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屈折異常の手術

執筆者:

Deepinder K. Dhaliwal

, MD, L.Ac, University of Pittsburgh School of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 8月
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近視遠視乱視といった屈折異常を矯正するには、手術やレーザー治療(屈折矯正手術)という方法もあります。これらの手術は一般に、光が網膜上に焦点を結びやすくなるように、角膜の形状を変化させます。重度の近視の患者に行われる別のタイプの屈折矯正手術として、薄いレンズを眼の中に挿入する方法があります。

屈折矯正手術の目標は、眼鏡またはコンタクトレンズの必要性を減らすことです。こういった治療を受ける前には、眼科医(眼の病気の評価と[手術を含む]治療を専門とする医師)と十分に話し合い、視力矯正の手術のリスクや便益に照らして、自分自身の必要性や希望を注意深く検討しなければなりません。

屈折矯正手術に最も適しているのは、18歳以上で眼と体が健康な人のうち、コンタクトレンズの装用に満足していない人や、眼鏡やコンタクトレンズの装用が支障になるような活動(水泳やスキーなど)をする人です。多くの人が利便性や外観上の理由でこの手術を受けます。しかし、屈折矯正手術は屈折異常のあるすべての人に推奨されるわけではありません。

一般に屈折矯正手術をするべきでないのは、次に該当する人たちです。

  • 過去1年以内に眼鏡またはコンタクトレンズの度数が変わった

  • 自己免疫疾患または結合組織疾患など、創傷の治癒が妨げられる病態がある

  • 重度のドライアイなど、活動性の眼疾患がある

  • 円錐角膜(円錐形の角膜)がある

また、通常は次のような人も、屈折矯正手術を受けるべきではありません

  • 特定の薬(例えば、イソトレチノイン[isotretinoin]またはアミオダロン)を使用している

  • 18歳未満(少数の例外があります)

医師は、手術を行う前に屈折異常の程度(眼鏡の度数)を正確に測定します。また、徹底的な眼の検査も行います。特に、角膜表面の細胞(角膜の上皮がしっかりくっついているかどうかも含めて)、角膜の形と厚さ(トポグラフィー、トモグラフィー、角膜厚測定(パキメトリー)という検査を用います)、瞳孔の大きさ、眼圧、視神経、網膜については入念に検査します。

屈折矯正手術は一般的に短時間で済み、不快感はほとんど伴いません。手術の際は、点眼薬で眼に麻酔をかけます。眼は固定されないため、手術の間は患者自身が眼を動かさないように努力しなければなりません。通常は、術後すぐに帰宅できます。

屈折矯正手術後、ほとんどの人は日常生活(車の運転や映画を見るなど)に十分な遠見視力が得られますが、すべての人が術後に眼鏡をかけないで1.0の完璧な視力を得られるわけではありません。約95%以上の人で遠くを見るための矯正レンズが不要になります。術後に1.0の視力を得る可能性が最も高い人は、屈折矯正手術前の眼鏡の度数が軽度から中等度の人です。また、遠くを見るのに眼鏡を必要としない場合でも、40歳以上では、ほとんどの人が手術後も本や新聞を読むときに眼鏡を必要とします。

屈折矯正手術のために生じる症状には、次のような一時的な症状があります。

ときに、このような症状がなくならないこともあります。眼が乾燥していると像がかすみます。

屈折矯正手術で起こりうる合併症には、次のようなものがあります。

  • 過矯正

  • 低矯正

  • 感染症

その他の合併症には、過度の炎症、複視、光への過敏、グレアやハロが見える、眼が乾燥する、像がぼやける、夜になると物が見づらくなり運転などに支障が出る、角膜にしわができる、角膜内に細胞などが沈着する、といったものがあります。まれに、感染または炎症が視力低下につながることがあります。

まれですが、眼鏡をかけても屈折手術後の視力が悪くなることもあります。

屈折矯正手術の種類

レーシック(LASIK:レーザー角膜内切削形成術)

