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加齢黄斑変性(AMD/ARMD)

(加齢黄斑変性症)

執筆者:

Sonia Mehta

, MD, Vitreoretinal Diseases and Surgery Service, Wills Eye Hospital, Sidney Kimmel Medical College at Thomas Jefferson University

最終査読/改訂年月 2017年 11月
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加齢黄斑変性は、網膜中心部の最も重要な部分である黄斑の損傷が進行して、中心視力が徐々に損なわれていく病気です。

  • 中心視力が徐々に低下し、細かい部分が見えなくなっていきます。直線が波打ってみえることもあります。

  • 加齢黄斑変性に特徴的な眼の変化は、多くの場合、医師が専用の器具を用いて診察することで特定されます。

  • 病気の進行を遅らせるのに栄養補助食品が役立つことがあります。

  • 眼内への薬の注射やレーザー治療が必要になる人もいます。

網膜は、眼の奥にある光を感じる透明な構造物です。網膜中央部を黄斑(おうはん)といい、光を感じる細胞がここに密集しています。これらの細胞が極めて鮮明な像をつくり出し、中心視力と色覚を担っています。

加齢黄斑変性は、高齢者における不可逆的な中心視力障害の最も一般的な原因です。男女ともに等しくみられます。白人で比較的多くみられます。

原因

加齢黄斑変性の危険因子には、次のものがあります。

  • 年齢

  • 家族歴

  • 喫煙

  • ある種の遺伝子異常

  • 心血管疾患(動脈硬化など)

  • 日光曝露

  • ある種の魚などに含まれるオメガ3脂肪酸や濃い緑色の葉野菜の少ない食事

種類

加齢黄斑変性には次の2つのタイプがあります。

  • 萎縮(いしゅく)型(非滲出型、ドライタイプ)

  • 滲出(しんしゅつ)型(新生血管型、ウェットタイプ)

最初は、すべての加齢黄斑変性が萎縮型です。一部の人(約10%)は滲出型に移行します。加齢黄斑変性の患者の約85%は萎縮型のみを有しています。滲出型の患者数は比較的少ないものの、加齢黄斑変性による重度の視力障害の80~90%は滲出型が原因です。

萎縮型加齢黄斑変性では、黄斑の細胞が少なくなるにつれ、黄斑の組織が薄くなっていきます。錐体(すいたい)細胞または桿体(かんたい)細胞に由来する老廃物が網膜(眼の奥にある光を感じる透明な構造物)にたまり、ドルーゼンと呼ばれる蓄積(黄色い斑点)を生じます。萎縮型加齢黄斑変性では、両方の眼に障害が同時に現れることがあります。黄斑には瘢痕(はんこん)化または出血もしくはその他の液体の漏出は認められません。

滲出型加齢黄斑変性は、黄斑の下にある脈絡膜(網膜と眼球外側の白い層[強膜]の間にある層)から異常な血管が増殖し、血液などの液体が漏れ出ることで発生します(「滲出型」と呼ばれるのはこのためです)。最終的に、黄斑の下に盛り上がった瘢痕組織ができます。滲出型加齢黄斑変性は、最初片方の眼だけに起こりますが、いずれ、反対の眼にも起こります。

症状

萎縮型加齢黄斑変性

萎縮型加齢黄斑変性では、数年かけて痛みを伴わずに中心視力が徐々に損なわれていきます。症状がほとんどまたはまったくない人もいますが、症状がある場合は、しばしば両眼にみられます。物がぼやけて見えたり細かい部分が見えなくなったり、読書が困難になったりします。病気が進行するにつれ、視野の中央に盲点(暗点)が現れ、ときに視覚が大幅に損なわれることがあります。しかし、たいていの人は読書や運転をできる視力を維持します。

滲出型加齢黄斑変性

滲出型加齢黄斑変性では視力障害が急速に(通常数日または数週間で)進行する傾向があり、異常血管から出血した場合はもっと急に視力が損なわれることもあります。最初の症状は、中心視野がかすんだり、波打ったり、ゆがんだりすることです。一般的に、視野の端の視力(周辺視力)は影響を受けません。滲出型加齢黄斑変性は、通常片眼ずつ発症します。しばしば、読書やテレビを見るのが困難になります。

