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卵巣がん

執筆者:

Pedro T. Ramirez

, MD, The University of Texas MD Anderson Cancer Center;


Gloria Salvo

, MD, MD Anderson Cancer Center

最終査読/改訂年月 2017年 11月
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本ページのリソース
  • 卵巣がんでは、病巣が大きくなるか、範囲が広がるまで、症状がみられないことがあります。

  • 卵巣がんの疑いがある場合は、血液検査、超音波検査、MRI検査、CT検査などを行います。

  • 通常は、左右の卵巣および卵管と子宮を切除します。

  • 多くの場合、手術後に化学療法が必要になります。

女性生殖器のがんの概要を参照のこと。)

卵巣がんは50~70歳の女性に最も多く発生します。女性の約70人に1人の割合でみられます。米国では、婦人科がんの中で2番目に多いがんです。しかし死亡数は他のどの婦人科がんよりも多くなっています。女性のがんによる死亡原因の中では、第5位を占めています。

女性の内性器の位置

女性の内性器の位置

卵巣がんには様々な種類があり、それぞれ卵巣中の異なる種類の細胞から発生します。卵巣がんの80%以上は卵巣の表面に発生するがん(上皮性の卵巣がん)です。残りのほとんどは卵子を生じる細胞から発生するがん(胚細胞腫瘍)と結合組織に発生するがん(間質細胞腫瘍)です。胚細胞腫瘍は30歳未満の若い女性に特に多く発生します。ときには、体内の別の部位に生じたがんが卵巣に転移することもあります。

卵巣がんは以下のように広がります。

  • 周辺の部位に直接広がる

  • がん細胞が腹腔内に剥がれ落ちて広がる

  • リンパ系を介して骨盤内や腹部の他の部位に転移する

  • 血流に乗って、主に肝臓や肺などの離れた部位に最終的に転移する(頻度は低い)

危険因子

卵巣がんのリスクが増大する要因には、例えば以下のものがあります。

  • 加齢(最も重要な要因)

  • 卵巣がんの第1度近親者(母親、姉妹、娘)がいる

  • 子どもがいない

  • 高齢で第1子を出産した

  • 初潮が早かった

  • 閉経が遅い

  • 子宮体がん、乳がん、結腸がんの既往がある、また家系内にこれらのがんになったことがある人がいる

経口避妊薬を使用すると卵巣がんのリスクは著しく減少します。

卵巣がんの約5~10%はBRCA1およびBRCA2遺伝子の変異に関係しており、これらの遺伝子は一部の乳がんにも関与しています。これらの遺伝子または他のまれな遺伝子に変異がある家系では、卵巣がんと乳がんが遺伝する傾向があります。このようながんは、ときに遺伝性乳がん・卵巣がん症候群と呼ばれます。BRCA1変異をもつ女性では、卵巣がんの生涯発生リスクが39%になります。BRCA2変異をもつ女性では、リスクはこれより低くなります(11~17%)。BRCA1およびBRCA2遺伝子は、アシュケナージ系ユダヤ人の女性で特に多くみられます。

症状

卵巣がんができると、できた側の卵巣が腫れて大きくなります。若い女性の卵巣腫大は、液体で満たされた良性の袋状の構造物(卵巣嚢胞)が原因である可能性が高いです。これに対し、閉経後の卵巣腫大は卵巣がんの徴候として現れます。

このがんは進行するまでほとんど症状が現れません。最初の症状は、消化不良に似た、下腹部の漠然とした不快感などです。このほか、腹部膨満、食欲不振(胃が圧迫されるため)、ガス痛(胃腸内のガスによる痛み)、背部痛などの症状がみられます。卵巣がんでは性器出血はめったにみられません。

卵巣が腫大し、腹部に水分がたまるため、次第に腹部が膨らんでくることがあります(腹水)。この段階になると、骨盤部の痛み、貧血、体重減少がみられるようになります。

まれに胚細胞腫瘍や間質細胞腫瘍が エストロゲンを分泌し、このため子宮内膜組織が過度に増殖したり、乳房が大きくなったりすることがあります。あるいは、これらの腫瘍から男性ホルモン(アンドロゲン)が分泌されて体毛が過度に増えたり、甲状腺ホルモンに似たホルモンが分泌されて甲状腺機能亢進症が生じたりすることもあります。

診断

  • 超音波検査

  • ときにCTまたはMRI検査

  • 血液検査

卵巣がんは通常、かなり大きくなるか、他の部位に転移するまで何の症状もみられないため、早期診断が困難で、またそれほど重篤でない多くの病気と症状が似ていることも、早期発見を困難にしています。

身体診察で卵巣の腫大が見つかるか、症状に基づいて卵巣がんが疑われる場合、まず超音波検査を行います。卵巣嚢胞なのかがんによる充実性の腫瘤なのかを判別するために、CT検査やMRI検査を行うことがあります。進行がんが疑われる場合は、手術前にCT検査やMRI検査でがんの広がりを調べるのが通常です。

がんでないと思われる場合は、定期的に診察を受けて経過をみます。

医師ががんを疑う場合や検査結果がはっきりしない場合は通常、血液検査を行い、がん抗原125(CA125)など、がんの存在を示す物質(腫瘍マーカー)の濃度を測定します。腫瘍マーカーは、その測定値が異常を示したからといって、それだけでがんの診断が確定するものではありませんが、他の検査結果と総合することで診断の裏付けになることがあります。