レーシックは、近視、遠視、乱視の矯正に用いられます。レーシックでは、レーザー、またはマイクロケラトームという切開器具を使って角膜中央部の表層にごく薄いフラップ(蓋のようなもの)を作製します。フラップを持ち上げ、エキシマレーザーからコンピュータ制御により高度に収束させた紫外線パルスを用いて、フラップの下の角膜組織を少しずつ気化させ、角膜の形状を変化させます。レーザー照射後、フラップは元の位置に戻され、数日で治ります。

手術中や手術後の不快感はほとんどありません。視力の改善も早く、多くの人は1~3日程度で普通に仕事ができるようになります。

合併症には、フラップに伴う問題と、角膜が薄くなったり膨隆したりしたままなかなか治らないことなどがあります(角膜拡張症)。 フラップに問題が生じると、手術は中止されますが、約6月後に再度手術が試みられることもあります。フラップに伴う問題の1つとして、フラップのずれが起こる可能性がありますが、これは通常、眼の重度の損傷後にのみみられ、かすみ目の原因となります。この問題は、直ちに治療すればたいていの場合なくなります。極めてまれに、フラップに伴う問題が原因で、かすみ目を生じたり、光のぎらつきやハロ(光の周りの虹のような輪)が見えたりすることがありますが、これはフラップが縁を残して治ったときなどに起こります。こういったフラップに伴う問題が治らない場合は、永久に機能を損なう可能性があり、ハードコンタクトレンズを使わないと夜間の運転が難しくなったりします。角膜拡張症は、かすみ目、近視の悪化、不正乱視などを引き起こします。その他の合併症として、ドライアイに起因する重度の間欠的なかすみ目のほか、まれに、視力を脅かす角膜の感染または炎症が起こることもあります。

レーシックに適さない人としては、屈折異常の手術全般に適さない病態がある人、角膜が薄い人、角膜表層にたるみのある人などが挙げられます。

PRK(レーザー屈折矯正角膜切除術)

主に、近視、乱視、遠視を矯正する目的で行われます。PRKも、エキシマレーザーを使用して角膜の形を整える手術です。レーシックとは異なり、フラップを作製しません。手術では、まず角膜表面の細胞を取り除きます。レーシックの場合と同様に、コンピュータ制御により高度に収束させた紫外線パルスを用いて、角膜を少量削り取って形を変化させ、光が網膜上で正しく焦点を結ぶようにします。これにより、眼鏡またはコンタクトレンズなしでの視力を改善させます。術後に眼を包帯のように保護する目的でコンタクトレンズをはめます(バンデージコンタクトレンズと呼ばれます)。これにより、表層の細胞が増殖しやすくなり、痛みの緩和にも役立ちます。手術は片側につき5分で終わります。

合併症としては、角膜組織を大量に除去した場合に、視野のかすみまたはぼやけの原因となる霧視(むし)が生じることがあります。また、術後数カ月間はコルチコステロイドの点眼薬を使用しなければなりません。コルチコステロイドの点眼薬は緑内障を引き起こす可能性があるため、この点眼薬を使用している人は医師による綿密なモニタリングが必要です。まれな合併症として、視力を脅かす重度の角膜の感染症もあります。

PRKは、レーシックに比べると術後に不快感が残り、完治に時間がかかる(取り除いた表面の細胞が再び増殖しなければならないため)という短所がありますが、レーシック手術に適していない人、例えば角膜表層にたるみがある人または角膜がやや薄い人にも行うことができる場合があります。

その他の屈折矯正手術

屈折異常の治療法として、レーシックやPRKとは異なる利点やリスクをもつ手術には以下のものがあります。

SMILE(Small incision lenticule extraction)

SMILEは、近視の治療に用いられる術式です。SMILEでは、医師がレーザーを用いて角膜の組織に小さいディスク状のレンチクルと呼ばれる切片を作製します。次にこの組織を、角膜の隣接する部位の非常に小さな切開創(2~4mm)から抜き取ります。これによって角膜の形が整えられ、近視における屈折異常が修正されます。

