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左心低形成症候群

執筆者:

Jeanne Marie Baffa

, MD, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2017年 3月
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左心低形成症候群は、下の心腔(左心室)、心臓弁(僧帽弁と大動脈弁)、大動脈といった心臓の左側の構造が十分に発達しない先天異常です。また、左心低形成症候群の新生児には、心房中隔欠損症 心房中隔欠損症と心室中隔欠損症 心房中隔欠損症と心室中隔欠損症とは、心臓の右側と左側を隔てる壁(中隔)に孔が開いた状態です。 その孔は、上側の2つの心腔を隔てる壁にみられることもあれば、下側の2つの心腔を隔てる壁にみられることもあります。 欠損孔の多くは小さいもので、症状を示さず、治療をしなくても閉鎖します。 診断は、典型的な心雑音(狭窄もしくは漏れのある心臓弁または異常な心臓の構造を通る血液の乱流によって生じる音)に基づいて疑われ、心エコー検査によって確定されます。... さらに読む 心房中隔欠損症と心室中隔欠損症 動脈管開存症 動脈管開存症 動脈管開存症では、通常は出生後まもなく閉鎖する肺動脈と大動脈をつなぐ血管(動脈管)が、閉鎖しません。 動脈管開存症は、胎児の肺動脈と大動脈をつなぐ正常な血管が出生時に閉鎖しない場合に起こります。 多くの場合、症状はなく、診断は聴診器で聴取される心雑音に基づいて疑われます。 未熟児は特に動脈管開存症を起こしやすくなります。未熟児では、呼吸困難などの症状(特に哺乳時)がみられる可能性が高くなります。... さらに読む 動脈管開存症 もみられます。

  • 左心低形成症候群は、心不全(心臓から送り出される血液の量が正常より少なくなる)を引き起こし、最終的に死に至ります。

  • 診断は心エコー検査によって行われます。

  • 治療は、一連の外科的処置または心臓移植によって行われます。

低形成とは、発達が不十分であることを意味する医学用語です。左心低形成症候群(HLHS)は、心臓の先天異常の2%を占めます。心臓の左側が未発達であるため、肺から左心に入ってくる酸素の豊富な血液は心房中隔の欠損孔を介して心臓の右側に渡り、そこで全身から心臓に戻ってきた酸素の少ない血液と混ざります。この比較的酸素の少ない血液が、右心を出て肺に入り、動脈管を通って身体に送られます。動脈管は、心臓から出ていく大きな2つの動脈である肺動脈と大動脈をつなぐ血管です(正常な胎児循環 正常な胎児循環 120人に1人は心臓に異常をもって生まれます。重症の場合もありますが、多くはそうではありません。心臓の異常には心臓壁、弁、心臓に出入りする血管の異常形成などがあります。 哺乳不良、呼吸困難、青みがかった皮膚、正常に発育しない、あるいは正常に運動できない、速い心拍、失神のほか、乳児が成長するに従って運動中の胸痛といった症状がみられます。... さらに読む を参照)。子宮内にいる間と生後数日の間、動脈管は開いています。全身への血流が維持されるのは、ひとえに動脈管が開いているおかげです。正常では出生後に動脈管が閉じてしまうので、全身にはほとんど血液が送り出されなくなります。そのため、異常をすぐに修復しなければ、乳児は死亡します。

症状

症状は、生後24~48時間で動脈管が閉鎖し始めたときに現れます。その後、速い呼吸、息切れ、弱い脈、蒼白または青みがかった皮膚、体温低下、嗜眠、排尿回数の減少などの心不全の徴候が急速に現れます。全身への血流が減少すると、心臓、脳、その他の重要な臓器が十分な血流を受け取れなくなります。血流が回復されない限り、乳児は死亡します。

診断

  • 心エコー検査

多くの場合、母親の出生前超音波検査または胎児の心エコー検査で先天異常が検出されることで、出生前に診断が下されます。

治療

  • 手術が行われるまで動脈管を開いた状態に保つ薬

  • 手術による修復

  • ときに心臓移植

左心低形成症候群のほとんどは出生前に特定されるため、動脈管を開いた状態に保つ薬の投与を出生直後に開始します。

直ちに行うケア

すべての患児は、新生児集中治療室または小児循環器集中治療室で治療されます。動脈管の閉鎖を防ぐため、または閉鎖しかけた動脈管を再び開くためにプロスタグランジンが静脈から投与されます。通常、重症の場合は特に、人工呼吸器による呼吸の補助が必要になります。重症の新生児は、心機能を改善する薬を必要とする場合があります。

手術による修復

生存のためには、未発達の左心室の仕事を右心室が引き継げるようにする一連の外科的処置が最終的に必要です。

手術は以下の段階に分けて行われます:

  • 第1段階:生後数週間以内に行われる

  • 第2段階:生後3~6カ月に行われる

  • 第3段階:生後18~36カ月に行われる

心臓移植

一部の乳児では、左心低形成症候群に対する第1選択の治療として心臓移植 心臓移植 心臓移植は、以下のいずれかの疾患があり、薬や移植以外の手術では有効な治療効果が得られない場合に限って行います。 重い心不全 冠動脈疾患 不整脈 その他の重度の心疾患 さらに読む が検討されます。ドナーの心臓が利用可能になるまで、動脈管を開いた状態に保つため、乳児はプロスタグランジンの点滴を受け続けなければなりません。利用できるドナー心臓の数は非常に限られているため、移植を待つ間に乳児の約20%が死亡します。移植後と段階的手術後の5年生存率は同程度です。

心臓移植を行った後も、患者は免疫機能を抑制する薬(免疫抑制薬)を生涯服用する必要があります。このような薬を使用していると、感染症にかかりやすくなります。免疫抑制薬は、移植された心臓の冠動脈にも損傷を与える可能性があります。冠動脈損傷の治療として現在知られている唯一のものは再移植です。

長期的なケア

ほとんどの小児は、心臓に血栓が形成されるのを予防するため、アスピリン、またはワルファリンやエノキサパリンなどの血液をサラサラにする薬を服用することになります。患児の多くは、心臓の最適な機能を維持するために、1種類または複数の他の薬も服用しなければなりません。

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