Msd マニュアル

Please confirm that you are not located inside the Russian Federation

読み込んでいます

網膜芽細胞腫

執筆者:

John J. Gregory, Jr.

, MD, Rutgers, New Jersey Medical School

最終査読/改訂年月 2016年 6月
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します

網膜芽細胞腫は、眼の奥にあって光を感じる部位である網膜に発生するがんです。

  • 網膜芽細胞腫は遺伝子の変異によって発生します。

  • 小児の瞳孔が白くなったり、斜視がみられることがあり、ときには視覚障害がみられることもあります。

  • 医師は、小児に麻酔を施し、特殊な器具を用いて眼を調べることで、網膜芽細胞腫と診断できることがよくあります。

  • 治療では、手術、化学療法、ときには放射線療法が行われます。

小児がんの概要も参照のこと。)

網膜芽細胞腫は小児がんの約3%を占め、ほぼ必ず2歳未満で発生します。約25%の小児で、左右の眼に同時に網膜芽細胞腫が発生します。

網膜芽細胞腫は、眼の発達を制御する特定の遺伝子の変異によって発生します。ときとして、父親または母親からこの遺伝子の変異を受け継いだり、胎児のごく初期の発生段階で自然に(遺伝ではなく)変異が起こったりする場合があります。そのような場合は、変異が遺伝します。つまり、変異のある小児はその変異を自らの子に引き継ぎます。変異を受け継ぐ子が生まれる確率は50%です。変異が遺伝した場合は、その子孫のほとんどに網膜芽細胞腫が発生します。ほかには、胎児発生の後期になってから変異が起こったり、眼の細胞のみに変異が発生したりする場合があります。このような場合では、変異は子孫に受け継がれません。両眼に網膜芽細胞腫が発生した小児の場合はすべて遺伝性です。片眼だけに発生した小児の場合、15%が遺伝性です。

一般的に網膜芽細胞腫は眼から転移しませんが、ときおり視神経(眼から脳に通じる神経)を通って脳に転移することがあります。網膜芽細胞腫が骨髄や骨といった他の場所に転移することもまれにあります。

網膜芽細胞腫の症状

網膜芽細胞腫の症状には、白色瞳孔や寄り目(斜視)などがあります。

網膜芽細胞腫が大きくなると視力障害が生じることがありますが、それ以外の症状はあまり現れません。このがんが広がっている場合の症状には、頭痛、食欲不振、嘔吐などがあります。

網膜芽細胞腫の診断

  • 小児に麻酔を施して行う、特殊な器具による眼の診察

  • 眼の超音波検査、CT(コンピュータ断層撮影)検査、MRI(磁気共鳴画像)検査

  • 場合により骨シンチグラフィー、骨髄検査、腰椎穿刺

網膜芽細胞腫が疑われる場合、小児に全身麻酔を施し、意識がない状態で両眼を調べます。水晶体と虹彩の先の網膜を調べるために、光と特別なレンズ(倒像検眼鏡による眼底検査)が必要です。この検査は網膜芽細胞腫の診断に不可欠ですが、慎重に行わなくてはならない時間のかかる検査です。年少の小児は検査中にじっとしていられないため、全身麻酔が必要となります。

眼の超音波検査、CT検査MRI検査でも、このがんを特定できます。これらの検査は、がんが脳に転移していないかどうかを判断するためにも役立ちます。医師は、脳脊髄液(髄液)のサンプル中にがん細胞がないかを調べるために、腰椎穿刺も行うことがあります。髄液中にがん細胞が検出されれば、がんが脳に転移している証拠となります。

網膜芽細胞腫は骨や骨髄に転移するおそれがあるため、骨シンチグラフィーを行ったり、骨髄のサンプルを採取して調べたりすることがあります。

網膜芽細胞腫の小児は遺伝専門医の診察を受けて、遺伝子検査を受ける必要があります。遺伝専門医は、他の家族にリスクがあるかどうか、他の検査が必要かどうかについて助言することができます。一般的には、小児に遺伝性の網膜芽細胞腫遺伝子が認められた場合、その親や兄弟姉妹も変異遺伝子がないか検査を受けるべきです。変異遺伝子を有する兄弟姉妹は、網膜芽細胞腫の有無を調べる眼の検査を4歳まで4カ月に1回受ける必要があります。遺伝子検査が利用できない場合、網膜芽細胞腫を患った親や兄弟姉妹がいる小児はすべて、そのような眼の検査を生後から4歳まで継続して受けるべきです。網膜芽細胞腫がある小児の家族では、成人であっても眼の検査を受ける必要があります。成人に網膜芽細胞腫が発生することはありませんが、網膜芽細胞腫の原因となる遺伝子は、網膜細胞腫と呼ばれる良性の(がんではない)眼腫瘍を引き起こすこともあります。

予後(経過の見通し)

治療しなければ、網膜芽細胞腫の小児患者のほとんどが2年以内に死亡します。しかし、治療を行えば、網膜を超えて広がっていない網膜芽細胞腫の小児患者の90%以上が治癒します。がんが広がっている小児では予後が不良です。

遺伝性の網膜芽細胞腫の小児患者では、軟部肉腫、黒色腫骨肉腫などの二次がんが発生するリスクが高くなります。二次がんの約半数は、放射線療法を行った部分に発生します。網膜芽細胞腫の発生から30年以内に二次がんが発生する割合は約70%です。

網膜芽細胞腫の治療

  • 手術による眼の摘出

  • 放射線療法、レーザー、凍結療法

  • 場合により化学療法

網膜芽細胞腫があるのが片側の眼だけで、その眼にほとんど、またはまったく視力がない場合には、通常、視神経の一部とともに眼球全体を摘出します。

がんが両眼にある場合、医師は両眼を摘出することなくがんを治療することで少しでも視力が保たれるよう努めますが、ときに最も重度の眼を摘出することもあります。治療選択肢には、放射線療法、レーザー、凍結療法、密封小線源治療(放射性物質を含むパッチを貼る治療)があります。

カルボプラチンとエトポシド、またはシクロホスファミドとビンクリスチンなど、化学療法薬を組み合わせて用いると、大きな腫瘍の減量や眼を超えて広がっているがんの治療、初回治療後にがんが再発した場合に有用なことがあります。

眼に放射線療法を行うと、白内障、視力低下、慢性的なドライアイ、眼の周辺組織がやせるなど、重篤な影響が出ます。顔面の骨が正常に発達せず、外見が損なわれることがあります。その上、放射線療法を受けた部分に二次がんが発生するリスクが高まります。

治療後には、二次がんの発生リスクがあるため、小児がんの治療を専門とする医師(小児腫瘍医)と眼科医が小児のモニタリングを継続する必要があります。

ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
ここをクリックするとプロフェッショナル版へ移動します
よく一緒に読まれているトピック

おすすめコンテンツ

ソーシャルメディア

TOP