誘因には、ウイルス感染症、煙、香水、花粉、カビ、チリダニなどがあります。
症状として、呼気性喘鳴(こきせいぜんめい)、せき、息切れ、胸が締めつけられる感じ、呼吸困難がみられます。
診断を下す際は、過去に繰り返し起こった呼気性喘鳴のエピソード、喘息の家族歴のほか、ときに肺がどの程度機能しているかを調べる検査の結果を基にします。
小児期に呼気性喘鳴があっても、その後喘息を発症する人は少数です。
喘息の症状は、多くの場合、誘因を避けることで予防できます。
治療には、気管支拡張薬と吸入コルチコステロイドなどを用います。
(成人の 喘息 喘息 喘息は、気道が何らかの刺激に反応して狭くなる(通常は可逆性)病態です。 症状としては、特定の誘因に反応して生じる、せき、喘鳴(ぜんめい)、息切れなどが最もよくみられます。 医師は、呼吸の検査(肺機能検査)を行って喘息の診断を確定します。 喘息発作を防ぐためには、誘因となる物質を吸い込まないようにするとともに、気道の開口を保つ薬を服用する必... さらに読む も参照のこと。)
喘息はどの年齢にも発生しますが、最も多いのは小児期、特に5歳までに発生する例です。成人になっても喘息が続くこともありますが、大部分の小児で喘息は治癒します。ときに、喘息だと思われていた小児が、実は同様の症状を引き起こす別の病気(乳幼児の呼気性喘鳴 乳幼児の呼気性喘鳴 呼気性喘鳴とは、気道が部分的に閉塞していたり狭くなっているときに息をすると聞こえる、比較的高い笛のような音です。 呼気性喘鳴は気道の狭窄によって起こります。 他の症状としては、せき、発熱、鼻水などがあり、どのような症状がみられるかは原因によって異なります。 原因の診断は、胸部X線検査のほか、ときにその他の検査に基づいて下されます。... さらに読む )であったことが後から判明することがあります。
喘息は小児期で最もよくみられる慢性疾患の1つであり、米国では600万人を超える小児が喘息に罹患しています。男児では思春期前、女児では思春期後の発症が多くみられます。ここ数十年で、喘息は非常に増えています。なぜ増えたのかについては、まだ分かっていません。米国では8.5%を超える小児が喘息と診断されており、これは過去数十年と比較すると100%以上の増加です。都市部の小児では発生率が25~40%に跳ね上がることもあります。 喘息は小児が入院する主な原因で、また小学校を欠席する原因の中で最も多い慢性疾患です。
しかし、患児のほとんどは、発作時以外は通常の活動に参加できます。中等度から重度の喘息の小児はそれほど多くありませんが、それでも毎日予防薬を服用または吸入すればスポーツや一般的な遊びに加わることが可能です。
喘息の誘因
喘息の小児は、普通の小児が反応しないような刺激(誘因)に反応します。喘息の小児は、特定の誘因に敏感になる遺伝子をもっていると考えられています。ほとんどの患児に、喘息の親、兄弟姉妹、または親戚がいることも、遺伝子が重要な要因であることの証拠です。
誘因となりうるものはたくさんありますが、ほとんどの小児は、そのうちの数種類に反応するだけです。発作の誘因が特定できない症例もあります。
しかし、誘因が何であっても現れる症状は大体同じです。まず、気道の特定の細胞が化学物質を放出します。これらの化学物質によって以下のようなことが起こります。
気道が炎症を起こして腫れる
気道の壁の中にある筋細胞が刺激されて収縮する
気道内の粘液の分泌が増加する
これらの反応が重なると気道が突然狭くなり、喘息発作が起こります。たいていの場合、喘息の発作と発作の間の期間は、気道は正常に戻ります。この刺激が繰り返し起こると気道内で粘液がたくさん作られるようになって、気道の内側の細胞が剥がれ、気道の壁の中にある筋細胞が大きくなります。
喘息の危険因子
なぜ一部の小児に喘息が発生するのかは完全には解明されていませんが、危険因子はいくつか知られています。
遺伝因子や出生前の因子
アレルゲンへの曝露
ウイルス感染症
食事
