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小児と青年におけるうつ病および気分調節症

執筆者:

Josephine Elia

, MD, Sidney Kimmel Medical College of Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2017年 9月
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本ページのリソース

うつ病では、悲しみ(あるいは小児と青年ではいらだち)の感情や、活動への興味の喪失などがみられます。うつ病では、これらの症状が2週間以上続き、日常生活に支障をきたすようになるか、かなりの苦痛が生じます。 喪失体験などの悲しい出来事の直後に生じることがありますが、悲しみの程度がその出来事とは不釣り合いに強く、妥当と考えられる期間より長く持続します。気分調節症では、いらだちが続き、制御できない行動が頻繁にみられます。

  • 身体的な病気、人生経験、そして遺伝は、うつ病の発生に寄与する可能性がある要因です。

  • うつ病の小児や青年は、悲嘆に暮れていて、物事に無関心で、反応は極度に遅かったり過敏であったりします。また、攻撃的で、イライラしやすくなることもあります。

  • 重篤気分調節症の小児は、頻繁にひどいかんしゃくを起こし、かんしゃくの合間にはイライラや怒りの状態がみられます。

  • 診断は本人、親、および教師が報告した症状に基づいて下され、さらに検査を行って、それらの症状を引き起こす病気がほかにないか確認します。

  • うつ病の青年には通常、精神療法と抗うつ薬を組み合わせる治療が最も有効ですが、より年少の小児の場合には、まず精神療法だけを試みることが多くなります。

(成人におけるうつ病も参照のこと。)

悲しみやみじめな気持ちはごく普通の人間的な感情で、とりわけ悩みのある状況に対してこう感じることは自然なことです。小児や青年にとってのそのような状況としては、親の死や離婚、友達の転居、学校への不適応、友達ができないなどがあります。しかし、ときには悲しみの感情がその出来事に不釣り合いなほど強かったり、想定されていたよりも長期間続いたりすることがあります。このような場合、とりわけ悲しみなどの感情が日々の生活に支障をきたすような場合、小児がうつ病である可能性があります。小児も成人と同様、たとえ不幸なライフイベントが起こらなくても、うつ病になることがあります。このような小児には、しばしば家族に気分障害の患者がいます(家族歴)。

うつ病は小児の2%程度、青年の5%に発症します。

うつ病には、いくつかの病気が含まれます。

  • うつ病(以前の大うつ病性障害)

  • 重篤気分調節症

  • 持続性抑うつ障害(気分変調症)

知っていますか?

  • うつ病の小児の中には悲嘆に暮れるのではなく、過度に活発になったり、いらだたしい気分になったりする小児もいます。

原因

うつ病の正確な原因は不明ですが、脳の化学的な異常が関わっていると考えられています。うつ病になりやすい体質の中には、遺伝するものもあります。人生経験(若い頃の喪失体験など)や遺伝的な傾向(うつ病になりやすい体質)などの要因が組み合わさって発症に至るようです。

甲状腺機能低下症(甲状腺の活動が不十分になった状態)や薬物乱用など、その他の病気が発症に関わっている場合もあります。最近では、持続するうつ病のある一部の青年では、髄液(脳と脊髄の周囲を流れている体液)中の葉酸(ビタミンの一種)濃度が低いことが分かっています。

症状

成人の場合と同様、小児のうつ病も程度は様々です。

うつ病(以前の大うつ病性障害)

うつ病の小児では抑うつ状態が2週間以上続きます。

典型的には、強烈な悲しみやいらだちを感じていて、無価値感や罪悪感を抱いています。うつ病の小児は、スポーツをしたり、テレビをみたり、コンピュータゲームをしたり、友達と遊んだりなどといった、普段なら喜んで行う活動への興味を失います。強烈な退屈感をはっきりと述べる小児もいます。このような小児の多くは、胃痛や頭痛などの体の問題も訴えます。

食欲は増加することも減退することもあり、著しい体重の変化が起こりがちです。成長期でも予想された通りに体重が増えないこともあります。

通常、睡眠障害が起こります。不眠症や過眠症になったり、頻繁に悪夢に悩まされたりすることがあります。

うつ病の小児は活気がなくなり、身体的にも活発でなくなりがちです。しかし、小児(特に年少児)のうつ病では、過活動や攻撃的な行動など、通常のうつ病とは正反対に見える症状が現れることもあります。このような小児では、悲しみよりも、いらだたしい気分が勝っているように見えます。

典型的には、症状によって思考力や集中力が低下するため、通常は学業に影響が出ます。友達をなくすことがあります。自殺を考えたり(自殺念慮)、自殺を空想したり、さらには自殺を試みる(自殺企図)ことさえあります。

うつ病の小児は、治療を行わない場合でも、6~12カ月でよくなります。しかし、再発することが多く、とりわけ最初に発症したときの症状が重い場合や、低年齢で発症した場合には、再発の可能性が高くなります。

