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良性の卵巣病変

執筆者:

S. Gene McNeeley

, MD, Michigan State University, College of Osteopathic Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 12月
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増殖する良性の(がんではない)卵巣病変には、嚢胞(主に機能性嚢胞)と腫瘍があります。

  • ほとんどの嚢胞と腫瘍には症状がみられませんが、骨盤部に痛みや重感が生じることもあります。

  • 医師による内診で腫瘤が発見されることがあり、超音波検査によって診断が確定されます。

  • 嚢胞は自然に消失する場合もあります。

  • 嚢胞や腫瘍は、腹部を小さく1カ所または複数カ所切開するか、大きく1カ所切開して切除し、ときには嚢胞や腫瘍ができた側の卵巣も切除する必要があります。

卵巣嚢胞とは、卵巣の内部や表面にできる液体で満たされた袋状の病変で、比較的よくみられます。そのほとんどは良性(がんではない)で、自然に消失します。悪性の嚢胞(がん)は40歳以上の女性で多くみられる傾向があります。

機能性嚢胞

機能性嚢胞は、卵巣内の液体で満たされた空洞(卵胞)から生じます。1つの卵胞には1つの卵子が入っています。1回の月経周期につき、通常は1個の卵胞から1個の卵子が放出され、卵子が放出された卵胞は消失します。しかし、排卵が起こらないと、卵胞が大きくなり続けて大きな嚢胞を形成することがあります。

機能性嚢胞は、月経のある女性の約3分の1にみられます。閉経後に発生することはほとんどありません。

機能性嚢胞には以下の2種類があります。

  • 卵胞嚢胞:卵胞内で卵子が成長する過程で発生します。

  • 黄体嚢胞:卵胞が破裂して卵子を放出した後に形成される組織から発生します。この組織は黄体と呼ばれます。黄体嚢胞から出血がみられたり(その結果、卵巣が膨らみます)、嚢胞が破裂することがあります。嚢胞が破裂すると、中にあった液体が腹腔に漏れ出し、激しい痛みを引き起こすことがあります。

ほとんどの機能性嚢胞は直径約1.5センチメートル未満ですが、まれに5センチメートル以上であることもあります。

機能性嚢胞は通常、数日から数週間で自然に消失します。

良性腫瘍

良性の(がんではない)卵巣腫瘍は、通常ゆっくりと大きくなり、がん化することはめったにありません。最も一般的な良性腫瘍には、以下のものがあります。

  • 良性嚢胞性奇形腫(類皮嚢胞):通常、胚組織にある3つの胚細胞層(外胚葉、中胚葉、内胚葉)のすべてから生じます。あらゆる臓器がこれらの組織から形成されるため、奇形腫は神経、腺、皮膚など他の組織を内部に含んでいることがあります。

  • 線維腫:結合組織(体内の硬い構造物を支えている組織)でできた充実性(内部が空洞ではない)腫瘍です。ゆっくりと大きくなり、多くは直径約7センチメートル未満です。通常は、左右の卵巣のどちらか一方に生じます。

  • 嚢胞腺腫:液体で満たされた嚢胞で、卵巣表面に生じ、卵巣の腺組織を少量含んでいます。

症状

機能性嚢胞や良性の卵巣腫瘍は、ほとんどの場合、症状を引き起こしません。ときに骨盤部の痛みや、性交時の痛みが起こることもあります。

卵巣嚢胞の中には月経に影響を及ぼすホルモンを分泌するものもあります。そのため月経周期が不規則になったり、月経の出血や症状が重くなることがあります。月経期以外に、少量の性器出血がみられることがあります。閉経後の女性では、卵巣嚢胞が性器出血を引き起こすことがあります。

黄体嚢胞から出血すると、骨盤部に痛みを感じたり、圧迫したときに痛みが生じたりすることがあります。

激しい痛みが生じた場合、特に発熱や吐き気、嘔吐もある場合は、腹腔やその内面を覆っている組織(腹膜)に腹膜炎と呼ばれる感染が起きていると考えられます。

嚢胞や腫瘍が大きくなって卵巣がねじれ(付属器捻転と呼ばれる病気)、激しい腹痛が突然生じることもあります。

線維腫や卵巣がんに伴って、体液が腹部にたまることがあります(腹水)。腹水は腹部に圧迫感や重感を引き起こします。

診断

  • 内診

  • 超音波検査

  • ときに他の画像検査

普段の診察で行われる内診の際に嚢胞や腫瘍が発見されるのが通常です。ときに症状から、この病気が疑われることもあります。

通常の妊娠と子宮外での妊娠(異所性妊娠)の可能性を否定するため、妊娠検査を行います。

診断を確定するには、超音波装置を腟に挿入する超音波検査(経腟超音波検査)を行います。

それでも診断を確定できない場合は、MRI検査やCT(コンピュータ断層撮影)検査を実施することがあります。これらの検査から腫瘍が悪性(がん)である可能性が示唆される場合は、腫瘍を切除して顕微鏡で調べます。卵巣を調べ、腫瘍を切除するために、腹腔鏡(へそのすぐ下を小さく切開して挿入します)が用いられることがあります。

また、一部のがんがある場合に血液中に現れたり増加したりする腫瘍マーカーという物質を調べるため、血液検査を行うこともあります。このような検査はがんの診断または除外に役立ちます。

治療

  • ときに手術

直径約5センチメートル未満の卵巣嚢胞は、通常、特に治療しなくても消失します。経過を観察するため、定期的に超音波検査を行います。

ただし、直径が約5センチメートル以上あり、消失しない嚢胞は、切除が必要になることもあります。がんの可能性を否定できない場合は、卵巣を切除します。嚢胞が悪性(がん)である場合は、同じ側の卵巣と卵管も摘出します。

可能であれば、嚢胞または腫瘍を以下のいずれかの方法を用いて取り除きます。

  • 腹腔鏡下手術

  • 開腹手術

腹腔鏡下手術では、腹部の1カ所または複数カ所を小さく切開します。この手術は病院で行い、通常は全身麻酔を用います。しかし入院は必要でないこともあります。

開腹手術も腹腔鏡下手術と同様ですが、腹部を大きく切開するため、一泊の入院が必要になります。

どちらの方法を用いるかは、腫瘍の大きさや、他の臓器にも影響が生じているかどうかによって異なります。

技術的に可能であれば、以下の場合に嚢胞の切除(嚢胞切除術)が必要です。

  • 大きさが約10センチメートルを超え、かつ、3回の月経周期が経過しても消失しない嚢胞の大半

  • 約10センチメートル以下の嚢胞性奇形腫

  • 黄体嚢胞が出血および腹膜炎を引き起こしている場合

  • 線維腫および充実性卵巣腫瘍

以下の場合には、嚢胞がある側の卵巣を摘出する必要があります。

  • 線維腫および他の充実性腫瘍が嚢胞切除術により切除できない場合

  • 嚢胞腺腫

  • 卵巣嚢胞が嚢胞切除術により除去できない場合

  • 約10センチメートルを超える嚢胞性奇形腫

  • 嚢胞を手術で卵巣から切り離すことができない場合

  • 閉経後女性に発生したほとんどの嚢胞および約5センチメートル以上のほとんどの嚢胞

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