両親のどちらかに喘息がある小児が喘息を発症するリスクは25%です。両親そろって喘息があれば子どもが喘息を発症するリスクは50%にのぼります。また、妊娠中に母親が喫煙していると生まれた子どもが喘息を発症しやすくなります。それ以外にも、若年の母親、母親の栄養不良、母乳不足など、母親の状況が小児の喘息に関係します。 未熟児 早産児 早産児とは、在胎37週未満で生まれた新生児です。生まれた時期により、早産児の臓器は発達が不十分であるため、子宮外で機能する準備がまだできていないことがあります。 早産の既往、多胎妊娠、妊娠中の栄養不良、出生前ケアの遅れ、感染症、生殖補助医療(体外受精など)、および高血圧などがある場合に、早産児を出産するリスクが高くなります。... さらに読む や、低出生体重も喘息の危険因子です。
米国では、都市部の小児が喘息を発症しやすく、特に社会経済的に低い階層の小児にこの傾向がみられます。まだ完全に解明できているわけではありませんが、貧しい生活環境や、誘因にさらされる機会が多いこと、そして医療機関をなかなか受診できないこと、こういう小児たちが喘息の発生率が高い原因ではないかと考えられています。また、喘息は白人の小児より黒人の小児の方がかかる割合が高くなっています。しかし、喘息を発症しやすいことが、人種の遺伝的要因に原因があるのかどうかについては意見が分かれています。黒人の小児も都市部に住んでいる可能性が高いからです。
幼い頃に、チリダニやゴキブリの糞など、特定のアレルゲンに強くさらされた小児も喘息を発症しやすくなります。しかしながら、喘息は先進国の小児により多いことが分かっています。先進国の小児は、非常に清潔で衛生的な環境に住んでいる傾向があり、発展途上国の小児よりも感染症にさらされる機会が少なくなります。このことから、小児期に特定の物質や感染症にさらされることは実際には有益で、そのおかげで免疫系が誘因に過剰に反応しなくなるのではないかと考えられています。
喘息発作を起こしている小児のほとんどと、喘息で入院している小児の90%は、ウイルス感染症(通常はライノウイルス感染症または 普通のかぜ かぜ(感冒) かぜ(感冒)は、鼻、副鼻腔、のどの粘膜に起こる ウイルス感染症です。 様々なウイルスがかぜの原因 さらに読む )にかかっています。幼い頃に 細気管支炎 細気管支炎 細気管支炎とは、乳児と生後24カ月未満の幼児の下気道を侵すウイルス感染症です。 原因は、たいていウイルスです。 症状として、鼻水、発熱、せき、呼気性喘鳴、呼吸困難などがみられます。 診断は症状と身体診察の結果に基づいて下されます。 自宅で順調に、数日で回復するのが普通ですが、入院が必要になることもあります。 さらに読む にかかると、その後ウイルスに感染したときにゼーゼーすることがよくあり、最初は喘息と間違われることがありますが、これらの小児が青年になって喘息になる確率は他の小児より高いわけではありません。
食事も危険因子となることがあります。ビタミンCおよびE、オメガ3脂肪酸の摂取が足りない小児、または肥満の小児には、喘息のリスクがあります。
症状
喘息発作が起こると気道が狭くなるため、呼吸困難、胸が締めつけられる感じ、 せき 小児のせき せきには、気道から異物を取り除き、異物が肺に入るのを防ぐ働きがあります。異物は吸い込んだ粒子のこともあれば、肺や気道から排出された物質のこともあります。多くの場合、異物はせきをすることで肺と気道からたん(粘液、壊死組織片、細胞などの混合物が肺から吐き出されたもの)として吐き出されます。血液がせきで吐き出されることもあります。たんや血液を吐... さらに読む がみられ、典型的には呼気性喘鳴が聞こえます。 呼気性喘鳴 乳幼児の呼気性喘鳴 呼気性喘鳴とは、気道が部分的に閉塞していたり狭くなっているときに息をすると聞こえる、比較的高い笛のような音です。 呼気性喘鳴は気道の狭窄によって起こります。 他の症状としては、せき、発熱、鼻水などがあり、どのような症状がみられるかは原因によって異なります。 原因の診断は、胸部X線検査のほか、ときにその他の検査に基づいて下されます。... さらに読む とは、息を吐き出すときに聞こえる高い音です。
しかし、喘息の発作で必ず呼気性喘鳴が聞こえるわけではありません。喘息が軽い場合、特に非常に幼い小児では、せきしか出ないことがあります。より年長の小児では、運動したり冷たい空気を吸い込んだりしたときにだけ、せきが出るケースもみられます。また、極めて重度の喘息発作の場合には、音を立てるだけの空気が気道を通らないため喘鳴が聞こえないことがあります。
