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性器出血

執筆者:

David H. Barad

, MD, MS, Center for Human Reproduction

最終査読/改訂年月 2018年 9月
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本ページのリソース

異常な性器出血(不正出血)には以下の時期におけるすべての性器出血が含まれます。

  • 思春期以前

  • 妊娠中

  • 閉経後

  • 月経期以外の時期の出血

妊娠可能年齢の間は、月経に伴って腟からの出血がみられ、それらは正常とみなされます。しかし、以下のような月経は異常とみなされます。

  • 出血量が過剰になる(1時間に2個以上のタンポンが必要)

  • 持続期間が長い(7日間を超える)

  • 回数が多い(21日よりも短い間隔で生じる)

  • 回数が少ない(90日よりも長い間隔で生じる)

一般に、月経の期間は3~7日間で、21~35日毎に生じます。青年では月経と月経の間の期間のばらつきはさらに大きく、最長で45日周期になる場合もあります。

妊娠の前半または妊娠の後半に性器出血がみられる場合があり、これは妊娠に関連した問題(合併症)によって生じている可能性があります。

出血が長引いたり、出血量が多いと、鉄欠乏症、貧血、ときに危険なレベルの低血圧(ショック)を起こすことがあります。

原因

性器出血は以下により生じる可能性があります。

一般的な原因

性器出血における可能性の高い原因は、女性の年齢によって異なります。

生まれたばかりの女児では少量の性器出血がみられることがあります。出生前に女児は胎盤を通して母体から エストロゲンを吸収します。出生後には、高かった エストロゲンの濃度が急速に下降するため、ときに生後1~2週間に少量の出血が起こります。

小児期では、性器出血は異常であり、まれです。小児期に性器出血が起こったときは、多くの場合以下が原因です。

  • 腟内への異物(トイレットペーパーやおもちゃなど)挿入または腟内のけが

妊娠可能年齢の間の最も一般的な原因は以下のものです。

無排卵性とは、正常な月経周期において起こるような卵巣からの卵子の放出(排卵)がないことを意味します。無排卵性子宮出血は、ホルモンによる月経周期のコントロールの変化のために生じます。青年期(初潮を迎える頃)や40代後半(閉経期)に特に起こりやすくなります。

妊娠可能年齢の間の性器出血の他の一般的な原因としては以下のものがあります。

  • 妊娠に気づいていない女性の妊娠の合併症

  • 月経周期において卵子が放出されるとき(排卵時)の出血

  • 経口避妊薬の使用による、少量の性器出血または月経期以外の出血(破綻出血と呼ばれる)

閉経後の最も一般的な原因は以下のものです。

  • 加齢による腟粘膜(萎縮性腟炎)または子宮内膜の萎縮

あまり一般的でない原因

子宮頸がん腟がん、または子宮内膜がん(子宮の内側を覆っている組織のがん)は、出血を引き起こす可能性があります(通常は閉経後)。妊娠可能年齢の間は、がんは一般的な原因ではありません。

一部の内分泌疾患(甲状腺機能低下症など)は、比較的頻度の低い出血の原因です。非常に重い月経が、出血性疾患の最初の徴候であることがあります。

小児ではホルモン異常が原因で早すぎる時期に思春期が始まることがあり、これは早発思春期と呼ばれます。このような小児では、月経の開始、乳房の発達、陰毛やわき毛の出現の時期が早くなります。まれに、腫瘍または予想されていない小児虐待によるけがが原因で出血が起こることがあります。

評価

医師はまず、重篤な病気(異所性妊娠など)が原因であるかどうか、また出血が大量で、ショックを引き起こす可能性があるかどうかを判断することに焦点を置きます。

妊娠可能年齢の女児および女性では、医師は必ず妊娠検査を行います。妊娠中の出血の原因のなかには、生命を脅かすもの(異所性妊娠の破裂など)もあります。

警戒すべき徴候

性器出血がみられる女性では、以下の特徴に注意が必要です。

  • 意識消失、筋力低下、ふらつき、冷たく湿っぽい皮膚、呼吸困難、弱く速い脈拍(ショックを示唆する)