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小児におけるうつ病の症状

  • 悲しみの感情を抱く、もしくはいらだたしくなる

  • 好きな活動への興味を失う

  • 友人関係や社会的な場から引きこもる

  • 物事を楽しめなくなる

  • 拒絶されている、愛されていない、価値がないという感情を抱く

  • 疲労を感じる、気力がない

  • 睡眠不足になったり悪夢をみたりする、もしくは過眠となる

  • 自分を責める

  • 食欲と体重が減少する

  • 思考、集中、選択に問題がある

  • 死や自殺について考える

  • 大切にしていた持ち物を手放す

  • 新たな身体症状を訴える

  • 学業成績が悪化する

重篤気分調節症

重篤気分調節症の小児は、長時間、常にイライラしていて、制御できない行動が頻繁にみられます。重度のかんしゃく発作が繰り返しみられ、それは状況的にメリットになる程度と比べて、はるかに強烈で、はるかに長く続きます。そうしたかんしゃく発作の最中に、ものを壊したり、他者に危害を加えたりすることもあります。発作の合間には、毎日のようにイライラしたり、怒りっぽくなったりします。通常、重篤気分調節症は6~10歳から現れます。

重篤気分調節症の小児の多くは、次のような他の病気を合併しています。

このような小児が成人になると、うつ病や不安症を発症することがあります。

このような小児はときに制御できないようにみえるため、双極性障害と診断されることがよくありますが、現在では、この病気は双極性障害ではないことが分かっています。

持続性抑うつ障害

持続性抑うつ障害は、うつ病と似ていますが、症状は通常それほど強くなく、1年以上続きます。

診断

  • 問診または標準化された質問票

  • 症状を引き起こすその他の原因を調べる検査

うつ病の診断は、小児または青年との面接の結果や親と教師から得られた情報など、複数の情報源から得られた情報に基づいて下されます。 うつ病を不幸な状況に対する正常な反応と区別するために、標準化された質問票を使うことがあります。

小児または青年のうつ病は、以下のいずれかに当てはまる場合に診断されます。

  • 悲しみやいらだちを感じる

  • ほぼすべての活動に対して興味や喜びを失う(しばしば退屈と表現される)

また、これらの症状が同一の2週間以内にほぼ毎日、一日の大半の時間にみられる必要があり、食欲不振、体重減少、睡眠障害など他のうつ病の症状がみられる必要があります。

医師は家族関係のストレスや社会的ストレスがうつ病を引き起こしているかどうかを判断しようと努めます。とりわけ医師は自殺行動についても尋ねます。自殺行動には、自殺について考えたり話したりすることも含めます。

医師は検査を行って、甲状腺異常や薬物乱用などの身体的な病気が症状の原因でないかどうかを判断します。

青年に持続的で通常の治療に反応しないうつ病がみられる場合、髄液中の葉酸の欠乏を調べるために腰椎穿刺が行われる場合があります。

治療

  • ほとんどの青年に対しては、精神療法と抗うつ薬

  • より低年齢の小児に対しては、精神療法に続いて、必要であれば抗うつ薬

  • 家族と学校職員への指導

抑うつ障害の治療法は、症状の重症度によって異なります。自殺を考えている小児には、必ず経験豊富な精神医療従事者が綿密な監視を行う必要があります。自殺するリスクがかなり高い場合には、小児の安全を保つためにしばらくの間入院が必要となります。

ほとんどの青年では、精神療法と薬物療法を組み合わせて行うと、それぞれを単独で行う場合より効果があります。しかし、より低年齢の小児では治療法が明確になっていません。まず精神療法が単独で行われ、必要な場合のみ薬剤が使用されます。個別の精神療法、集団療法、家族療法などが有効となります。家族や学校に対して、小児が引き続き機能を保ち、学習を継続できるように手助けする方法について助言します。

抗うつ薬は、脳内の化学的な不均衡を是正するのに役立ちます。フルオキセチン、セルトラリン、パロキセチンなどの選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、うつ病の小児や青年に処方される抗うつ薬の中では最も一般的です。三環系抗うつ薬など(イミプラミンなど)の抗うつ薬は、わずかに効果的であることもありますが、副作用が大きくなる傾向があるため、小児にはほとんど用いられません。

髄液中の葉酸の欠乏が特定された場合には、ロイコボリン(フォリン酸とも呼ばれる)による治療が役に立つことがあります。

成人の場合と同様に、小児のうつ病はしばしば再発します。小児と青年では、症状が消失しても、少なくとも1年間は治療を続ける必要があります。うつ病のエピソードを2回以上経験した小児では、生涯にわたる治療が必要になる可能性もあります。

抗うつ薬と自殺

抗うつ薬によって、小児や青年が自殺について考えたり自殺行動をとったりするリスクが若干高まる可能性のあることが、最近になって懸念されています。このような懸念から、小児への抗うつ薬の使用は全体的に少なくなりました。しかし、こうした抗うつ薬の使用の減少は、自殺による死亡率の増加と相関しています。これは、薬剤の使用が減ったことで、なかにはうつ病の治療が十分に行われなくなった小児がいるためではないかと考えられます。

この問題を解決するため、いくつかの研究が行われました。抗うつ薬を飲んでいる小児では自殺念慮と自殺企図がごくわずかながら増加する可能性がある、という結果が得られました。とはいえ、ほとんどの医師は、このリスクより有益性の方が上回り、医師と家族が症状の悪化や自殺念慮を警戒してさえいれば、うつ病の小児は薬物療法の効果を得られやすくなると考えています。

薬を飲んでいるかどうかにかかわらず、うつ病の小児と青年では、自殺は常に考慮しておくべき問題です。以下の方法がリスクを低減するのに役立ちます。

  • 親および精神医療従事者は、この問題について徹底的に話し合うべきです。

  • 小児と青年は適切な監督を受けるべきです。

  • 定期的な精神療法セッションを治療計画に組み込むべきです。

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