重い喘息発作では、みるみるうちに呼吸が困難になり、通常は呼気性喘鳴が大きくなって、呼吸は速くなり、努力して息をしなければならなくなるため、息を吸うとき(吸気時)に肋骨(ろっこつ)の動きが目立ちます。特にひどい発作の場合は呼吸しようとあえぎ、座って前かがみになり、皮膚は汗ばんで青、ないし青白くなります。重い発作をしょっちゅう起こす小児は成長が遅れることがありますが、普通は成人するまでには他の小児と同様の成長がみられます。
診断
呼気性喘鳴があり、喘息またはアレルギーの家族歴がある
ときにアレルギー検査
ときに肺機能検査
小児が呼気性喘鳴を繰り返し、特に家族の中に喘息またはアレルギーの患者がいる場合は、喘息が疑われます。小児の喘息の診断で、胸部X線検査が必要になることはまれです。X線検査が必要になるのは普通、症状から 肺炎 肺炎の概要 肺炎は、肺にある小さな空気の袋(肺胞)やその周辺組織に発生する感染症です。 肺炎は、世界で最も一般的な死因の1つです。 重篤な慢性の病気が他にある患者において、肺炎はしばしば最終的な死因となります。 肺炎の種類によっては、ワクチンの接種によって予防できます。 米国では、毎年約200~300万人が肺炎を発症し、そのうち約6万人が死亡していま... さらに読む などの別の病気の可能性が疑われる場合に限られます。誘因を特定するため、 アレルギー検査 アレルギー検査 季節性アレルギーとは、1年の特定の時期にだけ出現する花粉などの空気中を漂う物質にさらされることが原因で起こるアレルギーです。 症状は皮膚のかゆみ、鼻水、くしゃみ、ときに眼のかゆみ、涙目、目の充血です。 通常は、特定の季節に典型的な症状(鼻水、鼻のかゆみ、目のかゆみなど)がみられる場合に、このアレルギーと診断できます。... さらに読む
を行うこともあります。
また、呼気性喘鳴を頻繁に起こす小児には 嚢胞性線維症 診断 嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)は、特定の分泌腺が異常な分泌物を産生し、それによって組織や器官、特に肺や消化管が損傷を受ける遺伝性疾患です。 嚢胞性線維症は、遺伝子の突然変異を親から引き継ぐことで発生し、粘り気の強い濃厚な分泌物が肺やその他の臓器の働きを妨げます。 典型的な症状としては、腹部膨満、軟便、体重増加不良のほか、せき、喘... さらに読む や 胃食道逆流 診断 胃食道逆流とは、食べものと胃酸が胃から食道に、ときには口の中にまで戻ってくることです。 逆流の原因として考えられるのは、授乳中の乳児の姿勢、授乳量が多すぎた場合、カフェイン、ニコチン、タバコの煙にさらされた場合、食物不耐症や食物アレルギー、消化管の異常などがあります。 乳児では、嘔吐、過度の吐き出し、摂食障害や呼吸障害がみられたり、不機嫌... さらに読む など、他の病気の検査を行うことがあります。 年長児には、肺がどの程度機能しているかを測定する検査(肺機能検査 肺機能検査 肺機能検査では、肺にためることができる空気の量、肺から空気を出し入れする能力、肺に酸素を取り込む能力を測定します。 肺機能検査は、肺疾患の具体的な原因を突き止めるというより、一般的なタイプや重症度を調べるのに適していますが、 喘息や 慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの特定の病気を診断するために使用されることもあります。... さらに読む )を行うこともあります。喘息のほとんどの小児では、発作のない時期の肺機能は正常です。
喘息のある年長児または青年にはピークフローメーターをよく使います。これは息をどのくらい速く吐き出せるかを記録する小さな器具で、これにより気道がどの程度狭くなっているかを測定できます。この器具は家庭でも使用できます。これを使用することで、医師や親は発作と発作の間の小児の状態を評価できます。喘息にかかっていることが分かっている小児で発作の最中にX線検査を行うことはありませんが、肺炎や無気肺(肺が破れてつぶれ、膨らまなくなること)などの、別の病気が疑われる場合には行うことがあります。
予後(経過の見通し)
小児の喘息の多くは、成長とともになくなります。しかし、患児4人のうち1人では、発作が続いたり、症状が治ったと思っても大きくなってからまた現れたり(再発)します。症状が重い小児は成人になっても喘息が続く傾向があります。喘息が持続したり再発したりするその他の危険因子には、女性、喫煙、幼い時期の発症、チリダニへの過敏などがあります。
