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新生児の胆汁うっ滞

執筆者:

William J. Cochran

, MD, Geisinger Clinic

最終査読/改訂年月 2017年 7月
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胆汁うっ滞とは、胆汁の生産や胆汁の流れが減少している状態です。その結果、ビリルビンが血流に戻り(高ビリルビン血症)、白眼や皮膚が黄色くなる黄疸と呼ばれる状態になります。

  • 胆汁うっ滞には数多くの原因があり、具体的には感染、代謝異常、遺伝子異常、閉塞などがあります。

  • 最もよくみられる症状は黄疸と濃い色の尿です。

  • 診断は血液検査によって下され、さらに他の血液検査と画像検査、ときに肝生検を行って具体的な原因を特定します。

  • 治療法は原因によって異なります。

ビリルビンは、古くなった赤血球または損傷した赤血球を再利用する正常なプロセスの中で、ヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球の一部)が分解されるときに形成される、黄色い物質です。ビリルビンは血流によって肝臓に運ばれ、胆汁(肝臓で作られる消化液)の一部として肝臓から排泄されるように処理されます。胆汁は胆管を通って小腸の最初の部分(十二指腸)に送られます。肝臓や胆管でのビリルビンの処理や排泄が速やかに進まないと、ビリルビンが血液中に蓄積します(高ビリルビン血症)。過剰なビリルビンは皮膚、白眼、その他の組織に沈着するため、これらの組織が黄色くなります(黄疸)。

胆汁うっ滞では、肝細胞がビリルビンを適切に処理できていますが、肝細胞と十二指腸の間のどこかで胆汁の流れが遮られています。その結果、ビリルビンの血中濃度が上昇するとともに、小腸に送られる胆汁の量が減少します。

胆汁が小腸に正常に排出されないことによる別の影響として、消化の障害があります。胆汁は脂肪と脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収を助けるため、消化にとって重要です。小腸内に胆汁が十分にないと、脂肪の吸収が妨げられ、ビタミン欠乏症、栄養不足、発育不全、体重増加不良などにつながる可能性があります。

肝臓の概観

肝臓の概観

原因

新生児の胆汁うっ滞は以下によって発生します。

  • 胆道閉鎖症(胆管が閉塞する病気)

  • 感染症

  • 免疫疾患

  • 代謝性疾患

  • 遺伝子異常

  • 中毒性の原因

胆道閉鎖症は、妊娠の終盤または生後数週間以内に発症する胆管の閉塞です。未熟児よりも正期産児で多くみられます。この病気の乳児では、一般的に生後数週間以内に黄疸がみられます。

感染症が新生児の胆汁うっ滞につながる可能性があります。感染する微生物としては以下のものがあります。

母子同種免疫性肝疾患(gestational alloimmune liver disease)は、出生前に発症する病気です。この病気では、母体の抗体が胎盤を通過して胎児の肝臓を攻撃します。

胆汁うっ滞を引き起こす代謝性疾患は数多くあり、具体的にはアルファ1-アンチトリプシン欠乏症ガラクトース血症チロシン血症、胆汁酸塩の異常、脂肪酸酸化異常症などがあります。これらの病気は、新生児においてある物質を分解する酵素が欠損している場合に発生し、有害物質が蓄積し、肝傷害が起こります。

アラジール症候群や嚢胞性線維症などの遺伝子異常により新生児の胆汁うっ滞が生じることがあります。遺伝子異常やその他の遺伝子変異は正常な胆汁生産と排出を妨げることがあり、それにより胆汁うっ滞が生じます。

中毒性の原因には、新生児および乳児における静脈栄養によるものがあります。近年、一部の大規模な施設で静脈栄養において異なるタイプの脂肪が使用され始め、これにより胆汁うっ滞のリスクが低下したと考えられています。

新生児肝炎症候群は、原因が特定されない新生児の肝臓の炎症を表す用語です。正確な原因を特定できる検査の進歩により、この診断が下されることは少なくなってきています。

症状

胆汁うっ滞の乳児では黄疸がみられ、しばしば濃い色の尿、薄い色の便、肝臓の腫大がみられます。皮膚のビリルビンは、かゆみを引き起こすため、乳児がぐずるようになります。胆汁うっ滞のある乳児は、脂肪とビタミンを正常に吸収できないことがあり、良好な発育が得られない場合があります。

