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虚血性視神経症

執筆者:

James Garrity

, MD, Mayo Clinic College of Medicine and Science

最終査読/改訂年月 2018年 7月
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虚血性視神経症は、視神経への血液供給が妨げられて起こる視神経の損傷です。

  • 動脈の炎症に伴って閉塞が起こることもあれば(動脈炎型と呼ばれ、通常は巨細胞性動脈炎と呼ばれる病気の一部として発生します)、動脈の炎症を伴わずに閉塞が起こることも場合もあります(非動脈炎型と呼ばれます)。

  • 唯一の恒常的な症状は痛みを伴わない視力障害で、これは突然起こることがあります。

  • 医師は症状および検眼鏡で眼の中を観察することにより診断を下します。

  • 巨細胞性動脈炎の診断では、血液検査や、ときに側頭動脈の組織の生検が行われます。

  • 非動脈炎型に対する治療は効果がありません。

  • 動脈炎型の治療では視力は回復しませんが、罹患していない眼を守るのに役立つ可能性があります。

原因

視神経の眼球内にある部分への血液供給が妨げられると、視神経細胞の機能不全や視力障害につながることがあります。視神経炎には、非動脈炎型と動脈炎型の2つの種類があります。

非動脈炎型虚血性視神経症は、通常、50歳以上の人に多くみられます。動脈炎型虚血性視神経症に比べて、視力障害の程度は軽度です。危険因子には高血圧 高血圧 高血圧とは、動脈内の圧力が恒常的に高くなった状態のことです。 高血圧の原因は不明のことも多いですが、腎臓の基礎疾患や内分泌疾患によって起こる場合もあります。 肥満、体を動かさない生活習慣、ストレス、喫煙、過度の飲酒、食事での過剰な塩分摂取などはすべて、遺伝的に高血圧になりやすい人の高血圧の発症に何らかの形で関与しています。... さらに読む 喫煙 喫煙 喫煙は体のほぼすべての臓器に害を及ぼします。 喫煙により、心臓発作、肺がん、慢性閉塞性肺疾患などの病気のリスクが高まります。 ニコチンはタバコに含まれる依存性の強い物質です。 ニコチンの使用をやめた人は、離脱期間中イライラし、不安で、悲しく、落ち着きのない状態になることがあります。... さらに読む 糖尿病 糖尿病 糖尿病は体が必要とするインスリンを十分に産生しないため、血糖(ブドウ糖)値が異常に高くなる病気です。 排尿が増加し、のどが渇き、減量しようとしていないのに体重が減少します。 神経を損傷し、知覚に問題が生じます。 血管を損傷し、心臓発作、脳卒中、慢性腎臓病、視力障害のリスクが高まります。... さらに読む 動脈硬化 動脈硬化 さらに読む などがあります。そのほかにも、閉塞性睡眠時無呼吸症候群 睡眠時無呼吸症候群 睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に長い呼吸停止が繰り返し起こって眠りが妨げられる重篤な病気で、しばしば一時的に血液中の酸素レベルが低下して二酸化炭素濃度が上昇することもあります。 睡眠時無呼吸症候群の患者は、日中でも強い眠気を催し、睡眠中には大きないびきをかいて、あえぎや息詰まり、呼吸停止などを起こし、荒い鼻息とともに突然目を覚ますことがよく... さらに読む 睡眠時無呼吸症候群 、一部の薬の使用(例えば、アミオダロンや、ときにシルデナフィルなどのホスホジエステラーゼ阻害薬[勃起障害 勃起障害(ED) 勃起障害(ED)とは、性交を行うのに十分な勃起を達成または持続できないことです。 (男性の性機能障害の概要も参照のこと。) どんな男性でもときに勃起に至らない問題を抱えることがあり、そのような問題の発生は正常なことと考えられています。勃起障害は男性が次のような場合に起こります。 一切勃起できない 短い間勃起するが性交には十分な時間ではない さらに読む の治療薬])、血栓形成傾向、夜間の低血圧などが危険因子となりえます。

