20年ほど前から双子、三つ子などの多胎出産が増えています。約70~80件の出産のうち1件が多胎出産です。
以下のような場合に多胎妊娠になりやすくなります。
排卵誘発薬を使用している
これまでに多胎妊娠の経験がある
高齢である
西アフリカ系である
リスク
多胎妊娠により問題が生じるリスクが上昇します。
多胎妊娠では子宮が過度に拡張し、過度に拡張した子宮は、妊娠が満期になる前に収縮を始める傾向にあります(切迫早産 切迫早産 妊娠37週以前に起こる陣痛は切迫早産とみなされます。 未熟児として生まれた新生児には、深刻な健康上の問題が生じる可能性があります。 切迫早産の診断は通常明らかです。 安静にしたり、ときには薬剤を用いて、分娩を遅らせます。 抗菌薬やコルチコステロイドも必要な場合があります。 さらに読む )。このため多胎出産では多くの場合、早産になったり小さな新生児が生まれてきたりします。また、過度に拡張した子宮が分娩後、十分に収縮せずに母体に出血が起こることがあります(分娩後出血 分娩時の子宮からの出血過多 子宮からの出血過多とは、約1000ミリリットル以上の失血、または分娩から24時間以内に起こる多量の失血の症状を指します。 胎児の娩出後は子宮からの出血過多に注意が必要です。 経腟分娩の場合、通常は分娩中と分娩後で約500ミリリットルの出血があります。子宮から胎盤が剥がれるときに一部の血管が開いた状態になり、出血が起こります。血管がふさがるまで、子宮の収縮が血管を閉じるのを助けます。一般的に帝王切開では経腟分娩の約2倍の出血が生じますが、... さらに読む )。
多胎妊娠では胎児毎に胎向と胎位が異なるため、経腟分娩が難しくなりがちです。また第1子が生まれた時点で子宮が収縮し、残っている胎児の胎盤が剥がれてしまうこともあります。その結果、後から生まれる胎児の分娩中に多くの問題が生じる可能性があります。
多胎妊娠により、母体に問題が生じるリスクも上昇します。例えば以下のものです。
診断
治療
適切な場合は帝王切開
多胎出産では問題が生じやすいため、双子の分娩に際して医師が経腟分娩にするか帝王切開にするかをあらかじめ決めておくことがあります。
双子の第1子の姿勢が異常である場合(頭位以外)は帝王切開 帝王切開 帝王切開では、母親の腹部と子宮を切開して胎児を外科手術により取り出します。 米国では分娩の最大30%が帝王切開で行われています。 以下のような場合には帝王切開が母体や胎児、あるいはその両方にとって経腟分娩よりも安全であると考えられるため、帝王切開を行います。 遷延分娩(分娩の進行が長引く) 胎児の姿勢が異常な場合(骨盤位など) さらに読む を行います。ときに双子の第1子を経腟分娩で娩出した場合でも、第2子には帝王切開が安全だと考えられることもあります。三つ子以上の多胎では、たいてい帝王切開が行われます。