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胞状奇胎

(妊娠性絨毛性疾患、奇胎妊娠)

執筆者:

Pedro T. Ramirez

, MD, The University of Texas MD Anderson Cancer Center;


Gloria Salvo

, MD, MD Anderson Cancer Center

最終査読/改訂年月 2017年 11月
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本ページのリソース

胞状奇胎とは、異常な受精卵が増殖したもの、あるいは胎盤の組織が過剰に増殖したものです。

  • 患者は妊娠したように見えますが、子宮は正常な妊娠時と比べてはるかに速く大きくなります。

  • ほとんどの場合、吐き気や嘔吐がひどく、性器出血や著しい血圧上昇がみられます。

  • 超音波検査、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(正常な妊娠の初期に分泌されるホルモン)を測定する血液検査、および生検を行います。

  • 吸引による子宮内容除去術を行うことで奇胎を取り除きます。

  • 胞状奇胎がなくならない場合は、化学療法が必要になります。

女性生殖器のがんの概要を参照のこと。)

受精卵に異常があると、胎児に成長できずに胞状奇胎になることが多く、このような妊娠を胞状奇胎妊娠といいます。しかし、流産の後や正常な妊娠・出産後に子宮に残った細胞、また異常な位置での妊娠(異所性妊娠)からも、胞状奇胎が発生することがあります。胎児が生存している場合でも、まれに胞状奇胎が発生することがあります。そのような場合、典型的に胎児が死亡し、流産が起こります。

胞状奇胎は17歳未満と35歳以上の女性に特に多く、米国では2000件の妊娠につき1回程度の頻度で発生しています。アジア諸国での胞状奇胎の発生率はこの10倍近くありますが、その理由は分かっていません。

胞状奇胎は妊娠性絨毛性疾患の一種です。

知っていますか?

  • 受精卵や胎盤組織に異常があると過剰に増殖し、妊娠したときと同じような症状を引き起こしますが、腹部は正常な妊娠の場合よりも急速に大きくなります。

妊娠性絨毛性疾患の種類

妊娠性絨毛性疾患は、発達する胎芽を包み、やがて胎盤と羊膜腔になる細胞(トロホブラスト)から発生する一連の病気です。侵された細胞は、異常で急速な増殖を起こします。

妊娠性絨毛性疾患には主に以下の2種類があります。

  • 胞状奇胎(胞状奇胎妊娠とも呼ばれ、通常はがんではない)

  • 妊娠性絨毛性腫瘍(通常はがん)

妊娠性絨毛性腫瘍には、以下のサブタイプがあります。

  • 侵入奇胎(侵入胞状奇胎と呼ばれる)

  • 絨毛がん

  • 胎盤部トロホブラスト腫瘍

  • 類上皮性トロホブラスト腫瘍

胞状奇胎の約80%は良性です(がんではありません)。残りは持続し、周辺組織に広がる傾向があります。これらの奇胎のほとんどは侵入奇胎です。胞状奇胎の約2~3%は絨毛がんになります。絨毛がんは、リンパ管や血流を介して急速に転移することがあります。

胎盤部トロホブラスト腫瘍と類上皮性トロホブラスト腫瘍は極めてまれです。

症状

胞状奇胎が生じると、妊娠したときと同じように感じます。ただし、胞状奇胎は胎児よりもはるかに速く成長するため、腹部は正常な妊娠時と比べてはるかに速く大きくなります。吐き気や嘔吐がひどく、性器出血がみられることもあります。劣化した奇胎の一部が、少量のブドウの房状の組織として腟から排出されることもあります。これらの症状がみられる場合は、速やかに医師の評価を受ける必要があります。

胞状奇胎は、例えば以下のような重篤な合併症を引き起こすことがあります。

絨毛がんが発生すると、体内の他の部位に転移するため、他の症状がみられることもあります。

診断

  • 血液検査

  • 超音波検査

  • 生検

胞状奇胎は多くの場合、発生後すぐに診断可能です。胞状奇胎は、通常よりはるかに大きい子宮や、ブドウ状組織の腟からの排出などの症状に基づいて疑われます。

妊娠検査を行います。胞状奇胎がある場合、妊娠検査結果が陽性であっても胎児の動きや心拍が認められません。

また、血液検査により、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG:正常な妊娠の初期に分泌されるホルモン)の血中濃度を測定します。胞状奇胎やその他の妊娠性絨毛性疾患がある場合は、これらの腫瘍からこのホルモンが大量に分泌されるため、通常その測定値が非常に高くなります。

体内で成長しているのが胞状奇胎であり、胎児や羊膜腔(胎児と胎児を取り巻く羊水が存在する場所)ではないことを確認するため、超音波検査を行います。

診断を確定するには、子宮内容除去術の際に採取した組織や排出された組織のサンプルを顕微鏡で検査します(生検)。

妊娠性絨毛性疾患と診断されると、腫瘍が初めに発生した場所から体内の別の部位に広がっているかどうかを調べるための検査を行います(病期診断)。

予後(経過の見通し)

治療により、ほとんどは治癒します。治癒の可能性は、奇胎が広がっているかどうかや、他の要因により異なります。

  • 奇胎が広がっていない場合:ほぼ100%

  • 奇胎が広がっているが低リスクと考えられる場合:90~95%

  • 絨毛がんが広範囲に広がり、高リスクと考えられる場合:60~80%

胞状奇胎ではほとんどの場合、その後も妊娠が可能で、流産、妊娠合併症、胎児の先天異常などのリスクが高くなることはありません。

胞状奇胎を経験した人の約1%で、再び胞状奇胎が生じます。このため、過去に胞状奇胎があった人が次に妊娠した場合には、初期に超音波検査を行います。

治療

  • 奇胎の除去

  • 再発または転移を調べる検査

  • 必要があれば、化学療法

胞状奇胎およびすべての妊娠性絨毛性腫瘍は、通常は吸引による子宮内容除去術によって完全に取り除きます。子宮の摘出(子宮摘出術)が必要になることはまれです。

奇胎を摘出した後、さらなる治療が必要かどうかを判断するための検査を行います。

胸部X線検査を行い、奇胎が肺に広がっていないかどうか調べます。

また、ヒト絨毛性ゴナドトロピンの血中濃度を測定して、胞状奇胎が完全に摘出されたことを確認します。完全に摘出されていれば、ヒト絨毛性ゴナドトロピンの血中濃度は通常10週間以内に正常に戻り、以後は正常な水準に保たれ、さらなる治療は不要です。測定値が正常化しなければ、この病気が続いていると考えられます。この場合には脳、胸部、腹部、骨盤内のCT検査を行って、絨毛がんが生じて広がっていないか調べます。

奇胎が存続していたり、広がっていても低リスクと考えられる場合、化学療法が必要です。化学療法は、1種類の薬剤のみ(メトトレキサートまたはアクチノマイシンD)で行われることがあります。この治療に効果がなければ、化学療法薬(エトポシド、メトトレキサート、アクチノマイシンD、シクロホスファミド、およびビンクリスチン)の併用や、子宮摘出術が行われることもあります。

奇胎が広範囲に広がり、リスクが高いと考えられる場合は、数種類の化学療法薬を使用します。

胞状奇胎の摘出後6カ月間は、妊娠を避けるように助言されます。避妊には経口避妊薬を推奨されることが多いですが、ほかに有効な避妊法があれば、それを用いることもできます。妊娠を遅らせるのは、治療の成功を確実にするためです。

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