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乳児健診

執筆者:

Deborah M. Consolini

, MD, Thomas Jefferson University Hospital

レビュー/改訂 2021年 7月
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本ページのリソース

健康な乳児は、生後1年間は医師による健診を定期的に受ける必要があります。健診(小児健診)は、生後数日以内か生後2週までと、生後1、2、4、6、9カ月の時点で受けます。健診で医師は月齢別のガイドラインを参考に 乳児の成長と発達 乳児と小児の身体的成長 身体的成長とは、体の大きさ(体長または身長と体重)と臓器の大きさが増すことです。出生から1~2歳頃まで、小児は急速に成長します。この乳児期と幼児期早期の急速な成長が終わると、 青年期の成長スパートが始まるまで、成長は減速します。成長の速度が遅くなると、必要なカロリーも少なくなり、小児の食欲が減っていることに気づく親もいます。2歳になると、... さらに読む を継続的にモニタリングし、様々な発達上の指標について親に尋ねます(出生後から生後12カ月までの発達の目安* 出生後から生後12カ月までの発達の目安* 出生後から生後12カ月までの発達の目安* )。ときに検査を行い、また、数多くの健診を通じて様々な病気に対するワクチン接種も行います(小児期の予防接種スケジュール 小児期の予防接種スケジュール 米国では、ほとんどの医師は米国疾病予防管理センター(CDC―乳児・小児用スケジュール[schedule for infants and children]および年長児・青年用スケジュール[schedule for older children and adolescents]を参照)が推奨している予防接種スケジュールに基づいて予防接種を行っており、このスケジュールは病院の新生児室で行われる... さらに読む )。

乳児健診では、食事、睡眠、行動、安全、栄養、運動、健康によい習慣などについて親に指導します。さらに、次回の健診までの間に乳児にどのような発達上の変化がみられるかについてもアドバイスします。

診察

乳児の 体長と身長 体長と身長 身体的成長とは、体の大きさ(体長または身長と体重)と臓器の大きさが増すことです。出生から1~2歳頃まで、小児は急速に成長します。この乳児期と幼児期早期の急速な成長が終わると、 青年期の成長スパートが始まるまで、成長は減速します。成長の速度が遅くなると、必要なカロリーも少なくなり、小児の食欲が減っていることに気づく親もいます。2歳になると、... さらに読む 体重 体重 身体的成長とは、体の大きさ(体長または身長と体重)と臓器の大きさが増すことです。出生から1~2歳頃まで、小児は急速に成長します。この乳児期と幼児期早期の急速な成長が終わると、 青年期の成長スパートが始まるまで、成長は減速します。成長の速度が遅くなると、必要なカロリーも少なくなり、小児の食欲が減っていることに気づく親もいます。2歳になると、... さらに読む 頭囲 頭囲 身体的成長とは、体の大きさ(体長または身長と体重)と臓器の大きさが増すことです。出生から1~2歳頃まで、小児は急速に成長します。この乳児期と幼児期早期の急速な成長が終わると、 青年期の成長スパートが始まるまで、成長は減速します。成長の速度が遅くなると、必要なカロリーも少なくなり、小児の食欲が減っていることに気づく親もいます。2歳になると、... さらに読む を測ります。さらに遺伝性疾患や 先天異常 先天異常の概要 先天異常あるいは先天奇形とは、出生前の段階で生じた身体的な異常のことです。それらの異常は通常、出生時か生後1年以内に明らかになります。 多くの先天異常は原因不明ですが、感染、遺伝的要因、そして特定の環境要因が先天異常の発生リスクを高めます。 出生前の段階では、母親がもつ危険因子と超音波検査の結果のほか、ときに血液検査、... さらに読む の徴候など様々な異常がないかどうかも調べます。

眼の診察と視力検査を行います。非常に未熟な状態(子宮内での発育期間が32週未満)で生まれた乳児は、 未熟児網膜症 未熟児網膜症(ROP) 未熟児網膜症とは、早産児において眼の奥の部分(網膜)にある微小な血管が異常に成長する病気です。 未熟児網膜症は 早産との関連が強く、ほとんどの症例は子宮内での発育が30週間未満で出生した新生児にみられます。 最も重症の場合には、微小な血管の急速で異常な成長によって網膜剥離が起こり、視力障害につながる可能性があります。 未熟児網膜症の新生児は症状がみられないため、眼の専門医(眼科医)が慎重に診察して診断します。... さらに読む (眼の中の血管が十分に発育する前に生まれた場合に起こる眼の病気で、失明することもある)や、 屈折異常 小児の屈折異常 屈折異常では、眼が網膜上に正しく像を結ぶことができず、かすみ目になります。 屈折異常の結果、物がかすんで見えます。 小児は、自分の視覚障害を他の人に伝えられない場合があります。 診断はスクリーニングおよび視力検査の結果に基づいて下されます。 屈折異常は眼鏡やコンタクトレンズで治療できます。 さらに読む (眼がぼやけて見えるようになる異常)が生じていないか確認するため、通常は眼科医による眼の診察をより頻繁に受ける必要があります。これらの病気はこの年齢層の乳児によくみらます。

