定期的に健康診断を受けると、小児の成長と発達についての情報が得られます。このような定期健診は、例えばトイレトレーニング( トイレトレーニング トイレトレーニング 多くの場合、小児は2歳と3歳の間にトイレの使い方を教わります。普通は、最初にトイレを使えるようになるのは排便時です。ほとんどの小児では、2歳から3歳の間に排便のコントロール、3歳から4歳の間に排尿のコントロールを訓練できます。多くの場合5歳までに日中の排尿コントロールができるようになり(昼間尿禁制といいます)、服を着たり脱いだり、尿や便を出したり、おしりをふいたり、水を流したり、手を洗ったりなど、すべてをできるようになります。しかし、健... さらに読む )について、親が質問をしたり助言を求める機会でもあります。米国小児科学会では、生後1年以降、1歳、1歳3カ月、1歳半、2歳、2歳半に健診を受け、その後は6歳まで年に1回健診を受けるよう推奨しています。その後は、8歳と10歳のときに健診を受けるよう推奨しています。医師の指導がある場合や、家族が必要を感じた場合は、この推奨より頻繁に健診を受けることもあります。
診察
健診では毎回、いくつかの測定を行い、スクリーニング検査やワクチン接種が行われます( 小児期の予防接種スケジュール 小児期の予防接種スケジュール 米国では、ほとんどの医師は米国疾病予防管理センター(CDC—CDCのウェブサイトを参照)が推奨している予防接種スケジュールに基づいて予防接種を行っており、このスケジュールは病院の新生児室で行われるB型肝炎ワクチンの接種から始まります。(小児期の予防接種も参照のこと。) 親は子どもにスケジュールに従って予防接種を受けさせるよう努めるべきです。予防接種のタイミングがかなり遅れると、小児にワクチンで予防しえた深刻な病気にかかるリスクが生じます... さらに読む )。身長と体重の測定を行い、3歳まで頭囲を測定します。良好な成長は、その小児が全般的に健康であることの1つの指標です。小児の実際の身長や体重は、毎回の健診で成長曲線の同じパーセンタイル内かその近くに身長や体重が位置しているかどうかに比べれば、それほど重要ではありません。同年齢の多くの小児より小さくても、例えば10パーセンタイルを常に維持していれば問題ありませんが、35パーセンタイルから10パーセンタイルに下降した場合は医学的に問題がある可能性があります。3歳からは、健診の際に毎回血圧を測ります。
医師は、前回の健診から小児がどの程度発達したかも調べます( 小児の発達 小児の発達 小児の体と知能と情緒は、1~13歳の間に飛躍的に発達します。よちよち歩きから走ったり飛んだりできるようになり、集団スポーツを楽しむようになります。1歳では、ほとんどの小児がなんとか理解できる程度の言葉をいくつか話せるだけですが、10歳までに、ほとんどの小児が本の感想文を書くことができ、コンピュータが使えるようになります。しかし、知的、情緒的、行動的発達の度合いは、乳児や小児によってかなり個人差があります。発達は次のような要因の影響をある... さらに読む )。例えば、1歳半の小児では話し始めたかどうか、6歳の小児では数種類の文字を読めるようになったかを聞く場合があります( 1歳半から6歳までの発達の主な目安* 1歳半から6歳までの発達の主な目安* )。同様に、小児の行動面についても、年齢に応じた質問をしばしば行います。1歳半の小児では、かんしゃくを起こすか、2歳の小児では、一晩中目を覚まさずに眠れるか、6歳の小児では、夜尿がないか、などです。健診の際、親は小児のこのような行動や発達について医師に相談したり、問題がある場合には、それに対処する方法を話し合ったりできます。
最後に、医師は全身の診察を行います。心臓、肺、腹部、性器、脊椎、腕、脚、頭頸部、眼、耳、鼻、口、歯などを含めて、全身をくまなく診察するとともに、年齢に応じた課題をいくつか行うように小児に指示することもあります。総合的な運動能力(歩く、走るなど)を調べるために、4歳の小児では、片足で飛び跳ねるように指示することがあります。繊細な運動能力(小さいものを手で扱えるかなど)を調べるために、小児に絵を描かせたり、ある形を模写させたりする場合もあります。
スクリーニング
