。 下痢が主な症状です。 手術後、患者は静脈から栄養と水分の投与を受けます(静脈栄養)。 静脈からの栄養補給を生涯続けなければならない場合もあります。 さらに読む のある乳児における 静脈栄養 静脈栄養 静脈栄養は、重い 吸収不良を引き起こす病気などで、消化管が十分に栄養素を吸収できない場合に用いられます。 潰瘍性大腸炎の特定の病期など、一時的に食べものを消化管に入れてはいけない場合にも用いられます。 静脈から投与される食物は、栄養所要量の一部を供給して(部分的静脈栄養)、口から食べる食物の栄養を補うことができます。または、栄養所要量の前... さらに読む によるものがあります。近年、施設で 静脈栄養 栄養剤 静脈栄養は、重い 吸収不良を引き起こす病気などで、消化管が十分に栄養素を吸収できない場合に用いられます。 潰瘍性大腸炎の特定の病期など、一時的に食べものを消化管に入れてはいけない場合にも用いられます。 静脈から投与される食物は、栄養所要量の一部を供給して(部分的静脈栄養)、口から食べる食物の栄養を補うことができます。または、栄養所要量の前... さらに読む において異なるタイプの脂肪が使用され始め、これにより胆汁うっ滞のリスクが低下したと考えられています。

新生児肝炎症候群は、原因が特定されない新生児の肝臓の炎症を表す用語です。正確な原因を特定できる検査の進歩により、この診断が下されることは少なくなってきています。

症状

胆汁うっ滞の症状は、典型的には生後2週間の間に現れます。胆汁うっ滞の乳児では黄疸がみられ、しばしば濃い色の尿、薄い色の便、肝臓の腫大がみられます。皮膚のビリルビンは、かゆみを引き起こすため、乳児がぐずるようになります。胆汁うっ滞のある乳児は、脂肪とビタミンを正常に吸収できないことがあり、良好な発育が得られない場合があります。

診断

  • 血液検査

  • 画像検査

  • ときに肝生検

ほとんどすべての新生児で、生後1週間はそれ以降と比べてビリルビンの血中濃度が高い状態です(高ビリルビン血症)。このような正常な黄疸(生理的黄疸)は1~2週間で消失し、ビリルビン濃度も正常な状態に戻ります。生後2週間時点で黄疸が残る乳児では、高濃度のビリルビンが抱合型か非抱合型かを調べます。抱合型ビリルビンの濃度が高い場合は、肝機能障害と場合によっては胆汁うっ滞の可能性があることを意味します。非抱合型ビリルビンの濃度が高い場合は、肝機能障害が原因ではありません。検査で胆汁うっ滞があることが示された場合は、さらなる血液検査を行い、肝臓に炎症が起きていないか、正常に機能しているかを判断します(肝臓の血液検査 肝臓の血液検査 肝臓の検査は血液検査として行われますが、これは肝疾患の有無をスクリーニングし(例えば、献血された血液に 肝炎があるかを調べる)、肝疾患の重症度や進行度と治療に対する反応を評価するための検査のうち、体への負担が少ない方法の代表例です。 臨床検査は、一般的に以下の目的に有効です。 肝臓の炎症、損傷、機能障害の検出... さらに読む を参照)。医師は、その他の検査も行って、胆汁うっ滞の原因を特定します。

肝臓の大きさを評価するために腹部の 超音波検査 超音波検査 肝臓、胆嚢、胆管の画像検査には、超音波検査、核医学検査、CT検査、MRI検査、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)検査、経皮経肝胆道造影検査、術中胆道造影検査、単純X線検査などがあります。 ( 肝臓と胆嚢の概要も参照のこと。) 超音波検査では、音波を利用して肝臓や胆嚢、胆管を画像化します。経腹超音波検査は、... さらに読む を行い、胆嚢と太い胆管を観察します。 胆道シンチグラフィー 核医学検査(シンチグラフィー) (肝胆道シンチグラフィー)と呼ばれる別のタイプの画像検査では、乳児の静脈に放射性物質を注射します。そして放射性物質が肝臓から分泌されて胆嚢に入り、胆管を通って十二指腸に入る動きを追跡します。

予後(経過の見通し)

静脈栄養が原因の胆汁うっ滞は、乳児に重度の肝疾患が生じる前に静脈栄養を中止すれば、自然に治ります。静脈栄養を中止できない場合は、胆汁うっ滞を緩和するために、魚油を含んだ別の人工乳を使用することができます。

母子同種免疫性肝疾患は、早期に治療しなければ一般に経過の見通しは悪くなります。

治療

  • 具体的な原因の治療

  • 十分な栄養を与えるなどの支持療法

原因の治療

胆道閉鎖症の乳児は、肝門部腸吻合術(葛西手術)により治療します。理想的には、この手術は生後1~2カ月のうちに行うべきです。この手術では、小腸の一部分を肝臓の一部分につなぎ、胆汁が小腸へ排出されるようにします。この手術への反応が良好でない乳児は、最終的に 肝移植 肝移植 肝移植とは、健康な肝臓またはときに生きている人から肝臓の一部を手術で摘出し、肝臓が機能しなくなった人に移植することです。 ( 移植の概要も参照のこと。) 肝移植は2番目に多い臓器移植です。肝臓が機能しなくなった人々に残された唯一の選択肢です。 完全な形の肝臓は死亡した人からしか提供を受けられませんが、肝臓の一部であれば生きているドナーでも... さらに読む が必要です。

母子同種免疫性肝疾患の乳児は、静脈から免疫グロブリン(免疫系が正常な人の血液から得た抗体)を投与するか、乳児から血液を大量に抜き出し、輸血により補充すること(交換輸血)で治療します。

支持療法

良好な栄養状態を促進することは重要であり、ビタミンA、D、E、およびKが欠乏していればサプリメントを投与します。胆汁うっ滞の乳児は一般に脂肪をうまく吸収できないため、特殊な脂肪(中鎖脂肪酸トリグリセリド)を含む人工乳を用いると、脂肪の吸収と成長が改善されます。一部の乳児は、正常な成長を得られる十分な量の人工乳を飲むことができず、単位体積当たりのカロリーが高い濃縮された人工乳が必要になる場合があります。

胆道閉鎖症ではない乳児には、胆汁の流れを促進し、肝疾患を改善するためにウルソデオキシコール酸を投与することがあります。

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