思春期とは、一連の身体的な変化が起きて成人の身体的特徴と生殖機能が備わっていく期間のことです。それらの身体的な変化は、下垂体から分泌される黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンの血中濃度によって調節されます。この2つのホルモンの血中濃度は、出生直後は高くなっていますが、生後2~3カ月で低下していき、思春期まで低い水準で維持されます。思春期の始めには、黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンの血中濃度が上昇し、それが刺激となって性ホルモンが分泌されます。性ホルモン(主にエストロゲン)の血中濃度が高くなると、身体的な変化が起き、乳房、卵巣、子宮、腟が成熟していきます。正常であれば、思春期にこれらの変化が次々に起きていく結果、体は性的に成熟していきます。
思春期の始まる時期や変化の速さは、以下のような様々な要因に影響を受けます。
栄養状態と全般的な健康状態:米国では、思春期の始まる年齢が100年前と比べて約3年低くなっています。その理由は、栄養状態と全般的な健康状態が改善したためと考えられます。
体重:思春期はやや過体重の女児では早く始まり、著しく低体重で栄養不良の女児では遅く始まる傾向にあります。
遺伝:女児の思春期は、母親の思春期が早かった場合にも早く始まります。
民族:思春期の開始は、アジア人や非ヒスパニック系の白人と比べて黒人やヒスパニック系で早い傾向にあります。
思春期にみられる最初の変化は、乳房が膨らみはじめることです。米国に住む女児では、この変化は通常8~13歳頃に起こります。その直後には、陰毛とわき毛が生え始めます。
思春期に伴う成長スパートは、典型的には陰毛とわき毛が生えるようになる頃に始まります。成長は思春期の比較的早い時期(初潮前)が最も速く、12歳頃にピークに達します。その後は著しく遅くなり、通常は14歳から16歳までの間に止まります。
通常は乳房が膨らみはじめてから2~3年ほどすると、最初の月経(初潮または初経)がみられます。米国に住む女児の場合、平均すると13歳の少し前に初潮を迎えますが、様々な要因により、その時期には幅(10~16歳が一般的)がみられます。 月経周期 月経周期 月経(生理とも呼ばれます)は、子宮の内側を覆っている膜(子宮内膜)が剥がれ落ち、それに伴い出血が起きる現象です。月経は約1カ月の周期で起こり、妊娠中を除けば生殖可能な期間の全体を通してみられます。月経は 思春期に始まり(初潮または初経)、 閉経以降は生涯みられなくなります。 定義として、月経周期は出血が始まった日を開始日として、この日を1日目と数えます。そして、次の月経が始まるまでの期間が1回の月経周期となります。月経周期の長さには、正... さらに読む は当初は不規則であるのが通常で、規則的になるのに5年ほどかかる場合もあります。
また思春期には、女児の体形は変わっていき、体脂肪の割合が増加して、殿部や太ももに脂肪が着いてきます。
性的発達の発達指標
思春期の性的発達は、決まった順番で現れます。しかし、それらの変化が始まる時期や変化の速さは人それぞれです。女児の場合、思春期は8歳から13歳頃までに始まり、約4年間続きます。このチャートには、女児と男児の性的発達における重要な段階の典型的な順序と正常範囲が示されています。 ![]() |