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結節性硬化症複合体

執筆者:

M. Cristina Victorio

, MD, Akron Children's Hospital

医学的にレビューされた 2020年 3月
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やさしくわかる病気事典
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結節性硬化症複合体は遺伝性の病気で、脳内の異常な増殖や皮膚病変がみられるほか、ときに心臓、腎臓、肺などの重要臓器に腫瘍が生じることがあります。

  • 結節性硬化症複合体は遺伝子の突然変異によって引き起こされます。

  • 小児の場合は、皮膚の異常な腫瘤、けいれん発作、発達の遅れ、学習障害、行動上の問題などがみられるほか、知的障害や自閉症がみられることもあります。

  • 通常、余命に影響はありません。

  • この病気は一生続き、新しい症状が現れることもあるため、生涯モニタリングを受け続けなければなりません。

  • 診断は確立された基準と症状、画像検査の結果のほか、ときに遺伝子検査の結果に基づいて下されます。

  • 治療では、症状の緩和に重点が置かれます。

結節性硬化症複合体は神経皮膚症候群の1つです。神経皮膚症候群は神経系(脳、脊髄、末梢神経)と皮膚が侵される病気です。

結節性硬化症複合体では、腫瘍やその他の異常な増殖物が、脳、心臓、肺、腎臓、眼、皮膚などの複数臓器に生じます。腫瘍は通常、がんではありません(良性)。この病気の名前に付いている「結節性」は英語では「tuberous」といいますが、この単語は、この病気で典型的にみられる脳内の細長い腫瘍が「tuber」すなわち植物の細長い根(塊茎)に似ていることにちなんでいます。

結節性硬化症複合体は通常、出生時に認められますが、症状が軽微で進行が遅い場合には、早期診断が困難なことがあります。

ほとんどの症例は、2つの遺伝子のうちの1つに変異があることで起こったものです。両親のいずれかがこの病気である場合、その子どもがこの病気になる可能性は50%です。しかし、結節性硬化症複合体の多くは、異常な遺伝子を受けつぐことではなく、新たな遺伝子変異が自然に発生することによって発生します。この病気は6000人に1人の割合で発生します。

症状

結節性硬化症複合体の症状は、重症度に大きな幅がみられます。

結節性硬化症により脳が侵されれば、 けいれん発作 小児のけいれん発作 けいれん発作とは、脳の電気的活動が周期的に乱れることで、一時的にいくらかの脳機能障害が起きる現象です。 年長の乳児や幼児にけいれん発作が起きた場合には、全身または体の一部がふるえるなどの典型的な症状が多くの場合みられますが、新生児の場合は、舌なめずりをする、口をもぐもぐさせる、周期的に体がだらんとなるなどの変化しかみられない場合があります。 この病気の診断には脳波検査が用いられ、さらに原因を特定するために血液検査、尿検査、脳の画像検査の... さらに読む 知的障害 知的能力障害 知的能力障害(一般に知的障害とも呼ばれます)とは、出生時や乳児期の初期から知能の働きが明らかに標準を下回り、正常な日常生活動作を行う能力が限られている状態です。 知的能力障害は、遺伝的な場合もあれば、脳の発達に影響を与える病気の結果として起こる場合もあります。 知的能力障害がある小児のほとんどでは、就学前まで目立った症状が現れません。 診断は正式な検査の結果に基づいて下されます。... さらに読む 自閉症 自閉スペクトラム症 自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラム障害とも呼ばれます)は、正常な社会的関係を構築することができず、言葉の使い方に異常がみられるか、まったく言葉を使おうとせず、限定的な行動または反復行動がみられる病気です。 自閉スペクトラム症の患者は、他者とコミュニケーションをとったり関係をもったりすることが苦手です。 自閉スペクトラム症の患者は、行動、関心や動作のパターンが限定的で、多くの場合、決まった行為に従って毎日を過ごします。... さらに読む 、運動能力や言語能力の発達の遅れ、 学習障害 学習障害 学習障害がある小児は、注意力、記憶力、論理的思考力が欠けているため、特定の技能や情報を習得したり、記憶したり、幅広く使ったりすることができず、学業成績にも影響が出ます。 学習障害の小児は、色の名前や文字を覚えたり、数を数えたり、読み書きを習得したりすることが遅れる場合があります。 学習障害の小児は、学習の専門家のもとで一連の学力検査や知能検査を受け、医師が確立された基準を適用して診断を下します。... さらに読む 行動上の問題 小児における行動面の問題の概要 小児は成長するに従って、様々な能力を身につけます。排尿や排便をコントロールする能力などは、主に小児の神経と脳の成熟度によって決まります。また、家や学校で適切な行動をとる能力などは、小児の身体的および知的(認知的)な発達、健康、気性、そして親や教師、養育者との関係などから生じる複雑な相互作用によって決まります(... さらに読む (多動や攻撃性など)などが起こります。

皮膚に病変ができることが多く、外見が損なわれることもあります。

  • 乳児期や小児期の早期に、皮膚に葉っぱの形をした淡色の斑(葉状白斑)ができることがあります。

  • オレンジの皮のような凹凸のある隆起した斑(シャグリンパッチ[粒起革様皮])が通常は背中に現れますが、これは出生時からみられる場合もあれば、出生後に現れる場合もあります。