  • 月経が始まる前(思春期以前)または停止した後(閉経後)の出血

  • 妊娠中の出血

  • 過剰な出血

  • 小児では、歩行や座位の困難、性器、肛門、口の周囲のあざや裂傷、または腟分泌物やかゆみ(性的虐待の徴候である場合がある)

以下の場合には出血が過剰とみなされます。

  • 約1カップ(240mL)を超える出血がある。

  • 1時間にナプキン1枚またはタンポン1つを使用しなければならない出血が数時間続く。

  • 血に大きなかたまりが混ざっている。

受診のタイミング

警戒すべき徴候が多くみられる場合は、直ちに医師の診察を受ける必要があり、大きな血のかたまりや組織のかたまりが排出された場合や、出血性疾患を示唆する症状がみられる場合も同様です。出血性疾患の症状には、あざができやすい、歯磨き中や軽い切り傷からの過剰な出血、小さな赤紫色の点状の発疹またはそれより大きなしみ(皮下出血を示唆)などがあります。しかし、警戒すべき徴候が思春期以前または閉経後の性器出血だけであれば、1週間程度の遅れは問題になりません。

警戒すべき徴候がない場合も、都合のよいときに受診すべきですが、数日の遅れが問題になることはあまりありません。

新生児の性器出血が2週間以上続く場合は、医師の診察を受ける必要があります。

医師が行うこと

医師は初めに、症状と病歴について患者に質問します。次に身体診察を行います。病歴聴取と身体診察で得られた情報から、多くの場合、出血の原因と必要になる検査を推測することができます(表「おりものの主な原因と特徴」を参照)。

医師は出血について以下のことを質問します。

  • 1日または1時間当たり何枚のナプキンを使用するか。

  • 出血はどれくらい続くか。

  • 痛みはいつから始まったか。

  • 月経や性交と関連して、どのようなときに痛みが起こるか。

医師は月経歴についても以下のような質問を行います。

  • 初めての月経は何歳だったか。

  • 月経期間はどれくらいか。

  • 月経はどれくらい重いか。

  • 月経と月経の間の期間はどれくらいか。

  • 月経は規則的にみられるか。

過去に異常出血があったか、出血を引き起こす病気になったことがあるか(最近の流産など)、経口避妊薬や他のホルモン剤を使用しているかなどについて質問されます。

ふらつき、腹痛、歯磨き中や軽い切り傷からの過剰な出血などの他の症状についても質問されます。

身体診察には内診が含まれます。診察では、医師は陰毛や乳房の状態に基づいて小児の早発思春期を特定したり、ときに子宮頸部、子宮、または腟の病気を特定したりすることができます。

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異常な性器出血の主な原因と特徴

原因

一般的な特徴*

検査

乳児期

出生前の母体の エストロゲンへの曝露

生後1~2週間の少量の出血

医師の診察

小児期

腟内の異物

通常は悪臭のあるおりもの(しばしば少量の血液が含まれている)

ときに、過去に腟内に異物を挿入したことがある

医師の診察(ときに鎮静または全身麻酔を行ってから)

乳房の発達や陰毛とわき毛の出現(思春期にみられる)が通常より低い年齢で起こる

手と手首のX線検査

ホルモンを測定する血液検査

性的虐待

歩行や座位の困難または性器、肛門、口の周囲のあざや裂傷

腟分泌物またはかゆみ

医師の診察

性感染症の検査

妊娠可能年齢

異常子宮出血(特に無排卵性子宮出血)

通常、頻繁または不規則に起こる出血、または一般的な月経より長く続く、もしくは重い出血

血液検査や超音波検査(しばしば手持ち式の超音波装置を腟内に挿入して行う)など他に考えられる原因の可能性を否定するための検査

子宮内膜症(正常時には子宮内にしかみられない子宮内膜組織がそれ以外の異常な部位にできる病気)

鋭い、または締めつけるような痛みが月経開始前および開始後数日間に起こる

しばしば性交時または排便時の痛み

やがて月経周期に関係なく痛みを引き起こすことがある

ときに不妊症

医師の診察

腹腔内に腹腔鏡(観察用の細い管状の機器)を挿入して異常な組織を調べ、生検のためのサンプルを採取する

たいていは無症状

筋腫が大きい場合、ときに骨盤部の痛み、圧迫感、または重感

医師の診察

しばしば超音波検査またはソノヒステログラフィー(子宮内に液体を注入してから行う超音波検査)

