ヘルスデー
疾患

小児の健診

執筆者:Deborah M. Consolini, MD, Thomas Jefferson University Hospital
レビュー/改訂 2021年 7月
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    定期的に健康診断(小児健診)を受けると、小児の成長と発達についての情報が得られます。このような定期健診は、例えばトイレトレーニングについて、親が質問をしたり助言を求める機会でもあります。米国小児科学会では、生後1年以降、1歳、1歳3カ月、1歳半、2歳、2歳半に健診を受け、その後は10歳まで年に1回健診を受けるよう推奨しています。医師の指導がある場合や、家族が必要を感じた場合は、この推奨より頻繁に健診を受けることもあります。

    診察

    健診では毎回、いくつかの測定を行い、スクリーニング検査やスケジュールに応じた予防接種が行われます。身長と体重の測定を行い、3歳まで頭囲を測定します。良好な成長は、その小児が全般的に健康であることの1つの指標です。小児の実際の身長や体重は、毎回の健診で体長・体重チャートの同じパーセンタイル内かその近くに身長や体重が位置しているかどうかに比べれば、それほど重要ではありません。同年齢の多くの小児より小さくても、例えば10パーセンタイルを常に維持していればおそらく問題ありませんが、35パーセンタイルから10パーセンタイルに下降した場合は医学的に問題がある可能性があります。3歳からは、健診の際に毎回血圧を測ります。

    医師は、前回の健診から小児がどの程度発達したかも調べます( see page 小児の発達)。例えば、1歳半の小児では話し始めたかどうか、6歳の小児では数種類の文字を読めるようになったかを聞く場合があります( see table 1歳半から6歳までの発達の主な目安*)。同様に、小児の行動面についても、年齢に応じた質問をしばしば行います。1歳半の小児では、かんしゃくを起こすか、2歳の小児では、一晩中目を覚まさずに眠れるか、6歳の小児では、夜尿がないか、などです。健診の際、親は小児のこのような行動や発達について医師に相談したり、問題がある場合には、それに対処する方法を話し合ったりできます。

    最後に、医師は全身の診察を行います。心臓、肺、腹部、性器、脊椎、腕、脚、頭頸部、眼、耳、鼻、口、歯などを含めて、全身をくまなく診察するとともに、年齢に応じた課題をいくつか行うように小児に指示することもあります。総合的な運動能力(歩く、走るなど)を調べるために、4歳の小児では、片足で飛び跳ねるように指示することがあります。繊細な運動能力(小さいものを手で扱えるかなど)を調べるために、小児に絵を描かせたり、ある形を模写させたりする場合もあります。

    スクリーニング

    健診では、視力と聴力も検査します。視力スクリーニングは、小児が協力的であれば一般的には3歳から開始しますが、親が子どもの視力に関して何らかの心配ごとがある場合は、それまでに医師に知らせるようにします。この年齢までに、視力表と検査機器を使って視力検査を行います。

    聴覚検査は、新生児の検査の後、一般的には4歳から開始しますが、親が子どもの聴覚に関して何らかの心配ごとがある場合は、それまでに医師に知らせるようにします。

    貧血や鉛濃度の上昇がないか調べるため、血液検査を受けなければならない小児もいます。

    高コレステロール血症のリスクがある2歳以上の小児も血液検査が必要です。リスクがある小児とは、家族のコレステロール値が高い小児や、若いうちに心臓発作や脳卒中を経験した家族がいる小児などです。すべての小児は、9~11歳の時点とさらに17~21歳の時点でもコレステロール検査を受けるべきです。

    小児には結核の危険因子に関するスクリーニングが小児健診で行われます。危険因子としては、結核への曝露、結核が多くみられる地域(米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、西欧諸国、北欧諸国、以上を除く国々)での出生、それらの地域への旅行歴、家族内に結核患者がいること、親または濃厚接触者に結核が多くみられる地域からの最近の移民や最近収監されていた者がいることなどがあります。結核の危険因子が認められた場合は、通常は結核スクリーニング検査が行われます。

    他の検査を行うかどうかは、小児の年齢やその他の様々な要因によって決まります。

    安全面

    健診では、小児の安全についても話し合われます。小児の年齢に応じて、安全に関する考慮事項が存在します。例えば、6歳の小児では、その中心が自転車の安全性になることもあります。けがの予防に関する以下の注意点は、生後12カ月から4歳までの小児を対象とするものです。

    • 年齢と体重に合わせたチャイルドシートを使用する。(乳幼児は、後ろ向き・前向き両用チャイルドシートの後ろ向きの体重/身長制限を超えるまでは、後ろ向きに乗せる。後ろ向き・前向き両用チャイルドシートには制限があり、ほとんどの小児が2歳までは後ろ向きに乗ることができる。2歳になるか、年齢にかかわらず後ろ向きのチャイルドシートからはみ出すようになった場合は、幼児は体重と身長の制限に基づいてできるだけ長い期間、ハーネス(固定用具)の付いた前向きのチャイルドシートに乗せる。)

