食事の問題は、元をたどれば行動面の問題であることもあります。小児に偏食があったり、あまり食べなかったり、食べ過ぎたり、身体によくないものを食べたり、好き嫌いがあったり、食事中に不適切な行動(食べたくないものをこっそりペットに食べさせる、食べものを投げる、わざと床に落とすなど)をとったりすると、幼児をもつ親は心配しがちです。ほとんどの食事の問題は、小児の成長や発達に影響を及ぼすほど長くは続きません。小児の成長速度が心配するほどのものかどうかは、 成長曲線 体重 身体的成長とは、体の大きさ(体長または身長と体重)と臓器の大きさが増すことです。出生後から約1~2歳まで、小児は急速に成長します。その後、成長の速度は遅くなります。成長の速度が遅くなると、必要なカロリーも少なくなり、小児の食欲が減っていることに気づく親もいます。2歳になると、小児が非常に不規則な食べ方をすることがあり、ときに不安になる親も... さらに読む で確かめることができます。子どもが以下の様な場合には親は医師に相談する必要があります。
外見や体重に関して繰り返し不満を漏らす
体重が減る
通常より速い割合で体重が増える
青年期以前に 神経性やせ症 神経性やせ症 神経性やせ症は、やせていることへの執拗なまでのこだわり、自分の体に対するイメージ(身体像)の歪み、肥満に対する極端なまでの恐怖、ならびに食事量の制限による著しい低体重を特徴とする 摂食障害です。 通常は青年期に発症し、女性に多くみられます。 体重が減り続けているにもかかわらず食事を制限する一方、頭の中は食べもののことにとらわれ、問題を抱えていることを否定する場合があります。 体重が大幅または急激に減少した場合には、生命を脅かす結果を招く... さらに読む や 神経性過食症 神経性過食症 神経性過食症は、大量の食べものを短時間に次から次へと摂取し(過食)、その後に食べ過ぎを埋め合わせる行為(例えば、排出行動、絶食、運動など)を行うことを特徴とする 摂食障害です。 患者は大量の食べものを摂取した後、食べ過ぎの埋め合わせをしようとして、意図的に嘔吐したり、下剤を使用したり、ダイエットや絶食をしたり、激しい運動をしたりします。 過度に体重を気にしたり、体重の変動が激しかったりする場合は、神経性過食症が疑われます。... さらに読む などの 摂食障害 摂食障害 が起こることは、通常ありません。
(小児における行動面の問題の概要 小児における行動面の問題の概要 小児は成長するに従って、様々な能力を身につけます。排尿や排便をコントロールする能力などは、主に小児の神経と脳の成熟度によって決まります。また、家や学校で適切な行動をとる能力などは、小児の身体的および知的(認知的)な発達、健康、気性、そして親や教師、養育者との関係などから生じる複雑な相互作用によって決まります(... さらに読む も参照のこと。)
摂食不足
通常、1歳前後では成長速度が遅くなって、小児の食欲は減退します。しかし、親や養育者が子どもに食べることを無理強いしたり、子どもの食欲や食習慣を心配していることを表に出しすぎたりすると、食事の問題が起こることがあります。食事の問題がある子どもに親が食べることを無理強いしたりすると、子どもにとってはこれが親の関心を余計に引くことにつながり(つまり逆にご褒美になってしまう)、子どもの食事拒否を強化してしまう可能性があります。親が無理に食べさせようとすると吐く小児もいるでしょう。
食事時間やその前後の緊張感や否定的な感情を抑えると、役立つかもしれません。小児の前に食物を置いて20~30分経ったら何も言わずに下げるようにすると、感情的な場面を作らずに済みます。出された食事の中から小児が好きなものを食べられるようにするとよいでしょう。また、午前と午後の決まった時間におやつを与えましょう。それ以外の時間帯には、水以外の飲食物を与えないようにします。幼児には、1日に3度の食事と2~3回のおやつを与えなければなりません。食事の時間はほかの家族の食事時間に合わせるようにします。テレビやペットのように注意をそらすものは避けます。食事中は座っているように促します。床に投げた食べものやわざと落とした食べものは、どんなものでも子どもに片付けを手伝わせるようにします。このようなやり方を使って、小児の食欲、食べた量、必要な栄養量のバランスをとります。
過食
過食も多くの要因によって引き起こされる問題です。 過食は 小児期の肥満 青年における肥満 肥満の定義は、BMI(ボディマスインデックス)が各年齢と性別の95パーセンタイル以上であることとされています。 遺伝やある種の病気によっても肥満は起こりますが、青年の肥満のほとんどは、運動不足や活動レベルで必要とされるよりも多くのカロリーを摂取することが原因です。 肥満の診断は、BMIが各年齢および性別の95パーセンタイル以上であることに基づいて下されます。 肥満の治療では、栄養のある食事をとり、運動を増やすことが役立ちます。... さらに読む につながりかねません。いったん形成された脂肪細胞はなくなることがありません。このため、体重が正常の小児と比べて肥満の小児は、成人になって肥満になりやすくなります。 小児期の肥満は 成人期の肥満 肥満 肥満とは、体重が過剰な状態です。 複数の要因が組み合わさって肥満に影響を及ぼします。複数の要因が組み合わさった結果、体に必要な量よりも多くの カロリーを摂取することになります。 そうした要因には、運動不足、食事、遺伝子、生活習慣、民族的背景、社会経済的背景、ある種の化学物質への曝露、特定の病気、特定の薬の使用などがあります。... さらに読む につながりやすいため、予防や治療を行うべきです。