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精子の問題

執筆者:

Robert W. Rebar

, MD, Western Michigan University Homer Stryker M.D. School of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 5月
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本ページのリソース

精子の数が非常に少ない、精子の動きが鈍い、精子に構造的な異常がある、体外への排出経路(精管)に閉塞または障害があるといった問題があることがあります。

  • 精巣温度の上昇、特定の病気、けが、薬剤や毒素により精子の問題が起こります。

  • 精液を検査するほか、ときに遺伝子検査も行います。

  • クロミフェン(排卵誘発薬)により精子数は増加しますが、生殖補助医療が必要になる場合もあります。

不妊症の概要も参照のこと。)

受精が成立するには、男性が十分な量の正常な精子を女性の腟内に送り届け、その精子に卵子を受精させる能力がなくてはなりません。この過程が妨げられると、男性の妊よう性が低下します。

原因

精巣(精子が作られる臓器)の温度が上昇するような状態があると、精子の数や運動性が大幅に低下し、異常な精子の数が増えます。停留精巣や静脈瘤(精索静脈瘤と呼ばれる)などの精巣の病気によっても精巣の温度が上昇します。過度の、あるいは長期間続いた熱の影響は、3カ月にも及ぶことがあります。

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男性不妊症の原因

原因

精子の産生減少

精巣温度の上昇

過度の熱

長期の発熱を引き起こす疾患

内分泌疾患

副腎の病気(副腎はテストステロンや他のホルモンを分泌する)

高プロラクチン血症

性腺機能低下症(テストステロン濃度の低下または精子産生の障害)、ときに肥満と関連

視床下部疾患(視床下部は脳の一部で下垂体をコントロールし、下垂体はテストステロンの分泌をコントロールする)

遺伝性疾患

性染色体の異常を引き起こす他の病気

精巣の病気

感染症

精巣の外傷

精巣に影響を及ぼす流行性耳下腺炎(ムンプス精巣炎

精巣の萎縮(過剰なアルコールを日常的に摂取している場合など)

精巣の腫瘍

停留精巣(陰嚢に降りず腹部にとどまった状態の精巣)

薬剤

タンパク同化ステロイド

アルコール(大量に摂取した場合)

アンドロゲン(テストステロンなどの男性ホルモン)

抗アンドロゲン薬(ビカルタミド、シプロテロン、フルタミドなどのアンドロゲンの働きを抑える薬剤)

アスピリン(長期服用時)

カフェインの過剰摂取(可能性として)

クロラムブシル(化学療法薬)

シメチジン(胃潰瘍治療薬)

コルヒチン(痛風治療薬)

経口コルチコステロイド(プレドニゾン[日本ではプレドニゾロン]など)

コトリモキサゾール(抗菌薬)

シクロホスファミド(化学療法薬)

マラリア治療薬

エストロゲン(前立腺がん治療目的)

ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト(前立腺がん治療目的)

ケトコナゾール

マリファナ

メドロキシプロゲステロン(合成女性ホルモン)

メトトレキサート(免疫抑制薬)

モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI—抗うつ薬の一種)

ニトロフラントイン(抗菌薬)

オピオイド(麻薬)

スピロノラクトン(利尿薬)

サラゾスルファピリジン(抗菌薬)

産業有害物質や環境有害物質への曝露

鉛などの重金属

殺虫剤(女性ホルモンと同様の作用がある、あるいは男性ホルモンの働きを低下させる)

フタル酸(合成樹脂を柔軟にするために使用される化学物質)

ポリ塩化ビフェニル(PCB)

精液中に精子が存在しない(無精子症)

精子を体外へ運ぶ経路の障害

精巣上体(精子の成熟と貯蔵のための器官)の欠損(通常は嚢胞性線維症の男性にみられる)

精管(精巣上体から射精管へつながる管)の閉塞や欠損(通常は嚢胞性線維症の男性にみられる)

精嚢(精子に栄養を与える器官)の欠損

両側射精管の閉塞

逆行性射精(精液が陰茎から放出されず、逆方向の膀胱に流れ込んでしまう状態)

糖尿病

神経系の機能障害

前立腺切除などの骨盤内手術

腹部背側の(後腹膜)リンパ節の切除(ホジキンリンパ腫の治療のために行われる場合がある)

特定の内分泌疾患や遺伝性疾患も他の病気と同様に精子の産生を妨げます。

産業有害物質や環境有害物質への曝露や、特定の薬剤の使用により精子の産生が減少します。テストステロンや他の合成男性ホルモン(アンドロゲン)などのタンパク同化ステロイドの摂取は、精子の生産を刺激する下垂体ホルモンの分泌を低下させます。

知っていますか?