毎年、多くの患者が喘息で亡くなっていますが、そのほとんどは治療をすれば防げたはずのものです。そのため、喘息であっても、治療を受けることができ、計画通りに治療を続けられる小児の予後は良好です。
予防
喘息の家族歴のある小児が、喘息にならないように予防できる方法はまだありません。しかし、妊娠中に母親が喫煙していた場合は、小児が喘息になる確率が高いという科学的証拠があるため、妊婦(特に喘息の家族歴がある人)は、喫煙すべきではありません。
他方、現在喘息がある小児において、症状または発作を予防する方法はたくさんあります。
誘因をとにかく避けたりコントロールしたりすることで喘息の発作をかなり予防できます。 アレルギーのある小児の寝室には、以下のものを置かないようにします。
羽毛の枕
カーペットや絨毯
ドレープ
布張りの家具
ぬいぐるみ
ペット
チリダニやアレルゲンを含みうるその他のもの
アレルゲンを減らすその他の方法には次のようなものがあります。
合成繊維の枕や防ダニのシーツを使用する
ベッドのシーツ、枕カバー、毛布を湯で洗う
地下室をはじめとする、じめじめした換気の悪い部屋には除湿機を設置してカビが生えないようにする
チリダニのアレルゲンを減らすため、家の掃除にはスチームを使用する
ゴキブリが出ないように、家を掃除して、ペットは飼わないようにする
屋内で喫煙しない
受動喫煙は小児の喘息の症状を悪化させることがよくあるため、少なくとも小児が過ごす場所では喫煙をしないことが重要です。
強い匂い、刺激性の煙霧、寒冷、じめじめした空気など、その他の誘因も可能であれば避けるかコントロールする必要があります。
小児の発達には運動が欠かせないため、医師は通常、体を使う遊びや運動、スポーツを続けるようアドバイスし、必要なら運動の直前に喘息の薬を使用するよう指導します。
アレルゲン注射(免疫療法)
取り除けないアレルゲンがある場合は、 アレルゲンの注射 アレルゲン免疫療法(脱感作) アレルギー反応(過敏反応)とは、通常は無害な物質に対して免疫系が異常な反応をすることを指します。 通常、アレルギー反応が起こると、くしゃみが起こり、涙目や眼のかゆみ、鼻水、皮膚のかゆみや発疹などが起こります。 アナフィラキシー反応と呼ばれる一部のアレルギー反応は生命を脅かします。... さらに読む をすることで脱感作を試みる場合がありますが、アレルゲン注射が喘息に有益であるかどうかは分かっていません。
アレルゲン注射は通常、成人よりも小児でより効果的です。24カ月後に喘息の症状に有意な緩和がみられない場合は、一般的に注射は中止されます。症状が緩和すれば、注射を3年以上継続します。ただし、注射の最適な継続期間は不明です。
治療
急性の発作に対し、気管支拡張薬、ときに吸入コルチコステロイド
慢性喘息に対し、吸入コルチコステロイド(ときに気管支拡張薬と併用)およびときにロイコトリエン修飾薬(leukotriene modifier)やクロモグリク酸
突然(急性)の発作を抑えるため、またときに発作を予防するためにも治療が行われます。
発作が軽く、極めてまれにしか起こらない小児であれば、通常は発作の間だけ薬剤を使います。しかし、重度の発作またはより頻繁に発作が起こる小児は、発作がないときも薬剤を使用する必要があります。使用する薬剤の種類は発作の頻度と程度に応じて変わります。発作の頻度が低くそれほど重くない場合は、低用量の吸入コルチコステロイドまたはロイコトリエン修飾薬(leukotriene modifier―モンテルカストまたはザフィルルカスト)を毎日使用すると発作の予防に役立ちます。これらの薬剤は、気道に炎症を起こす化学物質の放出を防ぐことで炎症を鎮めます。
急性の発作(急性増悪)
急性の喘息発作には以下の治療を行います。
気管支拡張薬による気道の拡張
炎症の鎮静化
気道を広げるための吸入薬(気管支拡張薬、 喘息発作の治療 喘息発作の治療 喘息は、気道が何らかの刺激に反応して狭くなる(通常は可逆性)病態です。 症状としては、特定の誘因に反応して生じる、せき、喘鳴(ぜんめい)、息切れなどが最もよくみられます。 医師は、呼吸の検査(肺機能検査)を行って喘息の診断を確定します。 喘息発作を防ぐためには、誘因となる物質を吸い込まないようにするとともに、気道の開口を保つ薬を服用する必... さらに読む を参照)には様々なものがありますが、よく使用されるのはサルブタモールとイプラトロピウムです。長時間作用型の気管支拡張薬(サルメテロールやホルモテロールなどの、長時間にわたって気管支拡張作用が得られる薬剤)だけを使って治療することは勧められません。