股関節にゆるみや脱臼の徴候がないか調べます(発育性股関節形成不全 発育性股関節形成不全 発育性股関節形成不全は、股関節の骨が正しく発育しない先天異常です。 先天異常あるいは先天奇形とは、出生前の段階で生じた身体的な異常のことです。「先天」とは、「生まれたときから存在する」という意味です。( 顔面、骨、関節、および筋肉の先天異常に関する序も参照のこと。) 発育性股関節形成不全(以前は先天性股関節脱臼と呼ばれていました)は、股関節を形成する新生児の股関節窩(こかんせつか)と大腿骨の一番上(大腿骨頭)が離れる状態をいいます。多く... さらに読む 発育性股関節形成不全 )。歯が生えている場合は虫歯がないか 歯を調べ 身体的成長とは、体の大きさ(体長または身長と体重)と臓器の大きさが増すことです。出生から1~2歳頃まで、小児は急速に成長します。この乳児期と幼児期早期の急速な成長が終わると、 青年期の成長スパートが始まるまで、成長は減速します。成長の速度が遅くなると、必要なカロリーも少なくなり、小児の食欲が減っていることに気づく親もいます。2歳になると、... さらに読む 、乳児でよくみられる真菌感染症である 鵞口瘡 症状 カンジダ症は、カンジダ属の真菌によって引き起こされる感染症です。 カンジダ症は湿潤部位の皮膚で発生しやすい傾向があります。 カンジダ症では、発疹、鱗屑(りんせつ)、かゆみ、腫れなどがみられます。 診断では、患部を診察するとともに、皮膚のサンプルを顕微鏡で調べたり、培養して観察したりします。 通常は、抗真菌薬のクリームや経口薬による治療で治癒します。 さらに読む 症状 (がこうそう)がないか口も調べます。心臓、肺、腹部も診察します。

スクリーニング

スクリーニング検査は、特定の病気のリスクが乳児にあるか判定するために行います。

生後まもなく聴覚検査を行い、聴覚障害や難聴がないか調べ(新生児スクリーニング検査 新生児スクリーニング検査 出生時に分からない重篤な病気の多くは、様々なスクリーニング検査により発見できます。新生児の健全な発達を妨げるような多くの病気を早期に診断し、迅速に治療を行うことで、症状を軽くしたり、予防したりすることができます。どこでも必ず行われる検査もあれば、特定の州だけが義務づけている検査もあります。スクリーニング検査の結果が陽性の場合、他の検査もしばしば追加されます。 典型的なスクリーニング検査には以下のものがあります。... さらに読む を参照)、また、その後に聴覚について心配が生じれば再度検査を行います(スクリーニングと診断 スクリーニングと診断 聴覚障害とは、軽度から重度までの様々な程度の難聴を指し、内耳、中耳、外耳、または聴覚に必要な神経など、耳の一部に問題がある場合に起こる可能性があります。 新生児の聴覚障害は、サイトメガロウイルス感染症または遺伝子異常が原因であることが最も多く、年長児の場合は耳の感染症や耳あかが原因です。 小児が音に反応しなかったり、言葉をうまく話せなかったり、話し始めるのが遅かったりする場合は、聴覚障害が原因である可能性があります。... さらに読む スクリーニングと診断 )。

安全面

健診時に医師は、安全面に関して月齢や年齢に合わせた指導を親に提供します。

以下の安全に関する指導は、出生後から生後12カ月までの乳児を対象とするものです。

  • 後ろ向きのチャイルドシートを使用し、車の後部座席に設置する。

  • 給湯器の温度設定を49℃以下にする。

  • おむつ替え台や階段からの転落を防止する。

  • あお向けで寝かせる、固いマットレスを使用する、同じベッドで寝ない、ベビーベッドに枕や囲いパッド、ぬいぐるみ、毛布を置かない。

  • 窒息を起こしたり肺に吸い込んでしまうような食べものや物体を乳児に与えない。

  • 幼児用歩行器は使用しない。

  • 戸棚には安全用の留め金を付け、コンセントにはカバーをかける。

  • 乳児が浴槽の中にいるとき、プールの近くや水辺にいるとき、また歩き始めの時期には、乳児から目を離さないようにする。

乳児用および小児用チャイルドシートの使用に関する推奨事項

栄養面と運動面

乳児の栄養推奨量は年齢に基づいています。医師は 母乳栄養 母乳哺育 新生児にとって母乳は理想的な栄養源です。乳児には母乳と人工乳のどちらを与えてもよいですが、世界保健機関(WHO)と米国小児科学会(AAP)は、およそ6カ月間は授乳のみとし、それから固形食を開始する方針を推奨しています。ほかにも、授乳を続けながら生後4カ月から6カ月の間に 固形食を開始する方針を推奨している組織もあります。現在では、生後4カ月から6カ月の間に固形食を開始することが一部の食物アレルギーの発症予防につながる可能性を示唆した科学... さらに読む 母乳哺育 人工乳による授乳 人工乳による授乳 病院では、一般に新生児には出生後すぐに授乳を行い、その後は、欲しがったときに授乳するのが理想的です。生後最初の1週間は、1回の授乳で約15~60ミリリットル飲みますが、その後は徐々に量が増えて、2週目までには1回に約90~120ミリリットルを、1日に6~8回飲むようになります。新生児には、毎回一定量を飲みきるよう無理強いせず、おなかがすいて欲しがったときに好きなだけ与えるようにします。成長するにしたがって乳児が飲む量は増え、3~4カ月頃... さらに読む 人工乳による授乳 のそれぞれの利点について比較検討するためのアドバイスを行い、 固形食 乳児における固形食の開始 固形食を始める時期は、その乳児にとっての必要性と受け入れる準備の度合いによって決まります。一般には、乳児が十分大きくなって、 母乳や 人工乳より高カロリーの食品を必要とするようになった時期に、固形食が必要になります。目安としては、乳児が哺乳びんのミルクを飲み干して満足しても2~3時間でまた空腹になるようになったときや、1日に約1200ミリリットル以上の人工乳を飲むようになったときです。この段階には典型的には生後4~6カ月までに達します。... さらに読む についても指導します。

親は乳児が歩き回り探検できる安全な環境を与えるべきです。乳児期から積極的に外遊びをさせましょう。

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