    • チャイルドシートは車の後部座席に設置する

    • 乗車しているときと歩いているときの両方の立場から、自動車の安全性や危険防止について考える

    • 首が絞まらないようブラインドの紐を結んでおく

    • 安全のためにキャップや留め金を使う

    • 転倒を防止する

    • 家に拳銃を置かない

    • 小児が水(例えば、浴槽、プール、温泉、水遊び用プール、池、用水路、その他の水たまりなど)の中にいるときや近くにいるときは、注意深く見守る。1歳を超えたら水泳のレッスンを受けさせ、水泳中は救命胴衣を着用させ、ボート遊びの際には必ず救命胴衣を着用させる。

    乳児用および小児用チャイルドシートの使用に関する推奨事項
    後ろ向きチャイルドシートに関するガイダンス
    後ろ向きチャイルドシートに関するガイダンス

    Image courtesy of the Centers for Disease Control and Prevention (CDC), National Center for Injury Prevention and Control (Transportation Safety Resources).CDCが公表しているこのガイダンスは米国向けのものであり、米国以外の国では規制が異なっている場合があります。

    前向きチャイルドシートに関するガイダンス
    前向きチャイルドシートに関するガイダンス

    Image courtesy of the Centers for Disease Control and Prevention (CDC), National Center for Injury Prevention and Control (Transportation Safety Resources).CDCが公表しているこのガイダンスは米国向けのものであり、米国以外の国では規制が異なっている場合があります。

    ブースターシートに関するガイダンス
    ブースターシートに関するガイダンス

    Image courtesy of the Centers for Disease Control and Prevention (CDC), National Center for Injury Prevention and Control (Transportation Safety Resources).CDCが公表しているこのガイダンスは米国向けのものであり、米国以外の国では規制が異なっている場合があります。

    シートベルトに関する小児向けのガイダンス
    シートベルトに関する小児向けのガイダンス

    Image courtesy of the Centers for Disease Control and Prevention (CDC), National Center for Injury Prevention and Control (Transportation Safety Resources).CDCが公表しているこのガイダンスは米国向けのものであり、米国以外の国では規制が異なっている場合があります。

    以上に加え、5歳以上の小児を対象としたけが防止に関する注意の例は以下の通りです。

    • ハーネス(固定用具)の付いた前向きのチャイルドシートをできるだけ長い期間使用し(チャイルドシートの体重/身長制限を超えるまで)、その後は車のシートベルトが体に合うようになるまで(一般的には身長が145cmに達する8~12歳まで)、体の高さをシートベルトの位置に合わせるブースターシートを使用する

    • 13歳未満の小児は車の後部座席にシートベルトを締めて乗せるようにする

    • 車に後部座席がない場合は、助手席のエアーバッグを使えないようにする

    • 自転車用ヘルメットおよびスポーツ用防護具を使わせる

    • 安全に道路を横断する方法を指導する

    • 水泳の際には注意深く見守り、ときには救命胴衣を着用させ、ボート遊びの際には必ず救命胴衣を着用させる

    医師は、他の安全性に関する注意事項についても強調することもあります。例えば、煙感知器を取り付けて点検しておくこと、毒となる可能性のあるもの(洗剤や薬など)を小児の手の届かない場所に置くことの重要性などです。家庭状況に関連する特殊な問題があれば、健診の機会に相談すべきです。小児は成長するにつれて、このような話し合いにも積極的に参加できるようになります。

    栄養面と運動面

    親は、肥満2型糖尿病を防ぐために健康的な食生活を習慣化させ、定期的な運動を促します。親はタンパク質に加えて、果物や野菜などの健康的な食品を幅広く子どもに与える必要があります。好き嫌いの多い就学前の小児でも、規則正しい食事と栄養のある少量のおやつを与えることで、健康的な食生活が送れます。健康によい食物の中にはブロッコリーや豆類のように小児がしばらくの間は嫌うものもあるかもしれませんが、健康によい食物を根気強く食事に取り入れることが大切です。さらに、親は子どもがフルーツジュース(健康的に思えますが、ほとんどが砂糖水)を飲みすぎないよう気をつけるべきです。フルーツジュースを飲みすぎると、食事のときに食欲がなくなってしまう小児もいます。親は、子どもが頻繁に間食しないように、また、カロリー、塩分、糖分の高い食品を食べないように教える必要があります。

    運動することと、体と心の健康を保つことは小児にとって有益です。家族との外遊びや運動チームへの参加は小児に運動を促し肥満を予防するよい方法です。

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