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腎臓の異常

執筆者:

Ronald Rabinowitz

, MD, University of Rochester Medical Center;


Jimena Cubillos

, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry

医学的にレビューされた 2020年 10月
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本ページのリソース

尿路内の構造

尿路の臓器

腎臓の先天異常の合併症

  • 尿が腎臓から出る流れを妨げたり遅くしたりする

尿の流れが妨げられると、尿が停滞して 尿路感染症 小児の尿路感染症(UTI) 尿路感染症(UTI)とは、細菌による膀胱の感染症( 膀胱炎)、腎臓の感染症( 腎盂腎炎[じんうじんえん])、またはその両方がある状態です。 尿路感染症は細菌によって引き起こされます。 乳児や年齢の低い小児に尿路感染症がみられる場合は、ときに泌尿器系に構造的異常があるために発症しやすくなっていることがあります。 新生児と乳児では発熱以外の症状が出ないことがありますが、年長児では、排尿するときに痛みや灼熱感があったり、膀胱周辺が痛んだり、頻... さらに読む が起こったり、 腎結石 尿路結石 結石は尿路のいずれかの部位で形成される硬い固形物で、痛み、出血、または尿路の感染や閉塞の原因となることがあります。 小さな結石の場合は症状がみられませんが、大きな結石が発生すると、肋骨と腰の間の部分に耐えがたい激痛が生じることがあります。 結石の診断では通常、画像検査と尿検査が行われます。... さらに読む 尿路結石 が形成されたりすることがあります。尿の流れが妨げられることにより、腎臓の内部の圧力が上昇して徐々に腎臓が傷つくこともあります。腎臓が傷つくと、 高血圧 高血圧 高血圧とは、動脈内の圧力が恒常的に高くなった状態のことです。 高血圧の原因は不明のことも多いですが、腎臓の基礎疾患や内分泌疾患によって起こる場合もあります。 肥満、体を動かさない生活習慣、ストレス、喫煙、過度の飲酒、食事での過剰な塩分摂取などはすべて、遺伝的に高血圧になりやすい人の高血圧の発症に何らかの形で関与しています。... さらに読む 高血圧 のほか、まれに 腎不全 腎不全の概要 腎不全とは、血液をろ過して老廃物を取り除く腎臓の機能が十分に働かなくなった状態のことです。 腎不全の原因としては、様々なものが考えられます。腎機能が急激に低下する場合( 急性腎障害、急性腎不全とも呼ばれます)もあれば、ゆっくりと低下していく場合( 慢性腎臓病、慢性腎不全とも呼ばれます)もあります。腎不全になると、腎臓は血液をろ過して老廃物... さらに読む が起こる可能性があります。

腎臓の異常の種類

いくつかの先天異常が腎臓の異常につながります。腎臓に以下の状態がみられることがあります。

  • 位置が正常と異なる(異所性腎)

  • 向いている方向が正常と異なる(回転異常)

  • 左右の腎臓がくっついている(馬蹄腎[ばていじん]または融合腎)

  • ない(無形成)

  • 機能が低い

  • 嚢胞(液体で満たされた袋状の組織)が内部にみられる(多発性嚢胞腎や多嚢胞性異形成腎などでみられます)

腎臓の位置や向きが正常と異なる

胎児では、腎臓は最初に骨盤内で発生した後、上の方に移動し、回転しながら上腹部の正常な位置に収まります。腎臓のある場所が正常と異なる場合(異所性腎)や正しく回転していない場合(回転異常)は、尿が腎臓から 尿管 尿管 尿管は長さ約40センチメートルの筋肉でできた管で、その上端は 腎臓、下端は 膀胱につながっています。( 尿路の概要も参照のこと。) 腎臓で作られた尿はこの尿管を通って膀胱に流れ込みますが、その尿の流れは重力だけによるものではなく、尿管の緩やかなぜん動運動(波打つような動き)によって、少量ずつ膀胱に送られていきます。左右それぞれの尿管は膀胱壁の開口部へと通じていますが、尿が尿管に逆流するのを防ぐため、この開口部は膀胱の収縮時に自然に閉じる... さらに読む (腎臓から膀胱に流れる尿が通過する管)を通って 膀胱 膀胱 膀胱は伸縮性のある筋肉でできた袋状の臓器です。尿管を通って流れてきた尿は膀胱の中に貯まります。 膀胱は貯まっている尿の量に応じて徐々に膨張していきます。そして膀胱がいっぱいになると、排尿が必要であることを伝える信号が神経を介して脳に送られます。排尿時には、膀胱の出口(尿道につながっています)にある尿道括約筋が開くことによって、尿が膀胱から流れ出ていきます。それと同時に膀胱壁が自動的に収縮し、その圧力によって尿が尿道の中を下方へと押し出さ... さらに読む (拡張して尿を貯めておくことのできる筋肉でできた袋状の臓器)へと排出される正常な流れが妨げられることがあります。

尿の流れが妨げられて頻繁な尿路感染症やその他の問題が生じている小児には、手術が必要になることがあります。しかしながら、多くの患児では症状がみられないため、手術が不要な場合もあります。

