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先天異常の概要

執筆者:

Nina N. Powell-Hamilton

, MD, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2017年 3月
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先天異常あるいは先天奇形は、出生前の段階で生じる身体的な異常のことをいいます。それらの異常はたいてい出生時、あるいは生後1年以内に明らかになります。

先天異常は、以下のように、あらゆる臓器のあらゆる部分に生じる可能性があります。

非常によくみられるものから、そうでないものまで様々です。

先天異常は5歳までの小児のうち約7.5%にみられますがこれらの多くは小さなものです。大きい先天異常は新生児の約3~4%でみられます。

複数の先天異常が1人の小児にみられることもあります。

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先天異常の原因と危険因子

1つの受精卵が1人の人間を構成する数百万もの分化した細胞へと成長していく過程の複雑さを考えれば、先天異常が珍しくないのも当然のことです。ほとんどの先天異常の原因は不明ですが、ある種の遺伝的要因と環境要因によって先天異常が発生する可能性が高くなります。これらの要因には、放射線 放射線と小児 放射線障害とは、電離放射線の被曝により生じた組織の損傷です。 電離放射線の大量照射は、血球の産生量を減らし、消化管に損傷を与えることによって急性疾患を引き起こします。 電離放射線のさらに大量の照射は、心臓と血管(心血管系)、脳、皮膚にも損傷を与えます。 大量、またはさらに大量の放射線被曝による放射線障害は、組織反応と呼ばれます。どのくらい... さらに読む への曝露、特定の薬剤( 妊娠中に問題を引き起こす可能性がある主な薬剤* 妊娠中に問題を引き起こす可能性がある主な薬剤* 妊婦の50%以上が、妊娠中に処方薬や市販薬(処方なしで購入できる薬剤)を服用したり、社会的薬物(タバコやアルコール)または違法薬物を使用しており、妊娠中の薬の使用は増えてきています。一般に、薬の多くは胎児に害を及ぼす可能性があるため、妊娠中は、必要な場合を除いて、薬剤を使用すべきではありません。先天異常の約2~3%は、病気や症状の治療に使... さらに読む )、アルコール 妊娠中のアルコール 妊婦の50%以上が、妊娠中に処方薬や市販薬(処方なしで購入できる薬剤)を服用したり、社会的薬物(タバコやアルコール)または違法薬物を使用しており、妊娠中の薬の使用は増えてきています。一般に、薬の多くは胎児に害を及ぼす可能性があるため、妊娠中は、必要な場合を除いて、薬剤を使用すべきではありません。先天異常の約2~3%は、病気や症状の治療に使... さらに読む 栄養不良 薬および栄養補助食品 妊娠してから妊婦が自分で管理できることはたくさんあります。妊娠中の食事、薬剤や栄養補助食品の使用、運動、性交などについて質問があれば医師や医療従事者に相談するようにします。 妊娠中の女性は、適切な栄養素を含む十分な量の食事をとる必要があります。妊婦が母体と胎児に必要な栄養を十分摂取していないと、栄養分はまず胎児へ向かいます。ただし、1日の... さらに読む 母体の特定の感染症 妊娠中の感染症 妊娠中に発症することが非常に多い、皮膚、尿路、気道などの感染症が重篤な問題を引き起こすことはありません。しかし感染症の中には分娩前もしくは分娩中に胎児に感染して、胎児に悪影響を与えたり、流産や早産の原因になったりするものもあります。また、妊娠中に抗菌薬を使用することが安全かどうかという懸念もあります。... さらに読む 遺伝性疾患 染色体異常症と遺伝子疾患の概要 染色体は、細胞の中にあって複数の遺伝子が記録されている構造体です。 遺伝子とは、細胞の種類に応じて機能する特定のタンパクの設計情報が記録された領域で、物質としてはDNA(デオキシリボ核酸)で構成されています(遺伝学についての考察は 遺伝子と染色体)。 人間の正常な細胞は、精子と卵子を除いて、いずれも23対、計46本の染色体をもっています。... さらに読む などがあります。

なかには回避可能なリスクもあります。妊婦がどんなに厳密に健康的な生活習慣を守っていたとしても起こってしまう先天異常もあります。多くの先天異常は、女性が自身の妊娠に気づく以前に発生します。

有害物質(催奇形物質)への曝露

催奇形物質とは、先天異常を引き起こす、あるいはその可能性を高める物質のことです。催奇形因子としては以下のものがあります。

催奇形物質にさらされた妊婦のほとんどは、異常のない新生児を出産します。先天異常が起こるかどうかは、妊婦が催奇形物質にさらされた時期と量と期間によって決まります(妊娠中の曝露 妊娠中の曝露 危険因子には妊娠前から存在するものがあり、そのような危険因子には以下のものがあります。 女性の特定の身体的特徴および社会的特徴 過去の妊娠時の問題 妊娠前から存在する特定の病気 胎児に害のある物質への曝露 さらに読む 妊娠中の曝露 を参照)。

