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腎臓の異常

執筆者:

Ronald Rabinowitz

, MD, University of Rochester Medical Center;


Jimena Cubillos

, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry

最終査読/改訂年月 2017年 4月
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本ページのリソース

腎臓(左右に2つあって血液から老廃物をろ過して尿を作っている臓器)に生じる先天異常がいくつかあります。そのような異常は、通常は医師による診察では明らかにならず、尿路を評価する検査を行う必要があります。

尿路の先天異常の概要も参照のこと。)

尿路内の構造

尿路内の構造

腎臓の先天異常の合併症

腎臓の先天異常には多くの種類があります。そのような異常の多くは以下の変化をもたらします。

  • 尿が腎臓から出る流れを妨げたり遅くしたりする

尿の流れが妨げられると、尿が停滞して尿路感染症が起こったり、腎結石が形成されたりすることがあります。尿の流れが妨げられることにより、腎臓の内部の圧力が上昇して徐々に腎臓が傷つくこともあります。腎臓が傷つくと、高血圧のほか、まれに腎不全が起こる可能性があります。

腎臓の異常の種類

いくつかの先天異常が腎臓の異常につながります。腎臓に以下の状態がみられることがあります。

  • 位置が正常と異なる(異所性腎)

  • 向いている方向が正常と異なる(回転異常)

  • 左右の腎臓がくっついている(馬蹄腎[ばていじん]または融合腎)

  • ない(無形成)

  • 機能が低い

  • 嚢胞(液体で満たされた袋状の組織)が内部にみられる(多発性嚢胞腎や多嚢胞性異形成腎などでみられます)

腎臓の位置や向きが正常と異なる

胎児では、腎臓は最初に骨盤内で発生した後、上の方に移動し、回転しながら上腹部の正常な位置に収まります。腎臓のある場所が正常と異なる場合(異所性腎)や正しく回転していない場合(回転異常)は、尿が腎臓から尿管(腎臓から膀胱に流れる尿が通過する管)を通って膀胱(拡張して尿を貯めておくことのできる筋肉でできた袋状の臓器)へと排出される正常な流れが妨げられることがあります。

尿の流れが妨げられて頻繁な尿路感染症やその他の問題が生じている小児には、手術が必要になることがあります。しかしながら、多くの患児では症状がみられないため、手術が不要な場合もあります。

馬蹄腎

馬蹄腎(ばていじん)は、腎臓が融合する異常のうち最もよくみられるものです。馬蹄腎では、胎児の腎臓がお互いにくっつき、馬の蹄のような形になります。腎臓がくっついているため、体内の上部に上がって正常な向きまで回転することは通常なく、さらに適切に発育しない可能性もあります。これらの要因を理由として、馬蹄腎からは適切な排尿が行われないことがあり、尿路感染症、腎結石、腎障害のリスクが高まります。ただし、馬蹄腎がある小児の半数以上では症状がみられません。馬蹄腎がある小児には、他の先天異常もある可能性があります。

腎臓の欠損

一部の小児では、片方または両方の腎臓がまったく発生しないことがあります(腎無形成)。両方の腎臓がない小児は生存することができません。

片方の腎臓だけがない小児では、通常は残っている方の腎臓が正常に発育し、欠損している分の機能を埋め合わせるために正常より大きくなることがよくあります。そのような場合、余命は正常レベルになると予想され、治療は必要ありません。

腎臓の機能低下

腎臓が正しく形成されず、腎臓の機能が不十分である場合や、腎臓がまったく機能しないことがあります(異形成腎)。片方の腎臓だけが適切に機能している場合には、もう片方の機能が失われている分を埋め合わせるために正常より大きくなることがあります。腎臓は通常2つありますが、健康な腎臓であれば1つだけでも、2つの腎臓分の機能を十分に果たすことができるため、腎臓が1つしかない小児が普通の健康な人生を送ることはよくあります。しかし、異形成が広範囲にわたり両方の腎臓に生じている場合は、腎臓の機能を補うための治療が必要になる場合があります。つまり、腎移植透析(体から老廃物や過剰な水分を除去する処置)が必要になります。

