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流産

(自然流産)

執筆者:

Antonette T. Dulay

, MD, Main Line Health System

最終査読/改訂年月 2018年 3月
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本ページのリソース

流産とは、妊娠20週までに人為的でない原因によって胎児が失われることです。

  • 胎児側の問題(遺伝性疾患や先天異常など)によっても母体側の問題(生殖器の構造的異常、染色体異常、感染症、コカインの使用、飲酒、喫煙、けがなど)によっても流産が起こりますが、多くの場合、原因は不明です。

  • 出血や筋けいれんが起こることがありますが、特に妊娠して週数が経過している場合にはよく起こります。

  • 医師は子宮頸部を診察し、通常は超音波検査も行います。

  • 流産後の子宮に妊娠の残留物が認められる場合は、除去します。

確認された妊娠の最大20%が流産となります。実際にはこのほか、妊娠していると分かる前に流産して気づかずにいるケースがかなり多いと考えられます。流産の約85%は妊娠の最初の12週間に起こり、この期間には実に妊娠の25%が流産に至ります。流産の残りの15%は妊娠13~20週に起こります。

流産はハイリスク妊娠で多く、特に女性が十分な医療を受けていない場合に多い傾向があります。

原因

妊娠10~11週までに起こる流産のほとんどは、遺伝性疾患によるものと考えられています。先天異常が原因である場合もあります。

女性に血液がかたまりやすい病気(抗リン脂質抗体症候群など)がある場合、妊娠10週以降に流産を繰り返すことがあります。

妊娠13~20週に起こる流産の多くは、原因がはっきりと分かりません。それ以外の流産は以下のような母体側の問題により起こります。

Rh式血液型不適合(母体はRhマイナスで胎児はRhプラスの場合)も流産のリスクを高めます。

突然の精神的ショック(悪い知らせを受けた結果など)や軽いけが(滑る、転倒するなど)は流産と無関係です。

これまでに流産を経験したことがある場合には、流産しやすい傾向があります。2回以上続けて流産した場合、再び流産する確率は以下のようになります。

  • 2回の流産後では28%

  • 3~4回の流産後では43%

流産の回数が多いほど、再び流産するリスクは高くなります。再び流産するリスクは流産の原因にもよります。原因の中には、是正または治療を行わなければ、流産を繰り返す原因になるものもあります。何度か流産をしている場合、原因は母体または父親の染色体または抗リン脂質抗体症候群である可能性があります。

流産に関する表現について理解する

「流産」という医学用語は、自然に起こる流産(自然流産)だけでなく、医学的理由や他の理由で意図的に妊娠を終わらせる人工流産(妊娠中絶のこと)にも用いられることがあります。妊娠20週以降になると、死亡した胎児を分娩することを死産と呼ぶようになります。

このほかに、流産に関連する用語として以下のものがあります。

  • 治療的流産(誘発による):母体の生命や健康が危険にさらされる場合や胎児に大きな異常がある場合に、医学的な手段(薬や手術)によって誘発された流産

  • 切迫流産:妊娠20週までに、子宮頸管は開大していないものの出血やけいれん性の痛みがあり、胎児が失われる可能性が示唆された状態

  • 進行流産:妊娠20週までに、痛みや出血があり、子宮口(子宮頸管)が開大していて、胎児が失われることが示唆された状態

  • 完全流産:胎児と胎盤が子宮外へ完全に排出された状態

  • 不全流産:子宮内容物の一部しか子宮外に排出されていない状態

  • 稽留流産:死亡した胎児が子宮内にとどまっている状態

  • 敗血性流産:流産の前後、もしくは流産が起きている間に子宮内容物が感染を起こした状態

症状

流産の前にはたいてい鮮紅色または暗赤色の少量の性器出血やはっきりと分かる出血が生じます。子宮が収縮してけいれん性の痛みが起こります。しかし妊婦のおよそ20~30%は、妊娠20週までに少なくとも1回は、このような出血を経験します。このうち流産に至るのはおよそ約半数です。

妊娠の初期の流産では、少量の性器出血が唯一の徴候であることがあります。これに対し、週数が進んでからの流産では大量出血となることがあり、血液に粘液や血のかたまりが含まれていることがあります。けいれん性の痛みが徐々に激しくなり、最終的に子宮が強く収縮して胎児と胎盤が排出されます。

ときに、胎児が子宮内で死亡していても流産の症状が起こらないことがあります。このような場合は子宮が大きくなりません。まれに、流産の前後あるいは流産と同時に、子宮内の死んだ組織に感染が起きることがあります。こうした感染が重篤になることがあり(敗血性流産)、発熱、悪寒、心拍数の上昇を引き起こします。妊婦がせん妄を起こしたり、血圧が危険なレベルまで下がったりすることがあります。

知っていますか?

