リズム法では、女性の月経周期中に妊娠が成立する可能性が高い日を特定します。この情報は、妊娠の可能性を高めたり、妊娠を避けたりするのに活用できます。
リズム法を避妊に用いる場合は、女性の妊娠可能期間には性交を避けます。ほとんどの女性では、月経の始まる約14日前に排卵が起こります。受精しない卵子の生存期間はわずか12時間ほどですが、精子は性交の後、5日程度は生きています。したがって、排卵前の5日以内および排卵時に性交を行うと受精が起こる可能性があります。
リズム法にはいくつかの種類があります。
カレンダー法
粘液法
症状体温法
どの方法においても、女性の排卵がいつ起こるかを予測することで、妊娠可能日を判断することがねらいです。これらの方法を効果的に用いるためには訓練と努力を必要とし、いくつもの段階を踏む必要があります。
他の方法として、授乳性無月経法があります。この方法は、女性が授乳中である場合、出産後に用いることができます。この方法は一定の条件下では非常に効果的です。
カレンダー法
カレンダー法(標準日避妊法とも呼ばれる)は、規則的な月経周期のある女性でのみ用いることができます。女性が妊娠可能日の記録をつけるのにサイクルビーズが役立ちます。それらのビーズは色分けされていて、1つのビーズが月経周期中の1日を表します。
性交を避ける時期を計算するには、最近12回の月経周期のうち最短の周期から18日を引き、最長の周期から11日を引きます。例えば月経周期が26~29日であれば各周期の8日目(26から18を引く)から18日目(29から11を引く)までは性交を避けます。月経周期の変動が大きいほど、性交を避けなければならない期間が長くなります。月経の開始日を1日目とします。
粘液法
粘液法は、2日法(または排卵法)とも呼ばれています。腟からの分泌物(子宮頸管粘液)を観察して妊娠可能な期間を判断する方法で、可能であれば月経最終日の翌日から毎日数回観察します。女性は観察した内容を記録するようにします。
粘液は通常、月経周期中以下のパターンを示します。
月経終了後数日間は粘液がみられないことがあります。
その後濃くて濁った、伸びの悪い粘液が出現します。
排卵直前には粘液量が増え、薄くなり指の間でよく伸びるようになり、透明でサラサラした状態(卵白のように)になります。
月経の間は完全に性交を避けます(粘液が調べられなくなるため)。粘液がない時期は性交が許されますが、精液と粘液を混同しないように2日毎に制限します。月経後に粘液が初めて現れてから完全になくなるまで性交を避けます。粘液がなくなった後は、次の月経が始まるまで制限なく性交を行えます。
粘液の変化が通常のパターンをたどらない場合や、粘液の解釈が難しい場合には、医療従事者に相談する必要があります。
この方法を用いる女性は、腟洗浄器や女性用衛生スプレーまたはクリームを使用すべきではありません。これらの製品により粘液が変化してしまうからです。
頸管粘液の変化は基礎体温よりも正確に排卵を示します。
症状体温法
症状体温法は、安静時体温(基礎体温)の測定に粘液法とカレンダー法を併用するものです。そのため、リズム法の中では症状体温法が最も信頼できる方法です。
排卵が起こると、女性の基礎体温がわずかに(約0.5℃)上がります。体温の変化を把握するために、毎朝起床する前に体温を測定します。基礎体温計を使用するのが最も正確です。それがなければ、水銀体温計を使用します。電子体温計は最も精度の低い体温計です。
子宮頸管粘液の量が増え、薄く、伸びがよくなり、透明でサラサラした状態になった時期(粘液法)および体温の上昇時期に注意します。カレンダー法に従って性交を避ける必要があると判断された最初の日から、基礎体温が上昇して子宮頸管粘液に変化がみられた日から72時間以上経つまでの間、性交を控えます。
授乳性無月経法
授乳性無月経法は、使用者が母乳のみで授乳を行っている場合に出産後に用いられます(「授乳性」とは母乳が分泌されている状態で行うということを意味しています)。通常、このような女性では月経が起こらず(この状態を無月経といいます)、排卵もないため、妊娠することがありません。ただし、月経が再開する2週間前(排卵が起こるとき)には妊娠可能になるため、その2週間は妊娠可能であることを知らずに過ごすことになります。
以下のすべてに当てはまる場合、この方法は非常に効果的です。
乳児が6カ月未満である。
母乳が乳児の唯一の栄養源である。人工栄養や固形食品で母乳を補っている場合や搾乳をしている場合には、この方法の効果が減少する。
日中は少なくとも4時間毎、夜間は6時間毎に授乳している。
出産後に月経が再開していない。