催奇形物質にさらされると、ちょうどそのときに成長している胎児の臓器が最も影響を受けます。例えば、胎児の脳のある部分が成長する時期に催奇形物質にさらされると、この決定的な時期の前や後にさらされる場合より異常を引き起こしやすくなります。

栄養

胎児を健康な状態に保つには、栄養のある食事 食事と体重 妊娠してから妊婦が自分で管理できることはたくさんあります。妊娠中の食事、薬剤や栄養補助食品の使用、運動、性交などについて質問があれば医師や医療従事者に相談するようにします。 妊娠中の女性は、適切な栄養素を含む十分な量の食事をとる必要があります。妊婦が母体と胎児に必要な栄養を十分摂取していないと、栄養分はまず胎児へ向かいます。ただし、1日の... さらに読む をとり続けていることが必要です。 例えば、食事中の葉酸(葉酸塩 葉酸 葉酸はビタミンB群の1つです。ビタミンB12とともに、葉酸は正常な赤血球の形成と細胞の遺伝物質であるDNA(デオキシリボ核酸)の合成に必要不可欠な物質です。葉酸は胎児の神経系の正常な発達にも必要です。 生の緑色の葉野菜、アスパラガス、ブロッコリー、果物(特にかんきつ類)、レバーなどの内臓肉、乾燥酵母、栄養強化したパンやパスタおよびシリアル... さらに読む )が不足すると、胎児に二分脊椎や神経管閉鎖不全 神経管閉鎖不全と二分脊椎 神経管閉鎖不全は脳、脊椎、脊髄に生じる先天異常の一種です。 神経管閉鎖不全により、神経損傷、学習障害、麻痺、死亡が起こることがあります。 血液検査、羊水検査、超音波検査の結果に基づいて出生前から診断できます。 母親が妊娠前と第1トリメスター(訳注:日本の妊娠初期にほぼ相当)に葉酸を摂取することが、これらの異常の予防に役立つ可能性があります... さらに読む などの脳や脊髄の異常が引き起こされる可能性が高くなります。口唇裂 口唇裂と口蓋裂 頭蓋と顔面で最もよくみられる先天異常は口唇裂と口蓋裂(こうがいれつ)で、新生児約700人に1人の割合でみられます。 口唇裂とは通常、鼻のすぐ下で上唇が分離している状態です。 口蓋裂とは、口の中の天井(口蓋)に裂け目があり、鼻への異常な通路ができるものです。 口唇裂と口蓋裂はしばしば同時に起こります。... さらに読む 口唇裂と口蓋裂 (上唇が分離している状態)または口蓋裂 口唇裂と口蓋裂 頭蓋と顔面で最もよくみられる先天異常は口唇裂と口蓋裂(こうがいれつ)で、新生児約700人に1人の割合でみられます。 口唇裂とは通常、鼻のすぐ下で上唇が分離している状態です。 口蓋裂とは、口の中の天井(口蓋)に裂け目があり、鼻への異常な通路ができるものです。 口唇裂と口蓋裂はしばしば同時に起こります。... さらに読む 口唇裂と口蓋裂 (口の中の天井に裂け目がある状態)が発生する可能性も高くなります。

遺伝および染色体に関する要因

染色体 染色体 遺伝子とは、DNA(デオキシリボ核酸)のうち、細胞の種類に応じて機能する特定のタンパクの設計情報が記録された領域のことです。染色体は、細胞の中にあって複数の遺伝子が記録されている構造体です。 遺伝子は染色体内にあり、染色体は主に細胞の核にあります。 1本の染色体には数百から数千の遺伝子が含まれています。... さらに読む 染色体 遺伝子 遺伝子 遺伝子とは、DNA(デオキシリボ核酸)のうち、細胞の種類に応じて機能する特定のタンパクの設計情報が記録された領域のことです。染色体は、細胞の中にあって複数の遺伝子が記録されている構造体です。 遺伝子は染色体内にあり、染色体は主に細胞の核にあります。 1本の染色体には数百から数千の遺伝子が含まれています。... さらに読む 遺伝子 に異常が生じることがあります。それらの異常は両親から遺伝しますが、親自身にその異常の影響が出ている場合もあれば、親はその異常を引き起こす遺伝子のキャリアである場合もあります(染色体異常症の概要 染色体異常症と遺伝子疾患の概要 染色体は、細胞の中にあって複数の遺伝子が記録されている構造体です。 遺伝子とは、細胞の種類に応じて機能する特定のタンパクの設計情報が記録された領域で、物質としてはDNA(デオキシリボ核酸)で構成されています(遺伝学についての考察は 遺伝子と染色体)。 人間の正常な細胞は、精子と卵子を除いて、いずれも23対、計46本の染色体をもっています。... さらに読む を参照)。キャリアとは、ある病気の原因となる異常遺伝子をもっているものの、その病気の症状が現れていない人のことです。

しかし、多くの先天異常は子ども側の染色体異常や遺伝子変異によって引き起こされます。遺伝的要因によって生じる先天異常は、多くの場合、体の1カ所だけの明らかな奇形にとどまらず、ほかの部分にも影響を及ぼします。