小児および青年ではスペーサー付きまたは弁を備えたチャンバー付きの定量噴霧式吸入器を使用します(定量噴霧式吸入器の使い方 定量噴霧式吸入器の使い方 )。スペーサーによって、薬の肺への到達が最適化されるとともに、副作用の可能性が最少化されます。
乳児や非常に幼い小児の場合も、乳児用マスクが付いていれば吸入器とスペーサーを使えます。
吸入器を使えない小児はネブライザー(圧縮空気を利用して薬剤を霧状にする小さな器具)にマスクを付けて使えば自宅で吸入薬を使用できます。吸入器でもネブライザーでも薬剤の投与効果は同じですが、親の多くは、スペーサー付き吸入器の方が、便利で使いやすいと考えています。
サルブタモールは経口薬もありますが吸入薬に比べて効果が劣り副作用も増える可能性があるため、たいていはネブライザーが自宅にない乳児や幼すぎて吸入器を使用できない乳児にのみ使われます。発作の強さが中等度の小児にはコルチコステロイドを経口または注射で投与することがあります。
非常に重い発作を起こした小児は入院させ、最初は気管支拡張薬をネブライザーか吸入器で少なくとも20分おきに吸入させます。それでも効果が十分でない場合には、アドレナリンまたはテルブタリン(気管支拡張薬)を注射する場合があります。また、重い発作のある小児には通常、コルチコステロイドの静脈内投与を行います。
定量噴霧式吸入器の使い方
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慢性の喘息
慢性の喘息は以下のように治療します。
吸入コルチコステロイドを毎日使用するほか、ときに炎症をコントロールするその他の薬剤
運動の前に吸入薬
5歳未満の乳幼児で、週2回以上治療が必要な場合、比較的持続的な喘息がある場合、または頻繁なもしくは比較的重度の発作が発生するリスクがある場合は、抗炎症治療とコルチコステロイドの吸入を毎日行うべきです。場合によっては、ロイコトリエン修飾薬(leukotriene modifier―モンテルカストまたはザフィルルカスト)、長時間作用型の気管支拡張薬(常に吸入コルチコステロイドとともに吸入器を用いて使用する)、またはクロモグリク酸などの薬剤を一緒に使います。状況に応じて薬剤を増やしたり減らしたりして喘息の症状を一番よい形でコントロールし、重い発作を起こさないようにしますが、これらの薬剤だけで重い発作を予防できない場合にはコルチコステロイドの内服が必要になることもあります。5歳以上の小児や青年は、成人と同様の方法で治療します(喘息発作の治療 喘息発作の治療 喘息は、気道が何らかの刺激に反応して狭くなる(通常は可逆性)病態です。 症状としては、特定の誘因に反応して生じる、せき、喘鳴(ぜんめい)、息切れなどが最もよくみられます。 医師は、呼吸の検査(肺機能検査)を行って喘息の診断を確定します。 喘息発作を防ぐためには、誘因となる物質を吸い込まないようにするとともに、気道の開口を保つ薬を服用する必... さらに読む を参照)。
通常、運動すると発作を起こす小児には、運動する直前に気管支拡張薬を1回用量吸入させます。
アスピリンまたはその他の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)によって喘息が誘発される小児では、これらの薬剤の使用を避ける必要があります。しかし、小児でこのような反応がみられることは非常にまれです。
喘息は長期間にわたる病気で、様々な治療法があるため、医師は喘息について親と小児ができる限り理解できるように努めます。青年やしっかりしている小児は、医師や親と一緒に自身の喘息管理計画を作り、治療をきちんと続けられるように、治療の目標を決めるのがよいでしょう。患児と親は、発作の強さをどう判定するか、薬剤とピークフローメーターをいつ使うか、そして、どのようなときに医師に問い合わせたり病院に行ったりするかなどを学ぶ必要があります。
親と医師は、養護教諭、保育士、その他小児にかかわる人たちに小児の状態と使用している薬剤について伝えておくとよいでしょう。必要であれば学校で吸入器を使う許可が得られることもありますが、それ以外の場合は養護教諭に監督してもらう必要があります。