馬蹄腎

馬蹄腎(ばていじん)は、腎臓が融合する異常のうち最もよくみられるものです。馬蹄腎では、胎児の腎臓がお互いにくっつき、馬の蹄のような形になります。腎臓がくっついているため、体内の上部に上がって正常な向きまで回転することは通常なく、さらに適切に発育しない可能性もあります。これらの要因を理由として、馬蹄腎からは適切な排尿が行われないことがあり、尿路感染症、腎結石、腎障害のリスクが高まります。ただし、馬蹄腎がある小児の半数以上では症状がみられません。馬蹄腎がある小児には、他の先天異常もある可能性があります。

腎臓の欠損

一部の小児では、片方または両方の腎臓がまったく発生しないことがあります(腎無形成)。両方の腎臓がない小児は生存することができません。

片方の腎臓だけがない小児では、通常は残っている方の腎臓が正常に発育し、欠損している分の機能を埋め合わせるために正常より大きくなることがよくあります。そのような場合、余命は正常レベルになると予想され、治療は必要ありません。

腎臓の機能低下

腎臓が正しく形成されず、腎臓の機能が不十分である場合や、腎臓がまったく機能しないことがあります(異形成腎)。片方の腎臓だけが適切に機能している場合には、もう片方の機能が失われている分を埋め合わせるために正常より大きくなることがあります。腎臓は通常2つありますが、健康な腎臓であれば1つだけでも、2つの腎臓分の機能を十分に果たすことができるため、腎臓が1つしかない小児が普通の健康な人生を送ることはよくあります。しかし、異形成が広範囲にわたり両方の腎臓に生じている場合は、腎臓の機能を補うための治療が必要になる場合があります。つまり、 腎移植 腎移植 腎移植とは、生きている人または死亡した直後の人から健康な腎臓を摘出し、末期腎不全の患者に移植することです。 ( 移植の概要も参照のこと。) 不可逆的 腎不全(腎臓が機能せず、治療しても治らない)の患者にとって、年齢にかかわらず腎移植は透析に代わる救命法です。米国では2019年には23,401件の腎移植が行われました。最も多いタイプの臓器移植です。 腎移植は以下の病気がある場合に必要になります。... さらに読む 腎移植 透析 透析 透析とは、体内の老廃物や過剰な水分を機械的に取り除く処置のことで、腎臓が十分な機能を果たさなくなったときに必要になります。 透析が必要になる理由はいくつかありますが、最も多いのは、腎臓が血液から老廃物を十分にろ過できなくなること(腎不全)です。腎臓の機能は急速に低下することもあれば(... さらに読む 透析 (体から老廃物や過剰な水分を除去する処置)が必要になります。

多発性嚢胞腎

多発性嚢胞腎(のうほうじん)は、両方の腎臓に液体で満たされた袋状の病変(嚢胞)が多数形成される遺伝性の病気です。そのため腎臓が大きくなりますが、機能している腎組織は減少します。

常染色体劣性多発性嚢胞腎は、この病気のまれな病型で、小児期に発症します。この病気では、嚢胞が非常に大きくなり、重篤な状態を引き起こします。新生児の重症例では、出生前に腎不全が起きることで肺が十分に発育していない可能性があり、そのために出生後すぐに死亡することもあります。肝臓も障害され、 門脈圧亢進症 門脈圧亢進症 門脈圧亢進症は、門脈(腸から肝臓に向かう太い静脈)とその分枝の血圧が異常に高くなる病気です。 欧米諸国で最も一般的な原因は、 肝硬変(瘢痕化により肝臓の構造が歪み、機能が損なわれること)です。 門脈圧亢進症は、腹部の膨隆( 腹水)、腹部の不快感、錯乱、消化管での出血につながります。 医師は、症状および身体診察の結果、ときには超音波検査、CT検査、MRI検査、または肝生検の結果に基づいて診断を下します。... さらに読む (腸と肝臓を結ぶ血管内[門脈系]の高血圧)を起こしやすくなります。そして最終的には、 肝不全 肝不全 肝不全は、肝機能が大幅に低下した状態です。 肝不全は、肝臓に損傷が起きる病気や物質により引き起こされます。 ほとんどの患者は 黄疸(皮膚と眼が黄色くなる)になり、疲れて脱力を覚え、食欲を失います。 他の症状には、腹部への体液の貯留( 腹水)や、皮下出血や出血が起きやすい傾向などがあります。 医師は通常、症状と身体診察、および血液検査の結果に基づいて、肝不全の診断を下すことができます。 さらに読む 慢性腎臓病 慢性腎臓病 慢性腎臓病では、血液をろ過して老廃物を除去する腎臓の能力が、数カ月から数年かけて徐々に低下します。 主な原因は糖尿病と高血圧です。 血液の酸性度が高くなり、貧血が起き、神経が傷つき、骨の組織が劣化し、動脈硬化のリスクが高くなります。 症状としては、夜間の排尿、疲労、吐き気、かゆみ、筋肉のひきつりやけいれん、食欲不振、錯乱、呼吸困難、体のむくみ(主に脚)などがあります。 診断は、血液検査と尿検査の結果により下されます。 さらに読む を発症します。新生児期を乗り切った乳児には、腎移植(および場合によっては肝移植)が必要になる場合があります。