感染症

先天異常を引き起こすことが多い感染症としては、以下のものがあります。

これらの感染症の一部は、成人では症状がわずかであったり、無症状であったりすることがあるため、女性が感染しても気づかない可能性があります。

診断

  • 出生前の段階では、超音波検査のほか、ときにMRI検査、血液検査、羊水穿刺、または絨毛採取

  • 出生後の段階では、身体診察、超音波検査、CT検査、MRI検査、および血液検査

出生前

  • 年齢が35歳上である

  • 何度も流産を経験している

  • 染色体異常または先天異常のある子どもをもったことがある、もしくは原因不明で死亡した子どもがいる

このような妊婦には、胎児が正常に発育しているかどうかを調べるためのモニタリングと特別な検査が必要になります。

出生前に先天異常が診断されるケースが増えてきています。

血液検査が役に立つ場合もあります。例えば、母親の血液中のアルファ-フェトプロテイン値が高い場合、脳か脊髄に欠損がある可能性があります( 第2トリメスターのスクリーニング 第2トリメスターのスクリーニング 妊婦の血液に含まれる特定の物質の測定に加え、超音波検査を行うことで、胎児の遺伝子異常のリスクを推定できます。 こうした検査は、妊娠中の定期健診の一環として行われることがあります。 検査の結果、リスクが高いことが示唆された場合は、胎児の遺伝物質を分析するために羊水穿刺や絨毛採取などの検査を行うことがあります。... さらに読む )。最近では、細胞フリー胎児DNA分析と呼ばれる検査法が用いられています。この検査では、妊婦の血液サンプルを分析することで、胎児に特定の遺伝性疾患がないかを確認できます。この検査は、妊婦の血液中にはごく少量ながら胎児由来のDNA(遺伝物質)が含まれているという事実に基づいています。この検査は非侵襲的出生前検査(NIPT)と呼ばれています。非侵襲的出生前検査を行うことで、21トリソミー ダウン症候群(21トリソミー) ダウン症候群は、余分な21番染色体によって引き起こされる染色体異常症の一種で、知的障害と様々な身体的異常がみられます。 ダウン症候群は、21番染色体が余分に複製されることで発生します。 ダウン症候群の小児では、発育の遅れ、精神発達の遅れ、特異的な頭部と顔貌、しばしば低身長がみられます。... さらに読む ダウン症候群(21トリソミー) (ダウン症候群)、13トリソミー 13トリソミー 13トリソミーは、余分な13番染色体によって引き起こされる染色体異常症の一種で、重度の知的障害と様々な身体的異常がみられます。 13トリソミーは、13番染色体が余分に複製されることで発生します。 この症候群の乳児は、典型的には体格が小さく、しばしば脳、眼、顔面、心臓に重大な異常がみられます。... さらに読む 13トリソミー 18トリソミー 18トリソミー 18トリソミーは、余分な18番染色体によって引き起こされる染色体異常症の一種で、知的障害と様々な身体的異常がみられます。 18トリソミーは、18番染色体が余分に複製されることで発生します。 この症候群の乳児は、典型的には体格が小さく、多くの身体的異常と内臓の機能障害がみられます。... さらに読む 18トリソミー や、その他特定の染色体異常症のリスクが高いことを特定することができます。医師は通常、何らかの遺伝子異常のリスクが高いことが判明すれば、さらなる検査を行います。

出生後

そして身体診察とスクリーニング検査の結果に応じて、超音波検査 超音波検査 超音波検査は、周波数の高い音波(超音波)を用いて内臓などの組織の画像を描出する検査です。プローブと呼ばれる装置で電流を音波に変換し、この音波を体の組織に向けて発信すると、音波は体内の構造で跳ね返ってプローブに戻ります。これは再度、電気信号に変換されます。コンピュータが、この電気信号のパターンをさらに画像に変換してモニター上に表示するととも... さらに読む 超音波検査 CT検査 CT(コンピュータ断層撮影)検査 CT検査では、X線源とX線検出器が患者の周りを回転します。最近の装置では、X線検出器は4~64列あるいはそれ以上配置されていて、それらが体を通過したX線を記録します。検出器によって記録されたデータは、患者の全周の様々な角度から撮影された一連のX線画像であり、直接見ることはできませんが、検出器からコンピュータに送信され、コンピュータが体の2... さらに読む CT(コンピュータ断層撮影)検査 MRI検査 MRI(磁気共鳴画像)検査 MRI(磁気共鳴画像)検査は、強力な磁場と非常に周波数の高い電磁波を用いて極めて詳細な画像を描き出す検査です。X線を使用しないため、通常はとても安全です。 患者が横になった可動式の台が装置の中を移動し、筒状の撮影装置の中に収まります。装置の内部は狭くなっていて、強力な磁場が発生します。通常、体内の組織に含まれる陽子(原子の一部で正の電荷を... さらに読む MRI(磁気共鳴画像)検査 などの画像検査を行います。

治療

  • ときに手術または薬剤

異常な染色体や遺伝子を修正することはできませんが、

一部の先天異常は、手術で治せるか、影響を軽減できる可能性があります。それ以外の先天異常については、薬剤や手術によって症状を管理することができます。

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