加齢黄斑変性では視力が著しく損なわれるため、異常のある方の眼が法的な失明に至ることもあります。

診断

  • 医師による眼の診察

  • ときに、カラー眼底写真撮影、フルオレセイン蛍光眼底造影、光干渉断層撮影

医師は通常、検眼鏡(眼の奥を照らすライトの付いた拡大鏡)で眼を診察することで加齢黄斑変性を診断できます。ほとんどの場合、症状が現れる前でも、網膜の損傷を見ることができます。滲出型加齢黄斑変性の診断を確定するため、医師は、カラー眼底写真撮影またはフルオレセイン蛍光眼底造影を行います。光干渉断層撮影は、滲出型加齢黄斑変性を診断し、治療に対する反応を評価する上でしばしば役に立つ画像検査です。

治療

  • 栄養補助食品

  • 薬の投与とレーザー治療

  • ロービジョンエイドとカウンセリング

現在のところ、萎縮型加齢黄斑変性により引き起こされた損傷を元に戻す治療法はありません。また、現在のところ、軽度の症例に対する治療は推奨されていません。禁煙は、加齢黄斑変性の発生リスクを減らすのに役立つ可能性があります。

栄養補助食品(サプリメント)

加齢黄斑変性が中等度または進行している場合には、栄養補助食品の摂取が推奨されます。次のような栄養補助食品を摂取することで、加齢黄斑変性の進行リスクを減らすことができます。

  • 亜鉛

  • ビタミンC

  • ビタミンE

  • ルテイン + ゼアキサンチン(喫煙歴があるか、現喫煙者)

  • ベータカロテンまたはビタミンA(喫煙歴のない人)

過去7年以内にタバコを吸っていた人は、ベータカロテンや ビタミンAを摂取すると肺がんの発生リスクが高まるため、これらのサプリメントを摂取すべきではありません。その代わりに、ルテインとゼアキサンチンを摂取します。ルテインとゼアキサンチンを摂取した場合、男性では尿路結石と前立腺異常の発生リスクが高まり、女性では腹圧性尿失禁の発生リスクが高まります。ベータカロテンを摂取すると皮膚が黄色くなることがあります。動脈硬化の危険因子(高血圧など)をコントロールし、オメガ3脂肪酸と濃い緑色の葉野菜の定期的な摂取を増やすことは、加齢黄斑変性の進行を遅らせるのに役立つ可能性があります。しかし、オメガ3脂肪酸のサプリメントを摂取したからといって病気の進行が遅くなるわけではありません。

薬物療法とレーザー治療

滲出型加齢黄斑変性では、新しい血管からの漏出を止めるために、ラニビズマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプトなどの薬を眼内に注射することがあります。これらの注射は1~2カ月毎に繰り返す必要がありますが、これによって視力障害のリスクが低下し、3分の1の人では読書に必要な視力が回復します。

他の治療法として、光線力学療法があります。この治療法では、レーザー光に対する網膜血管の感受性を高めるための物質を腕の静脈に注射し、網膜血管にレーザーを照射して異常な新生血管を破壊します。新生血管が黄斑の真下にない場合は、さらに有害な影響が現れる前に、熱レーザーで新生血管を破壊することもあります。

滲出型加齢黄斑変性で手術が行われることはまれです。

視力障害への適応

視力が落ちた人が利用できる補助具として、ルーペ、度数の高い読書用眼鏡、2枚以上のレンズで作られた弱視眼鏡や単眼鏡、文字や画像を拡大してテレビ画面に映し出す機器などがあります。コンピュータを使う人向けにも、様々なロービジョンエイド( ロービジョンエイドとは)が利用できます。例えば、コンピュータで強調された映像を網膜の損傷していない正常部分に投影できる機器があります。また、データを大きい活字でコンピュータの画面に表示するソフトウエアや、データを合成音声で音読してくれるソフトウエアもあります。電子書籍(eBook)は、文字のサイズやコントラストを調節できるため、これを使うと読書が容易になります。加齢黄斑変性により中心視力が重度かつ恒久的に損なわれた人では、IMT(implantable miniature telescope)と呼ばれる植込み型の微小望遠鏡が使用できます。

視力の低い人が利用できるサービスについて情報を提供するカウンセリングも行われています。このようなカウンセリングは通常ロービジョン専門家、すなわち低視力についての専門知識をもつ眼科医やオプトメトリストが行っています。

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