交感性眼炎は、異常な細胞の小さなかたまりである肉芽腫ができるまれなタイプのぶどう膜炎です。この病気は、一方の眼の穿通(せんつう)性損傷(鉛筆、ペン、または棒などが眼に刺さるけが)または手術の後、もう一方の眼に現れます。やがて、けがや手術をしていない方の眼のぶどう膜が炎症を起こします。 ぶどう膜炎 ぶどう膜炎 ぶどう膜炎は、ぶどう膜と呼ばれる眼の内側の色の付いた膜に生じる炎症のことです。 感染症、けが、全身性自己免疫疾患(体が自分の組織を攻撃する病気)により、または明らかな原因なく、ぶどう膜に炎症が生じることがあります。 症状は眼のうずき、眼が赤くなる、飛蚊症(ひぶんしょう)、視力障害などで、これらが複合して起こることもあります。... さらに読む は、けがまたは手術の2~12週間後、約80%の患者に現れます。非常にまれにですが、けがまたは手術の後、早くて1週間、遅くて30年後に交感性眼炎が発生することもあります。
ぶどう膜の図
ぶどう膜は、虹彩、毛様体、および脈絡膜という3つの部分で構成されています。 ![]() |
原因
交感性眼炎の原因は完全には分かっていません。多くの医師は、体の 免疫系 免疫系の概要 人間の体には、異物や危険な侵入物から体を守るために、免疫系が備わっています。侵入物には以下のものがあります。 微生物( 細菌、 ウイルス、 真菌など) 寄生虫(蠕[ぜん]虫など) がん細胞 移植された臓器や組織 さらに読む の機能不全が原因で、けがをしていない方の眼のぶどう膜を体が攻撃すると考えています。
症状
診断
医師による評価
医師は、眼の診察、最近の眼のけがまたは手術の経験があるかどうか、両眼に炎症があるかどうかに基づいて交感性眼炎の診断を下します。
治療
コルチコステロイドと免疫抑制薬
ときに眼球摘出
一般に交感性眼炎の治療には、コルチコステロイドの経口投与に加え、別の種類の免疫抑制薬(免疫の働きを抑える薬)の投与を長期間続ける必要があります。
ときに、片方の眼の損傷がひどい場合、視力障害が起こってから2週間以内にその眼を摘出し、他眼で交感性眼炎が発生するリスクを抑えようとする医師もいます。しかし、このような眼球の摘出は、損傷した方の眼が完全に失明し、視力が回復する見込みがない場合に限られます。