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小児におけるウイルス気道感染症の概要

執筆者:

Brenda L. Tesini

, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry

最終査読/改訂年月 2018年 3月
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ウイルス性気道感染症は、鼻、のど、気道を侵し、数種類の異なるウイルスが原因になります。

  • よくある気道感染症として、かぜ(感冒)インフルエンザがあります。

  • 典型的な症状としては、鼻づまり、鼻水、のどのイガイガ感、せき、易刺激性などがあります。

  • 診断は症状に基づいて下されます。

  • 清潔にすることがこれらの感染症の最善の予防法で、定期予防接種はインフルエンザの予防に役立ちます。

  • 治療の目標は症状を緩和することです。

小児は平均して年に6回、ウイルス性気道感染症にかかります。

ウイルス性気道感染症は一般的には以下のものに分けられます。

  • 上気道感染症:症状は主に鼻とのどで起こります。ウイルス性上気道感染症はいずれの年齢でも起こる可能性があり、かぜインフルエンザなどがあります。

  • 下気道感染症:症状は気管、気道、肺で起こります。ウイルス性下気道感染症は小児でより一般的で、具体的には、クループ細気管支炎肺炎などがあります。

小児の上気道と下気道の両方に感染症が生じることもあります。

原因

小児にウイルス性気道感染症を引き起こす主なウイルスは、ライノウイルス、インフルエンザウイルス(毎年の冬の流行期)、パラインフルエンザウイルス、RSウイルスエンテロウイルス、コロナウイルスと、一部のアデノウイルスです。

たいていの場合は、感染した人の鼻からの分泌物が小児の手に付くことで感染が広がります。こうした分泌物にはウイルスが含まれています。小児が鼻や眼に触った際に、ウイルスが侵入し、新たな感染が起こります。多くはありませんが、感染した人のせきやくしゃみで飛び散った飛沫を含む空気を吸い込むことで、感染が広がることもあります。

様々な理由から、ウイルス性気道感染症にかかった小児の鼻や呼吸器の分泌物には、成人の場合よりもウイルスが多く含まれています。ウイルスの排出量が多いことに加え、小児は衛生に対する注意が一般的に低いことから、ほかの小児に感染が広がる可能性がより高くなります。その可能性は、保育施設や学校のように多くの小児が集まることでさらに増大します。一般に考えられていることとは逆で、寒くなったり、濡れたり、疲れたりといった他の要因によって、小児がかぜにかかったり、感染症にかかりやすくなったりするわけではありません。

症状

ウイルスが呼吸器の細胞に侵入すると、炎症と粘液の分泌を引き起こします。こうなると、鼻づまり、鼻水、のどのイガイガ感、せきが始まり、長ければ14日間続くことがあります。一部の小児では、上気道感染症が消失してから数週間にわたってせきが続くこともあります。幼児やインフルエンザにかかった小児では、体温が38.3~38.9℃まで上がる発熱がよくみられ、40℃まで上がることさえあります。

小児に典型的にみられるその他の症状には、食欲の低下、嗜眠、全身のだるさ(けん怠感)があります。頭痛と全身の痛みが起き、特にインフルエンザではこれらの症状がよくみられます。乳幼児では通常、具体的な症状があっても伝えることができないため、不機嫌で不快感があるようにしか見えません。

ウイルス性気道感染症の合併症

新生児と月齢の低い乳児は鼻で呼吸しがちなため、中等度の鼻づまりでも呼吸困難が起こります。また、鼻づまりがあると、乳房や哺乳びんから乳を飲みながら呼吸することができないため、乳の飲みも悪くなります。さらに乳児は、せきをしてたんを吐き出すことができないため、のどを詰まらせることが多くなります。

幼児では、細い気道が炎症とたんでかなり狭くなるために呼吸困難が起こります。呼吸が速くなり、息を吐くときに高い音(呼気性喘鳴[ぜんめい])がしたり、息を吸うときにも似たような音(吸気性喘鳴)が聞こえたりすることがあります。気道がさらに狭くなると、小児は息をしようとしてあえぎ、顔が青くなります(チアノーゼ)。このような呼吸困難はパラインフルエンザウイルス、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルスの感染症で非常に多くみられ、この場合は、直ちに医師による診察が必要です。

ウイルス性気道感染症にかかった小児は中耳の感染症(中耳炎)や肺組織の感染症(肺炎)も発症することがあります。中耳炎や肺炎は、ウイルスそのものが引き起こすこともあれば、ウイルスによる炎症によって他の微生物が組織に侵入しやすくなったために、細菌感染が生じて起こることもあります。 喘息がある小児では、気道感染症がしばしば喘息発作のきっかけとなります。

診断

  • 医師による評価

医師や親は、典型的な症状から気道感染症に気づきます。軽い上気道症状があっても、もともと健康な小児であれば、呼吸困難がある、水を飲まない、熱が1~2日以上続いているなどの場合を除いて、一般的には診察を受ける必要はありません。

呼吸困難、吸気性喘鳴、呼気性喘鳴や、肺うっ血を示す呼吸音が聞こえる場合は首と胸のX線検査を行うことがあります。血液検査や、呼吸器からの分泌物の検査はほとんど役に立ちません。

予防

  • 良好な衛生状態を保つ

  • インフルエンザワクチンの接種

最善の予防策は、衛生管理をしっかり行うことです。発症した小児とその家族は頻繁に手を洗う必要があります。一般的に、発症した小児と身体的に親密な接触(抱きしめる、頬をすりよせる、一緒に寝るなど)をすればするほど、他の家族に感染を広げるリスクが高まります。小児を安心させる必要はありますが、感染を広げるリスクと天秤にかけなければいけません。熱が下がって十分元気になるまでは、学校や保育施設に行かせないようにします。

ウイルス性呼吸器感染症の中でインフルエンザだけは予防接種で予防できます。生後6カ月以上の小児は、成人と同様、ワクチン接種を毎年受けるべきです(インフルエンザ予防接種も参照)。心臓病、肺の病気(嚢胞性線維症や喘息など)、糖尿病、腎不全、鎌状赤血球症など、特定の病気にかかっている小児と成人では、予防接種は特に大切です。また、ヒト免疫不全ウイルスに感染していたり化学療法を受けていたりするために、免疫機能が低下している小児にも、ワクチン接種が必要です。

治療

  • 安静と水分摂取

  • 発熱と痛みに対する薬

ウイルス性気道感染症の治療には抗菌薬は不要で、また役にも立ちません。安静にして、普段通りの水分摂取を維持してください。発熱と痛みを和らげるためにアセトアミノフェンや、イブプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を投与します。不快な鼻づまりに対して、学齢期の小児に市販の鼻閉改善薬を使用させることがありますが、役に立たないことがしばしばです。乳幼児では鼻閉改善薬の副作用が特に起こりやすく、興奮、錯乱、幻覚、嗜眠、心拍数の上昇がみられることがあるため、乳幼児は鼻閉改善薬を使用すべきではありません。

乳幼児の鼻づまりは、冷たい霧を出す加湿器を使用したり、ゴム製の吸引器で鼻から粘液を吸い出したりすると、ある程度軽減されることがあります。

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