結果がはっきりしなければ、MRI検査

甲状腺機能低下症(甲状腺の活動が不十分になった状態)などの内分泌疾患

  • 遅い心拍

  • 体重増加

  • 寒さに耐えられない

  • 乾燥して荒れた皮膚

  • 特徴的な顔つきになり、表情が乏しい

  • 反応の鈍化

甲状腺ホルモンを測定する血液検査

過剰な体毛(男性型多毛症)

不規則な月経または無月経、にきび、および体幹回りの過剰な脂肪

うなじの皮膚や、わきの下など皮膚がこすれ合う部分が黒ずみ、厚みが増す

医師の診察

テストステロン(男性ホルモンの1つ)や卵胞刺激ホルモン(エストロゲンとプロゲステロンを分泌するよう卵巣を刺激するのを助ける)などのホルモンを測定する血液検査

骨盤内超音波検査

子宮頸管ポリープまたは子宮ポリープ

たいていは無症状

月経期以外の時期または性交後に起こる出血

妊娠合併症(妊娠が認識されていない場合)

  • 流産(自然流産)または流産の可能性(切迫流産)

  • 異所性妊娠(通常の子宮内ではなく、異常な位置での妊娠)

締めつけるような骨盤痛(体幹の最下部)または背部痛

ときに腟からの組織の排出(流産で通常みられる)

異所性妊娠が破裂すると、持続する骨盤痛やときにふらつき、失神、または危険なレベルの低血圧(ショック)

医師の診察

骨盤内超音波検査

異所性妊娠が疑われる場合

  • 胎盤から分泌されるホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン、hCGと呼ばれる)を測定する尿検査および血液検査

  • 異所性妊娠が疑われる場合、ときに腹腔鏡検査(細い管状の機器を腹部に挿入して内部を観察する検査)または開腹(医師が臓器を直接観察できるよう、腹部を大きく切開する)

経口避妊薬または他のホルモン剤による避妊法を用いて最初の数カ月に、少量の性器出血または月経期以外の出血(破綻出血)

たいていは無症状

医師の診察

閉経後

腟粘膜が薄くなる(萎縮性腟炎)

少量のおりもの

性交時の痛み

医師の診察

分泌物のサンプルの顕微鏡検査および分析

子宮内膜の肥厚(子宮内膜増殖症)

たいていは無症状

子宮鏡検査(腟から観察用の管状の機器を挿入して子宮を観察する)またはソノヒステログラフィー

子宮内膜から採取した組織の生検

子宮内膜がん(子宮の内側を覆っている組織のがん)

たいていは進行するまで無症状

ときに性器出血または茶色もしくは血の混じったおりもの

徐々に現れる痛み

ときに体重減少

生検

ときに超音波検査、MRI検査、CT検査などによる骨盤部の画像検査

すべての年齢層

あざができやすい

歯磨き中や軽い切り傷からの過剰な出血

皮下出血を示唆する小さな赤紫色の点状の発疹(点状出血)またはそれより大きなしみ(紫斑)

血算(血小板数を含む)

血液の凝固能(プロトロンビン時間と部分トロンボプラスチン時間)を評価する血液検査

血液サンプルの顕微鏡検査

けが(性的虐待によるものを含む)

ときにけがの既往

しばしばおりもの

医師の診察

性的虐待が疑われる場合は以下

  • 分泌物のサンプルの顕微鏡検査および分析

  • 子宮頸部から採取した分泌物のサンプルを使用して行う、性感染症を検出する検査

*この欄には症状や診察の結果などが示されています。ここに示されている特徴は典型的なものですが、常に当てはまるわけではありません。

無排卵性子宮出血では、卵巣からの卵子の放出(排卵)がありません。この種類の出血は、ホルモンによる月経周期のコントロールの変化のために生じます。

CT = コンピュータ断層撮影、MRI = 磁気共鳴画像。

検査

女性が妊娠可能年齢であれば、医師は必ず以下を行います。

  • 尿妊娠検査

尿妊娠検査が陰性でも医師が妊娠を疑う場合、血液妊娠検査を行います。妊娠がごく初期(5週以下)のときは、血液検査の方が尿検査よりも正確です。

一般的に行われる検査には以下のものがあります。

  • 甲状腺ホルモンを測定する血液検査

  • 出血が多いか長く続く場合には貧血を調べる血算

医師が疑う病気により他の血液検査も行われます。例えば出血性疾患が疑われる場合、血液の凝固能を評価します。多嚢胞性卵巣症候群が疑われる場合、男性ホルモンを測定する血液検査が行われます。

