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のどの痛み

執筆者:

Marvin P. Fried

, MD, Montefiore Medical Center, The University Hospital of Albert Einstein College of Medicine

最終査読/改訂年月 2020年 4月
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のどの痛みとは、のどの奥に生じる痛みのことです。痛みは激しいこともあり、通常はものを飲み込んだときに強くなります。のどの痛みがある人の多くは、食べたり飲んだりするのを拒みます。ときに、耳にも痛みを感じることがあります(のどの奥に向かう神経は、耳に通じる神経のごく近くを通っています)。

原因

のどの痛みは通常、感染によって生じます(表「のどの痛みの主な原因と特徴」を参照)。最も一般的な感染症は以下のものです。

  • 扁桃咽頭炎

頻度ははるかに低くなりますが、のどの痛みのより深刻な原因は以下のものです。

  • 膿瘍

  • 喉頭蓋の感染症(喉頭蓋炎)

  • 腫瘍

膿瘍、喉頭蓋炎、腫瘍は、気道をふさいでしまうことがあるため、特に注意が必要です。

のどの刺激感や軽度の痛みは、乾燥、刺激物、 胃食道逆流症(GERD)、声帯の使いすぎ(大声で叫んだことによるものなど)によっても起こる可能性があります。

扁桃咽頭炎

扁桃咽頭炎は、扁桃(のどの奥にあるリンパ組織のかたまり)とのど(咽頭)の感染症です。医師は、扁桃が特に炎症を起こしている場合は扁桃炎という言葉を、そうでない場合や扁桃がなくのどの痛みがある場合は喉頭炎という言葉を使うことがあります。

扁桃咽頭炎は、通常はウイルス(典型的にはかぜを引き起こすものと同じウイルス)によって起こります。大半のかぜは、軽いのどの痛みから始まります。あまり一般的でないウイルスによる原因には急性単核球症(エプスタイン-バーウイルスが原因)があり、これは主に小児や若い成人に起こります。さらにまれですが、のどの痛みは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による初回感染症の一部として生じる場合や、鵞口瘡(がこうそう)のようなHIV感染者に生じる慢性真菌感染症が原因である場合もあります。

成人におけるのどの痛みのうち約10%(小児ではこれよりやや多い)は、レンサ球菌属 Streptococcusの細菌によって引き起こされます。このようなレンサ球菌感染症は、しばしばレンサ球菌咽頭炎と呼ばれます。レンサ球菌咽頭炎は2歳未満の小児にはあまりみられません。

まれな細菌による原因には、淋菌感染症やジフテリア(ワクチン接種率が低い国でみられる)などがあります。

膿瘍

膿の蓄積(膿瘍)が扁桃の下や近くにできることがあります(扁桃周囲膿瘍)。通常の原因は、レンサ球菌感染が扁桃から深部の組織に広がることです。幼児では、のどの奥の組織に膿瘍ができることがあります(咽後膿瘍)。

喉頭蓋炎

喉頭蓋は小さなふた状の組織で、ものを飲み込むときに喉頭と気管の入り口をふさぎます。喉頭蓋には特定の細菌が感染することがあります(喉頭蓋炎)。その感染は強い痛みと腫れを引き起こします。腫れによって気管がふさがることがあり、特に乳児や小児でよくみられます。喉頭蓋炎は、以前は主に小児にみられ、通常はインフルエンザ菌 Haemophilus influenzae b型(Hib)という細菌によって引き起こされていました。現在では、ほとんどの小児がHibに対するワクチン接種を受けており、小児での喉頭蓋炎は非常にまれですが、成人やワクチン接種を受けていない小児ではいまだにHibによる喉頭蓋炎がみられます。

診察

のどの痛みがあっても、直ちに医師の診察が必要であるとは限りません。以下では、医師の診察を受ける必要があるか、また受けた場合に何が行われるかについて説明しています。

警戒すべき徴候

のどの痛みがみられる場合は、特定の症状や特徴に注意が必要です。具体的には以下のものがあります。

  • 息を吸うときのヒューヒューという音(吸気性喘鳴)

  • 呼吸困難のあらゆる徴候(特に小児が背筋を伸ばして前のめりに座り、頭部を後ろに傾けて、下あごを前に突き出している姿勢[tripod position])

  • よだれ

  • くぐもった、「熱いジャガイモが口に入っているような」声(熱いものが口の中に入っているかのように話す)

  • のどの奥に膨らみが見える

受診のタイミング

警戒すべき徴候がみられる人は、直ちに医療機関を受診する必要があります。

のどの痛みがあっても警戒すべき徴候がない場合は、主治医に電話で相談してください。典型的なかぜの症状と、軽度から中等度の不快感がある場合は、家から出ずに市販薬(OTC薬)で症状を治療するように助言されることがあります。激しい痛みや他の症状(発熱、極度の疲労、たんを伴うせき)がある場合は、一般的には直ちに受診するべきです。