SMILEは、有効性と安全性の観点ではLASIKと似ています。しかし、SMILEではLASIKのように組織のフラップを作製しないため、フラップに関連する合併症(フラップの転位など)は起こりません。加えて、切開創が非常に小さいため、ドライアイのリスクも低くなります。

SMILEではサクションロスと呼ばれる術中の合併症が起こるリスクがわずかに上昇します。ただし、サクションロスが起こっても、適切に治療すれば、視力が損なわれることはありません。一部の人ではSMILEを受けた後に、別の眼科手術を受けることができなくなります。

有水晶体眼内レンズ(IOL)

近視が非常に強い人で、レーザーによる視力矯正手術に適さない人には、プラスチックレンズを眼の中の、虹彩の前または後ろに入れることができます(有水晶体眼内レンズ挿入術)。患者の生来の水晶体はそのまま残しておきます。

有水晶体眼内レンズ挿入術のリスクには、白内障の形成、緑内障、感染症、角膜膨潤などがあります。

有水晶体眼内レンズ挿入術の後に、レーザーによる手術を行い、さらに視力を矯正する人もいます。

角膜インレー

角膜インレーは老眼の治療に用いられるインプラントです。このインプラントは、角膜の中央部(瞳孔の真正面)に、マイクロケラトームという切開器具を使って作製された組織フラップの下に挿入されます。この手術は可逆的な治療です。

合併症としては、角膜混濁や炎症の可能性があり、これによって霧視(むし)やハロが生じるほか、薄暗がりでの読書が困難になることがあげられます。角膜混濁や炎症が起こると、コルチコステロイドの点眼薬を数カ月間にわたって使用する必要があります。コルチコステロイドの点眼薬は緑内障を引き起こす可能性があるため、この点眼薬を使用している人は医師による綿密なモニタリングが必要です。他の合併症として、インレーのずれ(遠くを見る視力が悪化します)、ドライアイ、インレー周辺の組織の増殖(霧視や光への過敏性の原因となります)などがあります。

水晶体摘出術

ときに、本来の水晶体を摘出し、プラスチックレンズを虹彩の後ろに入れる手術が行われます(眼内レンズ挿入を伴う水晶体摘出術)。この手技は白内障手術で行われるものと同じものですが、摘出する水晶体に濁りがないという点が異なります。眼内レンズ挿入を伴う水晶体摘出術は、40歳以上の重度の遠視のある人により適している可能性があります。この手術では眼球に切開が加えられるため、わずかですが眼内に重度の感染を起こすリスクがあります(ただし、レーシックと比較するとリスクはかなり高くなります)。若い人で近視が強い場合は、水晶体の摘出術後、網膜剥離を起こすリスクが高いため、通常この手術は避けるべきです。

角膜内リング(INTACS)

角膜内リング(INTACS)は、軽度の近視と最小限の乱視のある人に用いられます。角膜の実質層(中間の層)内の外縁近くに小さな弧状のプラスチック製のリングを挿入する方法です。プラスチック製のリングは角膜の形を変えるため、これにより焦点を合わせやすくなります。INTACSは組織の切除を伴わないため、挿入した小さな弧状のプラスチックリングを取り出せば眼を元の状態に戻すことが可能です。

リスクには、乱視、低矯正、過矯正、感染症、グレアやハロが見えることなどがあります。

近年、円錐角膜やLASIKまたはPRK後の角膜拡張症などの異常に対して、眼鏡やコンタクトレンズで十分な視力を得られないか、あるいは不快感を覚えている人には、INTACSが多く用いられています。

放射状角膜切開術と乱視矯正角膜切開術

放射状角膜切開術および乱視矯正角膜切開術は、ダイヤモンドメスで角膜に深い切開を入れ、角膜の形を変える手術です。

放射状角膜切開術は、現在使用されることがまれで、代わりにレーザー視力矯正手術が主流になっています。

乱視矯正角膜切開術は、今でも白内障手術と同時にしばしば行われます。

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