しばしば超音波検査を使用して生殖器の異常を調べますが、これは特に患者が35歳以上の場合や子宮内膜がんの危険因子がある場合、または治療にもかかわらず出血が続く場合に行います。超音波検査では、通常は手持ち式の超音波装置を腟内に挿入しますが、腹部にあてることもあります。

超音波検査で子宮内膜の肥厚(子宮内膜増殖症)が検出されたら、子宮鏡検査またはソノヒステログラフィーを行って、子宮内に小さな腫瘤がないか調べることがあります。子宮鏡検査では、内視鏡(観察用の管状の機器)を腟から子宮内に挿入します。ソノヒステログラフィーでは、超音波検査中に子宮内に液体を注入し、異常を見つけやすくします。これらの検査結果に異常があるか、35歳以上の女性またはがんの危険因子がある女性で結果がはっきりしない場合、分析のために医師が子宮内膜組織のサンプルを採取することがあります。サンプルの採取は、組織をチューブで吸引するか、組織をこすり取る(子宮内容除去術と呼ばれる手技)ことにより行われる場合があります。

疑われる病気により、他の検査が行われることがあります。例えば、子宮頸がんを調べるために子宮頸部の生検が行われることがあります。

異常出血が通常の原因のいずれによるものでもなければ、ホルモンによる月経周期のコントロールの変化に関連している可能性があります。

治療

患者がショックを起こしている場合は、血圧を回復させるために必要に応じて輸液および輸血を行います。

性器出血が別の病気によって起きている場合は、可能であればその病気を治療します。出血により鉄欠乏症を起こしている場合は、鉄サプリメントを投与します。

ホルモンによる月経周期のコントロールの変化に関連する異常子宮出血の治療には、経口避妊薬または他のホルモン剤を使用することがあります。

ポリープ、子宮筋腫、がん、一部の良性腫瘍は手術で子宮から摘出する場合があります。

高齢女性での重要事項

閉経後出血(閉経後6カ月以降に起こる出血)は比較的一般的であるものの、異常とみなされます。このような出血は、前がん状態(子宮内膜の肥厚など)またはがんを示唆している可能性があります。そのため、高齢女性でこのような出血がみられた場合は、がんの可能性を否定するため、速やかに医師の診察を受ける必要があります。

高齢女性で以下がみられる場合にも、速やかに医師の診察を受ける必要があります。

  • 性器出血

  • ピンク色または茶色のおりもの(少量の血が混じっている可能性)

しかし、閉経後出血には、以下のようにほかにも多くの原因があります。

  • 子宮内膜または腟粘膜の萎縮および乾燥(最も一般的な原因)

  • エストロゲンまたは他のホルモン療法(特に使用を止めたとき)

  • 子宮頸管ポリープまたは子宮ポリープ

  • 子宮筋腫

  • 感染症

腟の組織が薄くなり乾燥している場合には、腟の診察には不快感を伴うことがあります。医師は診察の不快感を少なくするためより小さな器具(腟鏡)の使用を試みることがあります。

要点

  • 妊娠可能年齢では、異常な性器出血(不正出血)の最も一般的な原因は妊娠です。

  • 妊娠していない女性では、最も一般的な原因は異常子宮出血(特に無排卵性子宮出血)で、これはホルモンによる月経周期のコントロールの変化により卵巣からの排卵が抑制されることと関連しています。

  • 小児では通常、異物またはけがが原因ですが、ときに性的虐待が原因のこともあります。

  • 妊娠可能年齢の場合、患者自身は妊娠している可能性はないと考えていても、妊娠検査が行われます。

  • 閉経後に性器出血が生じた場合は必ず、がんの可能性を否定するための評価が必要です。

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