多発性嚢胞腎

多発性嚢胞腎では、両側の腎臓に多数の嚢胞が形成されます。嚢胞は徐々に大きくなり、正常な腎組織の一部ないし大半を破壊します。

多発性嚢胞腎

多嚢胞性異形成腎

多嚢胞性異形成腎は、小児にみられる嚢胞を引き起こす疾患の中で最も一般的なものです。多嚢胞性異形成腎では、腎臓が正常に発育せず、液体で満たされた袋状の病変(嚢胞)が腎臓の中に多数できて、正常な腎臓の細胞に取って代わります。腎臓はまったく機能しません。多嚢胞性異形成腎は、典型的には片方の腎臓だけに起こります。両方の腎臓に起こった場合、胎児は死亡します。しかし、片方の腎臓だけに起こった場合は、他にどのような異常があるかにもよりますが、多くの場合は経過の見通しは良好です。この異常がない側の腎臓に、尿の流れを妨げる他の異常があることがあります。

多嚢胞性異形成腎はたいてい通常の出生前超音波検査で発見され、ほとんどの患児に対して、異常がない側の腎臓が適切に機能しているか判定するため、出生後に定期的な超音波検査が行われます。この異常がある腎臓は、ほぼ必ず縮んでなくなってしまいます。腎臓がなくならない場合は、小児期の後半に切除することがあります。異常がない側の腎臓は通常、異常がある側を埋め合わせるために徐々に大きくなるため、患児の腎臓の機能はたいてい正常です。尿路の閉塞によって頻繁な尿路感染症や機能している側の腎臓に別の問題が発生する場合は、手術が必要になることがあります。

診断

  • 出生前超音波検査と出生前検査、および出生後の画像検査と身体診察

  • ときに腎生検

  • ときとして遺伝子検査

出生後では、症状を引き起こさない腎臓の異常が、別の理由で画像検査を行った際に発見されることがよくあります。腎臓の異常が疑われる場合は、 超音波検査 超音波検査 腎疾患または尿路疾患が疑われる場合の評価には、様々な検査が用いられます。( 尿路の概要も参照のこと。) 尿路を評価する際、X線検査は通常役に立ちません。ある種の 腎結石の検出と腎結石の位置や大きさの確認には、X線検査が役立つことがあります。単純X線検査では撮影されないタイプの腎結石もあります。 超音波検査は以下の点で有用な画像検査です。 電離放射線や造影剤の静脈内投与(ときに腎臓を損傷します)が不要である... さらに読む CT検査 CT(コンピュータ断層撮影)検査 腎疾患または尿路疾患が疑われる場合の評価には、様々な検査が用いられます。( 尿路の概要も参照のこと。) 尿路を評価する際、X線検査は通常役に立ちません。ある種の 腎結石の検出と腎結石の位置や大きさの確認には、X線検査が役立つことがあります。単純X線検査では撮影されないタイプの腎結石もあります。 超音波検査は以下の点で有用な画像検査です。 電離放射線や造影剤の静脈内投与(ときに腎臓を損傷します)が不要である... さらに読む 核医学検査 消化管の核医学検査 核医学検査は、無害の放射性物質を用いた検査です( 核医学検査)。放射性物質は、飲食物の一部として摂取するか、または静脈内に投与されます。これらの放射性物質から発生する少量の放射線を用いて、体内構造の画像が作成されます。放射性物質を体内に入れた後に、放射線を検出する特殊なスキャナーやカメラ(ガンマカメラと呼ばれる)を用いて、放射性物質がどこにあるかを写します。目的や画像の作成が必要な部位に応じて、様々な放射性物質を用いた様々な種類の検査が... さらに読む MRI検査 MRI検査 腎疾患または尿路疾患が疑われる場合の評価には、様々な検査が用いられます。( 尿路の概要も参照のこと。) 尿路を評価する際、X線検査は通常役に立ちません。ある種の 腎結石の検出と腎結石の位置や大きさの確認には、X線検査が役立つことがあります。単純X線検査では撮影されないタイプの腎結石もあります。 超音波検査は以下の点で有用な画像検査です。 電離放射線や造影剤の静脈内投与(ときに腎臓を損傷します)が不要である... さらに読む などの画像検査が一般的に行われます。まれに、 排泄性尿路造影検査 排泄性尿路造影検査 腎疾患または尿路疾患が疑われる場合の評価には、様々な検査が用いられます。( 尿路の概要も参照のこと。) 尿路を評価する際、X線検査は通常役に立ちません。ある種の 腎結石の検出と腎結石の位置や大きさの確認には、X線検査が役立つことがあります。単純X線検査では撮影されないタイプの腎結石もあります。 超音波検査は以下の点で有用な画像検査です。 電離放射線や造影剤の静脈内投与(ときに腎臓を損傷します)が不要である... さらに読む が行われることもあります。

多発性嚢胞腎の患者には、自身の子どもに病気が遺伝する確率を把握するために遺伝子検査を行うことがあります。

治療

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