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バーター症候群とギテルマン症候群

(Bartter症候群、Gitelman症候群)

執筆者:

Christopher J. LaRosa

, MD, Perelman School of Medicine at The University of Pennsylvania

最終査読/改訂年月 2017年 3月
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バーター症候群とギテルマン症候群では、遺伝による尿細管の異常により、腎臓から電解質(カリウム、ナトリウム、塩素イオン)が過剰に排泄されてしまうため、発育、電解質、ときに神経および筋肉に異常が発生します。

先天性の尿細管疾患に関する序も参照のこと。)

バーター症候群とギテルマン症候群は、遺伝性の病気であり、通常は劣性遺伝子によって引き起こされます( 非X連鎖劣性遺伝疾患)。したがって、バーター症候群またはギテルマン症候群を発症した人は、通常、これらの病気の原因である劣性遺伝子を両親から1つずつ受け継いでいます。劣性遺伝子が関与する病気が発症するには2つの遺伝子を受け継ぐ必要があるため、ごく近い家族の中に同じ症候群の人はいないのが通常です。どちらもまれな病気ですが、バーター症候群と比較して、ギテルマン症候群の方がより多くみられます。

バーター症候群とギテルマン症候群では、腎臓で尿細管から塩分(塩化ナトリウム)を正常に再吸収することができなくなります。このため、腎臓から過剰な量のナトリウムイオンと塩素イオンが尿中に排泄されます。ナトリウムと塩素イオンが失われると、尿が過剰に作られるようになり、それにより軽度の脱水状態になります。

軽度の脱水状態になると、体内で血圧の調節を補助する酵素(レニン)とホルモン(アルドステロン)が多く作られるようになります。アルドステロンが増えると、腎臓でのカリウムと酸の分泌量が増加するため、血液中のカリウム濃度が低下するとともに(低カリウム血症)、血液中から酸が失われることで血液のpHが上昇してアルカリ性になります(代謝性アルカローシス)。いずれの症候群でも尿細管に異常がみられますが、腎臓はその他の点では影響を受けておらず、老廃物を正常にろ過できます。

尿路の構造

尿路の構造

これら2つの症候群は主に以下の点で異なっています。

  • 関係する遺伝子

  • 尿細管のうち異常がある部分

  • 症状が始まる年齢

症状

バーター症候群の症状は、出生前、乳児期、または小児期の早期に現れます。

ギテルマン症候群の症状が現れるのは、小児期の後期から成人期です。

これらの症候群の小児では、尿の量を増加させる利尿薬という種類の薬を服用している人でみられる症状が現れ、その影響によって血液の化学物質のバランスが乱れることがあります。しかし、利尿薬を服用している人とは異なり、バーター症候群やギテルマン症候群の人では、単に薬の使用を中止することで症状を止めることはできません。

バーター症候群の胎児は、子宮内で良好な発育が得られないことがあります。一部の患児は早産で生まれ、知的障害がある場合もあります。

バーター症候群の小児は、ときにギテルマン症候群の小児も、発育が不良になり発達に遅れが生じることがあります。マグネシウム、カルシウム、カリウムの喪失により、筋力低下、けいれん、れん縮、疲労が生じる可能性があり、特にギテルマン症候群でその傾向がみられます。症状としては、強いのどの渇き、大量の排尿、吐き気と嘔吐などがみられます。ナトリウムと塩素イオンが喪失することで、慢性的な軽度の脱水状態に陥ります。血圧が低下することもあります(低血圧)。

さらに、バーター症候群では尿中に大量のカルシウムが排泄されるため、腎結石が形成されたり、腎臓内でカルシウムの蓄積(腎石灰化症)が起きたりする場合があります。一方、ギテルマン症候群ではこれらの異常は起こりません。

診断

  • 血中および尿中の電解質濃度の測定

バーター症候群とギテルマン症候群は、これらの症候群の特徴的な症状がみられる小児や、血液中および尿中の電解質濃度に異常がみられた小児で疑われます。ときに、ほかの理由で行われた臨床検査で、電解質の測定値に異常がみられることがあります。

レニンおよびアルドステロンの血中濃度とナトリウム、塩素イオン、カリウムの尿中濃度が高ければ、いずれかの症候群の診断が確定します。遺伝子検査が利用できますが、通常は行われません。

治療

  • カリウムおよびマグネシウムのサプリメント

  • スピロノラクトンまたはアミロライド(amiloride

  • アンジオテンシン変換酵素阻害薬

  • バーター症候群には非ステロイド系抗炎症薬

腎臓の尿細管細胞の機能障害を治すことはできないため、治療は生涯にわたって続けられ、ホルモン、体液、電解質の異常を是正することが目標となります。カリウムやマグネシウムなど、尿中に排泄される物質を含有するサプリメントを服用するとともに、水分の摂取量も増やします。

特定の薬剤は役立つ可能性があります。バーター症候群に対しては、インドメタシンなどの非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を使用します。尿中へのカリウムの排泄量を減少させる、スピロノラクトン(アルドステロンの作用も遮断します)やアミロライド(amiloride)などの薬も使用します。スピロノラクトンとアミロライド(amiloride)は、ギテルマン症候群にも使用されます。NSAIDはギテルマン症候群の治療には役立ちません。どちらの症候群にも、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬を投与することがあり、アルドステロンの増加を止める効果があります。患児の身長が非常に低い場合は、成長ホルモンを投与することもあります。

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