多発性嚢胞腎

多発性嚢胞腎(のうほうじん)は、両方の腎臓に液体で満たされた袋状の病変(嚢胞)が多数形成される遺伝性の病気です。そのため腎臓が大きくなりますが、機能している腎組織は減少します。

多発性嚢胞腎には、いくつかの病型があります。常染色体優性多発性嚢胞腎と呼ばれる病型は、成人期まで発症せず、通常は症状が軽度です。

常染色体劣性多発性嚢胞腎は、この病気のまれな病型で、小児期に発症します。この病気では、嚢胞が非常に大きくなり、重篤な状態を引き起こします。新生児の重症例では、出生前に腎不全が起きることで肺が十分に発育していない可能性があり、そのために出生後すぐに死亡することもあります。肝臓も障害され、5~10歳頃になると門脈圧亢進症(腸と肝臓を結ぶ血管内[門脈系]の高血圧)を起こしやすくなります。そして最終的には、肝不全慢性腎臓病を発症します。新生児期を乗り切った乳児には、腎移植(および場合によっては肝移植)が必要になる場合があります。

多嚢胞性異形成腎

多嚢胞性異形成腎は、小児にみられる嚢胞を引き起こす疾患の中で最も一般的なものです。多嚢胞性異形成腎では、腎臓が正常に発育せず、液体で満たされた袋状の病変(嚢胞)が腎臓の中に多数できて、正常な腎臓の細胞に取って代わります。腎臓はまったく機能しません。多嚢胞性異形成腎は、典型的には片方の腎臓だけに起こります。両方の腎臓に起こった場合、胎児は死亡します。しかし、片方の腎臓だけに起こった場合は、他にどのような異常があるかにもよりますが、多くの場合は経過の見通しは良好です。この異常がない側の腎臓に、尿の流れを妨げる他の異常があることがあります。

多嚢胞性異形成腎はたいてい通常の出生前超音波検査で発見され、ほとんどの患児に対して、異常がない側の腎臓が適切に機能しているか判定するため、出生後に定期的な超音波検査が行われます。この異常がある腎臓は、ほぼ必ず縮んでなくなってしまいます。腎臓がなくならない場合は、小児期の後半に切除することがあります。異常がない側の腎臓は通常、異常がある側を埋め合わせるために徐々に大きくなるため、患児の腎臓の機能はたいてい正常です。尿路の閉塞によって頻繁な尿路感染症や機能している側の腎臓に別の問題が発生する場合は、手術が必要になることがあります。

診断

  • 出生前超音波検査と出生前検査、および出生後の画像検査と身体診察

  • ときに腎生検

  • ときとして遺伝子検査

出生前では、通常行われる出生前超音波検査や遺伝性疾患がないか調べる他の通常のスクリーニング検査の際に、尿路の異常が発見されることがよくあります。

出生後では、症状を引き起こさない腎臓の異常が、別の理由で画像検査を行った際に発見されることがよくあります。腎臓の異常が疑われる場合は、超音波検査CT検査核医学検査MRI検査などの画像検査が一般的に行われます。まれに、排泄性尿路造影検査が行われることもあります。

異形成がみられる場合は、腎生検(腎臓の組織サンプルを採取して顕微鏡で観察する検査)が行われることがあります。

多発性嚢胞腎の患者には、自身の子どもに病気が遺伝する確率を把握するために遺伝子検査を行うことがあります。

治療

腎臓の先天異常の治療は、具体的な異常に応じて、一般的には以下のことが行われます。

  • 尿の流れが妨げられているために頻繁な尿路感染症やその他の問題が生じている小児には、手術が必要になることがあります。

  • 腎臓の機能が低い小児には、腎移植透析が必要になることがあります。

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