肝臓の病気が進行するにつれて、腹腔内の体液(腹水)による腹部の膨らみや食道にある静脈の拡張(食道静脈瘤)による上部消化管の出血など、ほかの問題が生じる可能性があります。

診断

  • 血液検査

  • 画像検査

  • ときに肝生検

生後一週間は、ほとんどすべての新生児で血液中のビリルビンが過剰な状態です(高ビリルビン血症)。このような正常な黄疸(生理的黄疸)は1~2週間で消失します。生後2週間時点で黄疸が残っている乳児では、血液検査を行って胆汁うっ滞がない確認します。検査で胆汁うっ滞があることが示された場合は、さらなる血液検査を行い、肝臓に炎症が起きていないか、正常に機能しているかを判断します(肝機能検査を参照)。医師は、その他の検査も行って、胆汁うっ滞の原因を特定します。

肝臓の大きさを評価するために腹部の超音波検査を行い、胆嚢と太い胆管を観察します。胆道シンチグラフィー(肝胆道シンチグラフィー)と呼ばれる別のタイプの画像検査では、乳児の静脈に放射性物質を注射します。そして放射性物質が肝臓から分泌されて胆嚢に入り、胆管を通って十二指腸に入る動きを追跡します。

原因を診断できない場合、乳児の肝臓のサンプルを採取し、さらなる評価を行います(生検)。生検には術中胆道造影検査を併用する場合と併用しない場合があり、この検査では胆管が正常かどうかを判断しやすくするために、造影剤(X線画像に写る物質)を胆嚢の中に直接注射します。

予後(経過の見通し)

予後は実に様々です。原因により、乳児は完全に回復することもあれば、肝不全肝硬変(肝臓の瘢痕化)が生じることもあります。

胆道閉鎖症では、適切な診断と治療が行われたとしても、進行性に悪化する肝疾患となることがあります。治療を受けない乳児は、しばしば1歳までに肝不全によって死亡します。

静脈栄養が原因の胆汁うっ滞は、乳児に重度の肝疾患が生じる前に静脈栄養を中止すれば、自然に治ります。

母子同種免疫性肝疾患は、早期に治療しなければ一般に経過の見通しは悪くなります。

治療

  • 具体的な原因の治療

  • 十分な栄養を与えるなどの支持療法

原因の治療

胆道閉鎖症の乳児は、肝門部腸吻合術(葛西手術)により治療します。理想的には、この手術は生後1~2カ月のうちに行うべきです。この手術では、小腸の一部分を肝臓の一部分につなぎ、胆汁が小腸へ排出されるようにします。この手術への反応が良好でない乳児は、最終的に肝移植が必要です。

ガラクトース血症など一部の代謝性疾患は治療が可能です。ガラクトース血症の治療では、牛乳と乳製品(糖のガラクトースを含む)を乳児の食事から除去します。一般的に、大豆乳を与えます。

母子同種免疫性肝疾患の乳児は、静脈から免疫グロブリン(免疫系が正常な人の血液から得た抗体)を投与するか、乳児から血液を大量に抜き出し、輸血により補充すること(交換輸血)で治療します。

支持療法

良好な栄養状態を促進することは重要であり、ビタミンA、D、E、およびKが欠乏していればサプリメントを投与します。胆汁うっ滞の乳児は一般に脂肪をうまく吸収できないため、特殊な脂肪(中鎖脂肪酸トリグリセリド)を含む人工乳を用いると、脂肪の吸収と成長が改善されます。一部の乳児は、正常な成長を得られる十分な量の人工乳を飲むことができず、単位体積当たりのカロリーが高い濃縮された人工乳が必要になる場合があります。

胆道閉鎖症ではない乳児には、胆汁の流れを促進し、肝疾患を改善するためにウルソデオキシコール酸を投与することがあります。

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