卵巣がんの診断を確定し、がんの広がりの有無や広がりの程度を判定するために(病期診断)、医師は以下の2つのうちいずれかの方法で卵巣を調べます。

  • 腹腔鏡検査:へそのすぐ下を小さく切開し、柔軟性のある観察用の細い管状の機器(腹腔鏡)を挿入して調べます。特に、がんが進行していないと考えられるときは、この方法が用いられます。腹腔鏡の内部を通した器具を用いて(ときにロボットによる支援下で)様々な組織のサンプルを採取し、卵巣と他の臓器を観察します。こうして得た情報を参考にして、医師はがんが広がっているかどうかや、広がりの程度を判定します(病期診断)。腹腔鏡を用いて卵巣がんの治療のため卵巣を摘出することもできます。

  • 開腹手術:がんが進行していると考えられる場合は、腹部を切開して、卵巣とその周囲の組織を直接観察します。がんの病期を判定して、がんをできる限り多く切除します。

卵巣がんの病期診断

病期分類は、がんの大きさや体内での広がりに基づきます。病期は、I期(早期がん)からIV期(進行がん)に分類されます:

  • I期:がんが片側または両側の卵巣(または卵管)のみに限局している。

  • II期:がんが子宮または骨盤内(内性器、膀胱、および直腸がある部分)の近くの組織に広がっている。

  • III期:がんが骨盤外のリンパ節または腹部の他の部位(肝臓や脾臓の表面など)に広がっている。

  • IV期:がんが骨盤外(例えば肺)に広がっている。

予後(経過の見通し)

卵巣がんの女性の予後は病期に応じて変わってきます。診断と治療から5年後に生存している人の割合(5年生存率)は、以下の通りです。

  • I期:85~95%

  • II期:70~78%

  • III期:40~60%

  • IV期:15~20%

がんの進行が速い場合や、目に見える異常組織を手術で取り切れなかった場合には、予後は悪くなります。III期またはIV期では、約70%の人でがんが再発します。

予防

卵巣がんまたは乳がんが家系に多い場合は、遺伝子の異常を調べるべきだと考える専門家もいます。第1度または第2度の近親者がこれらのがんにかかった場合、特にアシュケナージ系ユダヤ人の家系では、BRCA遺伝子の異常を調べる遺伝子検査について主治医に相談すべきです。

BRCA遺伝子に特定の変異がみられる女性で妊娠を希望しない場合は、がんがなくても、左右の卵巣と卵管の切除を勧められることがあります。この手術により、卵巣がんのリスクがなくなり、乳がんのリスクも軽減します。詳細については、米国立がん研究所のがん情報サービス(National Cancer Institute Cancer Information Service)に問い合わせるか(1-800-4-CANCER、米国のみ)、女性がん基金(Foundation for Women's Cancer)のウェブサイト(www.foundationforwomenscancer.org)をご覧ください。

知っていますか?

  • 第1度または第2度の近親者に卵巣がんまたは乳がんにかかったことのある人がいる場合は、BRCA遺伝子の異常を調べる遺伝子検査について主治医に尋ねるべきです。

治療

  • 卵巣、卵管、および子宮の摘出

  • ときに、より広範囲にわたる手術(腫瘍減量手術)

  • 化学療法

手術の範囲は卵巣がんの種類と病期によって異なります。

ほとんどの卵巣がんの治療では、左右の卵巣と卵管の切除(卵管卵巣摘出術)と子宮の摘出(子宮摘出術)を行います。腹腔鏡下手術またはロボット支援下腹腔鏡手術が用いられます。

がんが卵巣外まで広がっている場合は、卵巣がんが広がりやすい近くのリンパ節と周辺組織も切除します。この方法は、目に見えるがんをすべて除去することをねらいとしています。I期のがんの人で、片側の卵巣のみに腫瘍があり、妊娠を希望している場合は、がんのある側の卵巣と卵管のみを切除することもあります。

体内の別の部位まで広がった進行がんでは、生存期間を延長させるために、がんをできる限り多く切除するのが通常です。このタイプの手術は腫瘍減量手術と呼ばれています。がんがどこに広がっているかによって、手術の代わりに、または術前と術後に化学療法を行うこともあります。

I期の上皮性卵巣がんでは、手術後にそれ以上の治療は必要ありません。I期でも上皮性以外の卵巣がんの場合や、病期が進んだ卵巣がんでは、小さながんが残っている可能性があるため、それに対する治療として化学療法を行います。化学療法では、パクリタキセルとカルボプラチンの併用投与を6回行うのが典型的です。胚細胞腫瘍の多くは、がんがある方の卵巣と卵管を切除し、さらに多剤併用化学療法(通常はブレオマイシン、シスプラチン、エトポシド)を行うことで根治させることが可能です。放射線療法はめったに行われません。

進行した卵巣がんの多くは再発するため、化学療法が終了した後に、腫瘍マーカー(CA125など)の濃度を継続的に測定します。がんが再発した場合は、化学療法を行います。多くの化学療法薬を使用したり、薬剤を併用する場合があります。

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