医師が行うこと

医師はまず、症状と病歴について質問し、次に身体診察を行います。病歴聴取と身体診察で得られた情報は、検査が必要な場合、どのような検査を行うか判断するのに役立てられます(表「のどの痛みの主な原因と特徴」を参照)。

病歴聴取の際、医師は以下のことについて質問します。

  • 鼻水やせきはあるか、ものを飲み込む、話す、呼吸するのに支障が出ていないか

  • のどの痛みの前に全身に重度の疲労感があったかどうか(単核球症が疑われる)

  • 単核球症の病歴があるかどうか(まれに単核球症に2回かかることがある)

  • 淋菌感染症の危険因子(最近の口腔-性器の性的接触など)またはHIV感染症の危険因子(無防備な性行為、複数のセックスパートナー、静脈内注射する薬の乱用など)があるかどうか

身体診察の際、医師は鼻とのどに注目します。ただし、医師は(警戒すべき徴候があってかぜの所見がないことから)小児の喉頭蓋炎を疑っている場合に、診察室ではのどの診察を行いません。舌圧子(ぜつあつし)を挿入することでけいれんが起こり、それにより気道が完全にふさがることがあるからです。

喉頭蓋炎が疑われない場合は、医師は以下のことを行います。

  • 口の中を見て、のどや扁桃が赤くなっているかどうか、扁桃に白い斑点(白斑)があるかどうか、膿瘍を疑わせる膨らみがあるかどうかを確認します。

  • 頸部(首)を診察して、圧痛のあるリンパ節の腫れがないか確認します。

  • 腹部に触れて、脾臓の腫れがないか確認します。

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のどの痛みの主な感染性の原因と特徴

原因

一般的な特徴*

検査

ウイルス性扁桃咽頭炎(ウイルスを原因とする扁桃とのどの感染症)

軽度から中等度ののどの痛み、発熱はほとんどまたはまったくない

通常は鼻水またはせき

のどと扁桃は、わずかに赤い場合から非常に赤い場合まであり、白い分泌物または膿で覆われていることがある

ときに首のリンパ節が1つか2つ腫れる

医師の診察

しばしば強いのどの痛みと発熱

まれに鼻水またはせき

しばしば、のどと扁桃が非常に赤くなり、白い分泌物または膿で覆われる

通常は、首のリンパ節が1つか2つ腫れ、圧痛がみられる

のどから綿棒で採取したサンプルの検査

単核球症(エプスタイン-バーウイルスが原因)

中等度から重度ののどの痛み、高熱、常時の疲労があるが、かぜの症状を伴わない

通常は、単核球症にかかったことがない青年または若い成人

しばしば、のどと扁桃が非常に赤くなり、白い分泌物または膿で覆われる

典型的には首の左右両側で多数のリンパ節が腫れ、ときに医師による診察時に脾臓の腫れが見つかる

エプスタイン-バーウイルスに対する抗体を探す血液検査

膿瘍

強いのどの痛み、しばしば発熱、かぜの症状はない

ときに、口の中に熱いものが入っているような、くぐもった声(「熱いジャガイモが口に入っているような」声)

のどと扁桃は、わずかに赤い場合から非常に赤い場合まである

典型的には、診察時にのどの右側または左側がかなり腫れている

通常は針で膿を排出させる(診断と治療のため)

ときに頸部のCT検査

喉頭蓋炎†(喉頭蓋[喉頭の入り口をふさぐ小さなふた状の組織]の感染症)

突然始まる強いのどの痛みと嚥下困難(ものを飲み込むのが難しくなること)

小児では、しばしば流涎(よだれ)と重度の病気の徴候(視線を合わせない、親に気づかない、怒りやすいなど)

ときに以下のような呼吸器症状(小児では多い)

  • 呼吸が速い(頻呼吸)

  • 息を吸うときのヒューヒューという音(吸気性喘鳴)

  • 前のめりの姿勢(tripod position):背筋を伸ばして前のめりに座り、頭部を後ろに傾けて下あごを前に突き出す(肺に入る空気の量を増やそうとするため)

通常、診察時にのどは正常に見える(ただし、診察は望ましくないことがある)

小児の大半と、重篤な状態に見える成人に対しては、手術室で軟性ファイバースコープによる喉頭鏡検査(喉頭蓋を直接観察するための柔軟な細い管をのどに入れる)