  • 妊娠していると分かる前に流産して気づかずにいることが多くあります。

  • 妊婦のおよそ20~30%が、妊娠20週までに少なくとも1回は多少の出血を経験し、このうち約半数の女性が流産します。

診断

  • 医師による評価

  • 超音波検査

  • 血液検査

妊娠20週までに出血やけいれん性の痛みがある場合、医師は診察を行い流産の可能性がないか確認します。医師は子宮頸管が開大または展退(薄く引っ張られること)していないかどうか確認します。これらが起こっていない場合には、妊娠を継続できる可能性があります。妊娠20週以前に子宮頸管が開大している場合には、流産は避けられません。

通常、超音波検査も行われます。超音波検査ではすでに流産が起こっているかどうか、そうでなければ、まだ胎児が生存しているかどうかを調べます。流産が起こっている場合、超音波検査で胎児と胎盤が排出されたかどうかが分かります。

通常は血液検査を行って、妊娠の初期に胎盤から分泌されるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)と呼ばれるホルモンを測定します。結果により、医師は異所性(子宮外)妊娠(出血を起こす場合がある)であるかどうかを確認できます。この血液検査は、流産後に胎児または胎盤の一部が子宮に残っているかどうかの判断にも役立ちます。

数回の流産経験がある場合は、次の妊娠を試みる前に医師の診察を受けてもよいでしょう。医師は遺伝子異常や構造的異常および、流産のリスクを上昇させるその他の病気がないかどうかを調べることができます。例えば、以下を行うことがあります。

  • 画像検査(超音波検査、子宮鏡検査、子宮卵管造影検査など)により構造的異常を調べる

  • 血液検査により抗リン脂質抗体症候群を調べる

  • 遺伝子検査により染色体異常を調べる

異常が見つかれば、それまでに流産を引き起こしていた原因には治療できるものもあるため、妊娠が成功する可能性があります。

治療

  • 切迫流産に対しては妊婦の症状の定期的な評価

  • 完全流産に対しては、特に治療は行わない

  • それ以外の流産に対しては、子宮内容物の除去

胎児が生存していて子宮頸管が開いていない場合(切迫流産)、特に役立つ治療はありませんが、医師は定期的に妊婦の症状を評価するか、超音波検査を行います。

激しい運動を避け、可能であれば横になって過ごすことを勧める医師もいます。しかし、こういった制限が役立つというはっきりとした科学的根拠はありません。性交を控える方がよいということを示す科学的根拠もありません。

流産が生じ、胎児と胎盤が完全に排出されている場合は、特に治療の必要はありません。

流産後に胎児や胎盤の組織の一部が子宮内に残っている場合や、胎児が死亡していても子宮内にとどまっている場合は、以下のいずれかを行います。

  • 患者に発熱がなく、状態が悪くないようであれば、注意深くモニタリングしながら子宮から内容物が自然に排出されるかどうか待つ。このアプローチが安全かどうかは、どれくらいの組織が残っているか、骨盤内超音波検査で子宮がどのようにみえるか、流産がいつ起きたと考えられるかによって異なる。

  • 外科的処置(吸引掻爬、頸管拡張・内容除去などの方法による子宮内容除去術)により胎児と胎盤を腟経由で除去する(通常は妊娠23週まで)

  • オキシトシン(通常は妊娠週数が進んでいる場合に使用)やミソプロストール(通常は妊娠の初期に使用)などの陣痛を誘発する薬剤を使用し、子宮から内容物を排出させる

第1または第2トリメスターに外科的に胎児を除去する処置の前に、水分を吸収して膨張する乾燥させた海藻の茎などの天然物質を使用して、子宮頸管が開くようにすることもあります。あるいは、ミソプロストールなどのプロスタグランジン(ホルモンに似た薬剤で子宮の収縮を刺激する)を投与することもあります。こういった治療により、組織の除去がしやすくなります。

薬を用いた場合、残った胎盤の断片を除去するために吸引掻爬または頸管拡張・内容除去が後で必要になることがあります。頸管拡張・内容除去は特別な訓練を要する手技であるため、実施できないこともあります。

敗血性流産の症状がみられる場合、子宮の内容物をできるだけ早く除去し、抗菌薬の静脈内投与により治療します。

流産後の感情

流産を経験した女性には、悲嘆、悲しみ、怒り、罪悪感、次の妊娠に対する不安などの感情が生じることがあります。

  • 悲嘆:喪失への悲しみは自然な反応であり、これを抑えたり否定したりすべきではありません。自分の気持ちを誰かに話すと、感情を整理して将来へ目を向けることができるかもしれません。

  • 罪悪感:女性は流産の原因になるようなことをしてしまったと考えることがありますが、たいていの場合はそのようなことをしていません。妊娠の初期にごくありふれた市販薬を服用したことや、妊娠が分かる前にグラス1杯のワインを飲んでしまったことや、その他の日常的な行為を思い出すことがあります。こうしたことが流産の原因になることはほとんどといってよいほどないため、こうした行為に罪悪感を抱くべきではありません。

  • 不安:流産した場合、次回以降の妊娠で流産が起こる可能性について主治医に相談し、必要な場合には検査を受けてもよいでしょう。流産すると次回以降の妊娠で流産するリスクが高くなるものの、ほとんどの女性はまた妊娠することができ、健康な妊娠を満期まで継続することができます。

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