  • コーヒーミルク色の平らな斑点(カフェオレ斑)が現れることもあります。

  • さらに小児期になると、血管と線維組織からできた赤いかたまり(血管線維腫)が顔面に現れることがあります(皮脂腺腫と呼ばれます)。

  • 小児期や成人期の初期に、小さな肉のかたまり(線維腫)が手足の爪の周りや爪の下から膨らんでくることがあります(ケーネン腫瘍)。

結節性硬化症複合体でみられる皮膚の異常の例

出生前には、心臓に筋腫と呼ばれる良性腫瘍が発生することがあります。ときに、その腫瘍によって新生児期に心不全が起きることもあります。この種の腫瘍は、典型的には時間とともに消失し、その後の小児期や成人期に症状を引き起こすことはありません。

多くの小児に、穴のあいた永久歯がみられます。

また、眼球の奥にある網膜に斑点がみられることもあります。この斑点が網膜の中心近くにあると、視力が損なわれることがあります。

脳にできた結節が腫瘍になることがあり、それらがときに悪性化して大きくなり、頭痛を引き起こしたり、他の症状を悪化させたりします。

診断

  • 確立された臨床基準

  • 医師による評価

  • MRI検査または超音波検査

  • ときとして遺伝子検査

結節性硬化症複合体の診断では、確立された一連の診断基準を利用することができます(詳細については結節性硬化症の診断を参照)。医師はその診断基準を適用する前に、まず身体診察を行って、けいれん発作や発達の遅れ、典型的な皮膚病変など、特定の症状がみられないか確認します。

ときに、決まって行われる 出生前超音波検査 超音波検査 出生前診断は、遺伝性または自然発生的な特定の遺伝性疾患などの特定の異常がないかどうか、出生前に胎児を調べる検査です。 妊婦の血液に含まれる特定の物質の測定に加え、超音波検査を行うことで、胎児の遺伝子異常のリスクを推定できます。 こうした検査は、妊娠中の定期健診の一環として行われることがあります。 検査の結果、リスクが高いことが示唆された場合は、胎児の遺伝物質を分析するために羊水穿刺や絨毛採取などの検査を行うことがあります。... さらに読む で心臓または脳に腫瘍が見つかることで、結節性硬化症複合体が疑われることもあります。 MRI検査 MRI(磁気共鳴画像)検査 MRI(磁気共鳴画像)検査は、強力な磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いて極めて詳細な画像を描き出す検査です。X線を使用しないため、通常はとても安全です。( 画像検査の概要も参照のこと。) 患者が横になった可動式の台が装置の中を移動し、筒状の撮影装置の中に収まります。装置の内部は狭くなっていて、強力な磁場が発生します。通常、体内の組織に含まれる陽子(原子の一部で正の電荷をもちます)は特定の配列をとっていませんが、MRI装置内で生じるよう... さらに読む MRI(磁気共鳴画像)検査 または超音波検査を行って、様々な臓器で腫瘍がないかどうかを調べます。

遺伝子検査を行うのは以下の場合です。

  • 症状から結節性硬化症が疑われる場合に診断を確定するため

  • 結節性硬化症の家族歴があるものの症状はみられない人について、異常な遺伝子をもっていないか確認するため

  • 結節性硬化症の家族歴がある場合に、出生前に結節性硬化症を調べるため(出生前診断)

予後(経過の見通し)

患者の生活の質は症状の重症度に左右されます。症状が軽度であれば、乳児期の発育は全般的に良好で、生産的な生活を長く続けることができます。症状が重度の場合、乳児期から重篤な身体障害が生じることがあります。

それでも、ほとんどの小児で発育が続き、余命に影響が及ぶことは通常ありません。

治療

  • 症状を改善する治療と合併症の治療

  • シロリムスまたはエベロリムス

結節性硬化症複合体の治療は、症状の緩和に重点が置かれます。

シロリムスとエベロリムスについては、結節性硬化症複合体の一部の合併症を治療または予防するのに効果的かどうかを検討する研究が進められています。一部の人では、これらの薬の内服によって脳および心臓の腫瘍と顔面のできものが小さくなり、けいれん発作が軽減することが示されています。皮膚に使用するシロリムスが、顔の皮膚の増殖に役立つ場合があります。これらの薬は現在、特定のがんに対する治療薬や移植臓器の拒絶反応に対する予防薬として使用されています。

患者や患者の家族が子どもをもつことを考えている場合は、遺伝カウンセリングが推奨されます。

新たな異常のスクリーニング

結節性硬化症複合体は生涯続く病気であり、新しい症状が現れることもあるため、患者は生涯を通じて綿密なモニタリングを受け続けなければなりません。

モニタリングとしては一般的に以下の検査が行われます。

  • 頭部のMRI検査

  • 腎臓に腫瘍がないか確認するための腹部の超音波検査またはMRI検査

  • 10代後半の女子では胸部X線検査

  • 小児では学業面の支援計画と行動面の管理を行うための精神機能の詳細な検査(神経心理学的検査)

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