健診では、視力と聴力も検査します。3歳か4歳までに、視力表と検査機器を使って視力検査を行います。貧血や鉛濃度の上昇( 鉛中毒 鉛中毒 鉛中毒の原因は、鉛入りの塗料を飲み込むことや、不適切な鉛の釉薬(ゆうやく)をかけた輸入陶磁器で飲食することなどです。 鉛の血中濃度が非常に高いと、人格の変化、頭痛、感覚の消失、脱力、口の中の金属味、歩行の協調障害、胃腸障害、貧血が起こることがあります。 鉛中毒は、症状と血液検査の結果に基づいて診断されます。 家庭用の水、陶磁器、塗料に鉛が含まれていないかを検査することは、鉛中毒の原因を特定するのに有用です。... さらに読む )がないか調べるため、血液検査を受けなければならない小児もいます。
高コレステロール血症のリスクがある2歳以上の小児も血液検査が必要です。リスクがある小児とは、家族のコレステロール値が高い小児や、若いうちに心臓発作や脳卒中を経験した家族がいる小児などです。すべての小児は、9~11歳と17~21歳にコレステロール検査を受ける必要があります。
他の検査を行うかは、小児の年齢やその他の様々な要因によって決まります。
安全面
健診では、小児の安全についても話し合われます。小児の年齢に応じて、安全に関する考慮事項が存在します。例えば、6歳の小児では、その中心が自転車の安全性になることもあります。けが防止に関する以下の注意点は、生後12カ月から4歳までの小児を対象としたものです。
年齢と体重に合わせたチャイルドシートを使用する(乳幼児は、少なくとも2歳まで、または後向き・前向き両用チャイルドシートの後向きの体重/身長制限を超えるまでは、後向きに乗せるべきです)
チャイルドシートは車の後部座席に設置する
乗車しているときと歩いているときの両方の立場から、自動車の安全性や危険防止について考える
首が絞まらないようブラインドの紐を結んでおく
安全のためにキャップや留め金を使う
転倒を防止する
家に拳銃を置かない
以上に加え、5歳以上の小児を対象としたけが防止に関する注意の例は以下の通りです。
ハーネス(固定用具)の付いた前向きのチャイルドシートをできるだけ長い期間使用し(チャイルドシートの体重/身長制限を超えるまで)、その後、車のシートベルトが体に合うまで(一般的には身長145cmに達する8歳から12歳までの間まで)は車のシートベルトを調節して使える座面型シート(ブースターシート)を使う
13歳未満の小児は車の後部座席にシートベルトを使って乗せる
車に後部座席がない場合は、助手席のエアーバッグを使えないようにする
自転車用ヘルメットおよびスポーツ用防護具を使わせる
安全に道路を横断する方法を指導する
水泳の際には注意深く見守り、ときには救命胴衣を着用させ、ボート遊びの際には必ず救命胴衣を着用させる
医師は、他の安全性に関する注意事項についても強調することもあります。例えば、煙感知器を取り付けて点検しておくこと、毒となる可能性のあるもの(洗剤や薬など)を小児の手の届かない場所に置くことの重要性などです。家庭状況に関連する特殊な問題があれば、健診の機会に相談すべきです。小児は成長するにつれて、このような話し合いにも積極的に参加できるようになります。
栄養面と運動面
親は、肥満を防ぐために健康的な食生活を習慣化させ、定期的な運動を促します。親はタンパク質に加えて、果物や野菜などの健康的な食品を幅広く子どもに与える必要があります。好き嫌いの多い就学前の小児でも、規則正しい食事と栄養のある少量のおやつを与えることで、健康的な食生活が送れます。健康に良い食物の中にはブロッコリーや豆類のように小児がしばらくの間は嫌うものもあるかもしれませんが、健康に良い食物を根気強く食事に取り入れることが大切です。さらに、親は子どもがフルーツジュース(健康的に思えますが、ほとんどが砂糖水)を飲みすぎないよう気をつけるべきです。フルーツジュースを飲みすぎると、食事のときに食欲がなくなってしまう小児もいます。親は、子どもが頻繁に間食しないように、また、カロリー、塩分、糖分の高い食品を食べないように教える必要があります。
運動することと、体と心の健康を保つことは小児にとって有益です。家族との外遊びや運動チームへの参加は小児に運動を促し肥満を予防するよい方法です。