喉頭蓋炎のすべての症状があるわけではない場合と、重篤な状態ではなさそうな場合は、ときに頸部のX線検査

* この欄には症状や診察の結果などが示されています。ここでは典型的な特徴を示していますが、常に認められるわけではありません。

† これらはまれな原因です。

検査

検査が必要かどうかは、病歴聴取と身体診察の結果によって決まりますが、警戒すべき徴候の有無が特に重要になります。

以下の検査を行うことがあります。

  • レンサ球菌の迅速スクリーニング検査(小児の場合)

  • 咽頭培養検査(成人の場合)

  • 軟性ファイバースコープによる喉頭鏡検査

  • 頸部のX線検査

医師がまず関心をもつことは、喉頭蓋炎の患者を認識することです。吸気性喘鳴とよだれは警戒すべき徴候で、なかでも状態が悪そうな患者や呼吸困難を起こしている患者には注意が必要です。このような場合には、患者はX線検査を受けるべきではありません。その代わりに、医師は柔軟性のある喉頭内視鏡(観察用の細い柔軟な管状の機器)を鼻から通してのどを観察します(軟性ファイバースコープによる喉頭鏡検査)。小児では、のどの診察中に気道が突然ふさがってしまう可能性が比較的高いため、医師はその危険を最小限に抑えるために、気道確保用の高度な器具と十分な人員がそろっている手術室でのみ、のどの診察を行います。重篤ではなさそうで呼吸器症状もない成人に対しては、喉頭蓋の腫れがないか確認するために頸部のX線検査を行ったり、救急診療部や専門医の診療所で軟性ファイバースコープによる喉頭鏡検査を行ったりすることがあります。

一般的なイメージとは異なり、見た目だけでレンサ球菌咽頭炎とウイルスによるのどの痛みを区別するのは、医師にとっても困難です。どちらも、のどのひどい赤みと白い斑点を引き起こすことがあります。そのため、患者がただのかぜであることが明らかでなければ、通常はレンサ球菌咽頭炎を診断するための検査を行います。その方法としては、レンサ球菌の迅速抗原検査と咽頭培養検査(のどから採取したサンプルで培養を行う検査)の2種類があります。どちらの検査も、のどの奥から綿棒で採取したサンプルを用いて行われます。レンサ球菌の迅速抗原検査は、診療所で約20分で行うことができます。迅速検査は通常、小児の場合にしか行われません。結果が陽性の場合は、小児は抗菌薬によるレンサ球菌咽頭炎の治療を受けます。結果が陰性の場合は、別のサンプルを検査室に送って培養検査(特殊なゲルの上で微生物を増殖させることで、その種類を特定する検査)を行います。成人は迅速抗原検査で特定されない別の細菌に感染している可能性があるため、成人にレンサ球菌咽頭炎の検査が必要な場合は、通常は咽頭培養検査だけを行います。

医師による診察の際に膿瘍が容易に見つかることもよくあります。のどに麻酔薬をスプレーしてから腫れた部位に細い針を刺すことで、膿瘍の診断と治療を行うことができます。そこで膿が出てくれば、膿瘍の診断が確定し、できるだけ多くの膿を排出させます。膿瘍の位置や範囲が明らかでない場合は、頸部のCT検査を行います。

医師が単核球症またはHIVを疑う場合のみ、これらの病気に対する血液検査を行います。

治療

医師は特定の病態または原因となっている病態を治療します。例えば、レンサ球菌咽頭炎や他の細菌感染症の患者には、抗菌薬が投与されます。

患者が食べたり飲んだりできるように、のどの痛みを軽減することが重要です。イブプロフェンまたはアセトアミノフェンが、痛みと熱の軽減に役立ちます。強い痛みがある患者には、オピオイド(オキシコドン、ヒドロコドンなど)の短期的な使用が必要になることがあります。温かい塩水でのうがいと、のど用トローチまたはのど用スプレー(例えばアミノ安息香酸エチル、リドカイン、ジクロニン[dyclonine]などを含有するもの)は、一時的な痛みの緩和に役立つことがあります。ものを飲み込むと痛みがある小児や、まだ食欲が戻っていない小児の水分と栄養を十分に保つには、スープを飲ませるとよいでしょう。

要点

  • のどの痛みの大半は、ウイルス性扁桃咽頭炎が原因で発生し、治療なしで消失します。

  • ときに、特定の細菌(特にレンサ球菌)によってのどの痛みが生じ、レンサ球菌咽頭炎に至ります。

  • 検査を行わずに扁桃咽頭炎の原因がウイルスなのか細菌なのかを区別するのは、医師にとっても難しいことです。

  • 膿瘍と喉頭蓋炎は、まれですが深刻な原因です。

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