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小児の低身長

(成長ホルモン欠損症)

執筆者:

Andrew Calabria

, MD, Perelman School of Medicine at The University of Pennsylvania

最終査読/改訂年月 2017年 7月
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低身長とは、身長が年齢相当の身長(年齢と身長の標準成長曲線に基づきます)の3パーセンタイル未満の場合と定義されます。

  • 低身長には、成長ホルモン欠損症、遺伝性の病気、慢性の病気などいくつかの原因があります。

  • 症状は小児の年齢と原因によって異なりますが、典型的には全体的に発育が不良で、低身長を示します。

  • 診断は、身体診察、X線検査、血液検査、遺伝子検査、刺激検査、CT検査およびMRI検査に基づきます。

  • 治療は、一般的にはホルモン補充療法を含みます。

低身長の小児および青年のほとんどは、家系的に低身長であるか、成長スパートが正常な成長期の終盤に起こったために低身長になったケースがほとんどです。甲状腺、心臓、肺、腎臓、腸などを侵す特定の慢性の病気が原因で低身長となる小児もいます。骨に影響を及ぼす遺伝性の病気が原因の場合もあります。ただし、一部の小児では成長ホルモンが欠損しています。

ホルモンとは、体の他の部分の働きに影響を与える化学伝達物質のことです。成長ホルモンは、脳の基底部にある下垂体から分泌され、体の成長と発達を調節します。

下垂体:内分泌中枢

下垂体は、脳の底部にあるエンドウマメ大の腺で、いくつかのホルモンをつくって分泌しています。これらのホルモンは、それぞれ体の特定部位(標的器官または標的組織)に影響を及ぼします。下垂体は体内の様々な内分泌腺機能を制御するため、しばしば内分泌中枢と呼ばれます。

ホルモン

標的器官または組織

副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)

副腎

ベータメラノサイト刺激ホルモン

皮膚

エンドルフィン

脳と免疫系

エンケファリン

卵胞刺激ホルモン

卵巣または精巣

成長ホルモン

筋肉と骨

黄体形成ホルモン

卵巣または精巣

オキシトシン*

子宮と乳腺

プロラクチン

乳腺

甲状腺刺激ホルモン

甲状腺

バソプレシン(抗利尿ホルモン)*

腎臓

下垂体:内分泌中枢

*これらのホルモンは視床下部で産生されますが、貯蔵および放出は下垂体で行われます。

下垂体から分泌される成長ホルモン量が少なすぎると成長が異常に遅くなり、低身長となりますが、全身の釣り合いは正常です。ときに、下垂体から分泌される別のホルモンである甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモンも十分な量が分泌されないことがあります。これは下垂体機能低下症と呼ばれる病気です。

成長ホルモンが作られる量が不足する原因は、ほとんどの場合不明ですが、約25%のケースでは以下のような特定可能な原因があります。

  • 先天性疾患

  • 脳の腫瘍または損傷

  • 放射線療法

  • 感染症(髄膜炎や結核など)

症状

低身長の症状は、小児の年齢や原因など様々な要因によって異なります。

小児は全体的な発育が不良で、低身長となります。一部の小児では歯の発達が遅れることがあります。成長ホルモン欠損症の小児は低身長ではありますが、上半身と下半身の比率は正常です。成長ホルモン欠損症の原因に応じて、他の異常も認められることがあります。

診断

  • 医師による成長基準に照らした身長の評価と、成長の遅延を引き起こすことが知られている病気の既往歴

  • X線検査

  • 血液検査および他の臨床検査

  • 遺伝子検査

  • CT検査、磁気共鳴画像(MRI)検査

  • 一般的には、刺激試験

低身長の原因が成長ホルモン欠損症であるかどうかを特定できる単独の検査は存在しません。血液中の成長ホルモン濃度は大きく変動するため、小児の成長が遅延している理由を特定する上で、他のホルモン濃度のようには役に立ちません。このため、医師は様々な所見を総合的にみて診断します。

まず、医師は小児の身長と体重を測定し、測定値を年齢毎の成長曲線に当てはめ、小児の成長が遅延しているかどうかを判断します。その後、手の骨のX線検査をしばしば行います。このようなX線検査では、小児の骨が年齢にふさわしい正常な発達をしているかどうかを見ることができます。ただ単に身長が低い小児は、年齢に応じた正常な骨の発達を示します。成長ホルモン欠損症の小児は、骨の発達が遅れています。骨の発達の遅れは、甲状腺機能低下症思春期の遅れなど、他の状況でも起こる可能性があります。

成長ホルモンの分泌量の評価は、成長ホルモンの分泌量が1日の中で変動するため、困難です。その結果、随時に測定した成長ホルモン濃度はしばしば役に立ちません。その代わり、医師は成長ホルモンによって刺激を受ける他の物質の血中濃度を血液検査で測定します。このような物質には、 インスリン様成長因子1や インスリン様成長因子結合タンパク3などがあります。しかしながら、これらの物質は甲状腺機能低下症セリアック病低栄養などの他の病態によっても影響を受けることがあり、これらの病態を除外するために検査が行われる場合があります。

発育不良の他の原因(甲状腺、血液、腎臓の病気、炎症性疾患、免疫疾患など)を探すため、他の臨床検査を行います。小児が特定の病気(ターナー症候群など)にかかっているのではないかと医師が疑った場合、遺伝子検査も行われることがあります。

検査の結果、下垂体の病気が示唆された場合、脳のCT検査やMRI検査を行い、下垂体に構造的異常や腫瘍がみられないかを確認します。

発育不良の他の原因がなく、成長因子の値が低い場合、医師は一般的には刺激試験を行います。刺激試験では、医師は成長ホルモン分泌を刺激する薬剤を投与し、成長ホルモン濃度を数時間にわたって測定します。

治療

  • 成長ホルモン補充療法

  • ときに他のホルモンの補充

小児に合成成長ホルモンを注射します。ホルモンの補充は、小児が受容できる身長に達するか、小児の身長の伸びが1年に約2.5センチメートルを超えなくなるまで続けます。治療の最初の1年間に、身長が10~12センチメートル伸びる小児もいますが、反応は個人によって異なります。成長ホルモン療法による副作用は通常起こりませんが、一部の小児では特発性頭蓋内圧亢進症(偽脳腫瘍)、大腿骨頭すべり症、また脚の軽度のむくみ(末梢浮腫と呼ばれ、通常は速やかに消失します)が起こります。

下垂体が正常に機能していても、低身長の小児の身長を伸ばすために成長ホルモンを用いる場合がありますが、これには賛否両論があります。低身長を病気だと考える親もいますが、多くの医師は身長が低いという理由だけでは成長ホルモンの投与を承諾しません。低身長の原因が何であれ、成長ホルモンが効果を発揮するのは、骨が成長を終える前に投与した場合に限られます。

脳腫瘍が特定された場合、手術によって取り除くことは可能ですが、手術によって下垂体が損傷するおそれがあるため、小児が下垂体機能低下症を発症するリスクが高くなります。 下垂体機能低下症の小児には、不足しているホルモンを補充するためにホルモンが投与されます(下垂体機能低下症の治療を参照)。

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