症状

視力障害が急激に(数分間から数時間、ときに数日間のうちに)発生しますが、痛みはありません。視力障害が片眼にのみ生じるか両眼に生じるかは原因によって異なります。視力への影響は様々で、ほぼ正常のこともあれば完全に失明する場合もあります。視野の中心部に小さい視野欠損が生じてゆっくりと大きくなり、視力が完全に失われることがあります。

診断

  • 医師による評価

  • 巨細胞性動脈炎に対し、血液検査と生検

  • ときに、画像検査またはその他の検査

診断の際に医師は、ライトの付いた拡大鏡(検眼鏡)で眼の奥を観察します。原因の特定にあたり、危険因子として知られている異常があるかどうかを判定します。

原因として巨細胞性動脈炎 巨細胞性動脈炎 巨細胞性動脈炎は、頭部、頸部、上半身にある大型動脈や中型動脈に慢性の炎症が起きる病気です。典型的に侵されるのは側頭動脈であり、この血管はこめかみを通り、頭皮の一部、あごの筋肉、視神経に血液を供給しています。 原因は不明です。 主に、ズキズキする激しい頭痛、髪をとかしたときの頭皮の痛み、ものをかむときに顔の筋肉の痛みがみられます。 治療しないと、失明することがあります。 症状と身体診察の結果からこの病気が疑われますが、診断を確定するには側... さらに読む が疑われる場合、医師は診断を確定するために、血液検査を行い、側頭動脈の組織サンプルを顕微鏡下で観察する(生検)ことがあります。血液検査では、赤血球沈降速度(赤沈)、C反応性タンパクの濃度、特定の血球の濃度(血算)を判定します。これらの結果から、巨細胞性動脈炎に特徴的な炎症が判明することがあります。巨細胞性動脈炎の症状がまったくない場合、医師は脳のMRI(磁気共鳴画像)検査またはCT(コンピュータ断層撮影)検査を行って、視神経が腫瘍により圧迫されていないかを確認することがあります。

予後(経過の見通し)

非動脈炎型虚血性視神経症に対する効果的な治療法はありません。しかしながら、非動脈炎型虚血性視神経症の患者の約40%は、ある程度有用な視力を自然に回復します。非動脈炎型虚血性視神経症が、同じ側の眼に再発することは極めてまれです。

動脈炎型虚血性視神経症は巨細胞性動脈炎が原因で起こり、一般的には非動脈炎型と比べて視力障害の度合いが大きくなります。迅速な治療を行っても罹患した眼の失われた視力が回復することはありませんが、罹患していない眼を守ることができます。治療が不十分であると、他眼で視力障害が起こるリスクが高まります。

治療

  • 非動脈炎型虚血性視神経症に対し、動脈硬化の危険因子のコントロール

  • 巨細胞性動脈炎による動脈炎型虚血性視神経症に対し、コルチコステロイドやトシリズマブ

非動脈炎型虚血性視神経症では、視力障害を回復させるための治療は、効果がありません。血圧および糖尿病の管理などを含む、動脈硬化 動脈硬化 さらに読む の危険因子を減らす治療が行われます。血液凝固障害や閉塞性睡眠時無呼吸症候群など、その他の原因がある場合にも治療を必要とすることがあります。

巨細胞性動脈炎が原因の動脈炎型虚血性視神経症では、反対側の眼の視力障害を防ぐために、可能な限り速やかに高用量のコルチコステロイドを経口投与または静脈内投与します。トシリズマブ(炎症を抑えるための薬)をコルチコステロイドに加えて投与すると、巨細胞性動脈炎の患者に有用であることが最近示されています。

視力障害のある人が利用できる補助具(ロービジョンエイド)として、ルーペ、拡大読書器、音声付き腕時計などがあります。

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