  • タンパク同化ステロイドの使用は精子の産生を減少させます。

ある種の病気では、精液中に精子がまったく存在しない状態(無精子症)になります。具体的には以下のものがあります。

  • 重篤な精巣の病気

  • 男性の生殖器系の他の部分の病気:精管の閉塞や欠損、精嚢の欠損、両射精管の閉塞など

嚢胞性線維症を引き起こすのと同じ遺伝子異常によって両側精管の形成が妨げられ、無精子症を引き起こすこともあります。

無精子症は、精子を含む精液が逆方向に流れ、陰茎ではなく膀胱に流れ込む場合にも起こります。これは逆行性射精と呼ばれます。

男性生殖器の位置

男性生殖器の位置

診断

  • 医師による評価

  • 精液検査

  • ときにホルモン異常または遺伝子異常の検査

カップルが不妊である場合は、精子異常がないか常に男性を評価します。医師は原因を特定するため、患者の問診と身体診察を行います。病歴、手術歴、薬歴、および有害物質に曝露した可能性について尋ねます。停留精巣などの身体的異常がないか、また、不妊症の原因になるような内分泌疾患や遺伝性疾患の徴候がないか確認します。血液検査で テストステロンなどのホルモンを測定します。

精液検査

男性の不妊症に対する主なスクリーニング検査として、精液検査が必要です。この検査では、しばしば検査前の2~3日間は射精をしないよう指示されます。これは、検査時の精液中にできるだけ多数の精子が含まれるようにするためです。検査日には、可能であれば検査施設で、自慰により清潔なガラス容器内に射精するよう指示されます。この方法で精液のサンプルを採取するのが難しい場合は、精子に有害な潤滑剤や化学物質を含まない特殊なコンドームを性交時に使う方法で採取することもあります。

精液サンプルの量を測ります。色調、粘度、濃さ、化学的組成が正常かどうか判断します。精子数を測定します。精子数が少ないことは妊よう性の低下を意味する可能性がありますが、必ずしもそうとは限りません。また、精子を顕微鏡で観察して形や大きさ、動きに異常がないかを調べます。

同じ男性から採取した精液でも、正常でもその状態はかなり変動するため、分析結果に異常があれば再検査を行うことがあります。1回分のサンプルによる分析よりも、1週間以上の期間をおいて2~3回サンプルを採取して分析を行う方が、より正確な結果が得られます。再検査でも異常が認められる場合は、その原因を調べます。精子が非常に少ないか存在しない場合、テストステロンや卵胞刺激ホルモン(男性の精子の分泌を刺激する)など特定のホルモンを測定するとともに、遺伝子検査を実施することもあります。また、射精後の尿に精子があるか検査して逆行性射精が起こっているかどうかを調べます。

生検

精巣の生検を行い、精子の産生と精巣の機能について詳しく調べることもあります。

その他の検査

パートナー双方に行った通常の検査で不妊症の原因が説明できなければ、精子の機能と質の評価のためにその他の検査を行うことがあります。検査では精子に対する抗体や、精子の細胞膜に欠陥がないか、精子が卵子に結合し卵膜を貫通する能力があるかなどを調べます。しかし、これらの検査がどれだけ有用かは分かっていません。

治療

  • 原因の治療

  • クロミフェン(排卵誘発薬)

  • クロミフェンに効果がみられなければ、生殖補助医療

可能であれば、問題の原因になっている病気を治療します。例えば、精索静脈瘤は手術により治療できます。効果は証明されてはいませんが、手術の結果、妊よう性が改善する場合もあります。

クロミフェン

クロミフェンは女性の排卵を誘発する薬剤ですが、男性の精子の数を増やす目的でも使用されることがあります。ただし、クロミフェンに精子の運動性を改善したり、あるいは異常な精子の数を減らしたりする作用があるかは不明です。妊よう性を改善するかどうかは証明されていません。

生殖補助医療

精子の数が少ないか、クロミフェンの効果がない場合、通常最も効果的な治療法は生殖補助医療の1つで、多くは卵細胞質内精子注入法(1個の精子を1個の卵子へ注入する)による体外受精である。

あるいは他の方法として、最も運動性の良好な精子のみ(洗浄精子)を用いる子宮内精子注入(精液を子宮内に直接注入する)があります。洗浄精子は、排卵と同時期に注入するよう試みます。洗浄精子を用いる場合、妊娠できるのであれば通常は6回目までに妊娠します。

卵細胞質内精子注入法に使用する精子としては、生検を行いサンプルを顕微鏡で検査することにより精子を見つけ、使用する精子を特定して回収することが可能な場合があります。精子がまったく見つからない場合は、他の男性(ドナー)からの精子を使った人工授精も検討することがあります。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症やC型肝炎など、性感染症にかかる危険があるため、米国ではドナーから採取された直後の精液のサンプルは現在は使用されていません。ドナーの精子を6カ月以上凍結して、ドナーに感染症があるかどうかを再度検査することにより、感染のリスクが最小限に抑えられています。再検査の結果が引き続き陰性となったら、サンプルを解凍して使用します。ドナーがジカウイルス感染症と診断された場合や、ジカウイルスの伝播がある地域に居住または旅行していた場合、精液の採取は6カ月間延期されます。

妊よう性に問題がある男性のパートナーに複数の卵子が成熟し排卵されるように、体外受精や子宮内精子注入を試みている期間にヒトゴナドトロピンが処方されることがあります。この方法により妊娠の可能性が高くなります。

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